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フィンセントさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 202
性別 女性
自己紹介 閲覧&良票を入れて頂いた皆様ありがとうございます(*^-^*)
良票を頂けると励みになります!作品に対する意外なヨミと、読んでいて楽しいレビューを心がけています。楽しんでいただければ幸いです☆

ジャンルを問わず鑑賞していますが、ホラーを観るときは手で目を覆って指の隙間から観ますw

★好きな俳優★
M.ファスベンダー、E.マクレガー、J.ロウ、D.クレイグ、O.ブルーム、ジョナサン・リース=マイヤーズ・・・・・はい、そうです。イギリス俳優好きですw
さらには、ドナルド・サザーランド、S.ブシェミ、M.フリーマン、フランコ・ネロ、B.ウィリス、H.ジャックマン、C.イーストウッド、女性では、ユマ・サーマン、M.ジョヴォビッチ、C.セロン、A.セイフライド・・・などが好きです。

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1.  シンドラーのリスト 《ネタバレ》 
もう何度見たか分からない。  そして定期的に見てしまうこの映画。  ホロコーストを描き、2時間以上という長い作品でながら、この映画はなぜ私にそうさせるのか?  理由は大きく4つだ。   1)娯楽性が高い   ホロコースト映画でありながら、女好きなシンドラーの女がらみの笑えるシーンがある。  秘書選別のシーン、両親を雇ってほしいと頼んでくる女をダサい恰好だと追い返すのにめかし込んでくると部屋に入れるシーン…  それに、どんな相手でも巧みな交渉術で、自分の思い通りにしていく場面も、娯楽性が高いと感じる。  (特に、アホなアーモンに「王様は許すものだよ、アーモン大王」って言って人殺しをさせないようにしたり アーモンのメイドを買い取るといってトランプ勝負を求めるシーンなど アーモンとのいくつもの駆け引き場面も娯楽性が高い。)  『ライフイズビューティフル』もそうだが、ホロコーストを描いても、主人公が魅力的で 娯楽性のある場面を挟むことで、最後まで魅了する映画になるのだ。   2)シンドラーの心の変遷  最初から善人ではなく、だんだん善人になっていく、主人公の心の成長に引き込まれる。  主人公の心の変化のきっかけを感じさせるシーンがサルでもわかるほど、シンプルで分かりやすいのも良い。     3)テンポがいい  シンドラーが交渉をして、ユダヤ人のために動いている場面は、 交渉してる場面のあと、カチッと、シンドラーの思い通りになっている場面にきりかわる。  これがとても小気味よく、軍人さん、ひっかかっとる…アホやなぁ…と愉快痛快でもあるし テンポよく話が進むので、だれることがない。  まだ素直にユダヤ人を助ける気持ちが整ってなかった頃に 両親を雇ってほしいと頼んできたユダヤ人女性をいったん怒鳴りつけて追い出して アイザックシュターンにも愚痴と文句を言ったのに、その後で  「その両親を雇っておいて」って、ムスッとしながらもシュターンに言う…その流れのテンポもよい。   4)悪役がイケメン  悪役っていうと、いかにもワルそうな顔の俳優がやることが多いが この映画ではレイフ・ファインズという美形イギリス人俳優がやっているので、顔のドアップとか出てくると キャ~~~ってなる笑  私がアーモンのメイドなら、喜んでほいほいお世話しちゃう笑  (アホなレビューでスミマセン)
[インターネット(字幕)] 10点(2021-04-12 09:53:03)
2.  ジャッカル 《ネタバレ》 
髪が薄いブルース・ウィリスが、カツラ効果で頭髪モサモサになってる姿を見るだけでも価値のある今作。   ジャック・ブラックが武器メイカー役で、設計ミスにより武器の試し打ちの標的にされて死ぬという、コメディ畑の彼が斬新な扱いを受けるシーンも印象的。   オリジナル版は未見ですが、たぶんそちらを見て感動しても、それでもこちらのリメイク版は愛さずにはいられないと思う。  (髪モサモサのブルースと爆死のジャックのせい)
[インターネット(字幕)] 10点(2020-09-13 18:38:39)
3.  デッドマン(1995) 《ネタバレ》 
保安官の死体の頭部を腐ったスイカみたいにブシャッって潰したり、仲間の暗殺者を殺してむしゃむしゃ食べるとか、ジャームッシュはドSなのか、そういうのもアートだと言いたいのか、なんなのか…知りたいとも思わないほど悪趣味。  そもそもサイコパスが主役の残虐系の映画ならともかく、なんかスピリチュアルな奥深い作品に見せたい感もあって、はっきりしやがれとイライラする。   さらにネイティブアメリカンの集落が出てくるラストシーンがまたひどい出来。  トーテムポールが、ぜんぜん古びてなくてペンキ塗りたてみたいに綺麗な木肌とマチエール…  美術さんが作って、あの草むらにさっき立てたばっかですって感じ。  あと、あの自動開閉式?見たいなドアのついた建物も、ペンキ塗りたてみたいに綺麗で、ここでずっと生活してたって感じがしない。  詩人のほうのウィリアム・ブレイクと勘違いされてるって分かってるのに「同姓同名で他人だよ」って言わないで、「詩なんて…」とかボソッって言って、最後の最後まで偽ブレイクとして貫くジョニデの態度も不自然だし、そもそもわざわざアメリカまでやってきて、何がしたかったのあんたって感じだし、さっぱり意味不明。  花売り娘となんとなく寝てたら元彼に撃たれそうになったので、自己防衛で撃ったら、賞金首になっちゃって…って、でもそこからなんで、ネイティブアメリカンとあそこまで親しくなってそっちの文化にソッコーで馴染んでいっちゃうの?   ノーバディがウィリアムブレイクファンだって設定だけど、実際の詩人のほうのブレイクじゃないブレイクが、どうして勝手に勘違いして大ファンだからといってせっせと己を世話してくれる男にずっと仲良くしてるの?    見終わったあとは、胸糞の悪い殺人シーンの数々と、安っぽいネイティブアメリカンの集落のトーテムポールと、ずっとポケ~っと口を半開きにして周囲に流されっぱなしのジョニデの特に演技力不要な表情だけが脳内に残った。  さっさと消去したい。
[インターネット(字幕)] 0点(2020-09-13 14:20:30)
4.  バートン・フィンク 《ネタバレ》 
壁紙がペロ~ンとめくれた時、生皮を剥がしたような、血まみれの筋肉みたいな感じが気持ち悪い。  スティーブ・ブシェミの出番がホテルの受付中だけなのが寂しい。  だいたいそんな感じの映画。
[DVD(字幕)] 1点(2020-08-24 22:00:26)
5.  ターミネーター2 《ネタバレ》 
「ターミネーター2」は、シリーズものとしてではなく、1本完結の作品として楽しめる。  その場合私は、T-800とジョンの、心の交流物語として、この映画をとらえたい。  「なんで涙を流すんだ?」と、人間の涙に興味を持ち、ジョンに「もっと人間くさい返事しなよ!”チ○ポ野郎”って言ってみ!」って指導を受けて「チ○ポ野郎」って返事するT-800。  無表情で容赦なくターゲットを破壊する血も涙もないターミネーターのようでいて、従順で素直でジョンを通して人間というものに心を寄せていくT-800。  そのキャラクター設定にギャップ萌えするのは私だけだろうか?     そもそも「A.I.」「アンドリューNDR114」「ブレードランナー」もそうだったが、人間になりたい(なってみたい)ロボっていうのは、昔からテッパンのキャラ設定である。  キャメロンは、1をしのぐ続編を作るにあたって、あえて人間世界に生きるロボの設定について、基本に立ち返り原点回帰したともいえよう。  それによく思い出してほしい。  キャメロンは「エイリアン2」で、リプリーが小さい子供を守るために蒸気と炎がたちのぼる足場の悪い場所で敵と戦う印象的な場面を描き出した。  その「エイリアン2」は「エイリアン」の続編として(たいがい2は1より劣りやすいものだが)見事に興行成績は1を上回り、2009年、イギリスの雑誌『エンパイア』が発表した「史上最高の続編映画」でも1位に輝いた。  ”人間との接触を通して学習し、人間ぽさを増したエイリアン”  ”小さい子供を守るリプリー”  ”立ち上る蒸気と灼熱の中、赤と青いライトで照らし出され繰り広げられる最後の死闘場面”  実は、この設定がそのまま  ”ジョンとの触れ合いで学習し、人間ぽさを増したT-800”  ”ジョンを守るT-800”  ”立ち上る蒸気と灼熱の中、赤と青いライトで照らし出され繰り広げられる最後の死闘場面”  …のように、「ターミネーター2」に盛り込まれてると言えるのではないか?  そして案の定、1をしのぐ大ヒットとなった。  ヒットの理由は、アクションだの、トロトロ液体ターミネーターだの、いろいろあるかもしれない。  でも実は、人の心に染みやすいテッパン設定と、キャメロンが「エイリアン2」で使った<安定の設定>をそのまま「ターミネーター2」に移植した結果だともいえよう。  「1」みたいにもっと無慈悲なT-800を期待する声もあると思うが、キャメロンの「1と同じ路線で行かない」という勇気を称えたい。  だからこそ、T-800が溶鉱炉に消える直前の、親指を突き立てる名場面が生まれたのだから。
[ブルーレイ(字幕)] 9点(2019-11-16 11:14:56)(良:1票)
6.  イングリッシュ・ペイシェント 《ネタバレ》 
この映画がアカデミー賞に値するかという意見については「当然」と主張したい。  なぜならほら、よく思い出してほしい。  戦争という背景、そして夫のいるヒロイン・・・夫とは燃えるような愛情ではなく情の延長線上にあるような関係、ヒロインに恋するアウトサイダーな香りのする男・・・  そう、あのハリウッドの不倫映画の名作「カサブランカ」臭がするのだから。  カサブランカの舞台は北アフリカのモロッコ。 そしてそのモロッコは、マレーネ・ディートリッヒ主演の不倫要素も含んでいたハリウッドのレジェンド的作品「モロッコ」の舞台でもある。  今やアカデミー会員の中身も、多様性を主張する声に押されて女性や有色人種の割合も増え、新しい価値観の風が吹き荒れている。  しかしちょっと前までは、大多数派である高齢の白人の男たちが牛耳る、高齢の白人の男たちのお祭りであった。  となれば、今から20年以上も前のこの「イングリッシュペイシェント」という往年の名作の香りを漂わせる不倫映画が、不倫のひとつやふたつはしてそうな昔のアカデミー会員のオジサマ&オジイサマ達に  「なんて懐かしい世界観!ワンダホー!」  …と思わせ、彼らの心にロックオンしても何の不思議もない。  アカデミーでこのような古典的な香りのする不倫映画がオスカーを受賞できたのは、まさに当時の”時代がそうさせた”ともいえよう。  そして「不倫なんてけがらわしい!作品にするなんてありえない!」と頭ごなしに否定しそうな、厄介すぎるフェミニストの人数が増えた現代のアカデミーにおいては、もう二度とオスカーを受賞することはないであろう(ゆえに、作ろうとする監督やプロデューサーもいないであろう)、貴重な類(不倫)の作品でもある。   劇中でアルマシー伯爵は、ひとりの女性を愛したことで、結果的には仲間をピストル自殺においこみ、あるいは飛行機での無理心中においこみ、さらに無関係だった人間でさえ敵軍にとらえられ指をはねられる運命へと引きずり込んでしまう。  「彼女以外の事はどうでもよかった」と、関係者だろうと無関係者だろうと彼らが死のうが体の一部を失おうが、彼女のもとに行くための飛行機とガソリンを手に入れるためだけに敵国に味方の地図を渡すアルマシー伯爵。  そこまでしても彼女を死なせてしまい、一番の目的であった彼女を手に入れることはできなかったアルマシー伯爵。  彼女に指輪を贈りたくても、彼女の左薬指にはすでに別の男の指輪。 でもシンブルなら贈っても夫の目に不自然ではない。 バザールでボッたくられながら買って彼女にプレゼントした、それはとても何気ないものだったけれど、彼女にとっては指輪以上の意味を持っていたのだろう。  アルマシー伯爵が瀕死の彼女の胸にペンダントにして身に付けられたシンブルを見つけて、初めて堰をきったように泣き崩れた場面では胸がどうしてもしめつけられた。  洞窟で死んでしまった彼女の、彼が好きだったという首の付け根(アルマシー海峡)に、そのシンブルの中にあるサフランの粉をこぼし、それで彼女の顔に化粧をほどこして、彼女を白い布で覆いお姫様だっこで洞窟から現れた彼は、まるで教会の中から花嫁を抱いて出てきた花婿のように錯覚した。  しかし彼女は死んでいて、彼女を飛行機に乗せて死に場所を求めてふたり旅立つ光景は、未来のない新婚旅行に見えてやるせなくなった。  どんなに愛しても、結婚して祝福されることのない関係・・・。  不倫は、愛情の深度と現実に起きる出来事とのギャップが 通常恋愛よりも大きいからこそ、見るものに、人間のやるせなさや、もどかしさ、やりきれなさ、どうにもならい閉塞感と悲壮な感情をこれでもかというほどに、かきたてる。  そういう意味で、けして映画のテーマとして否定してはならない、外せないカテゴリーであることは間違いないと思う。  (エロシーンばかり売りにした安っぽい不倫映画はダメだけど)  アルマシー伯爵の不倫からの安楽死という悲しい結末(闇)の後に、”私と関わった人は必ず死ぬ”というジンクスを破ったインド人彼氏との未来に希望を抱くジュリエット・ビノシュや、 積年の恨みを手離し恋人との未来に心弾ませるウィレム・デフォーというサイドエピソード(光)を描くことで、  「闇のあとには光が現れる」「闇夜の後には必ず夜明けが訪れる」  というイメージが、往年の名作のオマージュに感じられるこの北アフリカの自然と溶け合い、これだけアルマシー伯爵を起点に大勢のひとたちが悲しい運命をたどったというのに、最後はなぜかすがすがしい気持ちにさせる・・・  不倫のように複雑な味わいのある映画であった。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2019-02-07 11:10:33)(良:1票)
7.  日の名残り 《ネタバレ》 
ニュアンス。そう、ただひたすら、ニュアンス。英国のお屋敷の、執事やメイドたちがあくせく働く姿、お金持ちたちの晩餐風景、だだっぴろい生垣迷路のお庭でのあれやこれや・・・。  ストーリーは  ”仕事人間だけどプライベートはぶきっちょな執事と、感情的で我が強いメイド長が、惹かれあってるかんじだけど、コクれなくって、お互いに何も起きずに終わるお話”  にすぎないが、その不完全燃焼なストーリーを2時間近くかけて消化させるために、上記の<ニュアンス>場面が延々と続く。  ご主人がナチ寄りだとか、お屋敷にアメリカ人が住むことになったとか、ヒューグラントがパパラッチだとか(ちょい違う)いろんなエピソードを盛り込んだところで、「いやいやそういうことじゃなくって、二人の恋愛にもっとグリップしろや!」と机をドンドンっとたたきたくなるわけである。  二人が惹かれあう理由がそもそも、そういう<英国ニュアンス>場面に尺をとってるせいで、描ききれていないところも問題だ。   執事が、感情を殺して仕事に専念し、見事な采配ぶりを見せるという姿はアッパレではある。 サイボーグアイドルのようにスキャンダルはいっさい起こさず見事にアイドルを貫いたAKB48まゆゆが引退後に 「いろいろなことが起きるからいちいち感情を動かしていたら身がもたなくなる。10代の頃に感情は捨てた」と言っていたが、つまり仕事を完璧にこなす人間は私情だの感情だのにふりまわされないこそ、そうあれるのだろう。  だからといっても、執事とメイド長が惹かれあう理由を描ききれておらず、説得力にかけることの言い訳にはなるまいぞ。  二人が再会し、そして永遠に別れるバス乗り場での場面も、エマが顔をシワッシワにさせて泣きじゃくってはいるものの「ん~なんでそこまで泣ける?そこまで好きになれる?」って、心がゆれることはなかったですよ。  それで悶々としたあとに切り替わった最後の場面では、お屋敷の暖炉にハトが飛びこんできちゃったので、執事とアメリカ人が一生懸命外に出そうとして、ワタワタする様子が描かれている。そしてハトは無事、屋外へ。めでたしめでたし・・・the end。  ・・・って、ぜんぜんめでたくないわっ!  何が言いたいのかサッパリ。屋敷に入ってきたハトみたいに、キョトンとした顔をするしかないではないか。
[CS・衛星(字幕)] 4点(2018-07-14 20:33:45)
8.  ゆりかごを揺らす手 《ネタバレ》 
ソロモンの冒頭からの登場によって、彼が最後に救うであろうことが読めてしまうことは、まったく問題ではない。  クレアが行きずりのペイトンをすんなり乳母にさせてしまうことも、まったく問題ではない。  なぜなら「ゆりかごを揺らす手」は、ペイトンによる”お手紙ビリビリ工作”、”マリーンのライターで浮気工作”、”お誕生日サプライズの場で赤っ恥工作”、”ソロモンの工具いれにオパンチュ工作”、”吸入器の中身ヌキヌキ工作”といった、陰湿さの湿度が非常に高い楽しいシークエンスをひたすらただ楽しむことに尽きる作品だからだ。  特にクレアの性格設定はきちんとできている。  「乳母って信用できないわ」といいつつ、3歩歩いたらモノを忘れるニワトリのように、道で出会った女性を乳母として家に入れてしまうヌケ感がきちんと描かれているからだ。 命にかかわるくらい大事な吸引器も、家のあちゃこちゃの引き出しに、乱雑な中身の間にテキトーに放り込んであるだけのヌケ感がきちんと描かれているからだ。(容量の残りの確認もこれでは把握しずらいだろうに)  子供をペイトンにまかせっきりで、自分は庭のお手入れや植物園でのボランティアに精を出し、3人でいるときさえ赤ん坊にかまわないのも、彼女が親として、子供を敵(ペイトン)から守ることがまともにできない、頼りない女であることを、しっかりと描きこんでいる。  だからこそ、産婦人科医はセクハラの相手としてクレアをターゲットにしたというプロットにも説得力が生まれる。 電車内でチカンでも、”しっかりしていない”、”甘い”・・・といったオーラが出ている女性ほど、チカンの対象にされやすいが、まさにクレアがそのタイプだろう。  ペイトンの工作にも、まんまと次々とひっかかっていく単細胞っぷりをひたすら楽しむ。それが鑑賞者のたしなみだと言っても過言ではない。  最後にペイトンが、それまでの地味な陰湿工作に反して、力技でカタをつけようとする姿勢についても、違和感はない。  手紙ビリビリ工作を植物園のトイレで行った際、ビリビリしながら次第にブチギレで、トイレのバッコンで壁やドアをメッタメタにし、バッコンのさきっちょが吹っ飛ぶほどたたきまくっていた様子から見て、ペイトンは  <ホントは力技でクレアをこの世から抹殺したかったが、グっとこらえて、工作活動に専念していた>  ということがありあまるほど分かる。本来は力技でいきたかったペイトン。 ペイトンが、温室の屋根を開けてクレアを抹殺しようとしたり、最後にクレアを屋根裏で叩き殺そうとするといった、力技を行使するときは  <窮地に立たされて、ワレを忘れた時>  であることもポイントだ。すなわち温室作戦のときは、家族が自分だけ置き去りにして旅行に出て自分の処遇を勝手に話し合われてしまうと知ったとき、屋根裏作戦のときは、クレアが自分がモット夫人であることを知ってしまい追い出されてニッチもサッチもいかなくなったときである。  力技で来た敵には力技しかないわけで、クレアがペイトンを窓から吹っ飛ばしたプロットについても、特に意義はない。   最後にひとつ。  ソロモンが、柵を立てててくれるように頼まれたときに一家にたずねたセリフ  「それは、家の人が外に出ないようにですか?それとも外の人が家に入らないようにですか?」  は、実に絶妙である。  実際ペイトンにトドメを刺したその柵は  ★家の人が外に出ないようにする→ ペイトンに家庭を乗っ取られて、クレアが家を出るハメにならないようにする ★外の人が家に入らないようにする→ペイトンが家庭を乗っ取って、自分の家にしてしまわないようにする  という意味で、非常に有効な働きをしたからだ。  ソロモンの質問に対して、笑いながらクレアが「どっちもよ」と答えたが、ソロモンに功労賞を送るなら、ギア付きの自転車どころか、ブリジストンの20万くらいする電動機付き自転車をあげないといけないくらいだね。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2018-04-14 09:53:24)
9.  ブレア・ウィッチ・プロジェクト 《ネタバレ》 
「REC」「パラノーマルアクティビティ」「グレイブエンカウンターズ」「ディアトロフインシデント」など、POV、ファウンドフッテージと呼ばれる作品を散々見みまくったあと、満を期して、いよいよ元祖作品を鑑賞!!    ・・・・・・・   つまらん。  「ジョーシュ!」「マーイク!」「何の音!?」「これは何!?」「キャーーー!!!」  5種類のセリフをループさせるだけで成立する内容だろこれ。
[CS・衛星(字幕)] 1点(2018-02-07 12:21:04)
10.  ダイヤルM 《ネタバレ》 
主要人物3人が、結局全員悪いやつらっていう作品。ある意味とても新鮮でした。  妻を束縛して浮気されたからといって妻の不倫相手に妻殺しを依頼するスティーブンも悪人だし  夫が束縛するからといってほとんど罪悪感なしの様子で不倫三昧な金持ちのお調子者エイミーも悪人だし  エイミーの事は好きだし最終的には録音テープ送付して誤解は解いたけど結局カネが一番っていう恋愛詐欺常習犯のデイヴィッドも悪人だし。  こういう悪人たちが、お互いを疑いあって、三つ巴の戦いを繰り広げて、結局誰が勝っても素直に喜べない構図だけど、とりあえず最後に勝ったラッキーな悪人はエイミーでしたなんていう、5億円の宝くじを当てちゃったのが親のすねをかじって生活しているニートでしたという状況にも似た理不尽かつ不条理なオチも 、誰もが納得できるような後味のいいオチを当たり前のように期待して見た自分にとっては、新しいスタイルとして新鮮でした。  活躍しそうで結局活躍しなかった刑事も、結局、アクの強いワルモノ3人衆が「問題は3人の間でケリつけるからお前はひっこんどれ」と言う事で、おずおずと本編から退場しちゃうスタイルも新鮮でした。  おそらくオリジナルがあまりに偉大なので、まっこう勝負でリメイクしても勝てっこないから、3人のワルモノどもの不条理な死闘を描くという方向に転換したのかもしれません。 MダグラスにGパルトロウ、そしてヴィゴという組み合わせはとてもスタイリッシュで、特にボロ服まとってもセクシーなヴィゴにはフェロモン大賞を授与したいと思います。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2017-08-28 07:50:33)
11.  ジャッキー・ブラウン 《ネタバレ》 
つまるところこの映画は、自分を悪用したサミュエルLジャクソンを抹殺しつつ、ヤツのお金もマックスおじさんのハートも奪った、したたかな女性の物語。この3大サクセスを、159分かけて段階的に成就させていくお話しです。  個人的には、オジサンのハートを奪っちゃったところが一番しびれましたた。それは、彼女がサミュエルLジャクソン抹殺やお金泥棒のように、完璧な計画を立ててやったことじゃないから。 マックスおじさんが彼女が同じ部屋にいたとき、彼女がデルフォニックスのLPをさりげなくかけ、その後日マックスがデルフォニックスのカセットをお店で買って車でかけている場面。人の恋心を表現する場面はいろいろな手法があるが、私はこういった”相手の好みに影響されている”という状況をもって、恋心を描くソフト表現のジワジワ感が大好きですよ。  最後の場面で、ジャッキーと一緒に行かないかと誘われていったん断ったマックスだが、きっとあの後黒人の相棒に話しをしてお店をどうするかの算段をしっかり着けてから、その黒人相棒にジャッキーの居場所をつきとめてもらい、ある日突然さりげなく彼女の家をたずねるんだろうな、と思う。  そんなジャッキー役の女優は、私が好きなジーナ・ガーションに似ていて、ニヤリとするときの唇のゆがみ具合がグっときました。 そしてブリジットフォンダという芸能一家の出である由緒正しき女優や脇役で光るクリスタッカーから大御所デニーロまで、ようしゃなくサラっと殺すタランティーノの心意気も素晴らしい。  確かにちょっとまどろっこしいところもあったけど、また数年後に時間があればまた見てみてもいいなと思える後味が爽やかな映画でした。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2017-08-25 09:00:25)
12.  グリーンマイル 《ネタバレ》 
スティーブンキングというと、ホラーか、あるいは「ショーシャンクの空」のような非ホラーのどっちかというイメージでもたれているのか、この映画を”ファンタジー”とか”おとぎ話”としてくくっている人達もいるようだ。  でもキングの作品は”超常現象”をけっこう多用しているところがあって、この映画のように、人知を超えた出来事を現実社会で普通に起こってます的な描き方がいかにもキングっぽさが出ていたと感じた。  この彼らしい世界観に素直に入っていけるかどうかが、この映画を楽しめるかどうかの分かれ道だと思う。  私は普通に入っていけたが、号泣したかといえばそれほどでもなく、少女殺しの真犯人でありジョンコーフィーを冤罪で死刑にさせた諸悪の根源ビリーザキッドが電気椅子で恐怖にまみえながら公開処刑されることなく、銃で瞬殺されちゃったあたりは「いや、ビリーこそデル並みの殺され方しないと!」と、すっきりしないところがあったりした。 (それはそれとしてビリーを演じたサム・ロックウェルのゲイリーオールドマンっぽいラリ顔はとてもワンダフル。)    ただ、痛烈に印象的だったのが、ジョンコーフィーが電気椅子に座らされて恐怖を抑えるように「I'm in heaven...I'm in heaven...」と何度も口づさむ場面。  字幕には「ここは天国だ・・・天国・・・天国・・・」と書かれていたのだけれど、これは彼が死刑前に望むことはと聞かれて「活動写真を見たことないから見てみたい」という願いにこたえて、看守達のはからいで深夜に彼に見せてあげた映画の一場面の歌。 恐怖を、あの朗らかで明るい映画の一場面を思い出すことで、払拭しようとしていたのであろう。  この歌は、冒頭でポールが老人ホームでたまたまTVにその場面が出てきて思わずジョンコーフィーを思い出し、いたたまれずに席を立ったという場面でも印象を強く残している。 フレッドアステアの有名な「トップハット」に出てくる「チーク・トゥ・チーク」という楽曲だが、「グリーンマイル」を見たあとは、このトップハットの場面が出てきたらついジョンを私も思い出してしまいそうだ。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2017-06-14 10:17:19)
13.  遥かなる大地へ 《ネタバレ》 
「Far and Away」というタイトルはまさにこの映画にふさわしい。  まず、アイルランド移民のジョセフとシャノンが、船でアメリカに着けば簡単に土地ゲットできるとおもいきや、そこからあれやこれやスッタモンダで、ずっとずっとはるか彼方西へ行くとになる。このアメリカ横断なスケールが実に”far away"(ずっと遠く)だからだ。  さらに彼らが「土地ゲットは簡単だ!」と思い込んでいたのが、現実は厳しかったこともまた”far and away”(思ったよりもはるかに)難しかったという話にもマッチする。  でも何よりも一番マッチしていた理由は  天国にいるジョセフの父親が、旗を立てる直前で死んだトムを生き返らせたという奇跡を物語る上で、"far away”(はるか遠く)空の上にいる死んだ父親の存在をこの映画の重要なものにしているからだ。  序盤でジョセフの父親が地主の手下のせいで事故にあうが、いったん死を迎えたのに、「なにがあっても土地こそすべてだ。おまえは私が叶えられなかった夢をかなえてくれ。土地が手に入ったら天国から祝福するから」と言い残すためにわざわざいったん生き返るというちょっとビックリなシーンがある。  なんだか奇妙な場面ではあったが、ラストの場面でジョセフが頭を打って血だらけで死んだにもかかわらず、父親の神パワーで彼が息を吹き返すミラクルが、コントでもなくジョークでもご都合主義でもなく、”必然”、”自然”に感じさせてくれるのである。  「ノーノー!あなたなしで土地なんていらない・・・(I don't want this without you・・・)」と、ツンデレお嬢様が彼が死んでようやくすすり泣きながらホンネを告白するという、こっちまでもらい泣きしそうな訴えをする場面では、カメラが次第に彼らを上から俯瞰するカタチでどんどん離れていき二人がどんどん小さくなっていく。  大きな大地に、死んだ彼と彼にすがりつく彼女。 あたりは暗く、ヒュ~ヒュ~~~という虚しい響きの木枯らしの音に、ジョン・ウィリアムスの切ない音楽が重なりながら、カメラはさらにどんどん二人から俯瞰のまま遠ざかる。  ロンハワードはきっと、これを、天国の父親目線だとしたのだろう。  天国の父が「おぉおぉ息子よ。せっかく土地とさらにそこで繁栄していくための嫁まで同時に手に入りそうだったところを。よしワシが生き返らせよう」という彼の言葉が聞こえるようである。  次の瞬間、カメラはまるで遊園地のフリーフォールの高速落下のようにトムのところに急降下。 そしてトムが目を覚ます。  どう考えてもこれは、天国の父から彼へ、命が、落とされた瞬間の描写だ。 救援用の飛行機が食糧の支援物資を空からストーンと落としていくように、父親は命を空から彼に落としたのである。 喜び抱き合うジョセフとシャノンに夕日を逆光にして優しく輝く髪の毛が美しく、この場面でこちらまで心からの幸せに満たされる。  そして彼らの後から追ってきて土地に旗をたてようと馬を駆る人達に気づいた二人は、落としたままだった緑の旗を一緒に掲げ、いっせーのせでブスっと土地にそれをブッ刺すところでは、夫婦の初めての共同作業であるケーキ入刀のようで、まるでほほえましかった。 そして私のハートに的があるなら、二人がブスっと旗を大地に刺した瞬間、的のド真ん中にこの作品がストライクしたのを感じた。  爽快なのは、そのブスっとしたあとバっと場面が暗くなり、その後に出てくるのが、”流れ始めるエンドロール”でもなく”タイトルの題字”でもなく、”The End”というクラシカルな文字だったことだ。  いきなりエンドロール開始だと味気なく、タイトル題字ならちょとドヤ顔な感じで引いていただろう。 それが、昔の映画ならよくあったが最近の映画ではとんと見なくなった”The End”を、クラシカルな題材を扱ったこの映画で用いたのは正しい選択である。  ・・・ということで、このラストのシークエンス数分だけで、ごはん3杯はいけちゃうんじゃないかというくらいの素晴らしいラストであった。  もちろんこの二人だけでなく、シャノンのオバカな両親や、クラブの踊り子、娼婦宿の女将と娼婦たち、ボクシング賭博のドン、スノッブなスティーブン・・・にくめないサブキャラや脇役も、無駄の無い脚本に支えられたストーリーの中で魅力にあふれていた。  若かりしトム・クルーズが、アクションや男くさい映画ではなく、このようなデキのいい壮大なロマン活劇で、無学なシャイで頑張り屋さんというとびきりキュートな役の作品を残してくれたことは、誠にラッキーで貴重なことである。
[DVD(字幕)] 10点(2016-11-30 10:11:40)
14.  シックス・センス 《ネタバレ》 
この映画で起きる色々なエピソードには「後悔」というキーワードがあてはまる。 それも、死のあとにも残るほどの後悔。  マルコムが成仏せずこの世に幽霊としてとどまったのも、仕事人間だったために妻との疎遠な関係を後悔していることや、 ヴィンセントを救えなかったこと(彼も幽霊が見えていた子供であったが、それをマルコムに理解してもらえないまま病気として解決とされてしまったことを苦に自殺してしまった)などが、彼の死後も心残りだったからである。  台所に出た傷だらけのおばさんは、夫のDVで苦しんで自殺したのだろう。 夫への恨みが消えないまま、こんな男と結婚してしまったことへの深い後悔が残っているのである。  毒殺された少女も、自分の死の真相を父親に知らせ、妹まで義理母に殺されかねない(お通夜で「妹さんも体悪いそうで」という会話から察し)のを阻止したかったが、それができないまま死んでしまった後悔があったから幽霊となってとどまっているのだ。  そんな中、後悔を心に残す霊と出会うたび、彼らの後悔を解決していくのがコール少年。  幽霊にとって、この世に残した人への思いを託せる頼れるメッセンジャーだ。   でもコール少年の一番の功績は、見知らぬ幽霊たちではない。 母親の母親(コール少年の祖母)のメッセンジャーとなり、祖母が母親に伝えられないまま死んであの世でずっと後悔していた思いを、母親に伝えたこと。  「ケンカしたあと、険悪な空気になってあなたは私がダンスの発表会には来ないと思ってたとおもうけど、実はちゃんとこっそり見に行っていたのよと伝えてほしい」  「お墓の前であなたが私にした質問した答えは、”YES”(「私を愛していた?」という質問だと察し)だと伝えてほしい」・・・  そうです、よくあることですよね、家族間で、心の中では思っていても言葉にして伝えていなくて、伝わっていないこと。  私はここで号泣した。 今思い出すだけで泣ける。。。。  私は鑑賞当時、中1の娘がいたが、この頃の娘は反抗的になりもするし、きまずい母娘関係になったりもする。 でも愛しているし、いつだって心配している。。。 それを娘はちゃんと分かっているだろうか?それをあらためて考えさせるシーンだった。  この場面が出てきたとき、背後でノンキにスマホをいじっていた娘に「私はあなたのことが大好きだよ」と泣きながら言ってしまった。 (娘は目がテン…)  あなたは、もし今亡くなってしまうとしたら、思い残すことはないか?  後悔することはないか?  思いを伝えるべき相手にきちんと思いを伝えられているか?  あらためて自問して、もしあれば、早めにそれをできるだけ解決していくといいのだと思う。  ”今ある命、人生をいかに、大切にして生きていくか”  この「シックスセンス」はただのサスペンス・ホラーでもトリッキーなどんでん返し映画でもなく、  『今ある命、大切に生きてください』  という静かなメッセージが込められた、深い作品だと私は受けとめた。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2016-09-09 10:11:16)(良:7票)
15.  マディソン郡の橋 《ネタバレ》 
これで視聴は何度目だろうか、しかし、やはりあの雨の中ダンナの運転する停車中の車の中で、メリルが目の前にいるクリントのもとへ車を出て走ろうかと車のノブをにぎって・・・そしてやめたときの場面から、涙がバーーーーだった。もういい加減何度も見てて、何度もそのたびにバーーーーだったので、さすがにもうバーーーーはないだろうと思って見たのだが、やはりまたバーーーーだった。   別の不倫映画で主演をやった「恋におちて」のメリルは、わりとトントン拍子にうまいこと行っていて、不倫映画のデキとして甘いと感じていた。しかしマディソン郡のメリルは、クリントと賭け落ちするかどうかの葛藤の中で「人を傷つけたことのない夫をどうして傷つけられようか」「子供もこれから恋をして結婚するというのに、精神的にどんな影響があるか」と夫や子供をかばい、悩みぬき、そして最終的には彼と別の道を歩むことを選ぶ。   悩み多き恋する女としては、圧倒的に「恋に落ちて」のメリルよりマディソン郡のメリルのほうが心揺さぶられる。   また「恋におちて」のデニーロは人ごみの中彼女に何も言わずいきなりブチューで、かなり強引であったが、「マディソン群の橋」のクリントは、家の中で、ふたりで踊りながら、お互いにキスを意識しないではいられないほど顔と顔が近付いたとき、「いやならやめていいんだよ」って一応承諾を得ようとする。   さらにデニーロはメリルのだんなが家にいようがいまいが関係なく彼女の家に電話してきて「会いたいYO!」と、彼女の状況なんぞオカマイナシの節操ナシであった。   それに対して「マディソン郡の橋」のクリントは、彼女と彼とのことが街中でうわさにならぬように気をつかったり、かけ落ちするかどうかは彼女の選択に任せ、かけ落ちしないと彼女が決めたのなら、それ以上せまらず去り、その後もイッサイガッサイ連絡をとらない(しかし、死ぬまで彼女のことだけ思い続け、灰を橋のところでまいてくれといって死んだ)という、誠実かつ一途かつロマンティックな、素晴らしい男だった。   こうした点で、相手役の男性についても、「恋におちて」より「マディソン群の橋」に軍配があがるだろう。   さらにいえばメリルのダンナだ。メリルのダンナは、けして悪いやつではない。年をとって死ぬ間際にはメリルばあちゃんに「君には君の夢があっただろうに、それを与えてあげられなかった。でも愛しているよ」と言う。また、ムダにでかい体型、つなぎの作業服、ハゲ頭。このミテクレがまた、悪いやつじゃない、素朴な、いいヤツ的なキャラを強調している。   「ピアノレッスン」「チャタレイ夫人の恋人」など、不倫妻の夫はえてして”ヤなやつ”であり、またそれが”不倫に走る必然性”に説得力を与えてくれる。  しかし「マディソン群の橋」の夫は、どこまでも”いいヤツ”であり、例の雨の中の車の場面で、目の前にとまっているのがクリントの車で、彼の話題を妻に話しているうちに、妻が苦しそうに泣きじゃくっているのを見て、「なんで泣いてるのか、さっぱりわからん」っていう表情を見せる、愛すべき鈍感オヤジなのである。   このように、パートナーがいいやつでありながら、主人公の2人は恋におちざるを得ない・・・というのは、”相対的な恋”(ダンナに不満があって、よそに目がいって恋をしたという形)ではなく“絶対的恋愛”(お互いが好きだから、恋をしたという形)であるという証になる。   そしてココが重要なことだが、”絶対的恋愛”は見るものに”恋の必然性”を説明するのが難しい。   「恋におちて」では、メリルもデニーロもそれなりにパートナーには文句なく夫婦関係良好だったのに恋に落ちたということで、”絶対的恋愛”を描こうとした。が、ふたりが恋におちる必然性の説明が不足してしまった失敗作だ。偶然が重なっただけ(しかも、どちらかといえばその偶然のほとんどはデニーロがストーキングして偶然を装っただけのもの)で、運命的なものを感じるかと言われればチョットどうなのって感じだ「おじさんがおばさんをナンパしてストーキングした勢いで狂い咲きしちゃった二人」にしか見えないのである。   その点、マディソン群では、二人が惹かれあい尊敬し合える理由(詩、芸術、旅…など)を会話に織り交ぜ、安定した展開で”絶対的恋愛”を見せてくれるので、満足度100%の大成功作なのである。   それはそうと、夫の死後にメリルが彼の仕事先に連絡したものの退社していて所在不明で、結局死ぬ前の再会はできなかったが、あれがもし現代ならフェイスブックでメリルが「ロバートキンケイド・・・検索!」ってすれば簡単に見つかって「夫が死んだので、今度お茶でも!」ってメッセージ出来たのであろうにな。
[DVD(字幕)] 10点(2016-07-12 16:29:52)(良:1票)
16.  12モンキーズ 《ネタバレ》 
この地下世界は私好み。ネオヴィクトリアン。SFのサブジャンル、スチームパンクってやつ。  あのシューシューと白くわきたつ蒸気、体に装着する器具に革ベルトが何連もついちゃってるとか、タイムマシン関連の計器がデジタルじゃなくって時計針で数字の間をユラユラ動くとか、セピアな色合いとか・・・もう、たまりません。  科学者たちの様子もどことなく科学者ではない感じが面白い。 過去から戻ったコールを寝かせた医療用ベッドでコールにかけてあげる毛布がクマちゃん柄で、医療現場っぽくないのが面白い。  実際のところ科学者軍団の紅一点(笑)ジョーンズが、実はただの”保険屋のオバチャン”であることが最後の最後のセリフ「I'm an insurance.」で明かされることで、そもそもあの科学者軍団は科学者ではなく、全員どこのどいつかも分からん馬のホネかもしれないというかなりキツい冗談設定だと分かる。  だからこそ、そんな科学者もどきな彼らが、コールを過去に送るたびにミスしまくるのも「当然」という説得力もあるし、さらにはそうやってミスを繰り返してくれることで、キャサリンがコールは本当に未来から来たのだと理解するに至る(戦争中に撃たれた弾の解析のエピソードや当時の戦争写真など)カギが作られるし、なおかつ見ているこちらも、あちこちに散乱したパズルが、じょじょに集まり完成していくワクワク感を高めてくれる。  ありがとう、怪しい科学者もどきの皆さんたち(笑)  それにしてもこの映画、SFという手法を用いた、壮大かつ切ないラブロマンス映画だとお気づきですか。  コール少年はあの空港で出会った金髪のキャサリンと目があい、そして笑顔で見つめられ、その記憶は彼の脳に痛烈に記憶された。 その後ウィルスの影響ですぐに人類は滅びるが、コール少年は何かのきっかけで生き延びる。 そして、これは私の解釈だが、生き残った人類はすべて、例の科学者もどきの軍団によって犯罪者であろうがなかろうが”囚人”として収容され、過去に送る要員(ボランティア)としてずっと管理されてきた。  つまりコール少年はあの空港でキャサリンと出会った後すぐに”囚人”として収容されて40過ぎのおじさんにまで成長する。 そして40過ぎのおじさんになったコール少年は、再びまた過去に戻され、そこで再びキャサリンと出会いつかの間の愛をはぐくむのだ。(しかも最後は死がふたりを分かつ)  これは偶然か?いやこれは運命なのだ。  コールにとって最初で最後の、運命の女キャサリン。  そしてコールは、これから未来えいごう、何度も何度も、45年前と45年後の世界を、何度も何度も何度も何度も往復し、そして何度も何度も何度も、愛する人との出会いと別れを経験するのだ。  こんなに切ない一生が他にあるだろうか。  彼は1996年でウィルスによる人類滅亡を生き抜いたその時から、過去に送られて最終的に死ぬまで、何度あの空港でのキャサリンの夢を見たのだろうか? (1996年から2035年は39年間なので、それだけの長い間、何百回とあの夢を見たのではないか。)  コールが空港の夢を見る場面は劇中に何度か挿入され、そのつどコール少年の顔のアップも何度も出るが、ラストのシーンでコールが空港で撃たれて倒れた時にキャサリンと目があったコール少年の目には、涙がこぼれていた。  それまでの夢シーンではあえて涙目をふせられていたが、最後の最後に、その涙が映し出された。  「会ったことのないこのひとの様子を見て、なぜ涙が出るの・・・?」  コール少年は涙を流しながらそう思ったかもしれない。  でもそれは、彼女がコールの無限ループの中に生きる運命の女性だから。  中盤あたりで、安ホテルでコールがキャサリンに「I want to be stay here,this time・・・with you」と言ったセリフにあった「this time」は今回こそは」という意味で、それは再び未来の世界に戻りたくないというだけでなく、再び無限ループの中で彼女と別れを繰り返すのはもう終わりにしたいという思いもあったのではないか。少なくとも彼は自力でウィルス拡散を止め、1996年に留まり彼女と永遠にずっと一緒にいたかったことは間違いない。  しかし運命は・・・・  そこを心に刻みながら、あの最後の空港の場面で涙を流すコール少年を見たら・・・おのずと私の目からも涙がこぼれてきた。
[CS・衛星(字幕)] 10点(2016-02-16 11:55:13)
17.  秘密(1999) 《ネタバレ》 
母親が娘に憑依し、夫と仲良くしつつも、学生生活は謳歌し、いいよってくる男とデートを画策するあたりは嫌悪感がつのる。   娘のふりするったって、わざわざ大学で、よりによってヨット部に入るかよ。  (しかもヨット部のイケメンに声をかけられて勧誘されたという流れで)   ヨット部に入ったからって、必要最低限の活動ならともかく夫の帰宅時間に戻らないほど部活で夜遅くなるのかよ。   男とのデートが夫にバレると「ちゃんと会って断るつもりだった」と説明するが、友達にアリバイ画策させてまでデートに行こうとしてたし。フルつもりだったにしてはコギレいな服だし (フルつもりの相手と会うなら、相手が自分にゲンナリするようにノーメイクでオバチャン服着ていくもんだ)  夫のいうとおり、相手からの電話もそもそも出ずに黙って無視すればいいことである。   最終的には、娘の心が戻ってきたフリをして、運転手の息子と結婚することで、夫を自由にしてやろうとするのだけど 、再婚(表面上は初婚だが)するにしたって、なんでよりによって自分ら家族の人生を崩壊させた張本人の息子?ありえないな。   そもそも遺族の補償問題の会議の場で、いかにも不良な態度で、父に代わって謝罪していたその息子に「その態度なんだ!」とエレベーターのところまで追っかけてきたくらいなのに。   そもそも、40のおかーちゃんが20のラーメン屋と形式的結婚とか普通にありえない。   おかーちゃんも見た目は娘世代(20代)なので、40代の男性と再婚するのが逆におもてむき不自然だというのなら、せめて間とって30くらいの相手にしてくれないと。(結婚生活はずっと長いわけで、彼が40のとき、彼女は60だし。)  それに一生涯、夫を思い続けてラーメン男を一生だまし続けるなんて、 ラーメン男は「とにかく再婚して夫を自由にしてあげたい」という理由で利用された、気の毒な男だ。   しかも、夫をだまし続けるならともかく、結婚式の控え室で「実は意識は母のままです」的なネタバラシ。  うそつくなら徹底的に墓場までもちこむ覚悟でうそつかないと、そんな中途半端な状態で嫁入りしたところで、夫は「あーあいつ今頃あの男と・・・」ってもんもんとしちゃって、もっとかわいそうだろ。   うっかり、いつものクセ(夫のアゴ下をさわる)をやっちまって、夫が「あれ?」って言っても「いつもこういうことやってるのを見てたから、マネしてみた!」ってウソつきとおせばいいだろ。   そもそもブーケに、夫との結婚指輪をしこんだミニぬいぐるみを入れておくとか、別にわざわざ結婚式までこれみよがしにする行為か!?そんな思わせぶりなシコミするから、ソッコーで夫が彼女が娘じゃなく母の意識のままだと気づくんじゃないかw   しかももし何かの拍子で母の意識が抜けて娘の意識が戻ってきたとき   「え!?なにこのひとが夫!だれ!!?イヤーーー」ってなっちゃうだろに。   憑依は人の体を間借りしてるんだから、それなりの立場をわきまえて、娘の意識がいつ戻っても困らせないように、自分の考えでアレコレしたい放題で新しい人生を作っちゃったりしないのが、母の娘への愛なのに。それがミジンも感じられない。   てか、そもそも自分におきている憑依を科学的に解明したくて医学の学校を選らんだのに、なんでラーメン屋と結婚するかw  憑依研究なんて、ラーメン稼業のカタテマにできるんかいな。 それとも、若さを得て、やってみたいことをとりあえずかたっぱしから経験したらまた別のことに目移り(ヨット部しかり)みたいなテケトーなノリなのか。(だとしたらさらにゲンナリ)   ●夫へのうそを墓場までもっていかないであっけなくネタバラシ  ●娘が戻ってきたあとのことを考えないで母親本位で勝手に人生作成  ●夫を自由にさせるために、ラーメン男をだまして利用した  ●憑依の科学的研究は置き去り   などなど、ただただ後味が悪い幕切れだった。
[DVD(邦画)] 1点(2016-01-12 11:28:25)
18.  ピアノ・レッスン 《ネタバレ》 
私はヒロインに完全同意だ。感情移入度100%である。  私はピアノが大好きだ。 だが21でデキ婚した夫(実はデキる前に、自己中心的な性格により別れを考えていたが、予定が変わってしまって流れに任せて結婚することに)はピアノに興味はなく、いやむしろ敵視している。  引っ越しするたびに膨大な別途運搬料金がかかるとか、置く場所がないだ、圧迫感があるからジャマだといって、私の意に反して、親がムリして何十年ローンで買ってくれた3歳から使っていたアップライトピアノをある日勝手に売り飛ばしてしまったのだ。  あれから20数年、アップライトほど大きくなくて「ジャマだ」だと言われなそうなスピネット型の中古ピアノ(ボールドウィン製)に一目惚れし、中古を知人からタダで譲ってもらったのだと言って自腹で買ったのだが、その後も「床が抜けるぞ」「家が壊れるぞ」といちいちピアノを敵視する。実に、この映画のエイダの気持ちがイタイほど分かる私なのである。  そんな私がハーヴェイみたいな男と出会ったら、惚れないワケがない。  実際、ピアノを通して知り合えた相手はいないが、映画やアートといった芸術の分野で話が合った男の何人かと、サラリと不倫も普通にしていたし。  倫理観がない女だと思われるかもしれないが、この映画を楽しむことができたから幸いだ。 ついでにテーマ曲の楽譜を入手して弾いて楽しんだり。  不倫映画を毛嫌いする人も多いが、それを否定してたら楽しめる映画も楽しめない。 不倫映画を楽しむために不倫しようとかそこまでは言わないけれど、禁じられた恋に走る人間の心と同調させられるくらいは心をニュートラルにできたほうが、いいと思う。  「昼顔」やら、「失楽園」みたいな、ベッドシーンありきな近所で起こってそうな昼ドラっぽい不倫映画は大嫌いだが、「ピアノレッスン」のように、テーマがピアノ(品格あり)で、ヒロインの相手が典型的なイケメン&ナイスバディじゃなくて(いわゆる昼ドラテイストではなくて)、舞台が原始的風景の残る荒野のニュージーランド(非現実的)という、作品として独特のカラーがあるものは、感情をとことん移入して没入できて、本当に素晴らしいと思う。  特に、なによりもピアノを自分のアイデンティティとして命より大切にしていた感のある彼女が、愛する男と島を出るための船が危険になったときに「ピアノを捨てて」と、そう、ピアノより男を取った、その瞬間もグっときた。 でも、そういいつつピアノとの絆を断ち切れそうにないゆれる心をあらわすかのように、ピアノとつながっていたヒモに足をつっこみ、自らピアノと共に海に入水したが、やはり最後にはブーツを脱いで彼の元に戻る、なんていう場面も、グっときた。  それに、セックスシーンも実はよく確認すれば分かるが、そればっかりをカメラでがっちりとらえて延々と流しつづけるような下世話なものではなく、必要最低限のものであり、露骨に裸がくんずほぐれつしてハアハアするみたいなものでもなく、また、娘が穴からちょっと覗いたら見えちゃいました、みたいな、個人撮影の盗撮みたいな(笑)よく見えない映像もあったり、個人的には猥褻さをあまり感じないものだった。  いってみれば、”雰囲気エロ”。  人間で一番いやらしい場所は脳だといわれているが、その脳でいかにこの映画の”雰囲気エロ”を、体じゅうをめぐるるエロ熱に変換して楽しむかも、鑑賞者にゆだねられている。   ただ、エイダがラブレターみたいに白鍵を1つ外して彼のもとに届けた行為だけは、ちょっと・・・って思った。  子供を巻き込んで、大変なことになったから。じゃなくて、だってあの白鍵がなくなったらその音だけ弾けなくなっちゃうじゃない。ヤマハみたいにお買い上げのあとのお客様フォロー窓口があって、抜け落ちた白鍵を1本注文して修理してもらうとかだってできないじゃない。(心配するのがソコとか、きっとやっぱり私は普通の女じゃないわなとあらためて思う)
[DVD(字幕)] 10点(2015-05-04 13:44:51)
19.  ディープ・インパクト(1998) 《ネタバレ》 
星が地球に衝突する危機を描いた作品では、エンタメ好きなら「アルマゲドン」、人間ドラマ好きなら「ディープ・インパクト」と、好みが分かれるといわれる。  でもそんなに「ディープ・インパクト」の人間模様は面白いか?  これでもかというほど詰め込んだ色んな家族のどのケースも、よくあるパターンの内容で、そしてつまらない。  安い素材をつめこんだ幕の内弁当だ。  初老パパが若い女と再婚したからパパを嫌悪し初老ママの味方についているが最後はパパと仲直りするという、ありがちな展開になるティアレオーニ。  親子の仲直りはアルマゲでも描かれたが、ディープでは”突然パパが小さいときに撮影した娘を抱く自分の写真を2枚ほど見せたらあら不思議!それだけで仲直り成功!”という全く説得力も現実性もないくだらない仲直りシーン。  また彼女は女性キャスターとして上を目指してるが芽が出なくてお悩み中というキャリアドラマにありがちな設定だ。  既に別の作品で1本仕立てで作られた内容をこの映画でダイジェスト版に編集してぶっこんだ程度。  イライジャも判断力ない中学女子に「結婚すればキミの両親もシェルター入れるから!」と策略結婚し結局両親はシェルターに行けず死んだけど、どさくさまぎれに結婚できて生き延びれてラッキー!なんてオチが人間ドラマ?  シェルターに入って生き延びれる“勝ち組”の大統領が、ラストシーンで「ショーマストゴーオン!」(とは言ってないが)なんて言っても「いい御身分ですね」としか思えない。  私はヒューマン映画も好きだし涙腺は弱い(ホロコースト映画の”家族生き別れ”ではよく泣く)が、ディープインパクトの人間模様は安っぽすぎて感情移入も涙もない。  彗星破壊では1年もかけ練った計画も、いざ実行したら「あらー!まっぷたつになっただけ!」ってどんんだけ頭悪い計画者なんだ。  その後は「万事休す!」って皆いったん休憩モード入っちゃうし。  ロバートは「この船には面白い本積んでないのなー」って言うし。  意味不明。完全な駄作です。
[DVD(字幕)] 0点(2015-04-02 08:59:43)(良:1票)
20.  羊たちの沈黙 《ネタバレ》 
女装癖のあるバッファロービル、最後にやった化粧は銃殺によって血の赤に染まったリップメイクでした。という小気味なオチ。
[DVD(字幕)] 6点(2015-04-01 18:54:52)
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