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プロフィール
コメント数 78
性別 男性
ブログのURL https://www.jtnews.jp/blog/27405/
自己紹介 まずは幸運にも劇場で鑑賞できたもの優先につらつらぼちぼち書かせていただきます。とはいえたまには都度鑑賞したDVDものも挟んじゃうかも。

ここ最近足しげく通っている映画館は、Film Forum, MoMA, Japan Society, IFC Center, Lincoln Centerといったところ。

ハイ、新作はあまり観にでてはおりませんです。


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1.  蜂の巣の子供たち
鑑賞後即記録しなかったもんだからいつどこで観たのかはっきりしなくなってしまった…。2016年7月、京都文博にて?なんとなくMoMAだったような気もするし…。  清水宏監督作品はまだまだ観足りていない。「泣き濡れた春の女よ」(1933) と「サヨンの鐘」(1943)、あともう一作途中から監督を受け継いだと言われる「輝く愛」(1931)ぐらい… と、乏しい在庫。でも笠智衆による口頭回顧録的な書籍を読んだ際にも「清水のオヤジのシャシンにはいいものがあったのに皆が評価しないのは納得いかない」といったような発言が含まれていたとおり、この乏しい在庫からでもその才能と気質が十分垣間見える。  経歴を見るに本作は彼にとっては戦後の写実傾向に走ったものの一作品だったとのことなので、そのあたりを意識しながらいろいろ観てみたいな…という新たな欲望も湧く。まずは「蜂の巣三部作」の制覇を試みたいところ。  松竹からBOXでてるなー。危険な誘惑(苦笑)
[映画館(邦画)] 6点(2018-06-11 08:47:38)
2.  限りなき前進
筋を改変した編集版が世に出たことが原因でオリジナル版が現存せず、後半部の大事な部分が数行の字幕で端折られてしまうのはなんとも惜しい。そのオリジナル版を淀川長治が絶賛していたということもどこかで読んだので、まずはそれが記されている書物を探す旅か始めることになりそう。  小杉勇は「新しき土」(1937) での純和風ヒーローぶりがしっくり来なかったのだが、その後「たそがれ酒場」(1955)で後年の姿をみかけてこっちの方が…と納得していたことを思い出す。本作では実年齢よりも老け役を演じていたのであろうが、やはり彼はちょっと疲れたオヤジを演じさせた方が見応えがある…というのが本作を観たところまでの感想。(後続の内田監督作品でまたこの印象は入れ替わるのだけれども。)  轟夕起子の可愛さについ知りたくなってツルを引っ張ると出てくる、出てくる芋づる式に…。一昨年の溝口映画祭では「武蔵野夫人」(1951) でお見かけしていたらしいのだが鑑賞時には紐付かず、あとになって、「おお、あの隣家のおばさま!」となった次第。さすがに15年後に可憐さを維持することはムリだった模様。その他のツルはマキノ一族につながっていっていて長い長い。  個人的なツボとしてはこれが北竜二のデビュー作品だったという事実!たしかに若い!!
[映画館(邦画)] 6点(2016-11-01 12:20:39)
3.  妖刀物語 花の吉原百人斬り
MoMAで開催となった内田吐夢祭、日本から持ち込んでの一挙19本上映ときた。金曜トップバッターは本作!   片岡千恵蔵にはちょうど1年ほど前の同じくMoMAでのJapanese Early Talkieシリーズに含まれていたお見かけしたのが初であったような。「赤西蠣太」(1936) という一風変わったタイトルのその作品で彼は一人二役を見事に演じており、実はお恥ずかしながら自分はそれを完全にダマされて(つまり同一役者だとは気づかず)鑑賞していたのが記憶に新しい。それ故今回のその作品からはほぼ四半世紀のちの、ちょい歳のいった千恵蔵を眺める視線はリメイク版「雪之丞変化」(1963) でちょい歳のいった長谷川一夫を観た視線とついダブってしまったりも。   「二代目 水谷八重子」が誰の二代目なのかを把握するには、これまた昨年のJapanese Early Talkieシリーズに含まれていた「上陸第一歩」(1932) において「初代」の方を鑑賞してしまってるから話が早かった。登場時はふてぶてしさ満点の下品な女がどんどんと格上の花魁へと変身を遂げてゆく様を見事に演じているのは観ていて爽快でもあった。この「観てるうちにその人への美の意識がふらふらと変わってゆく」という体験は、ふと「愛のコリーダ」(1976) での松田英子を彷彿としたり。(どちらかというとあえて「吉原炎上」(1987) での名取裕子というよりは。)   鑑賞後にJapan Societyで顔見知りの人に会い、どうクライマックスを予想したかということで面白い会話をした。というのは彼は英題「Killing in Yoshiwara」しか頭になく、原題を理解していなかったからもう少し幅のある結末を予想していたということなのだ。公開当時は元ネタの歌舞伎の演目を知っていた人が多かった訳で、「百人斬り」というタイトルが幾分ネタバレ感ありすぎであったという判断にはならなかったのだろうが、これは英題をつけた人がエラかったという分かりやすい例になりそう。
[映画館(邦画)] 7点(2016-10-27 10:52:20)
4.  海街diary
あと十日以内に訪問することになりそうな鎌倉の風景にまさかのこのタイミングで銀幕でお目にかかれるとは。奇遇も奇遇、「口コミ」で映画を観ること、これからもきちんと続けてゆこう。   是枝監督の名前はMoMAで開催中の河瀬直美映画祭の中にもふと埋もれていた。「現しよ」と題された1996年の作品がそれで、二人がそれぞれの思いで撮ったそれぞれの8ミリ映像が往復書簡のような形で編集されているもの。その記憶が新鮮なうちにある酒席で知り合いの人が本作を絶賛していたのを聞き、はたまたその作品がこの週末から劇場公開されていることを知るや、足を運ばざるをえなかった次第。むろん鎌倉を舞台とした映画だということさえも知らないまま。   おうわさはかねがね…の広瀬すずに初お目見え。本作の英題はOur LIttle Sisterとなっており、いささか彼女のプロモ映画度が上がってしまっている。まぁ、いいセンスの名付け方だとは同意できたので良しとしよう。知らないうちにお姉さん度、お疲れ度が上がった綾瀬・長澤ペアは安定の演技。これまた初お目見えの三女を演じる夏帆という女優さんは脇役ながらもあちこちでいい顔するのでまたどこかでお会いしたくなった。四姉妹の会話のテンポが心地よく、脚本の良さがヒシヒシと伝わってくる。後ほどこちらも是枝監督の仕事と知りほほうとうならせられた。   是枝作品鑑賞歴はまだ5本にも満たないが、その中の「そして父になる」(2013) でもお見かけしたリリー・フランキー氏が本作で登場するとつい心の中で「ちっ」と舌打ちしてしまった。なんのことはない、毎夏恒例となりつつあるJapan SocietyのJAPAN CUTS FESTIVALのゲストとして彼がこの街に来訪することがわかっているのに、めいっぱい会いたい自分はその頃鎌倉あたりを訪れていて不可能だという皮肉な事実。まぁ、よいか。その分本作劇中で彼が経営する喫茶店の周りをブラつけるということで。と、悔しさを慰めてみることにする。
[映画館(邦画)] 7点(2016-10-09 01:06:59)
5.  火垂
まだDVD化はされていないとのことでそれを35mmプリントで観れたということはやはり幸せな機会だったというわけで。   舞台は奈良です。「おみずとり」に始まり「おみずとり」に終わります。そしてそこを舞台におんなという生きもののサガを女性監督の視点から見事に汲みとって映像化しているはずです。この「ハズ」というのは自分が男である以上想像の域を超えることがないであろうことを意味してます。この後本作を年に一回必ず観たとしてもずっとこの状況は変わらないハズです。   キャスティング上、必要以上に美しいと感じた中村優子という主演女優さんは初お目見え。とおもったらつい最近に「海街diary」(2015) にてちょい老けの未亡人役を演じてたあの人だったということを知り、あぁこの女優さんは河瀬監督にいい時にいい画を撮ってもらえたんだなと改めて感じたりもしたり。   その他のキャスティングで気になったのは山口美也子という方。なんかただもんじゃないなという感覚はあったものの、その経歴をあとから追ってみてやっぱりただもんじゃなかったなと。「朱花の月」(2011) にてもお会いできて嬉しくなったり。   おんなの目からみた世の中に対する不条理と、おとこの目からみたおんなという生きものに対しての不条理(こちらは河瀬監督の創造の域なのではあろうけれど、えてして的を得ていたりする)とが、がっぷり四ツで組み合います。   心して観る必要ありです。
[映画館(邦画)] 6点(2016-10-09 00:45:19)
6.  プレデター
履歴を追ってみると前回本作をDVDでみたのは2009年の事だったらしい。今回はIFCの銀幕にて鑑賞できる機会を得、結果としては星ひとつ追加。理由はどの台詞でみんなが「(笑)」となるのかが感じ取れたから(笑)   I'm gonna have me some fun, I'm gonna have me some fun, I'm gonna have me some fun!!!!   一週前にみたThe Abyss (1989) との共通点にもついほっこり。どうも80年代後半は地球人にとっても意味不明の野蛮宇宙人にとっても左腕に装着されたキーパッドが流行りだったらしいということ(笑)   本作登場の宇宙人が何しに来たのか全く不明ながらいえることはただひとつ、これこそ娯楽大作!!
[映画館(字幕なし「原語」)] 7点(2016-10-09 00:40:23)
7.  ホーリー・マウンテン
「エル・トポ」(1970) と併せて一気に鑑賞。  アレハンドロ・ホドロフスキーという人についての予習はゼロで挑んだ二作の連続鑑賞、崇拝者の皆様からとってみると不届き極まりない所業であろうとは思われど、そこには抗うすべもない。しかも本作を鑑賞した場所がかつてWaverly Theatreと呼ばれた本作の北米初公開を1973年に16週にわたって、それでいてその内容故に週末の深夜帯でしか上映できなかったというような状況の中開催していた、まさにその場所だったということを後から知り、ますます信者から背後を刺されそうな気分に襲われた次第。今後共「バチあたり」と呼ばれることは覚悟するし、これら作品を今観ている時点で映画人と自称することは今後とも控えようと新たに決意せざるを得なかった…。  鑑賞後に寺山修司監督作品「田園に死す」(1974) を自分の頭のなかで関連付けていたりしていたのだが、時系列的には寺山作品の方が後であってかつ寺山自身が「エル・トポ」を絶賛していたという記述を見つけるにあたり「やはり。」と勝手に満足していた次第。  4月のWeekende Midnight Seriesのスケジュールが発表され、実は1月からのラインナップを繰り返すことになっていたということを知り、ではまたスクリーンで観られるではないか!と歓喜していたのであるが、この二本は確実にここに入る。  前回との心持ちの違いは明白。今後この時間帯にこの場に入るときはWaverly Theatreとして扉を押して入っていくことになるであろうということ!
[映画館(字幕なし「原語」)] 7点(2016-03-29 02:10:47)
8.  パルプ・フィクション
長年実現することのなかったIFC Centerのメンバー入会がなんだかんだで実現することになったのは、Weekend Midnight Seriesのラインナップに本作が含まれていたことか大きな理由のひとつだった。そしてその待望の週末がやってきて…   結局二夜連続で観ちゃったよ…(苦笑)   本作のポスターを初めてみたのは英国滞在時の95年のことであったことを思い出す。当時はその状況とデザインの色合いから英国発の70年代の映画かな…と勝手に想像していたし、それゆえにその黒髪前髪パッツンの女性がUma Thurmanだということには後年しばらく経つまで気づかなかった次第。   そんなこんなでどっぷりの米語を堪能。(Tim Roth除く)ここ十年、自身の聴解力は落ちる一方なのでタランティーノペースには当然ついてゆけるはずもなく、そんなこんなで一夜目の鑑賞と二夜目の鑑賞の間にはまさかの「台本読み」を敢行、ネットで見つけた台本をスマホに移して鑑賞の直前まで読みあさった。あいにく完遂することはできなかったもののやっぱり落としてた肝心なところは多々見つかり、さらなる興味を持って二度目の鑑賞に臨めた次第。二度目以降の鑑賞にはこのパターン、アリかも。   誰かを叱るときにはSamuelの台詞をパクれるよう、がんばって英語上達しよっと!
[映画館(字幕なし「原語」)] 7点(2016-03-07 15:03:05)
9.  ハウス/HOUSE(1977)
Japan Society主催の「大林宣彦祭」、この開催がHalloweenにちょっと間に合わなかったことは悔やままれるものの、もしかするとそのおかげだったかもと思わせられたりもするまさかの初日Sold Out。   その理由はここ数年に起こった北米での「HOUSE = 大林 ≒ 現人神」騒ぎだったらしいということはつゆ知らず状態で劇場に到着するが、今回は数年前のATG祭での「野ゆき山ゆき海べゆき」(1986) 、意外や京都での「少年ケニヤ」(1984) 、昨年これまたJapan Societyでの「野のなななのか」(2014) といった鑑賞歴が引き金となっての全作前売り大人買いの快挙が功を奏して余裕の会場入りと相成った次第。(直近では「哀しみのベラドンナ」(1973) の上映日に油断して、Waiting List入りとなった記憶が真新しい。)   さらなる誤算は翌日のイベントでお目にかかれるはずであった大林宣彦監督が上演前にご本人登場!いやおうなしに会場の熱気は高まる。この御仁、世が世なら秀吉についた「人たらし」という称号を同じく贈ってもよいのではよいのではないかといえるほどの魅力にあふれた方。その発せられる言葉のひとことひとことが含蓄に富んでいて、情熱に染まっていて、かつ温もりにもあふれている。この街に住んで以来日本の偉大な映画監督に触れる機会は十分に与えられては来ていたが、それでも存命のかつ既に多大なる功績を残しているという監督に拝謁出来る機会というのはほぼなかった。それがこの週末また実現したのだという気がした。(自分にとっての最初のその人は羽仁進監督!)   作品はというと…   おそらく既鑑賞組がたくさんいたであろう会場ながら、これでもかとどっかんどっかん盛り上がっていた。分類としては限りなく「B級ホラー」なのであろうが、その作品が産まれた頃の世相と、監督が本作を産み出すに至った過程をその本人の口から聞きいてしまったが故に、単なる「B級」ではなく「Bazooka級ホラー映画」と題するにいたってしまう。だって当時11歳の原案作成者である実の娘さんにも同夜お目にかかれることができたのですから。   個人的には映画発表の2年も前にサントラを録りきっていたゴダイゴの面々が大林監督とともにカメオ出演する下りがツボ。大場久美子については自分の記憶より若すぎて最後まで確信持てず、一方で尾崎紀世彦の端役ブリは秀逸であった。   お!そして最大のツボは「歌:成田賢」かも(笑)    これについては反応できた自分が誇らしかった!
[映画館(邦画)] 6点(2015-11-29 00:36:16)
10.  花嫁の寝言
本作から二年後に公開される「花婿の寝言」と二本セットで東京から海を渡ってきた生のフィルムを通して鑑賞する機会を得たのだからスゴイこと。MoMAさまさまである。   今までの印象では田中絹代を撮ってきた監督といえば小津・溝口であったわけであるが、本作を通してそれに先立つ形で五所平之助が燦然と存在していたことをようやく知ることになった。初トーキー「マダムと女房」(1931) からは2年が過ぎ、音だけが強調されたストーリーからむしろ小津初期サイレント作品でみられた立身出世モノに回帰しているようなフシもある。   斎藤達雄、江川宇礼雄、大山健二、飯田蝶子、坂本武といったキャスト陣は小津作品でもおなじみなだけにすでに安心感たっぷりであるが、その中に水久保澄子をみかけたときには彼女のその後の境遇を知ってしまったばかりに若干切ない思いも。
[映画館(邦画)] 6点(2015-11-14 18:08:17)
11.  愛のコリーダ
初見。とはいえもう夏のこと。  日本では創り手の意図の通りには世間に産み出されることは許されず、海外ではその愚行がなかったが故に評価が高かったという皮肉な結果を得た作品として有名。今回自分がこうしてオリジナル版を劇場にて鑑賞できる機会が得られたのもFilm ForumでのTrue Crimeと題した作品群に本作が選出されていたからという実情があり、日本ではとかく性描写のところばかりが着目されて話題にされているのに比べこちらでは「犯罪と情愛の狭間」の作品として扱われているというのが的確な事実。そして自身にとっても今の精神年齢で素のままの本作品を鑑賞できたというのは幸運な出来事だった。  当然40年という時間を経て社会が変質したというのは洋の東西を問わないことであり、今の日本ならどう扱われるかはまた別の話。面白いことに本作のWikipedia記述は英語ページの方が中身が濃く、各国での当時の受け取られ方を克明に記してくれている。過剰反応したのは日本だけではないようだ。  ちなみに松田英子が天井桟敷出身だったという事実が個人的なツボ。
[映画館(邦画)] 6点(2015-11-14 11:43:40)
12.  秀子の車掌さん
ネット動画での映画鑑賞はあまり好まない派ながらもつい先日高峰秀子による「わたしの渡世日記」を読了したばかりであるが故にこのタイトルが目に入った直後に押してしまっていた。あとでDVD化はまだされていないということを知って、こうした「要ビデオデッキ」作品群はどんなクオリティであれありがたく観るべきだと変節もしてみたり。  邦画トーキー初期作品を数本まとめて鑑賞させてもらえる機会に恵まれた際に島津保次郎、五所平之助、衣笠貞之助といった名に触れることができ、この時代「庶民劇」というジャンルが存在していたということを知ったのは割と最近のこと。本作はまさにその流れの末期にあたる作品なのかもと考えたりもしながら鑑賞していた。公開が真珠湾攻撃の直前という時期でもあり、その世相はほのぼのとした話の筋の中にもどことはなしににじみ出てしまっている。検閲という語彙やその世知辛い皮肉な話の運びといい。ああ、そういや「藤原鶏太」という聴きなれない配役の名に遭遇したのもこれに関連があった…。  とはいえ成瀬+高峰ペアの栄えある第一本目という観点も重要。鑑賞後には前述の著書から今一度彼女が書く「成瀬評」の部分を探しだして読み返してみたりもした。その文章は愛憎相まみえるといった感じのもので、そのすべてが本作から始まったんだと思うと感慨深い。いや、正確にはこれよりも前の彼女の子役時代も経ているとのことで、ある日彼女がその頃の印象を監督本人に尋ねたところ「こましゃくれて、イヤな子だった、ウフフ」と返され、その後枯れのことを「イジワルジイサン」と呼ぶことにしたという下りがまさにその様子をうまく現している。このペア作品を時系列に上演してくれる映画祭なんかが開催されたら行っちゃうね、間違いなく。  個人的なツボは彼女自身から約20年後の出演作タイトルが口にされた時。木下惠介監督と組むのは本作からまだ10年先、戦後のこと。
[インターネット(字幕)] 5点(2015-11-14 10:08:57)
13.  おとうと(1960)
Japan SocietyにてのKON ICHIKAWA RESTORATIONS、3本中2本目。  幸田文の作品は読んだことがない。しかしながら映画化されたものとして成瀬巳喜男監督作品「流れる」(1956) が燦然と記憶の星の中に輝いている。あいにく鑑賞中にはどの作品だったかまではもつれた記憶の糸をほぐしきれなかったのであるが、本作の扱うテーマなどと比較するとなるほどの類似性で、人の内面をえぐるようなセリフ回しの数々が次々と溢れ出てくる。うーん、これまた原作か…。  田中絹代の憎まれ役というのは本来珍しい訳なのだが、自分にとってはもうそうでもなくなってきてしまっていることを改めて認識した。元となる既鑑賞作品は「春琴抄 お琴と佐助」(1935) だったり、「女優須磨子の恋」(1947) だったり、「夜の女たち」(1948) であったりするだろうか、どれも本作の頃よりは随分と若いころではあるけれど。  森雅之の老け役はまだ見慣れない。どうも本作が自分の既鑑賞群の中では再後年の作品らしく、自分の印象の大半を占める「雨月物語」(1953) 、「白痴 」(1951) 、「浮雲」(1955) 、「楊貴妃 」(1955) といった年代からは5〜10年の歳月が過ぎていることになる。ただだいぶん焦らしてからの第一声は十分聴き応えがあり「やっぱり森雅之だ。」と安心できた次第。  若かりし頃の岸恵子と初めて遭遇したのは小津作品「早春」(1956) であったが、今年に入って鑑賞した小林正樹監督作品「からみ合い」が1962年の作品で本作はその間に落ちる。実年齢と比べると本作撮影時は20代の後半で女学生役に挑戦してたこととなり若干無理があったかもしれないが、和装の似合い度も手伝って大正期の女学生の雰囲気は十分に出てたかと。ちなみにその先の印象といえば「男はつらいよ 私の寅さん」(1973) 、「細雪」(1983) とぽんぽーんと飛ぶこともあり、やっぱりこの60年前後が彼女の魅力が満開だったのかなと感じはするものの、結論は当たり役「君の名は」(1953) を観てから述べることとしましょうか。
[映画館(邦画)] 5点(2015-10-20 12:26:20)
14.  炎上
Japan SocietyでのKON ICHIKAWA RESTORATIONSと題した2日に渡って3本を上映するミニシリーズにて。  映画に関しては予習をしないポリシーを今回も貫徹するも、上映前のイントロで「三島由紀夫の作品『金閣寺』を原作とする作品であること」、「法曹界の了承を得れなかったのか本作内では『驟閣』といったような実在名を避けて表現されていること」、「三島本人も市川崑の作品を愛好していることを表明していたこと」等々の軽い解説を受けての鑑賞スタート。  開演と同時に感じたのはまだまだ数を観た感じのしない大映ロゴ。そんな大映作品として真っ先に思い浮かんだのは小津安二郎が大映で撮ったリメイク版「浮草」(1959) であったが、製作年をあとで見比べてみて中村鴈治郎がその頃の印象のままでそこに立っていたのに納得がいった。その他のキャストについては…市川雷蔵体験は実はこれが初かも。これからが楽しみ。抜群の安心感の仲代達矢、新珠三千代、北林谷栄に加え玉緒さんがいい感じで登場。ほくほくである。  振り返ってみるとまだまだ市川崑作品は初心者レベル、Film Forumのおかげで数年前に鑑賞できた「細雪」(1983) が唯一の既鑑賞作品であったことを改めて認識する。本作の脚本を監督が妻でもある和田夏十と書くに当たり、あまりにも原作の完成度が高いので作者本人に執筆時のノートを開示してもらうよう依頼して初めて成り立ったという下りを読んでやはり原作にも手を伸ばさざるをえないような感じがした。作風としての類似性としてはATGの「無常」(1970) を思い浮かべたりもした。  あと鑑賞後に元となった史実について読み漁っていて、新聞記者時代に本事件の記事を担当していたシバさんのことがぼんやりと思い起こされてくるのも自分にとっては面白かった次第。
[映画館(邦画)] 7点(2015-10-19 13:33:53)
15.  春琴抄 お琴と佐助
日本のトーキー初期作品を一挙公開するMoMAでのシリーズ、Japan Speaks Out! Early Japanese Talkiesを通してのありがたき鑑賞経験。 お陰さんで今回のシリーズを通して島津作品には三本も一度に観せてもらえたわけで、OzuではないYasujiroがもう一人いた事を正しく認識することができた。  予備情報なしで鑑賞…というか「予備常識なしで鑑賞」と言い換えたほうがしっくりくる。鑑賞後に谷崎潤一郎原作ということを知った次第。自分にとっての谷崎潤一郎というと、これまた映画を通しての結びつきで、市川崑監督版「細雪」(1983) を観るに当たって事前にあの分厚い作品に挑戦してみたという過去がある。本作に関する記述をみていて島津保次郎監督が自信を込めて世に送り出した作品を原作との比較という形を通して批判された時、激しく抵抗したというくだりがあった。そうなるとやはり本作の原作にも手を伸ばしてみるべきか。   ちなみに本作にてええかんじで「近江のひと」を演じる高田浩吉に俄然興味がわいたのも自分の中で起こったこと。wikipediaの「『歌う映画スター』第1号といわれる」の触れ込みもその一端。
[映画館(邦画)] 7点(2015-10-19 03:46:41)
16.  マダムと女房
日本のトーキー初期作品を一挙公開するMoMAでのシリーズ、Japan Speaks Out! Early Japanese Talkiesを通してのありがたき鑑賞経験。   日本トーキー映画史第一作ということもあって当然映画撮影技術史的には重要な作品であることは認めるけれど、後の時代の産物である自分の目を通しては稚拙な映画として目に映ってしまう。「音が出るんだよ!」というところに重点が置かれすぎていて、その部分に驚きがない自分にとってはその余計な部分が目にあまり…。とはいえキャストの豪華さは申し分なし。田中絹代に坂本武、そして日守新一の予想外のちょい役に笑みがこぼれる。渡辺篤という役者さんはノーマークであったがその出演履歴はそうそうたるもの。これから地道に追っかけてゆきたい次第。
[映画館(邦画)] 5点(2015-09-14 05:07:51)
17.  藤原義江のふるさと
もう数ヶ月前のことにはなるのだけれど、Japan Speaks Out! Early Japanese Talkiesと題したMoMAのシリーズを通して鑑賞。東京国立フィルムセンターからこの街まで運び込んで下さったその気持ちに敬意を抱く。  「藤原義江」という名前は知っていたが、ただ「知ってる」のレベルでそれ以上それ以下でもなかった。出会ったのは妹尾河童著「少年H」一幕においてで、「赤盤」ということばとともに登場する。その人の声をいきなりこうした初期のトーキーを通して姿形とともに聴けるようになる機会がこんなにも早く訪れることになろうとは当然予想していなかった。しかも、溝口健二監督作品。昨年の溝口映画祭で見逃したタイトルでもあった。感激至極である。長生きしてみるもんだ(笑) 
[映画館(邦画)] 6点(2015-09-12 22:17:28)
18.  カルメン故郷に帰る
デ・ニーロ主演、Taxi Driverに競り勝って権利獲得(笑)  本作をスクリーンで鑑賞することが出来るのは2度めの経験、おそらく前回は生誕100周年を祝してのLincoln Centerでの催しを通して。ただFilm Forumで鑑賞した記憶も交錯しているので初鑑賞はやはりそっちだったのかも。今日に限ってはMoMAで同時間帯にTaxi Driverを上映しており直前までどちらを鑑賞するか迷った挙句、高峰&木下ペアに軍配。それを祝するかのようにJapan Societyのメンバー向け新料金体系と巡りあい、二枚渡した$5札が一枚戻ってきた。いまどき見上げた心がけ。えらいぞ、Japan Society。  前回鑑賞してから今日まで間に観た邦画の本数がものを言い出した、クレジットされていない役者にまで目が行くのだ。今回は望月優子(本映画でのクレジットでは望月美恵子)と井川邦子をゆっくり拝見させてもらおうと思っていたのであるが、エキストラに紛れ込んでいた谷よしのを発見し内心狂気乱舞(笑) 彼女の存在は「男はつらいよ」シリーズを通して馴染み深くなったわけであるがwikipediaにも「島津のもとで助監督を務めていた木下恵介から声がかかり、通行人の役で出演した。以降、『カルメン故郷に帰る』など、木下作品にほぼ毎回出演した。」とあった。この部分は読んでいたかもしれないがすっかり忘れていたわけで、目だけで見つけられたのは誰にも伝えられない自分だけの喜び。他の木下作品、要もう一周だなこりゃ。  二度目の鑑賞ということでいろんな重箱のスミに目が届く。踊りはやはり小林トシ子の方が数段ウワテであったとか、笠智衆の歌声はそれなりに聴き応えがあるだとか、三井弘次がまだ元気に飛び回ってるのが微笑ましかったりとか、日本初のカラーで木下が魅せたかった女優は高峰秀子の次は井川邦子であったに違いないという勝手な確信とかとか。  字幕がよいのか単に滑稽なのか、場内の米人達はゲラゲラと楽しんでいた様子。きっと彼らとは「恥」の感覚にはズレがあるのであろうけど、NYCに住む人達だからこそ自身が生まれ故郷に帰った時のことなどを想像して共感できるところもあったりするのかなと想像してみたりもした。
[映画館(邦画)] 6点(2015-09-05 11:36:03)
19.  ホフマン物語
Another pick from the lengthy list of on going MoMA series, Scorsese Screens.  There shouldn't be not many people who had chances to watch this 1951 classic masterpiece title in two different theaters with in a single 21st century year. The beauty of this city is that it allows me to do that. I feel honored to be the one who can rejoice such a moment.   My favorite scene is still the Olympia story, a.k.a. The Doll Song. Although it is obvious that song part is dubbed by an separate opera singer, I tried to get rid of that idea because the ballet part had equally high quality. I could officially put this "I didn't know well yet" ballet dancer above Natalie Dessay's performance through her another superb performance in The Red Shoes (1948). Of course, I am talking about dance part of this sequence. My "song part" favorite still remains as Rachele Gilmore's live performance back in 2009, though.   This is another great selection to experience the happiness of enjoying beautifully restored version of classical masterpieces.
[映画館(字幕なし「原語」)] 7点(2015-08-31 02:44:31)
20.  ミーン・ストリート
As an opening act of the on-going MoMA series, Scorsese Screens.  This has been added to the oldest title of Robert De Niro film. Scorsese-De Niro pair moves on to another project three year later Taxi Driver (1976). In between these two, The Godfather Part II (1974) sits there. These are definitely De Niro's first golden era. I learned that his acting skill was consistent from the very beginning period of his carrier. It might be interesting to watch his many of great works in chronological order.  It was introduced as as that story line is based on Scorsese's daily life back then. This is a typical moment that I feel that I still need to know more about not-so-long-time-ago history of boroughs around here.   Is there a soundtrack of this movie? If there is, I love to listen to it.
[映画館(字幕なし「原語」)] 5点(2015-08-31 01:43:26)
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