1. 教皇選挙
《ネタバレ》 私の様な「部外者」が観てる分には、ただただ非常に重厚・硬質でハイクオリティなるサスペンスだった…と暢気に喜んで居れば好いダケだとも思うのですが、ふと思えば、まあまあ結構ラディカルな内容だったな~とも思われますね。肝心なコンクラーヴェの悲惨な有様と来たら、当初からの有力候補者なんぞ文字通り全員(=スタンリー・トゥッチですらも)到底「適格者」とも思われない様な有象無象の集まりでしかなくて…そしてラストの驚愕の「オチ」も、またコレだって中々の…とは言え、でもその辺には実際のヴァチカンだって「心当たりが全く無い」な~んて状況では毛頭無いって感じでしょーから、逆にソコをまろやかに描かれたってそっちの方がもはや気色悪いかな…とも。。 再度、外から観てる分には年イチ(或いは数年イチ)レベルと言ってしまうべき重厚な傑作サスペンスだったと思いますし、中で、サスペンスとしての筋書きの他にも、寧ろ宗教とゆーよりは「権力」って方面に関して諸々とモノ思わされる・考えさせられる=現代的で社会的なテーマ性も感じさせられる、様な「奥行き」も在ったかな~と思われてます。そして、終始何か妙に暗い(⇒パット見はだいぶ物理的に観にくい)画面の質感+音楽の(コレまた)硬~い質感とか、またレイフ・ファインズを筆頭とした俳優陣のスリリングな熱演の数々を含めて、演技・演出面のクオリティも再び言うまでもなく上質だったとは思われてます。流石、オスカー8部門ノミネートというダケあり、ごくごくフツーに鉄板な映画だったすね。 [映画館(字幕)] 8点(2025-04-01 22:55:44)(良:1票) ★《新規》★ |
2. インフィニティ・プール
《ネタバレ》 個人的には、観終わった瞬間は正直「サッパリ分らん…」という感じでしかなかったのですが、ソレでも、クローンとしての「自分を殺す」みたいなトコロにはそこはかとなくテーマとして感じ取れるモノは在ったのかな~とは思われて居ました(⇒言い訳として記しておきます)。んで、観終わってからちょっと、解説とか他の人の意見・感想も探してみると、概ねその方面に向けては(人間性そのモノに於ける)ごくグロテスクで且つシニカルな一つの解釈が可能…という作品だったのかとは思い直しても居ます。ただ、仮にそういったモノが明確に(裏に)在ったのだとしても、あくまで私の評価=感想としては「ちょっと分り難い=分り易さを欠く」というコトでもあるので、評価自体はこの位に留めておきます。一言ダケ付け加えるならば、主人公にせよミア・ゴスにせよ(上述の「後から気付いた」背景事情を踏まえたとしても)キャラクターと行動に一貫性が無さすぎる…と(観てる最中も&後からも)思ってしまったのですよね⇒特にミア・ゴスの方。ミアちゃんに関してはもう一点、冒頭からも一見また非常に高度に「一癖有りそうな」&「ヤバそうな」極上のオーラを纏って居たのですケド、最後まで観るとその面のクオリティ=尖り具合は寧ろ却ってそこそこ・まあまあ程度の落ち着いたモノだったのかな…?とも思えていて、率直に「ちょっと勿体無い」位な感覚を覚えたコトも評価には反映しております。 ただ、もう一つ申し上げておきたいのは、私自信も(チンプンカンプンに)観終わった瞬間からも、もう少しチャンと理解したい(⇒ナンならもう一回観直したい)と思わされるホドには、映像その他の(映画全体としての・内容以外における)クオリティの高さとゆーのはごく立派に備えた作品だったというコトですかね。監督の、親父さん譲りと言って好いであろうサイケでエログロなショック映像も(それが寧ろ逆に月並…だと感じる人も居るのかも知れませんが)私自身はまだまだごく興味深く観てゆけたってトコロではありますし、他、もっと物理的な(スプラッタ)描写以外のトコロでも、そもそもの島のリゾートの心地好い情景(⇒だケドも、同時に何とな~く人工的な「違和感」も感じられる様なヤツ)とかだって、結構精密につくり込まれた上質な映像だったという感覚は十分に有るのですよね。監督も、まだ三作目ですし、それでこの出来はやっぱ全然悪くないと思うのですよ⇒引き続き今後に期待してます。 [インターネット(字幕)] 5点(2025-04-01 07:32:00)★《新規》★ |
3. リンダはチキンがたべたい!
《ネタバレ》 主人公が8歳の女の子ってアニメだというコトからも、後半のコメディはごく子供向けっぽいハチャメチャ&ドタバタって感じの質感で、また全体に対する割合的にはその子供向けな辺りがメインだなコレ…と言ってもいい作品かとは思われます。が同時に主人公と周囲の人々の背景にチャンとドラマが在るのも十分に察せるトコロではありますし、もっと言えばアニメなのに何となく彼らの生活がごく高度に「侭ならない」感じであるコトには最近のフランス映画に多く見られる社会的テーマみたいなトコロも感じられますし、何よりも、手書きアニメとして相当にユニークな表現を実験的と言って好いレベルで貫き通しているコトからだって、子供向けアニメの枠に嵌り切らない色々な美味しさが(76分に)凝縮されていた…と言うべき作品なのかとも(大いに)思われます。かなり評判の好い作品だったと(⇒本国でも世界でも日本でも)記憶しているのですが、確かに十分に見ドコロの在る映画だと感じました。興味があれば。 [インターネット(字幕)] 6点(2025-04-01 07:23:49)★《新規》★ |
4. トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦
《ネタバレ》 本国で空前絶後の大ヒットを記録した…という香港製カンフー映画で、とは言え、お話の内容的にはごくオーソドックス、でまたあくまで個人的には「あんまし見たことある人ばっかりじゃないな…(サモハンは別にしても…)」みたいな感じでは(第一には)あったのですよね。加えてカンフー自体の質感も、最近の中華製娯楽アクションかまたは(邦画だと)『キングダム』みたいなごく「漫画的」な感じとゆーか、高度にCGその他のアシストが施されているって方のヤツで、個人的には(少なくとも本場・香港製のカンフーだってならば)好みか否かで言ったら本音は後者…みたいなことでもあったのですよね。しかし、そのカンフーのクオリティ自体やボリュームはかなりゴージャス!だったとも思われますし、先ほどオーソドックスとは言ったものの、お話の中身の方にも俄然感情移入して血沸き肉躍る!こともごく容易だったとも思われますし、再び個人的にはもう一つ、肝心の「九龍城砦」のつくり込み=セット美術その他のトコロ、が(終始)実に好い雰囲気・優れたクオリティだったと思ったのですよね。諸々、完成度という意味ではこのジャンルに留まらずに、映画として相当に高度なソレがあったのではねーか…と思われているトコロです(⇒超・出来の好い娯楽大作である、と)。お暇なら是非。 ※蛇足:あと二つだけ申し上げるならば、好い方のコトとして、今作では(実質ラスボスの)サモ・ハン+その右腕…のチンピラ風のヤツがフツーにしっかりと超強敵!(+味方もオッサンが皆強い!)とゆーのがナンか好かったと思ったのですね。んで、好くもない方のコトとしては、ネタバレには為りますが結局龍捲風と陳占の関係性ってどーいうモノだったんすかね?⇒ちょっと調べた感じだと、要は「ロミジュリ」みたいなコトだって言ってる人もいて、私としては???となってるトコロではあるのですが……(原作を読まないとアカンのすかね……?) [映画館(字幕)] 8点(2025-04-01 07:21:09)★《新規》★ |
5. 心中天網島
《ネタバレ》 『天網島』とは、心中の現場が網島であるのと同時に「天の網」=疎にして洩らさぬアレ、とも掛けてあるのだそーで、コレも20年ぶり位に再見して気付くのは、心中だからってメロドラマでも何でもない、人間の「性」とか「業」とかってのを剥き出しにしてくる様な、ごくグロテスクなお話だったってことですかね(⇒20年前に比べれば、その「黒子」の役目が非常に好く理解できた、というのが第一の発見としてあります)。主に、紙屋治兵衛の情けなさに中々同情してゆけないことが、この物語を悲恋ものに見せてはくれない…という感覚もあるのですが、小春・おさん含む他の登場人物の振る舞いとのバランスも鑑みると、ただ治兵衛(&小春)を突き放して観終われば善い…というダケの映画には(私の中では)また決して為ってはおらず、何とも好ましく、複雑でやり切れない妙なる鑑賞後感を得られたとも思うのです。たった一文字「終」を投げ遣りに映しっ放して終わってゆくオーラスも、個人的には非常に好みなモノだったと言えます。 ただ、それは、演劇の脚本としてのシンプルな高品質ぶりも含めて、やはり原作=古典の持つチカラだとも思うのですよね。しかし、今作は加えてソコに、その古典の意義を損なうことなく、映画としての固有で新規的な表現のクオリティをつくり込むことが(その辺の古典原作映画とは比較にならないレベルで)立派に出来ていた…という意味で、やはり傑出した作品だと(再び)思われました。月並な感想だとは思いますが、やっぱ構図から何から徹底的に考え抜かれてつくられてる映画だなァ…とはモ~唸らされてしまいましたよね(⇒んで助監督で入ってる小栗康平さんが、この約10年後に『泥の河』を撮ってるのだなァ…とも得心したと)。願わくば、古典をこーした様な映画を、また再び邦画で拝見したいものですね。 [インターネット(邦画)] 8点(2025-03-29 15:15:14)《新規》 |
6. かそけきサンカヨウ
《ネタバレ》 正にそのサンカヨウの花の如くに非常に繊細な映画だとは(第一には)思われます。且つそれ故に、監督その人はまた非常に作家性の高い個性的な方だと当然に認識しつつもその個性が強く感じられるという方の作品でもなかったかな、と思われるのが(また)正直なトコロではありますね。お話の内容としても、主人公は明確に志田彩良さん演じる女子中学生⇒で鈴鹿央士くんの演じるその同級生がサブ…だとは思えるものの、他にも色々な大人達にも確りと背景事情とドラマ=見せ場が在るという意味ではまま群像劇にも見える⇒筋がはっきりと一本通ってると言うよりはどちらかと言えばややフワフワっとした(+加えてその上でごくごく繊細な…という)方の作品であった様には思えるのですね。諸々と、色々な意味で多少「好み」は生じる方の作品かな、とも。 ただ私も、再び正直に、監督の名前にこそ最も食指を動かされたという事情は在るのですが、それでも今作、全然観て好かったな~とは思えたのですよね。元が短編小説で、未読ですが(というコトは)映画化に当たっては脚本を映画サイズに膨らませる、みたいな作業も必要だったハズだし…とか、その上でも(重ね重ね)ごく繊細かつ非常にゆったりとした会話の間合いなシーンが多い(⇒特に志田さんと鈴鹿くんの二人のシーン)というモノを、そんなに当り前の様にココまで「観れる」映画に仕上げるってのは並大抵ではねーよな…と思ったのですよね。今泉監督もそーですが、脚本の澤井香織さんも、モチロンこの2人のコンビの作品が沢山在るってコトを踏まえても、どっちも最近結構な頻度で作品を拝見させて頂いてて+且つまあまあ当たりを引く確率も高いのだよな…というトコロで、やっぱ実力者だな…とゆーのを(今作を観ても)再認識しました。その意味でも、寧ろ私は、ひとつのバリエーションとして(今作を大いに)楽しめた…というトコロですね。機会が在れば是非。 [インターネット(邦画)] 7点(2025-03-26 23:31:05) |
7. 刑事コロンボ/逆転の構図<TVM>
《ネタバレ》 非常に安定感がある作品だと言うか、ごく典型的なコロンボだ、と言うか、中盤の追い詰め方(⇒ディック・ヴァン・ダイクが次第にイライラしてゆく様子)も、またクライマックスの仕掛けだってまずまず鮮やかに見事に決まったとも思うのですね。観る価値・観応えはまま十分だった・十分に楽しめたかと思います。 ただ、前述どおり鮮やかではあるものの(=意表を突く、という意味では)その仕掛け自体の「タイプ」としてはまたワリと典型的だったとも思いますし、事件発覚からの調査状況も全体的にちょっと雑(=もっと緻密に捜査・証言取りをしてゆけばもっと速攻で破綻しそう)でもあり、あと一つ、細かいですが、犯人の動機(=何故、離婚するとかではなく殺さなければならなかったのか)にも明確な説明は無かった様な気がしてそれも雑かな…とも思われました。なのでこの位の評価で。 [DVD(吹替)] 6点(2025-03-17 22:34:34) |
8. 十福星
《ネタバレ》 福星シリーズの続編ではあるのですが、もう一つ『悪漢探偵』という作品からも登場人物を借り出して来ており、そもそもその『悪漢探偵』の監督とゆーのが福星シリーズの「チビ」ことエリック・ツァンその人だ…という事情のよーです。前作・前々作までの「五福星」もチラリとは登場するのですが、チームとしてはメンバは総取っ換えで(サモハンを除いても)コレがまた5人居る…というコトで「十福星」なのでしょーかね。ジャッキーもユン・ピョウもまた降板しており、五人組の新リーダー?(とゆーかカンフー面での主役)的なトコロもアンディ・ラウに代替りしていて、アクションの大半はこの人の仕事になってますね。実際、主演な筈のサモハンすらも、その存在感は前作よりも更に薄れてしまってるって気もしました⇒中盤のいつもの悪ふざけには全く関わりませんし、アクションもオーラスだけ美味しいトコロを持ってってはいるのですが、基本は『悪漢探偵』から借りて来たカール・マッカさんとシルヴィア・チャンさんとの三角関係痴話喧嘩コメディの方に注力してる…みたいな感じっすね。中盤の(セクハラ)悪ふざけの犠牲者は、今作ではマリア・モックというエキゾチックな美人女優さんが務めてました(⇒まあ、私はどちらかと言うと今作では、ナンだカンだシルヴィア・チャンさんの方が遥かに魅力的には見えてしまいましたケドも)。ラスボスの松井哲也さんの雰囲気・オーラも中々のモノだったとは思うのですが、シリーズ作との前後関係を鑑みてこの位の点数にしておきます。 [DVD(字幕)] 5点(2025-03-17 22:22:24) |
9. 七福星
《ネタバレ》 再び前作に引き続き(否、前作以上に完っ全に)悪ふざけ!⇒アクション!⇒悪ふざけ!⇒アクション!⇒悪ふざけ!(セクハラ!)⇒アクション!…みたいな、言葉を選ぶならば「シンプル」だとしか言い様が無い様な娯楽作・大衆映画的なヤツですかね。前作・前々作に出てたちょいイケメン(私の観た媒体だと「ダンディ」って役名)は何故だか抜けてて、ちょっとカンフーも出来る若造が替りに入ったと思ったら後半からは『五福星』のモジャモジャも(別人役で)再登場して存在感を見せつけてます。地味に、ジャッキー&ユン・ピョウの仲間役でアンディ・ラウが出てたり、ミシェル・ヨーも(別名義で)出てるんですねコレ。ジャッキーが負けたまま終わる…とゆーのが一部で有名ってコトでもある様ですが、相手役の倉田保昭さんは(確かに)ガチの武芸者だったっすねアレ。七福星と言いつつ、元々の5人は(もはや)ほぼ蚊帳の外…とゆーかサモ・ハンもオーラスまであんまし存在感が無いんですよね⇒正直、流石にちょっと太り過ぎちゃってない?と思ってしまいました。中盤からはヒロインもロザムンド・クワンにシフトしてゆくのですが+彼女も彼女で非常にキュート(⇒ちょっと沢口靖子さん的な感じ)かつかなり攻めたお色気シーンもあったりもするのですが、私はまたまた前作から引き続き出演のシベール・フーの方がやっぱ好みです⇒前作の経緯からしてもどう見てもユン・ピョウとデキてるんだから、最後ぐらいそーいうシーンつくってあげても好いのに…とすら思ったり。結論、またかな~り纏まりの無い映画だなァ…とは思いつつも、それはそれで(この手のに関しては)好いのか…とも思い直せる様な作品かとも思いまして、この評価としてます(ギリ、前作より好きかも知れないっすね)。 [インターネット(字幕)] 6点(2025-03-17 22:18:02) |
10. 五福星
《ネタバレ》 凄い!とか、痛快!とか言うよりは、唯々「楽しい!」て気持ちになれる…みたいな、ごくポジティブな映画かと思います。終始、ゆる~いコメディ調で、テンポもまったりでノリもお気楽で&音楽も実にそーいう方の質感で…とは思われるのです、が、とにかく楽しい(楽しそう)で、かつ私なんかにはごく「懐かしい」みたいな感覚も確実に在りまくるのでして、なので、観てる最中=多少細部まで値踏みをするって(いつもの)眼で観てた頃にはまァ~普通な出来かなァ…とも思われていたトコロも、観終わった時の感覚を重視してみるとこーいう評価になっちゃう…的なコトっすね。ソコは、大ヒットしてるダケあってある種の「完成度」の面に、確実に良作以上と言えるナニかが在る…という作品なのかも知れないとも思います。オススメ。 とは言え、特に中盤のジャッキーのアクションもキッレキレでしたし、それ以上にサモ・ハン・キンポーの動きは(ココだけは)凄い!凄まじい!見事!と言ってよい様なレベルだったとも思われます。今回、再見してよ~く見たら、地味にユン・ピョウとかラム・チェンインも出てるんですねコレ(⇒大昔に観た時は気付いてなかったすね)。個人的にはヒロインのコも、めっちゃ好みだってコトに気付いてしまいました(超健康的で)。 [インターネット(字幕)] 7点(2025-03-17 00:37:52) |
11. 大福星
《ネタバレ》 前作『五福星』は『プロジェクトA』よりも前の作品だったのですね(公開は同年とのこと)。今作も、その『五福星』にかなり似通ったホンワカ質感ではありますが、前作や『プロジェクトA』よりは何か「熟れた」感も有るとゆーか、勢いで突っ走ってると言うよりは⇒もう少し現代的な娯楽作(商業的娯楽大々活劇!)みたいな感じで、結果的にはまた非常に楽しく観てゆけたかと思います。カンフーも、冒頭のジャッキー&ユン・ピョウのシーンからして再びハイレベルでしたし、終盤のジャッキーVS忍者(やらナンやら)のトコロもドコとな~く「和風」な質感が面白かったですし、オーラスの大暴れはシンプルにも~オールスター大集合!みたいな感じで好かったと思いました(⇒やはり今観ると、肝心な汚職デカが再びラム・チェンインだったり&地味にディック・ウェイもまた出てたり、でフツーに結構豪華なんだよな~と思うのですね)。 ただ…お話は正直よ~分からんのと(⇒そもそも、根本的にサモ・ハン以外の4人は端的にも~要らなかったろ!と…)あと一点、中盤がかな~り長いことシンプルに下ネタ・セクハラ的な低級コメディを延々やったってて……娯楽大作とは言えど、流石にこの辺は(21世紀の感覚からは)ちょいイマイチだったかな~と思ってしまいました⇒中盤にも一発しっかりとカンフーシーンが在ったらば…とも思われますかね。ワリとかなり迷ったのですが、しかし、一応点数は上に寄せておきます(⇒ヒロインも魅力的で、特に意外に「和服」の出で立ちがナイスだったと思ったんすよね)。 [インターネット(字幕)] 6点(2025-03-16 22:26:50) |
12. ANORA アノーラ
《ネタバレ》 確かに、非常に面白く観れたコトには間違いはなかったのです、が、思ってたのとは少し違った…とゆーのもまた確かで、観終わってみるとかなり純然たるコメディだったって結論、なんすよねコレ…(且つ、今作の場合でその頭に「ロマンティック」って付けちゃうのは、それもそれでまた個人的な感覚からはちょっとズレて来るなと言いますか…) また、基本、マトモな人間がほぼ出て来ないってタイプのコメディでもあり、そのイカレっぷりからすると(寧ろ)主役のアノーラちゃん(+終盤にかけてはイゴール君)の方が結局は真人間に見えて来る…みたいなヤツだとも思うのですね(⇒とは言え、アノーラちゃんだってあ~んなクソガキに=こ~んな典型的なる与太話にまま真剣になっちゃってる辺りには、まだまだ「若さ・青さ」も強く感じ取れるな、とは思うのですケドね)。ソコで、そのアノーラちゃんに付与されて居るある「属性」にフォーカスすると(とゆーかフォーカスせざるを得ない状況からすると)、一般的に「蔑まれる」様な存在の彼女であっても、そうされるべきは(実は)彼女の方ではなくて「世界」=我々の方だったのだ…みたいなのこそが、やや現代にも通じるってテーマなのかとも思えて来ます。が個人的にはそれすらも、在り来り…とゆーか最早ちょっと「古臭い」とすら思っちゃったりもしますかね(⇒それこそこちとら、ロマンポルノやらナンやらでそーいうの散々に観てきてますからね)。監督が、主演のマイキー・マディソンに、役づくりの為に『女囚さそり』の鑑賞を勧めた…と聞いて(少なくとも私は)然も在りなん…と思ったトコロです。 ただ、前半のロシアのバカボンの乱痴気騒ぎ(⇒主人公が、急速に目まぐるしく「夢でも見てる」かの様に異世界に足を踏み入れていく様子)の極上のテンポ好さ、からの、中盤のドタバタ(ドッタバタ)コメディのキレ味、そして、個人的には映画の締め括り方=電池が切れたかの様に静かに(雪の降る中に)終わっていく感じも、また絶妙だったな~とは思ったのですよ(流石に私も観てて疲れちゃってました⇒なのでラス前、アノーラちゃんとイゴール君がまったりしてるトコロなんか凄くホッとして観れてました)。根本的なお話の内容もごくシンプル、且つテーマもやや使い古された様な…作品かとも思うものの、他方、演技・演出には特筆すべき見ドコロが在った…という(コレも)シンプルにテクニカルな映画だったとは思われましたね。やや高めに寄せてこの評価とさせて頂きます。 [映画館(字幕)] 7点(2025-03-16 00:59:12) |
13. 刑事コロンボ/祝砲の挽歌<TVM>
《ネタバレ》 個人的にコッチの方がかなり好きな作品で、やはり今作のパトリック・マクグーハンの存在感には少し忘れ難いものが在る、と言いますか……しかし、今回観てみるとまた、人物像としてのみならず、コロンボものの犯人としても、中々に魅力的で「手強い」人物だな、と思い直しましたよね。犯行計画も比較的精密ですし、要所要所での振舞いもごくさりげないですし、コロンボとの掛合いでも理は通しつつ、決して余計なことを言わない(=余計な嘘を付かない)のですよね。実生活でも喋り過ぎるきらいの有る私としても、何となく参考になりそうな気がして観ていました。 プラスもう一つ、忘れ難いのはオーラスの謎解きの明解さ・鮮やかさ・潔さですね!(⇒コレが観たくて今回観直したよーなモンで)ロケ地の広々とした雰囲気も含めて、作品全体としても記憶に残る様な傑作かと思いました。 [DVD(吹替)] 7点(2025-03-14 08:17:18) |
14. NOCEBO ノセボ
《ネタバレ》 お話のエッセンスの部分は、フツーに極めて純然たるホラーだと言うか、終始ごく超常的な出来事を描いた作品ではあります。しかし、そこでその話の語り口というのはホラーよりもだいぶサスペンス側に寄っていたと言うか、冒頭から明確にひとつ「謎」が在るトコロを、最後の最後まで明かさずに引っ張ってゆく…という形式の作品だったかとも思うのですね。その「謎=理由」のそのモノ自体は、ゆーて何とな~く「想定の範囲内」のコトには留まったかな…とも(再び)思うものの、それでも尚、まず舞台がイギリスと(肝心な方としては)フィリピン、というトコロには少しエキゾチックな物珍しさも在ったとも思いますし、また根本的に、ホラーとしての真相がごくアジア的な「因果応報」のお話だ…というのも却って少し意外性にも感じられるトコロだったかな、とも思いました(⇒非常に個人的な感覚として、あのエヴァ・グリーンがこ~んなアジア的な類のアレになっちゃうんだ…みたいなのが、そもそも結構に意外なコトだったと)。 ホラーの映像表現の部分などもまた、全編通して(その辺の月並な商業ホラーに比べれば)かなり抑制的だったと思うのですよね。しかし、それもこのごく真面目で真剣なお話に対してはバランスとして非常に適切だったと思いますし、全体の尺とかその他諸々も総じて各々がハイレベルに調和していた…とも思います。中で、個人的には特にやはり、そのホラー的キーパーソン・ダイアナのキャラ造形がまた中々に絶妙だったと思いました(⇒善悪や愛憎、また人か魔か、といった部分まで、実に絶妙に分ち難く…)。オーラスもこれまた、その「分ち難い」という意味で非常に「味」の在る洒落た代物だったかな…と、それでも個人的にはごく好い方の印象を持って観終わりましたよね。結果的には小品・佳作と言った方がしっくり来る様な類のホラーだったかとは思いますが、観逃すにはちょっと惜しまれる様な作品だとも思います。 [インターネット(字幕)] 7点(2025-03-01 18:31:11) |
15. 酔拳2
《ネタバレ》 16年越しの続編…というコトなのですが、それでもその中身自体は(若干の調整は入っている様にも思われるモノの)結局そんなには変わんない…というトコロだとは思うのですよね。しかし、まず16年を経たコトに依る諸々の映画技術の向上…みたいなコトから必然、映画として端的にだいぶ「熟れて」て、結果として非常に観易くなっているとは思われるのですよね。んで、そこで更に肝心なのが、にも関わらず(+ジャッキーも既に不惑を迎えているにも関わらず)カンフー自体の質感は逆にナニも「熟れてない」とゆーか、言葉を選ばずに言えば「前時代的な」好ましいヤバさ・カオスっぷりも大いにタップリと残している…とゆーのが、率直に非常に素晴らしいと思われてしまいました。ジャッキーなんか寧ろ、前作よりもよっぽどヤバくなってた(⇒終盤は軽く「人間辞めてる」感じすら在った)とも思いますよね。評点は、前作との兼ね合いで少し迷いましたが、も~高めに寄せてしまっても好いかな…と思ってこの様にしてます。必見ですね。 [インターネット(字幕)] 8点(2025-03-01 15:12:36) |
16. 殺人鬼の存在証明
《ネタバレ》 ワリと、当初から分かり難さ・難解さもまま含まれて、んで最後まで観終わってもそれが少し残存する…て方のサスペンスかとも思われますが、冒頭からかなり硬質・かつ大いに異形で凄みにも満ち満ちた空気感なども踏まえて、サスペンス・スリラーとしては単純にごく好ましいレベルまでに仕上がり切っている、と十分に思える作品ではあります。長尺ですが、中弛みもせず、そしてクライマックスには(その長尺にしっかり見合うダケの)「大仕掛け」が配されているので、このジャンルのファンの方(&多少グロやヴァイオレンスに耐性もある方)にならば、とりあえず普通にオススメしてみたくなる作品にも思われますね。 一点、個人的な感想として、前述の大きなトリック=意外性が(オーラスに)待ち構えている…というワリにも、全体の流れというのはまずまず整ったモノだった&細かい伏線も多くが心地好く回収されていった…とも思われるのです、が再度、あくまで個人的には一点ダケ、これも前述の優れて異形な空気感というのは本来は「元々の」シリアルキラーが(当然に)醸しているというモノだった…ハズなのに、この作品ってソイツの方は実は必ずしも「本題」じゃあなかったと言いますか、とあるタイミングでいつの間にかスルッと「別の話」にスライドしてってる…みたいな気もするのですよね。再々度、個人的には、そのすり替え(がもたらす意外性)とゆーの自体に関しては、少なからず違和感=心地の好くない方の驚き、も感じられてしまった…てコトについては、一応言及しておこうかと思います。とは言え、先ほど心地好く回収されたといった「伏線」の一つには、確実に主人公の刑事その人に対する(コレも相当に強烈な)違和感も含まれてはいました⇒コイツもコイツとて、ど~考えてもこのまま真っ当にはこの話を終えられないだろーな…という。 一長一短、少し迷ったトコロではありますが、最終的には高めに寄せたこの評点にしておこうかと思います。興味のある方は是非どーぞ。 [DVD(字幕)] 7点(2025-02-28 10:49:42) |
17. キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド
《ネタバレ》 端的にヒーローアクション映画としては、予想よりは全然面白かったと思うのですね(⇒本国での前評判は決して芳しくなかった…と聞いてたりしましたケド&日本での公開後の評価はそ~んなに悪くもなさそうにも見えてましたケド)。やや、流行りのポリティカル・サスペンス風だとゆーか、ヒーローものとしてはちょっと「イヤ~な」緊迫感が醸されてたのが逆にまあまあ悪くなかった様に思えたのと、アクションも中盤の空戦シーンや終盤のレッド・ハルクの大暴れが全然悪くなかったとも思ったりしたのですよね(⇒私、実は、個人的にハルクって大好きなんですわ)。少なくとも、最近のイマイチなMCUの中では完全に「当たり」な方だとは断言できますね。興味のある方は是非映画館で。 とは言え、映画単体のクオリティとは無関係に、実は一点下げて付けてるのはシンプルに「他にも観ないといけないモノ」が多すぎる…という前提必須映画であるコトが理由すね(⇒その点は、今作に関してはソレを無視するのはちょっと無理=最善策ではない、と判断せざるを得なかったってコトで)。2008年の『インクレディブル・ハルク』と2021年のファルコンのドラマは、ちょっと流石に観てないとダメってヤツだったぽいっす…(⇒プラス『エターナルズ』も観ておいた方が好いケド、コレは私も観たんだケド内容全然覚えてなかった…)ゆーて『ドクター・ストレンジ2』の時も同じコトを思った(のだケド、アッチは別に減点してない)ってコトでもあって、正直(自分で言うのもナンですが)その辺に整合性は見い出せていません。あんましね~映画を観る時に事前にアレコレ調べてから行きたくないのですよね~マーベルは例外かとは思いますケドも。。 [映画館(字幕)] 6点(2025-02-24 21:20:32) |
18. ギャベ
《ネタバレ》 ここ数年、東京だと渋谷のユーロスペースで毎年開催されている「イスラーム映画祭」という催しにて鑑賞したものです。まずは「幻想的・詩情的」とか「ファンタジック」とかって言葉で紹介されることの多い作品である様なのですが、確かに、展開運びにせよ・個々の演出や演技にせよ、通常の劇映画とはかなり異質な…と言うか、一言で言うと「夢でも見てる」かの様な、という意味でのイリュージョンチックな感覚が(ド初っ端から最後まで)感じられて居りましたですね。もう少しダケ、細かく分解して申し上げるならば、話の展開の部分については(パッと思い付くモノで例えると)『ツィゴイネルワイゼン』みたいな硬質な浮遊感が在った様に思えたのと、他方で演出の部分については、中東・中央アジア的な荒涼とした種々の風景をふんだんに利用しつつ+ソコに(却って)正に極彩色!と言っても好い様な鮮やかな色彩を散りばめた画づくりからは、件のパラジャーノフ作品にも似通った様な極めて高度な芸術的感覚までをも覚えられたのですよね。 しかし、その上で、そんな夢の如くに揺蕩う様な序盤~中盤を越えていった時に、終盤にかけては意外なまでに監督の設定した(であろう)テーマが強固に・見事に形づくられて語られてゆくと言うか、今作もまた、後にイラン政府から上映禁止処分を受けた…ということが(ソコでは)容易に実感できるホドに、実に清々しく(因習的な抑圧や社会的不条理からの)一つの「解放」を描いている映画だ…というコトがヴィヴィッドに理解できてしまったのですよね。芸術性とテーマ性の両立という意味では、思いがけずも確実に、古今東西でも最上位レベルの傑作だと思いますよコレ。やはり、中東でも特にイラン映画は全く以て侮れない…との思いを新たにしましたですね。 [映画館(字幕)] 8点(2025-02-24 01:55:03) |
19. ユナイテッド・トラッシュ
《ネタバレ》 実際に観てみると、市中に流布しているものより更に詳細なあらすじを丹念にここに記載したならば、ワリと結構観たくなっちゃう人が大勢居るのではないか…と思われる様な作品なのです、が個人的な結論としては、やっぱそんなに皆で観なくても好いかな…(今さら…)と思っちゃう程度の作品だったとも思われるので、いったんそーするのは止めておきます。 とは言え内容は、相変わらずのタブー全開!悪趣味全開!の冒涜的・背徳的・挑発的(⇒人間世界のあらゆる善なるモノに対して)なトンデモ映画ではありまして、ただ第一に、申し上げておきたいのは(それでも)かなり観易いコメディではある、というコトですかね。シュリンゲンズィーフの作品としては最も著名な3作品のラストを飾る作品であり、だから映画技術が単純に向上してる+そこそこ予算も付いている、というコトだとは思えるのです、が何よりも、話がしっかりしてるワリにテンポも全然好い+下手にホラーやグロを前面に押し出さずに(=スパイス程度に留めて)本質的には(ド級の)お下劣コメディに徹してふざけ倒している、という点で特に上手く仕上がったのかな、と思いますね。再度、系統としては、パゾリーニの『ソドムの市』とかジョン・ウォーターズとか、しかし気取ってアートにしてる…なんてコトも全く無いトコロにはピーター・ジャクソンの『バッド・テイスト』とか『ブレインデッド』とかの様なノリの好さも多分に感じられ、更にそのノリとコメディの齎すハチャメチャ感からはまたクストリッツァをも(少しダケ)彷彿とさせられる…様な、再び個人的には正直、もう少しダケは本邦におけるポピュラリティを獲得していても好いって作品かな…と思われましたですね。機会が在れば… ただし一点ダケ、肝心なオーラスの流れの部分は、コレも多分「敢えて」なコトだとは思えども、ちょっと流石にチープとゆーか肩透かしとゆーかココをソコまでと同様に(ボリュームも備えた上で)ふざけ切って居れば…と残念に思ってしまったのが正直なトコロでして、なのでそれを鑑みて評点は1点下げて、何となく更に1点下げてこの評価としておきます。まあ、根本的に点数が映画の価値をダイレクトに表し得る…という作品では決してないコトも、重要な前提として捉えて頂ければ…と思いますケドも。。 [ビデオ(字幕)] 3点(2025-02-21 00:28:37) |
20. ザ・ルーム・ネクスト・ドア
《ネタバレ》 題材からはちょっと想像つかない位に、全編通して非常にカラッとした=全然ジメッとしてないって映画なのですが、それでもしっとりと沁み入る様なラストの余韻は、実に中々に素晴らしかったと思うのですね(シビレました)。私は、ティルダ・スウィントン演じるマーサの気持ちは、個人的にはそこそこ理解できるかなと思ったのですが+その気持ちに応えようとするイングリッド=ジュリアン・ムーアの思いにもまた共感はできるのですが、でも実際、こーいう状況になったらやっぱメッチャ大変だよな~とは思いましたよね⇒んで実際、イングリッドに懸る心理的負担の大きさや、その他諸々の面倒ごとをワリとシリアス&リアルに描いてゆくって映画でもあったとは思われてますし。 でも逆に、それがリアルなことでまた絶妙に共感も深まってゆく様な気もしましたし、前述どおり多少緊迫してサスペンス的に進んでゆく部分が映画全体のテンションを緩く為り過ぎない様に保っていたという気もしました。特に、肝心なティルダ・スウィントンの演技の質感も含めて、かなり繊細な映画だったとも(当然に)思われるトコロですが、ソコを、そういう非常に優れたバランス感覚でもって見事に統合して成立させた…という意味での良作にも見えています(音楽も、地味に非常に好かった・雰囲気に合っていたと思うのですね)。かなりオススメできる作品ですね。 [映画館(字幕)] 7点(2025-02-21 00:04:58) |