1. クレイヴン・ザ・ハンター
《ネタバレ》 概ね、全然そんなにつまんなくはなかったとゆーか(⇒少なくとも『モービウス』よりは遥かにマシ)よく考えれば主役の能力もお話の内容もワリと地味な方に思えるヒーロー映画なのですが、逆にソレがヒーローものと言うよりはクライム・スリラー(の派手なヤツ)ぽい質感に纏まって居た…みたいな感じにも思えて、んで主要キャラの方々の演技が(これまた)全然悪くなかったコトも含めて、終盤手前くらいまでは(小耳に挟んだ前評判よりは)全く大いに楽しめてたって気もするのですよね。 ただ、クライマックスに入り掛け…の辺りから(⇒正確にはザ・フォーリナーが余りにも呆気なくやられちゃった、ぐらいから)いくら何でも総じて全部が「簡単すぎない?」みたいな感じにも思えて来てしまって、その辺も含めて全体としてもちょっと余りにも抑揚が無いとゆーか薄味とゆーか(観易いけど)盛り上がりがイマイチ…と思ってた矢先、遂にそれが私の許容範囲を超えてっちゃったとゆーのがラスボスを倒して以降⇒肝心な家族三人の関係性に係るシーンだったのですね。要は、その三人の感情=近親憎悪的なトコロの描き込みもまた、前半~中盤を通して余りにも薄っぺらかったってコトの結果として、ラッセル親父の成行きにせよ・弟の豹変にせよ、私には「何故にそないなコトに為ってまうん?」と、大いなる疑問としか思えなかったってコトなのですわ。重ね重ね、ソコまではまあまあ面白かった…とも思えど、肝心なソコに関してはちょっと雑すぎね?と思ったコトを鑑みてこの評点にしてます(⇒結果として『モービウス』と同じ…)。 [映画館(字幕)] 5点(2024-12-15 19:53:50) |
2. 65 シックスティ・ファイブ
《ネタバレ》 先に、結果的に今作のコンセプトとゆーか「やりたかったコト」と照らし合わせて、それそのモノの(成し遂げた)クオリティ自体は決して低くもないとは思うのですよ。ただ、実際に当時どーいう売り方をしていたのかは存じ上げないですケドも、映画冒頭の感じからしても明らかに(そこそこリキの入った)SFアクションにしか見えない、にも関わらず、現実には精々サバイバル・スリラーと言うべき質感にしかなっておらず、とすると、どーしたって違和感の方が(観ていく内に)どんどん大きくなっていってしまうのは仕方が無い…とは思われますよね。まあ、このSF的な建付けで+でもこの予算規模で+だからこの位の尺で+でもメインディッシュは(恐竜やらSFやら云々ではなく)主役の二人のドラマだ…みたいな映画ってのが、そもそもキョウビ結構に「ユニーク」なんだよ!と言われてしまえば、それもそうかも…とは思わざるを得ないですケドね⇒実際、アダム・ドライバーも子役のコも、ソッチの面のクオリティに関しては十二分につくり込まれてたとも思いますし。 でも、同時に再び、こんなんだったら同じこの二人で、現代を舞台にハートフル・ロードムービーでもつくった方が(同じ予算で)全然もっと広く共感可能な映画になったんとチャウん?とも、やはり思わずには居られないですケドね⇒んで、それは「ユニーク」じゃないよ!と言われちゃったら、まあそうかな…と思ってしまうのも(再々度)確かなコトではありますケドも…… [インターネット(字幕)] 6点(2024-12-15 10:59:38) |
3. テリファー 聖夜の悪夢
《ネタバレ》 三作目ですが、コンセプトは根本的には不変&主役のおねいちゃんは前作=二作目から続投、という感じなんすかね(よ~く聞いたらおねいちゃんって歳でもないよーですケドも)。でも、今作での例のアート・ザ・クラウンの相方ってのは、アレは(よく考えたら)一作目に出て来てた方のヤツだったんすかね。中盤、主にその「相方」がビッチャビッチャと超きったならしいシーンの辺りは、スプラッタとしてもごく高度なおぞましさ・見るに堪えない感が在ってまた結構好かったと思いました。似た様なモン…とは言いつつ、単なる個人的な錯覚かも知れませんが、純粋にホラーとしての悪辣さとか容赦の無さ、みたいなモノは、前作前々作よりも少しダケ向上してた様な気もしてますね。二作目であんだけの目に遭わせた主人公をま~た引っ張り出して来て、んでこの度は身内(ほぼ)全員ぶっ殺した挙句「彼女の闘いはまだ続く…!」みたいな終わり方しますからね⇒もはや、軽~く『ベルセルク』か!みたいな感じっすよね。 ワリと、スプラッタを撮るのが好きってホラー監督であったとしても、どーしたって作品自体はバランス的 or 視聴者の好み(メンタルタフネス) 等を考慮して、描写はエグい!ケドも内容的にはややコメディ(に逃げてる)みたいな、ある種の折衷案的なスプラッタ作品も少なくないとは思うのですよね。中で今シリーズは徹頭徹尾、どちらの方面にも「容赦が無い(再掲)」とゆーのは、それもまたある意味では尊ぶべきホラー的作家性だと思ったりもします⇒奴等は悪だから・悪魔だから、こそ、こんな非道で汚穢に塗れて「見るに堪えないコト」をやってのけるのだ、と(=やりたいのはただひたすらに、この世界における「悪」そのものの具現化なのだ、と)。でもね~また一つ、ふと思ったりもするのは、恐怖を最大化するために極端を突き詰めれば詰めるほど、それは「現実的な=地に足の付いた恐怖」では無くなってゆく、というコトなのですよね…(⇒それは、またまたある種の「トレードオフ」でもあるのではないか、と…)観終わってちょっと色々と考えてみて、それでも何とな~く「乗り切れなかった(全力では)」という感覚の方がどーにも強い様に思われる…とゆーのが、この三作目に対する結論的な私の感想ではあるのですね(⇒単に、三作も同じコンセプトで観せられると流石にちょっと飽きが来る…というコトかなとも思われますケド)。 ※超余談:もう一つダケ、同時に思うのは、人気シリーズ・話題作ってコトではあるのでしょーケドも、こーいうのを好んで観る人々が段々と増えてる様な気もするって今の世の中が、真に望ましいモノなのかとゆーのはやや測り兼ねる…というコトでしょーかね。最近多忙を極めており、今作も公開開始からだいぶ経った頃にそこそこ夜遅くの回で(何とか)観たのですケド、なんか思ったより観客多かったな~という感覚があって、率直に、ソコがちょっと気に掛かる、と言いますか…… [映画館(字幕)] 5点(2024-12-13 10:21:13) |
4. ガール・ピクチャー
《ネタバレ》 まあ、別に北欧ものだとかって全然関係も無く、地域性・時代性を超越して幾らでも存在する(し続ける)であろう、超・普遍的なティーン青春映画ではあります⇒なので、まずまずは、当然の如くに(ワリと高度に)性的であって、でもその意味では、主役の三人の女のコはその方の属性的にはやや「クィア」と言われるべき人々だ…とゆーのが、作品全体としてもポイントとなって来るコトなのかも知れません。で、だから逆に、他方で(青春)コメディ的には、ちょっとボケがキレキレで面白い…と言ってしまうのが今や完全に適切なのかはやや判り兼ねるトコロでもありますが、少なくとも(前述したような)今までのこの系統の作品との比較としては、個人的にはまずまず「尖ってる」な…という感覚は(同時に)抱き得るかと思われましたですね。またまた、別に&同時に、いつ観ても・何度観ても、たぶん一定以上には楽しめる=共感できるって作品かとは思います。お好きな方は是非。 [インターネット(字幕)] 6点(2024-12-13 10:10:45) |
5. 先生!口裂け女です!
《ネタバレ》 ホラー映画(少なくともコメディ・ホラー)かとは思って観始めたのですが、青春ものや(特に終盤は)アクションの要素も増えていくのでどちらかとゆーと「B級」エンタメ作品、くらいの括りとして観に行った方が好い様な気もします。要は、やっぱB級はB級=安手は安手な作品で、中でもストーリーがとにかく安っぽい=バラバラと出て来るモノに総じて「必然性が無い」と言いますかね(何故、そうなってゆくのかに理由が無い)。他方、画づくりや演技なんかの物理的なトコロは、本格的とまでは言わないまでも結構丁寧につくり込まれてるって印象で、娯楽映画としてなら全然楽しくノンビリ観てゆけるなァ…とも思いつつ、再度、ジャンル雑多なコトも相まって「ナニがしたいって映画なのか?=どこに向かってるってお話なのか?」とゆーのが、ごく終盤までかなりの心配事として心にモヤって居たのが率直な感覚だったのですね。 しかし、クライマックスの口裂け女さんの大立ち回りを観るに、そんな不安は完全に氷解して実にスッキリと観終わるコトが出来ました。確かに、仮に今作に続編が在ったとするならば、それは多分「ダークヒーローもの」と言われるべきナニかであるのでしょーね(⇒だとすると、今作もまた「ダークヒーローもの」と理解すれば好い…という気もしますケドも)。また再度、B級映画においてより重要となるのは「完成度」よりは「突き抜けたひとつのナニか」であるとも再認識させられましたよね。結論、丹念にごく好ましく仕上げられた紛うコト無き「B級」映画を堪能させて貰ったということで、一点加えてこの評価とさせて頂きます。 [インターネット(邦画)] 6点(2024-12-10 23:46:48) |
6. 赤死病の仮面(1964)
《ネタバレ》 うーん少なくとも、最も肝心なるオーラスの「死の舞踏」の感じはかなり好きな方なのですケド、如何せん、そこまでが延々とド派手にショボくて酷く退屈なのですよね……ただ、それはたぶん「今になって観るから」だとも思えるとゆーか、結局、今作のこの悪魔城の中に在るべきモノってのは、赤死病を免れるという安寧・物質的な充足と、その代償としての「悪徳・頽廃・倒錯」だと思われるのです⇒要は、映画的にはエログロもしくはスプラッタである、と。その部分の衝撃度が「今になって観ると」どーにも物足りないので、こーんな薄味な感じにまとまっちゃってるのだろう…とは思われましたですね。でも重ね重ね、クライマックスの見応えは(⇒純粋な映像の部分のクオリティも+ヴィンセント・プライスの演技の出来も)コレは今なお十二分かとも思われますので、いったん評点はこの位に。興味がある方は、機会もあるならば是非。 [DVD(字幕)] 6点(2024-12-10 00:20:02) |
7. バッド・ヘアー
《ネタバレ》 タイトルからして(よくある感じに)安っぽいのですが、観てみると意外に(映画全体としては)全くB級以下って感じでもなく、それこそ「ホラー描写(ホラー部分)を除けば」準A級…みたいな感じなんすよね。頭髪・髪型に依る差別とゆーのは、作中の80年代のみならず現在ですら根強く残って居て…という事情を適切に踏まえた上でなら、安っぽいタイトル…と思いきやこれって、それこそまずは端的に悪い=ストレートでない髪のコトでもあり・それが引き起こす差別の醜さのコトなのかもしれず・或いは更にソコに係る人間の「虚栄心」そのもののコトを意味しているのかも知れない、そ~んなな~んか意味深い(=全くチープでもなんでもない)一種のメタファーにすら、思えても来たり…と。 とは言え、ね~~~やっぱホラーとしては、むしろ逆に不思議に思えるホドにめっちゃチープなんすよね。チープとゆーか、敢えて明らかに「時代遅れ」なマデにめっちゃ大袈裟・大仰にしてる⇒その大仰さを成り立たせるが為に設定・ストーリーも(これも敢えて)めっちゃ雑にしてる、みたいな、重ね重ねキョウビ今どき何でこんな質感のホラーを(そこまでして)指向するんじゃ?みたいな風に思えるんすよ。ハッキリゆーと、個人的にはホラーとゆーよりは(ダーク系の)ヒーローものみたいな感じだったと思えちゃってて、うーん……80年代というトコロへの(更なる)こだわりなのか、或いは、あくまで監督の中では(これが)時代とかを超えた「目指すべきトコロ」なのか、考えたダケで答えの出るものでは(どだい)ねーですケド、あくまで個人的には、今更これに共感するのはちょっと難しいすかね…… いちおう、ホラーとしての「雑さ」に関して最も指摘しておきたいのは、この(ホラー的)顛末とゆーのは、主人公からしたら、単なる「不運」だと言っちゃえば済むハズだってコトなんすよ⇒主人公は、別に悪魔に魂を売ったワケではなくて、単にこーなるコトを「知らなかった」ダケなんすから(⇒勿論、ストレートヘアに憧れるコトそのものが「虚栄」だ、と言うコトは可能だとしても)。ホラーとしては、だからこれって、怖いのは「罪と罰」なのか、それとも或いは「頭に隕石が落っこちて来るっていう事故」なのか、てコトになっちゃうのでして、んでフツー、人間が人間としてより恐ろしいのは・恐れるべきは、絶対に前者だと思うのです。それダケちょっとダケ、最後に一言言いたくなってしまいましたかね。以上。 [インターネット(字幕)] 5点(2024-11-28 21:30:49) |
8. 怪奇な恋の物語
《ネタバレ》 モリコーネ氏の例のドキュメンタリを観て、観たくなって観てみたというヤツですが、そのドキュメンタリでの言及のされ方からも、かなりアート方面に寄った作品であるのは想像が付いてました。観てみると、音楽&画面のつくりは正に高度にその如く、かつ、内容としても主人公がドンピシャでソッチ系のアーティストってことでもあったのです、が、ストーリーの中身自体は翻ってワリとシンプルで分り易いとゆーか、その面からは単にホラー…だよなコレ?(Jホラーっぽいって言っても好いかもなコレ?)と言えるレベルかな~と思ったのですね。 しかし、オーラスは唐突に(て訳でもねーですが全体を通しての整合性からすればソコには反して)相当に奇天烈な終わり方をしてゆくのですよね⇒正直訳ワカメ。んで、Wikiを覗いてみたら「ジャーロ作品」の一言でそれが片づけられちゃってて…と言いますか、でもコレってジャーロなんすかね???少なくとも、前述どおり映像や音楽自体のアートみとゆーのは通常のジャーロよりはまま高度だったと思われますし、その上で、ソコに加えてお話の方も余りにメチャクチャだと流石にバランス崩壊する…て意図が透けて見える位には(重ねて)シンプルなホラー・サスペンスだったと思われるのですよ。やや、一種のインモラルな要素が強力+時代を鑑みれば血ミドロ具合も比較的エゲツない、とそれが為に本邦ではあまり普及して来なかったという作品にも思えておりますが、ジャーロと言ってしまうよりはもう少し広く、イタリア製のホラー・サスペンス&アーティスティックみたいな系統のクラシック作品として、多少更に評価されても好さそう…みたいな感想は持ちました。一点ダケ、これは素直にジャーロっぽい…?と言っても好いのかなとゆーか、中身も音も演技も至極不安(不安定)な上に、加えて撮り方も終始かなりガチャガチャっと観にくくて、ソコに関しては私の好みから…という意味ではだいぶ外れてた、てな感覚では居ります。 [ブルーレイ(字幕)] 6点(2024-11-24 19:15:39) |
9. 汚れた血
《ネタバレ》 SF的な風味付けもされてるにはされてると思いますが、大枠は彼の国伝統のノワール的な構造(オッサン・オッサン・美女+感情移入がし易そうな若造の主人公、な~んて建付けも含めて)を大々的に有している…と当初は見えているのです。が、最後まで観終わると、ソレがそうっぽいのはワリとごく最初と最後ダケで、中盤は全然(全っ然)ノワールでもナンでもなかったな…とゆーか、んで私も正直そこんトコロ自体は=観てる真っ最中は結構モノ凄~く違和感を覚えながら観てたなっちゅーか、それ自体は率直にネガティブな感想としてまずは伝えて置きたいのですね。やっぱ私、ノワールのノワールたる「ニヒル」な世界観って、実際にこの世界が正に「虚無である」ってコトそのモノの抽象だと思ってる⇒そこに、ヒトのヒトたる「虚無でないナニか」を控え目にもごく明確に主張してゆく…というさりげなさこそがノワールの最大の醍醐味だと、比較的強力にそー思ってしまってるので在りますのよね。 がしかし、違和感を覚え…と言いつつも、その中盤の長い長いマロいふたりのシーンのクオリティ自体は実に素晴らしくシャレオツだったとも思いますし、冒頭からもな~んか妙に「リズムの好い」映画だな…と思って居たりもして(音は大して鳴らずとも⇒これは確かに「音楽」なのだ、と)加えて言うならばジュリエット・ビノシュの類稀な可憐さその他諸々といい(⇒今作のこのジュリー・デルピーをも全く寄せ付けないってのはスゴすぎる)てゆーか今作のビノシュは中々に=映画史に残るべきってレベルに実に卓越した仕事を成し遂げるな~と思うのですよね。若いのに、否、その若さも含めて、且つは思いっ切り年上&年下のふたりの男の狭間に揺蕩うっちゅうモロ出しの二面性の見事な表現も含めて、個人的にはあの『レオン』のマチルダ=ナタリー・ポートマンを少し思い出しちゃったりもしましたよね⇒作品としてはコッチの方がフツーに先行ですケドも。 んで結局、中盤で結構(個人的には)盛り下がったりもしたものの、最終的には=コレはたぶん(少なくとも単なる)ノワールじゃない…と悟った上で最後まで観終わった暁には、好い~映画ジャ~ン!!と完全に思い直すに至りました。前述した(私の思う)ノワールとは違って、もっと青臭く・もっとプリミティブに・プリミティブなナニかを叩きつけて来る様な=ある種の「叫び」の様な映画だ、とは思いつつも、その絶叫の内容自体には結構思いっ切り共感できちゃった、と言うしかないのです。最終手段として、男って「格好好く死ねればソレで好い(⇒多くは、愛する人の為になら)」という選択肢を最後まで捨てるべきじゃねーんだよな…とゆーか、とか言いつつも(再び)もうそんな価値観の青春映画がつくられる時代なんて二度と来ねーわ!(否、来るべきですらねーわ!)とゆーか、書いてて思いますケド私も中々こーいうトコロのアップデートが侭ならない人間なんすよね………結論、もう一点加えようかを少しダケ迷ったコトを潔く告白しつつ、やっぱ中盤は長ーよ、と思ったコトを言い訳にこの点数に留めておきます。追伸、三部作らしいので他のも観ます。 [DVD(字幕)] 8点(2024-11-17 15:51:37) |
10. グラディエーターII 英雄を呼ぶ声
《ネタバレ》 前作も実は、完全版は劇場公開版より少し長くて約3時間…という長尺だったのですが、今作も今般の公開版でほぼ2時間半…という(史劇映画としてはむしろ適切に思えるレベルの)大作にはなってます。しかし、冒頭から決して諸々のクオリティ自体は低くないものの、残り1時間位までは正直、まずは殆ど「前作と同じ話」+且つはまたあらゆる面で何もかもが「軽い」という、ごく残念な方の印象が強くって、率直に全く面白く観れては居なかったですね。前作の時代より更に深まった筈のローマの混迷の様子も、そして何より主人公の「怒り」にも、とにかく全く体重が乗っていかないのですよ。主人公のハンノ=ルシアスに関してはまた、その怒りをぶつけて殺すべきがアカシウスではないコトだって最初っから分り切ってるじゃあないですか(という意味でも再び白けてしまって)。 ただ、残り1時間を切った頃からは、その辺はむしろ「トリック」と言うべきモノだったのではないか…と思えるホドに、前作とは全く違った話になってゆくのですよね。その部分の仕掛け+運び方自体は、実は前作の冒頭=端緒からも繋がって居たと思える様な、両作を通しての普遍的なテーマ(の描き出し)にもソレが見えてくるかの様な、非常にテクニカルな好い仕事だったとは思われるのです。しかし、私自身はまた正直、ソコにも(否、ソコにこそ)あまり共感は出来なかった⇒何故なら、今作が(否応無く)史劇である以上は、またソレこそが「幻想」であるからだ(⇒我々は確かに、この後もローマの堕落は最後まで止まらなかったと知ってしまって居るからだ)としか言い様が無いのですね。今作のラストに描かれるローマの勝利というのは、それこそ彼らが劇中で都度口にするローマの(或いは人類そのものの)「見果てぬ夢」でしかなくて、私はむしろソレがそう描かれたこのクライマックスからは、ペーソスかノスタルジィか、その類のナニかしか強く感じ取れないのです(⇒重ねて、今作が「史劇」であるからは)。そしてもし、そういったモノを描くコトもが、今作の目的の一つだったとしたら、ならばそれは(勝利ではなくて)むしろ、敗北を描く方の映画ではないかな、とさえ思ってしまったのですよね。結論的には、終盤はやや史劇の手を離れて、むしろファンタジックに・地から足を離してゆく様に終わっていっちゃったな…という感覚が(再び)強いですね⇒その辺りについては、端的なストーリーそのものも、少し雑で整合性に欠けるきらいが強かったとも感じますし。 思ったのはやはり、史劇こそ・史劇にこそ、描かれるべきはむしろ唯「人=人の在り方」だ、というコトです。そして尚、ある「理念」に依って、その「人の在り方」自体の軽重をも定められると、もし考えているのだとしたら、私はそれは、人間性に対する「傲慢」ですら在るかも知れない、と思ってしまったりもするのですね。 [映画館(字幕)] 6点(2024-11-17 14:15:28) |
11. ナイトスイム(2024)
《ネタバレ》 まず、非常にホラーらしいホラーだとゆーか、嘗てのJホラー(否、今だにこーいうのばっかりか…)的な起承転結に加えて、個人的には序盤からのスピード感=ごく徐々にジワジワと盛り上げてゆく感じなんかも、このマンネリがもはや逆に心地好い…くらいな気持ちで観てましたよね。んで、ホラーのみならず、何となく「水中撮影」とゆーのも映画自体のトレンドでもあるのかな…とは思ってまして(⇒ホラーだと『ザ・ディープ・ハウス』とかが記憶に新しい)殊ホラーにおいてはやはり、非常にお手軽に「空気が無い」という緊迫感を場面に添加できるというコト⇒プラス、更に今回の水場は家のプールというコトでソレはソレでまたホラーとしては一つのシチュエーション=ファミリーもののホラー、をごく自然に描いてゆけるって条件だったのかな…と思ったりもしますよね。 まあ、ゆーてごく非常に「手練れ」な方たちの仕事ですので、ソコまで決してそんなに悪いホラーだったとは思わないのですケド(+諸々まあまあ気合とおカネの掛かった作品だったとも思えましたし)でも観終わっても満足感とゆーか、それ以上に納得感が確かにだいぶん薄かったですかね。第一には、冒頭で述べた「この形式」のホラーであれば、真相にはもう少し「理路整然としたモノ」が必要だったかと思いますね⇒更に突っ込んだ言い方をするなら恐らく、この「真相」とゆーのを最初から知っている「悪意ある関係者」とゆーのが誰か必要だったかな…と思います(⇒んで、この家族的な建付けだとソレはちょっと難しそう…と思ってしまうのが正直なトコロで…)。もう一つはシンプルに、コンセプトだ舞台設定だナンだ…の部分には、理解できなくもないモノや事情或いはトレンドを汲み取れる…とは言え、どーしたってソレは料理で言ったら「お皿」その他だとも思うのです⇒つまりは今作、肝心の料理そのもの=ホラー描写が(また正直)ど~れもイマイチでキレも無いんすよ。。やっぱね、水の怖さだナンだァゆーといて、その水の中に(いつもの)ゾンビみたいなバケモノみたいなモンを出し捲っとったら意味ねーやん!とゆーか。。少なくとも二点め、ホラー描写にもう少しセンスが在ったら全然化けた作品かな…とは思われます。やや残念。 [ブルーレイ(字幕)] 5点(2024-11-12 23:09:26) |
12. 地獄のヒーロー
《ネタバレ》 正直、気になるトコロは無限に在る…とゆーか、ベトナム戦争もののアメリカ万歳映画!な~んてキョウビじゃ既に在り得ない建付けでしょーし、80年代とは言え技術的にはB級もB級、本当に物理的に頭空っぽにしないと(=鉤爪かなんかで脳味噌を鼻から引摺り出しちゃわないと)観れない様な映画だ!とすら思ったりしますよ(ちょっと言い過ぎかも知れませんが)。でも確かに、それでも終盤は結構エキサイティングに楽しめた様な気もするのですね(テンポも好かった気がする)。あのボートが効いてるんですよね~多分……こーいう映画にも立派な「使い道」は絶対に在るとは確信しつつも、前述のアメリカ万歳!がごく鼻に付く感じが強かったコトを考慮して、それでもワリと迷いに迷った挙句にこの点数にしておきます。機会があれば。 [インターネット(字幕)] 5点(2024-11-11 22:23:12) |
13. ファイブ・ナイツ・アット・フレディーズ
《ネタバレ》 今作は流石にちょっと、途中まで観たトコロで、余りにもストーリーの意図が(⇒どうしてこんなに要素を増やして複雑にしているのか)がまるで汲み取れなかったので、原作のゲームの方を少しばかり調べてみたのですね。すると結果として、その理由とゆーのは概ね理解できたとゆーか、二点、まずは「そもそも原作に(映画化に足るホドの)ストーリーが無い」とゆーのと、あとは「こんな危険なバイトに(5夜も連続で)来るワケが無い」という最大の無理筋・難点を何とかする為に(恐らく)こーなっている、というコトだと思うまでには至れたのですね。ゲーム自体は、少なくともゲームとしては非常に興味深い・面白そうなゲームで実際に大ヒットしているってコトなので、クオリティはどうあれホラー映画として仕上げてしまえばその時点で勝ち…みたいなコトだったのかとも思うのです(⇒実際、評判は正直好くないよーですがヒットはしたってコトらしい&続編も出るらしいので)。が、コ~レだったら流石に私も、単に映画としては例の『ウィリーズ・ワンダーランド』の方が完全に面白いと思ってしまいますですね。イマイチです。 ※でも、別に私は『ウィリーズ・ワンダーランド』が他のホラーよりも面白い、とはあまり思ってないのですケドね。 ※それでも、やはり私も「ナンで『ウィリーズ・ワンダーランド』が既にあんのにこんなローテンションなつくりにしてんの?」とは、否が応でも思ってしまいますケドね。 [インターネット(字幕)] 4点(2024-11-11 22:11:08) |
14. シシリアン(1969)
《ネタバレ》 時代的なトコロもあるのでしょーが、特に中盤が(かなり長いコト)サスペンスとしては&ノワールとしたって、ごく非常にマロいのですよね(=ちょっと眠い)。序盤にはドロンが(半裸で)走り回る様なシーンもあったり、またオーラスの辺りは(急激に)テンポもかなり好くなってったりもするのですケド、その辺も含めて多少「時代」を感じざるを得ない…みたいな感じではありますかね。 だから正直中盤は、名優3人の演技をボ~っと眺める位しかやるコトがねーのですケド(女優も今作では個人的には今一つパッとしない様な気もするし…)ドロンとヴァンチュラはともかく、ギャバン御大はちょっとあんなに老け役につくり込む必要はあったんすか?と思ってしまいますかね⇒隠居間近のマフィアのドンという役回り+実年齢も60半ばだし…とは言え。。そもそもストーリー自体もやや焦点が絞り切れて居ない様な感じで、ボ~っと眺めてる分には宝石強奪のトコロなんかはまずまず鮮やかな仕業!にも思えたのですケド、そっから先はクライマックスの盛上りもイマイチだし…と、ストーリーにも(率直に)そこまでの面白みは無かったかも知れない…とは思ってしまいますよね。 しかし、再び個人的には、終わり方(とゆーかその「呆気無さ」)には、中々に味わい深いフレンチ・ノワールの真髄を感じられたという気もするのですね。この話って結局のトコロは、あの時あの瞬間にテレビにあのシーンが映らなかったら…という、実に些細なコトを切っ掛けに最後は皆が破滅する…というお話だと思えて居り、それはその「悪が栄えるコトを許さない」という意味でもごく正しいノワールの終い方だと思うのですし、それもまた全体のアンニュイさ(+例のモリコーネの気怠い音楽)にも適合していたと思うのですよね。まあ、再々度、その破滅をもたらした最大の元凶は?と少し掘り下げるならば、ドロンの色ボケと、そしてギャバンの「家族」というモノに係る頑固さ+嫁ごときを御しきれなかったという少しバカリの(しかし致命的な)油断、という、これまた些か気の抜けてしまう様な人間臭さ、だと思ったりもしますケドね。 [DVD(字幕)] 7点(2024-10-13 01:30:06) |
15. ベイビーわるきゅーれ ナイスデイズ
《ネタバレ》 観てる最中は率直に、最終作にしては脚本が弱いな…(話にスペシャル感がねーな…)と怪訝に思いつつ居たのですケド、なんかどうも根本的に勘違いだったよーで(⇒でもポスターに「最期」みたいなコト書いてなかったっけ?)別に今作が完結編というワケではないってコトみたいですね。。ただ、映画のつくりそのものはかなりグレードアップしてまして(宮崎ロケとかもそう)、前田のあっちゃんも然るコトながらやっぱ池松壮亮さんの存在感とゆーか端的なクオリティは凄かったですね。アクションの質・量も申し分無く、多少クセは有る方の映画だとは思いつつ、それでも娯楽作としては(既に)手堅いってレベルで広く楽しめるのではねーでしょーか。やはりオススメは出来るシリーズですね。 ただ……再度言わせて貰うと、ちょっとお話自体の出来 or 中身の詰まり具合みたいなトコロには、やや残念な感じも在りますかね。特に、前述どおり池松さんは役づくりからして相当に高度に好い感じに仕上げてきてたと思うのですが、その意味ではちょっと「喰い足りない」とゆーか、もっとココにもクオリティを詰め込めたのではねーか…的な感覚もあり(その辺は、もしかしたら前田敦子さんのトコロにも同様のモノがモヤモヤしてるかも知れません)。主役のふたりのシーンで(アクションにしてもドラマにしても)少なくとも映画の半分は埋まってしまう必然があるハズなのですから、残りの半分は誰かの話に絞った方が…というコトかも知れないですかね(実際には中々そうもいかず、他のモブキャラの話だって挿し挟まずには居られないのであって)。コレはもう、連続ドラマの方も観れば好いのですかね…??… [映画館(邦画)] 6点(2024-10-12 22:18:06) |
16. トランスフォーマー/ONE
《ネタバレ》 序盤の感じはごくお子様向けとゆーか、あんまし必然性も無くレースシーンとかに入ってく辺りなんかはこないだのマリオの映画か!てな感じでもあり、正直若干侮っちゃう様な感じで観てしまっても居たのですケド、後半は俄然けっこうシリアスに展開していって⇒んでど~見ても小物でしかないセンチネルを脇に置いやってのクライマックスは相当に重厚なお話として大盛り上がり!だったので、ソコになんか意外性とゆーか「してやられた」感までがしっかり感じられて(ソコが)私の評価にも反映されてるかとは思います。中々に見事な観応えだったと思うのですよね。アクションやロボットの造形は流石のハイ・クオリティで、コンパクトさ・テンポの好さも娯楽・ファミリー映画向けにはごく適切だと思いますね。一つ、続編が在っても無くても全然成立する…みたいな終わり方だったかとも思いますが、どーなるコトやら。。もう一つダケ、字幕版は、主役二人の声(クリヘム&ブライアン・タイリー・ヘンリー)に関しては、個人的にはちょっと「太すぎる」気がして、私のごく勝手な個人的印象からはちょっと離れているかな…という気もします⇒なので、再見するなら吹替で観てみようかと思います。 [3D(字幕)] 8点(2024-10-09 21:08:49) |
17. 志乃ちゃんは自分の名前が言えない
《ネタバレ》 根本的には、非常にオーソドックスな青春映画だと思うのです。これもまた、いずれ世に打って出なければならない若者たちが、その為に必要な「自信・自己肯定感=コンフィデンス」と言うべきモノの端緒を掴むまでの物語である、とは思うのでして。中で第一の主人公は、その面においては極めて劣悪な状況から物語をスタートしているとゆーか、冒頭30分位までは(個人的には)かなり観ていて居た堪れない、という映画ではありました⇒でもそれは、少なからず私自身にも(多少レベル感は異なれども)それと同様なナニかが「身に覚えの有る」コトだったからだと思うのであって、だからやはりこれは非常に普遍的な青春の物語なのだろう、とは思うのですケドね。 ある種ニつほど、そーいうオーソドックスな青春映画であるコトの上に、付加価値的にこの映画がオリジナリティと言うべきモノを備えて居るとしたら、一つそれは、ソコまでは(やはり)ごくオーソドックスに分り易く展開を運んでくる一方で、終盤からクライマックスにかけては(急激に)ごく繊細で曖昧な物語としてそのテーマが語り上げられる、というコトでしょうか。この部分に関しては、殆どあらゆるモノ=ブチまけられる感情が沸き起こる「理由」というのが、作中に明解に表現されて居る訳ではない、という様にも見えました⇒なので、逆に、その部分はそれこそ如何様にも観る側の自由な想像に任され得る、とも思います。私自身は、根本的にはそれでも、実に非常に「正しい」方向に進んでいった物語だと感じて居ます(⇒それは、前述の序盤の居辛さを越えて以降も決してただ居心地の好い物語では無かった…とは言えども、その先に現れた方の辛さや優しさや、そして種々の「傷の痛み」については、それがその彼らの人生において意味せんとするトコロが、全て正しい「先」に向いていると感じた、という意味でです)。二人が菊池に示した受容の在り方も、年齢に不釣合いな加代の優しさも、そして何より志乃の種々の怒りも&でもそれでもその怒りを実際に口に出すときに彼女が選んだ言葉の一つ一つに至るまで、あくまで私における「想像」の上からは、実に筋の通った&共感の可能な物語だったと、私自身にはごく非常に得心の行く作品だったのですよね。嘗ては、この手の作品を観るとどーしたって「原作も読んで…」みたいな欲求が芽生えたりもしたのですが、最近は&そして今作に関しては、そんな必要は無いかな、と思う様には為りましたかね(⇒驕りに聞こえたら申し訳無いのですが、それでも、私は「コレはコレとして」つくられている作品だ、というトコロには、ある種の確信を持っている、というコトではありますね)。 もう一つ、今作がスペシャルである理由は、何はともあれ主人公役の南沙良さんですね。一言、素晴らしい演技でした(⇒もう一つダケ付け加えるなら、クライマックスはもう、真の意味で=演技としても単に一人の人間としても、正に圧倒された、という感があります)。「原作を読んで…」みたいなコトの必要性は感じていない、と言ってはみたモノの、彼女がそういったシーンをどういう解釈のもとに演じていたのか、というトコロには、興味が無いと言ったら(全くの)嘘には為ってしまいますかね。加えて、蒔田彩珠さんも負けず劣らずの好い出来だったと思いますね⇒こちらは、個人的には、ややゲスいかも知れませんがとにかくルックスが超・好みだった(=ここ数年のあらゆる映画の中で最もその意味でココロ揺さぶられた)というコトなのですよね…… [インターネット(邦画)] 8点(2024-10-07 21:13:28) |
18. 殺しが静かにやって来る
《ネタバレ》 モリコーネ氏の例のドキュメンタリを観てコッチも観たくなっちゃった第一弾!なのですが、内容自体は典型的なるマカロニ・ウエスタンで、かつ件の氏の音楽も(多くの部分では)オーソドックスな氏のマカロニ系だとも思います…が、まずはそのお話が全編通して白銀世界の中で繰り広げられるというコト、マカロニの中でも相っ当なハードボイルドって方であるコト、加えて、肝心なシーンでは氏の手になる音楽もまた実に高尚なっちゅーか本格的なっちゅう風情に溢れまくっていて(クラシック=純粋音楽ぽい曲も方々に多々あったりで)トランティニャンが主役だからってダケなワケではねーものの⇒その高度な芸術性&風格を鑑みるならごくハイレベルな方のフレンチ・ノワール的だった…みたいな質感すらも感じられてしまいましたよね。個人的にはその辺はズバリ、ドンピシャに好みだったと言えます。 しかし………確かに、このラストは、衝撃的とゆーか驚愕とゆーか、でも驚愕とゆーても「え、こんな終い方してもーて好いと思てんの?」みたいな悪い意味での意外性だとゆーか…(殊に前述どおり、内容そのものは結構オーソドックスな方なんだから…)百歩譲って、トランティニャン以下があーなるのは(私としても)涙を呑んで善しとした…しても、それでもどーしたって(あのレベルで極悪!って)クラウス・キンスキーがああ為って(=ああも為らずに)終わるとゆーのは、コレは私としてもちょっとどーにも腑には落ち切らないのですよね。その点を考慮して、この評価としておきます(⇒ハッピーエンド版も流布してるってコトみたいですが、どーでも好いって出来なよーなので観ずにおこうと思います)。 [インターネット(字幕)] 5点(2024-10-05 23:52:47) |
19. シビル・ウォー アメリカ最後の日
《ネタバレ》 今年は大統領選挙もあるので、極めてタイムリーで(だからある意味)「ポピュラー」で、そして実際にその方面にもっと素直に、スペクタクル系のアクション・娯楽作品として仕上げるコトだって実に容易だったハズだとも思うのです。が、観てみると全く全然そーでもなくって、ワリとのっけから思ったよりも遥かに「A24」的な映画だったとゆーか(⇒間合いだの空気感だの)、でもまァ、よ~く観れば最初から尺だってそ~んな本格的な超大作ってワケじゃあなさそうな感じでもありましたしね。 しかしそれでも、ひとつの大いなる驚きとして、私には今作って途中からは(寧ろ)ホラーにしか見えなくなっていった…とすら言いましょーか、言い方を少し変えるなら、個人的に最も今作と似た印象を受けた過去作品は?と言えば、たぶん恐らく『地獄の黙示録』かな…と思ったりもしますかね。「異世界」と言うには余りに「リアル」すぎる状況設定の下、それでもその「世界」も、或いは「人間そのもの」のカタチもまた歪み爛れ、最後には崩れ落ちてゆく…みたいな。でもまた、しかし、その映画の中の悪夢の様な「虚構」とゆーのは、よく考えれば何れも=どのシーンのどの画ヅラもまた、この世界の何処かで嘗て実際に顕現したモノばかりであって、そのコトは単に、我々一般人がそれを実体験して居ないダケ=んで今作の主人公達であるジャーナリストのみがそれを知っているダケ、というコトこそ、今作が最も我々に伝えたいコトなのだ、としたら、その時点で再び、実に中々に好く出来ちゃってる映画だよな~と、私としては唸らずには居られないのですね(⇒率直に、一本取られてしまったな、と…)。 私が勝手に見做すトコロのホラー・スリラーとしての観応え・キレ味もまた十人並な~んてモンじゃあ無かったってコトも踏まえて(⇒あのジェシー・プレモンスのシーンは、その観点からもやっぱ凄かったと思うのですよね)今作もまた、優れた着眼を始点に・監督の斬新でアイデアフルな「やりたいコト」とゆーのをモノの見事に体現している優れた作品だ、とは思うのですね。ただし同時に、根本的なジャンル(とゆーか映画が描くモノの方向性)としては、ど~にもコレって私としては、非常に「嫌いな方」の映画でもあるのですよ(⇒特にホラーとしては「大嫌いな方」のヤツ)。エンドロールの醜悪さも然るコト乍ら、その直前で、もう一人の主人公たるジェシーが見せた成長・辿り着いた境地とゆーのだって、それこそコレはその「ジャーナリスト」としては正しいと言えるトコロなのかも知れませんが、じゃあ単に「人間」としては…??と、個人的にはソコにも果てしなく疑問しかなかったのでもありますし。結論、そんなこんなでかなり評点は迷いましたが、前述の「してやられた」感をよりポジティブに重視して、この評価としておきます。どうせならこのタイミングで、観て損は無いかとは思いますね。 ※追伸:もう少しチャンと、上で名前を出した『地獄の黙示録』と今作を比較しておくなら、前提となる「状況設定」としてはたぶん『地獄の~』の方が今作より幾ばくかリアルで、かつ分り易いかなと⇒一方で、辿り着く「結論」の部分は、コレもたぶんどっちも同じ様なモノだとは思うのですが、やや今作の方がシンプルだったかなと。『地獄の~』の方は、終盤がまァ~サッパリ訳分かんないですからね。でも、今作のラストとゆーのも、表面的には明解だったとは思うのですが、コレも上で書いたとおりどーにもしっくり来ないとゆーか薄気味の悪い悪趣味な終わり方だった様にも思えて居て、やっぱ全然大衆的な映画じゃあねーかな…とは思ってしまうんすよね。見た目以上に「人を選ぶ」映画…という様な気もしますかね(⇒まァ、A24って大体そーいう感じか…とも思いますケド)。 [映画館(字幕)] 8点(2024-10-04 22:11:51) |
20. モリコーネ 映画が恋した音楽家
《ネタバレ》 編年体的と言うか、モリコーネ氏の長大なキャリアを最初から最後まで辿ってゆく形式で、かつ(当然の如くに)語るべきコトが膨大なのでこのボリュームになっている様です。序盤、やや「事実の羅列」的である様にも(再び当然に)思われたとも言えますが、最後まで観ると個人的にはごく適切な語り口だったのではないか…とゆーか、諸々の困難に対して最後まで試行錯誤・挑戦をし続けた=型に嵌らずにアイデアを出し続けた、とゆーのが、氏の偉大さの本質ではないかと思うまでには至ったのですよね。映画音楽とゆーのも、高度に専門的な分野だけに監督に依っても音楽担当との関わり方・アプローチも様々だとは思われますが、この映画を観る限り、モリコーネ氏に関してはソコはある種全て実力で「捻じ伏せた」とゆーか有無を言わさなかった…というコトにも見えました。がそれ故に、氏の関わった映画に関して言えば間違い無く、その音楽的な部分のアイデアとゆーのは全て氏の手に因るモノなのだろうと⇒それはつまり、氏がどういう映画に対して如何なるアプローチ・バリエーションで挑んだのか、というコトそのモノが、映画を志す者にとっては須らく探求の対象となるべき貴重な「遺産」と言えるのではないか…と思わされた=実感させられましたとも言えますね。その意味で、真に稀有な映画人だったのではないかと思いますし、同時に、今作もまた非常に観る価値の高いドキュメンタリである…とも、やはり思われてしまいますよね。 ※余談:映画(+氏の音楽)というシーンもふんだんなのですが、これまた全てが「名シーン」にしか見えず、観たコト有る映画もまたみたくなるし、観たコト無いのも観たくなるし…で(非常に個人的な事情ですが)ワリと大変でしたよね。。 [インターネット(字幕)] 8点(2024-09-24 00:25:29) |