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1.  家族(1970) ネタバレ 
奇しくも大阪・関西万博開催の真っただ中に、元祖大阪万博の時代の映画を観ました。 人口も産業も都市部に集中していた高度経済成長期の昭和日本の、ほぼ西の端からほぼ東の端まで、家族連れ立っての大横断モキュメンタリーです。時代を反映して、衰退していった炭鉱町・伊王島から、万博で湧き上がる大阪、経済発展を遂げた東京を経由し、開拓地・中標津へと、一家揃って向かう風見一家。北海道には自主的に渡る事を決めたとはいえ、高度経済成長の末期に、裕福とは言えない一家が、日本の端から端へ、辺境から辺境へ追いやられる様を観ているようで、複雑な気持ちになりました。  途中、万博を一目観に大阪会場に立ち寄る様子も、入り口前まで行って中の様子を伺うのも、なんか解ります。時間の関係で入場は断念しましたが、一時的に大金を手に入れたためか、お金が無いのに展示物の一つでも観ようと思ってしまう気持ちも、痛いほど解ります。 当時の記録映像なんかを観ると、日本中が万博で盛り上がってたんだろうなぁ…なんて思ってしまってましたが、この時代でも好景気の波に乗れてない、風見一家のような家庭も多かったんだろうな…とも思えて、リアリティを感じました。お爺ちゃんの肉まんの一件も、私なら「きちんとお礼言いなさい」ってなりそうだけど、少し前までみんな貧しかったという時代背景もありますが、お金があまり無いからこそのプライドが出てしまうんでしょうかね。  都会の人ごみに疲れ果てて、車窓の富士山に視線を送る元気もない疲れ切った民子が、一家の状況を語ってくれます。西日本での観光旅行気分と、東日本に入ってからの、開拓地への移動との違い。また今の時代と違って、延々と陸路で移動する時間の長さも感じ取れます。北海道に入って、ず~~~~~~~~~~~っと雪景色の中、ぽつん、ぽつんと民家が点在する光景が延々と続く。それをジーっと見る民子を、映像として観せてくれるのも良いですね。実際、北海道の田舎って今でもあんな光景です。長崎から来た一家が、縁もゆかりも無いこんな寒々しい土地で、今後ずっと暮らしていくんだと思うと、なんだか逃げ出したくもなるでしょうね。 何もない真っ暗な中標津駅。ようやく目的の住居に到着して、玄関先で崩れ落ちる様子がとても心に響きました。ボーン、ボーン…という時計の時報の長さが、夜遅くの到着を伝えてくれます。観ていてこちらも、安堵感がどっと湧きだしました。  確かに、あの時代の鉄道中心の移動だと、相当な体力を削られるんだろうなって思いました。途中幼い赤ん坊が亡くなり、とどめとばかりに義父も亡くなる。犠牲の多さに、風見夫婦の決断、開拓地へ一家で行く決断は、本当に正しかったのか?って、疑問に思えてしまいます。 澄み切った青い空。どこまでも続く大平原。子牛の出産を嬉々として語る民子。三人目の報告をする精一…最後があまりに、理想の開拓地生活が過ぎました。作品全体のバランスを考えてのことでしょうが、確かに、このくらい“中標津まで来た甲斐”を観せてくれないと、映画鑑賞後の後味が悪かったと思いますし、あの時代、中標津で開拓をしている人達がいたことを考えると、この終わり方で良かったんだと思います。
[DVD(邦画)] 8点(2025-05-11 15:28:43)★《新規》★
2.  博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか ネタバレ 
【Dr. Strangelove or: How I Learned to Stop Worrying and Love the Bomb】《ストレンジラブ博士。または:いかにして悩むのを止めるよう学ぶか、そして核爆弾を愛するか》人名のloveと愛するLoveが韻を踏んでますね。だからかどうか、邦題も《異常な愛情》って"じょう"を重ねて韻を踏んでます。 《または》は、前後二つのタイトルに掛かっているんだと思います。《寅さん。または:男はつらいよ》みたいな。…どうだろ?  キューバ危機('62年10月)の翌年に、こんな笑えない状況のブラックユーモアを創るキューブリックのセンスが素晴らしい。 核弾頭に跨ってカウボーイハットを振り回す少佐は、コミカルだけど観ていてゾッとしてしまう。一方でリッパー准将の空軍基地を攻撃する州軍の描写はまるでドキュメント映像を観ているようにリアル。このリアリティとコミカルさのバランスがとても絶妙。 リッパー准将の"共産主義者によって汚染された水道水"の話。こんな陰謀論って、どの時代にも存在するんですね。ディープ・ステート。コロナワクチン。電磁波。5G。…内容を変えて今の時代でも広まっています。ちょっと責任ある立場の人が、そんな陰謀論を信じてしまったら…  人類は地球を壊滅させるだけの核兵器を創り出してしまった。そして創られたからには、ほぼ例外なく使われる。だったらもう、開き直って核戦争後の未来を考えようじゃないか。とも取れるメッセージ。 そこで提案される案は、政府高官と軍人、コンピューターが選んだ優秀な男女を、男1:10女の割合で、100年間に渡り地下坑道で暮らさせる。 ストレンジラブ博士の提案。先の大戦で敵と見なした、ナチスの選民思想と変わらない案に納得する、現代アメリカの政府高官たち。 100年後、ソ連の核兵器に負けないかを心配する将軍。この場に及んでスパイカメラで基地内を撮影するソ連大使。 アメリカ大統領も元ナチの博士も同じピーター・セラーズが演じてるのもミソでしょうね。 で、結局この戦争、誰が勝ったことになるの?
[ビデオ(字幕)] 8点(2025-05-11 13:37:21)★《新規》★
3.  バック・トゥ・ザ・フューチャー ネタバレ 
【Back to the Future】《未来へ戻る》ちょっと「??」で良いタイトルですね。普通に考えたら、マーティはモトの時代に戻るわけだから【Back to the Present(現在)】とかなんだけど、ご存じの通り、マーティのタイムトラベルによって過去が変わり、戻った先は、同じ時代だけど《未体験のいま》【Future】だったんですねぇ。 初視聴は中学の何かの授業の一環で、改築されたばかりの視聴覚室で、2週に分けてみんなで観ました。「あ、このお母さんビバリー(ハワード・ザ・ダック)だ!!」って、友達とひそひそ盛り上がってました。 本作は映画マニアにも一般の人にも人気の作品です。本サイトでも唯一の平均点9点台。今では不動の平均点トップ作品ですが、当サイトが書籍化された当時(2003年)は、BTTFは3位(256件9.21点)でした。 ※ちなみに1位は『情婦(35件9.40)』、2位は『ショーシャンク(519件9.22)』でした。  マーティが過去に行ったのは偶然のアクシデントでした。1955年11月5日。その過去で偶然、同世代だった両親に出会ってしまい、2人の未来に影響を与えてしまう。想像以上にダメ男だったジョージと、話が違って破天荒だったロレインのギャップが楽しい。2人にとって、一週間後の11月12日(プロムの日)は、結婚を決める人生の転機の日だったけど、過去を知ってしまうと“マーティが影響を与えなかった、モトの時間軸の両親の本当の馴れ初め”も観てみたいですね。 そして何回も観ていると"モトの時間軸のマーティのその後って、どうなるの?"が気になってしまいました。  童顔イケメンで、バンド(しかもギター)やってて、スケボーが趣味で、相思相愛の可愛いガールフレンド(恋人未満?)がいて…今で言う"リア充"です。オープニングのフィットネス・ジムの前で女の子たちに手を振る姿なんて、計算高く自分がイケてる自覚があるか、世間知らずのお子ちゃまじゃないと出来ないですよね。今のマーティって後者で、まだ世間の荒波に揉まれていない、明るい未来を夢見る純粋な少年なんです。 だけどマーティの周りを俯瞰して観ると、既に暗雲が立ち込めています。上司(ビフ)に言われるがままの父。夜間バイトの兄。パッとしない姉。バンドのオーディションは理不尽な理由(音が大きい)で落選。ジェニファーとのデートは車を潰されて行けない。そして親友ドクは殺されてしまう…1955年11月12日が両親の人生の明るい転機だったのに対し、1985年10月25日~26日は、純粋なマーティが夢見る未来が、無残にも打ち砕かれる転機の日だったんです。  急展開の連続で、両親の未来を変えないと自分の存在が消えてしまう!という大問題を前に忘れてしまいがちですが、モトの時間軸のマーティのその後って、じわじわと暗くなってくるんです。 そこをマーティ(と臆病なジョージ)は、自分の力で未来を明るいものに切り開いたところが、多くの人に共感と希望を感じさせた、この映画の秘訣なんでしょう。単にバタバタと、面白おかしいだけのジェットコースター・ムービーとは一線を画してます。  マーティの未来は明るいんだけど、どんな未来か?は、新しい現在の、仲睦まじいジョージとロレインの姿から想像するだけで充分でしょう。今までの映画だと、今まで未遂で終わってたジェニファーとの長~いキスをしてエンディング。なところですが… もう単体映画として完璧です。そして恐らく今までに無いエンディングの表現方法です。最後のドク登場は、この映画のオマケのようなものと思っていますが、こんな終わらせ方は過去に無かったでしょう。未来はまだまだ不確定要素に溢れている。そして未来に向けた冒険は続いていく。ゴミを燃料に、空を飛ぶデロリアン。いったいどんな未来になっているなのか?想像するだけでワクワクしますよね。上映中観客を楽しませ、鑑賞後も想像させて楽しませる。映画の楽しさがギッシリと詰まってます。素晴らしい。
[レーザーディスク(字幕)] 10点(2025-05-11 09:46:33)★《新規》★
4.  死霊の盆踊り ネタバレ 
“Orgy Of The Dead”『死者の乱交騒ぎ』。オージィは古代ギリシャやローマの“酒の神”を祭る秘儀。狂喜乱舞、酒池肉林の宴会騒ぎがモトのようです。それを盆踊りって…まぁ、大昔は『盆踊り禁止令』が出たくらいなイベントだったようです。  盆踊り好きですか?道民の場合、夏の夕方に「そよろ そ~よ風 牧~場に 街~に~♪」(♯子供盆おどり唄)って唄が流れてくると「あぁ、夏だなぁ~~」って、子供の頃の楽しい思い出がしみじみと思い出される方も多いかと思います。私も盆踊り大好きです。あの唄が聞こえてくると、ついつい会場に向かってしまいます。 公園の真ん中に簡単なやぐらが組まれてて、屋台では焼きそばやらおでんやら…すごく夏。…でも最近では踊る人って少ないです。時代だからかなぁ?私もいつも、会場を見るだけで満足して、踊らずに10分くらい見て帰ります。私が子供の頃は延々と踊らされましたっけ。もう10分くらいで踊り飽きてるんだけど、最後にお菓子の詰め合わせが貰えるから、およそ1時間、頑張って踊ってました。 そう考えると、昔も今も、私は盆踊りを本当に楽しんでいたんでしょうか?ただ夏のあの時期の雰囲気が好きなのであって、盆踊りが楽しいか?って言われると、どうなんでしょう?…怪しくなってきました。  さて映画の話。死霊の盆踊り好きですか?映画好きなら「嫌い」という人は少ない気がします。私も映画史上最低の作品だと思っていますが、「好きとは言えない」けど、嫌いか?というと「嫌いじゃない」って答えるでしょう。 公開当時、ポルノ映画ではなく一般の映画で女のヌードを出すには、ポルノじゃないよって逃げ道が必要だったみたいです。例えば“登場人物自身は服を脱がないが、主人公の妄想の中で彼女が裸になってしまう”って理由。なるほど、登場人物は実際脱いでない。妄想なら仕方ないよね?って感じでしょうか。実に男の子らしい発想です。 本作では“夜の帝王の開いた宴にて、現世を彷徨う女の死霊が、永遠の地獄に突き落とされないよう、帝王を満足させるため、裸になって必死に踊る”って逃げ道。なるほど、裸なのは女自身でなく、その女の『霊魂』か…だったら仕方ないよね?って感じでしょうか。これは驚きです。死霊って事にすれば一般映画でもヌード出し放題。これってアダルトゲーの、どう見てもロリキャラだけど112歳の老魔女だからオッケー!と同じくらいの大発明です。 「また適当に話し膨らませて…」ってお思いかもしれないが、その証拠に、作中のまだ生きてる女・シャーリーは、闇の女王に脱がされそうになるけど、間一髪で助かります(※片乳ポロリはしています)。 この映画は、当時の一般映画の逃げ道ルールを守ったうえで、男どもが大好きなおっぱいを、92分間の中で目一杯プルンプルンさせた、意欲的な映画だったのです。  …まぁ、出来上がったモノは、思った以上に退屈な作品です。十人十色の美女たちの裸踊り、実際目にすると、こんなにも退屈なんて…踊りが始まり10分くらいで飽きてました。これって本当の盆踊りに似ていますね。 夏にあの唄を聞くとワクワクが止まらないのに、実際10分でおなか一杯になり、満足してしまう。子供の頃は最後のお菓子に釣られて頑張って踊ったんです。そして今の私は、レビューを書くため、この映画を再度観たんです、わざわざDVD買って(これで4回目の視聴)。 この変な義務感。そして変な達成感。あとなんか知らんワクワク感。子供の頃も、大人になった今も、な~んも変わってないや。   今まで映画は観るだけだった私に、多くの気付きを与えてくれた『みんなのシネマレビュー』。当サイトが書籍化された当時『死霊の盆踊り』は11件くらいしかレビューが無かった(たぶん本に載せるには選外扱いだった)みたいです。※ちなみにワースト1は『北京原人』で、31件・1.19点。 後発レビュワーの私にしたら、サイトの最盛期に、読む側でなく書く側として、皆さんと一緒に盛り上がれなかったのが心残りでした。 レビューを書く私の目標のうちの2つが、映画レビューを大台の1000本ぶん書くこと。と、死霊の盆踊りに0点を付けること。でした。製作者の作品愛を考えると、0点は付かないハズ。このサイトの0点は、死霊の盆踊りの為だけにある点数、様式美に思えます。 稚拙ながらやっと1000本目のレビューが書けました。そして私が観た映画の中で、唯一の0点をここに刻めました。これで何も思い残すことはありません。  今までありがとう、みんなのシネマレビュー。
[インターネット(字幕)] 0点(2025-03-30 14:17:18)(良:1票)
5.  HACHI/約束の犬 ネタバレ 
"Hachiko: A Dog's Story"『ハチコー:ある犬の物語』。ハチのフルネームがハチコー。字幕では当然『ハチ公』ですが、日本語の公(動物に“さん”とか"ちゃん"と同様に、親しみを込めて付ける接尾語)って意味では、無いんじゃないかなぁ? 物語は、飼われたキッカケは少々ドラマチックになってますが、私たちが良く知った『忠犬ハチ公』のそのまんまアメリカ版です。リメイクするときに名前とか展開とかアメリカナイズするところ、名前をそのまま「ハチ」にしたのは、スウェーデン人・ラッセ監督の良心に思えます。  大正~昭和の古き良き物語を、どうやって現代劇にするのか?日本の話ですが、ここ40年で野犬というものが居なくなり、ここ30年で外の犬小屋で飼われる犬というのも見なくなりました。そんな部分にリアルを求める作品ではないんですが、ハチ生きていけるんだろうか?って部分。無理に現代版にすることなく、新しすぎず古すぎずな架空の駅で、絶体絶命のピンチもなく、心根の優しい駅長や売店の人々に遠巻きに守られている様子が、普遍的な物語として完成しているんじゃないでしょうか?  リチャード・ギアを配しながら、主役をしっかり犬のハチのしてるのが良いですね。ハチを見守る人間話に時間を割いてしまいがちですが、物語の根幹がしっかり犬の話になっています。娘の家を脱走したのではなく、許可を得て出ていくところも良いですね。そして白い雌犬と会話にならぬ会話をするシーンが何故か印象深かった。ラッキーは何を思い、ハチは何を思ったのか?想像するしかないですが、この辺りもしっかり犬の映画であり、"忠犬"の物語でした。  余談ですが本家『ハチ公物語』との私の点数差ですが、犬への演技指導の差を大きく感じました。本作では三匹の秋田犬を使い分けているそうで、映画として犬の感情が伝わるように創られていますね。そして犬好きが創った犬の映画…という感じがひしひしと伝わります。この同じ題材の2作品、22年という期間で、犬の扱いも変化したんでしょうね。
[DVD(字幕)] 7点(2025-03-30 12:33:31)
6.  ザ・カー ネタバレ 
"The Car"『あの車』。中古のDVDが200円で売っていました。ザ・カーですよ?そりゃ買っちゃいますよね。 正体不明のあの車が人を襲う…同世代で、子供の頃にロードショーで観て、なんか覚えてるって方も多いかと思います。改めて観ると案外地味な映画で、やはり最後のインパクトが大きかったようです。 私も『人を襲う』って記憶が薄っすらあった程度で、『どう襲ったか?』は全然記憶にありませんでした。覚えているのは大爆発の最後です。爆発の炎で車に化けてた悪魔が姿を現し、舌を伸ばす…このシーンは記憶に残りますね。  本作はスピルバーグの激突!('71)を意識した映画だと思います。ホラーじゃないけど、無機質な車が人を襲うって衝撃が大きかったんでしょう。そして激突!では敢えて濁した『ドライバーは誰だ?』。本作はその部分をサスペンス仕立てで引っ張り、『ドライバーの正体がこんなヤツだったら納得じゃないか?』を映像化した、-激突!の消化不良部分を補完する-ホントそこを狙った作品だったんじゃないでしょうか? 崖から落ちるってシチュエーションも類似していて、一時期、激突!の最後とザ・カーの最後がアタマの中でごちゃ混ぜになってました。 だから、ザ・カーが大破してもメキメキ自己修復するんだっけ?いやいやシャキーン!と瞬時に復活するんじゃ…なんて、途中の内容全然覚えてなかったんですね。ザ・カーはチョットやソットじゃ壊れない車でした。  さてザ・カーの正体は悪魔です。結構インパクトのあるデザインですが、ベースはリンカーン・コンチネンタルだそうです。リンカーンに悪魔的で不気味なデザインを加味しているんですが、ジーっと見てると、どこかで見たようなデザインです。 "モスマン"に似てると思いませんか?モスマンはネッシーやビッグフットみたいな未確認生物で、アメリカでは'66年に登場した新種のUMAです。車に悪魔デザインを落とし込むにあたり、近年流行ったモスマンを取り入れてみた。…ってのはどうでしょうか?
[地上波(吹替)] 5点(2025-03-30 11:07:31)
7.  ベイビー・ドライバー ネタバレ 
"Baby Driver"邦題まま。サイモン&ガーファンクルの同名曲からの命名だそう。 こういうシンプルな映画も好きです。登場する車か、劇中掛かるロックがビビッと来たら楽しめます。私は最初の車がインプレッサだった為に、アッサリ楽しんでしまいました。かっこえぇ~。 選曲も結構ツボで、フォーカスのホーカス・ポーカスが流れてきた時は「あ!昔フェイセズと間違って買ったアルバムの曲だ!」って驚いてしまいました。よくこんなドマイナーな曲を…※後から調べたら秘かに流行ってたんですね。  銀行強盗を逃がす天才ドライバーと言えば、ザ・ドライバーからドライヴまで、けっこう種類豊富ですが、主人公がボーっとした少年で、日本車を乗り回す姿から、『これはハリウッド版イニシャルDだ!』って思いました。“85号線の亡霊”なんて二つ名を出してくるあたり、絶対“秋名のハチロク”意識してるよ。ダウンヒルでもヒルクライムでもなくクライムサスペンスにしてる辺りがハリウッド。トランスポーターでもワイルドスピードでもない、この味付けは新鮮だったわ。  映画はベイビーの最後から1つ前の犯罪から始まります。最初の犯行からとか、長々クドクド描かないのがイイ感じ。デボラ可愛いし、バディ&ダーリンのコンビは魅力的だし、バッツは良い塩梅で憎たらしい。このいちいち説明しないでも観てりゃ解る感がナイス。展開早いしご都合主義だし。詰め込み過ぎてないから分かり易くて、結末も真っ当。とても後味の悪くない映画でした。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2025-03-26 22:26:22)
8.  17歳のカルテ ネタバレ 
“GIRL, INTERRUPTED”『(成長を)中断された(状態)。少女。』のような意味のようです。 映画ではスザンナ達が17歳かどうかは解りませんから、邦題は独自の意訳です。でも17歳と18歳で、少女から女性に扱いが変わる時期でもあるため『17歳の少女の時に精神病院に入り、人生が止まった状態』みたいに解釈できますね。良い邦題だと思います。 作中、性的だったり人種差別的だったりと、かなり過激な言葉を使っていますが、字幕は相当表現が柔らかめです。  アンジーってこんなに可愛い女の子だったんですね。彼女の事はトゥームレイダー辺りから認識したので、峰不二子みたいな誰から観ても大人の女性…って印象を持っていました。それがこんなギャルを演じていたってのが、とっても新鮮でした。まだ少女なんだけど、大人びていて、それでいて繊細で壊れやすい。序盤の活発な姿と、後半の廃人状態の姿。とても良く表現できていたと思います。  一方スザンナは境界性人格障害という病名だけど、彼女は“精神病院に入れられた普通の人”の視点で描かれます。患者の行動に振り回される人という立ち位置でしょうか。彼女自身の障害で苦しむ姿は入院前の回想に集中しているように思えます。 患者の症状を丁寧に描きつつ、地下の遊戯施設やアイスクリーム店で心地よい一体感を感じさせる展開が巧いですね。恋のダウンタウン弾き語りのルール違反も心地よかったです。 そして持ち上げて落とす。デイジーの死と、それを見たリサの反応。本当の死と、信じた友達の受け入れられない部分。ここが彼女の社会復帰のトリガーになったんですね。 「1年を無駄にした」スザンナにこの入院生活が本当に必要だったかは疑問です。
[DVD(字幕)] 6点(2025-03-24 07:29:43)
9.  ミツバチのささやき ネタバレ 
“El espíritu de la colmena”『蜂の巣の精神』えぇ~?本当? “la colmena”には群れるとか『群衆』って意味もあるそうで、当時のフランコ政権下の『群衆の精霊』のような意味合いがあったのかもしれません。フランケンシュタイン、毒キノコ、脱走兵。幼いアナの目を通じて、多くの大人が決めたことが、いまのスペインの現状が、本当に正しいかどうかを、もう一度考え直そう。と、そういう意図があったのかもしれませんね。  独裁政権下、検閲を逃れる精一杯の表現方法を用いているためか、かなり難解な作品です。 母が手紙を燃やすところも、敢えてフランコの切手を見えるように燃やしたり。色んなところに隠された意図がある映画のようです。 まだ幼いアナがピアスしているのも不思議。スペインでは常識なのかな。カラスの飼育ではピアス無かったと思ったなぁ。ピアスにはいろんな意味があると聞くから、意図的なものかもしれません。 イサベルが血の口紅を差すシーン。偶然か意図的か、肩紐がハラリと落ちるところなんて、幼女なのに見事に妖艶に撮れてます。イサベルの死んだふりも、最初観たとき、子どもだから呼吸で体が動いてるけど、本当に死んだ演技なのか、振りなのか解りませんでした。そもそもイサベル、何でそんなこと(猫の首絞め→血化粧→死んだふり→手袋で脅かし)したんだろ?  当時のスペインの情景の中に登場人物が動き回るという構図です。ほぼ固定カメラですが、アナがタイプライターで遊んでいるところとか、脱走兵の死体のシーンで、一部カメラがスクロールしたり引いたりしてました。…何でここで?とは思いますが、意図は不明です。 朝食の時に懐中時計を出して、父はアナが持ち出したことを察するところ。アナは脱走兵が死んだことを察するところ。この時のアナの表情もとても良いですね。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2025-03-23 19:02:22)
10.  パプリカ(2006) ネタバレ 
学生の頃に原作を読みました。うろ覚えだけど夢探偵パプリカの活躍が面白かったです。でも後半の壮大な戦いが、何が起きてるのか頭の中の理解を超えてしまい、意味が解らなくなった記憶があります。 しばらく経ってあのパプリカが映画化されるとあって、あの壮大な戦いがどのように映像化されるか?映像だと理解できるものか?が気になっていました。 最初観たときは原作のボリュームに比べて物足りなさを感じましたが、今回は単純に映像表現の素晴らしさに感心してしまいました。  粉川の夢表現から素晴らしい。これぞ夢っていう夢。たくさんの自分と同じ顔が迫ってくる。崩れ落ち続ける被害者。進みたくても進めない廊下。そしてオープニング。摩訶不思議なテーマ曲と、常識を無視して自由自在に動き回るパプリカに、まさに掴みはオッケーでした。悪夢のパレードも不思議で不気味で見応え充分です。 「浮かれ浮世の憂さ晴らし~♪」うろ覚えだから原作の後半もこんなだったような気がする。もう少しデビルマンの最後みたいな派手な戦いだったような気もしたけど、よくアニメでここまで表現したなって、素直に感心しました。そうかぁ~、映像化すると、こうなるのかぁ~…気持ち悪。  映像化したら観たかったのが、夢表現ともう一つ、大人の敦子が少女のパプリカに変身する様子です。原作では鏡の前でソバカス付けてメイクしてパプリカに変身したって記憶がありますが、映画だともう一人の別人格として、敦子とパプリカはそれぞれ独立して出てきました。敢えてそうしたんでしょうけど、敦子の変身過程、観たかったなぁ。
[DVD(邦画)] 6点(2025-03-23 17:18:12)
11.  かがみの孤城 ネタバレ 
これは、大人の鑑賞にも耐える映画ですが、ぜひこころちゃんと同年代の子に観てほしい、とてもデリケートな映画ですね。 お城に入れる時間が9時から5時というのが良い設定です。基本的にこの時間は、学生でも社会人でも他人と関わらなくちゃいけない時間です。その時間を、人並みに他人と共有出来なかった子が、この7人って事になりますかね。 学校でいじめのターゲットになっていたこころが、お城ではみんなと一緒にウレシノを下に見るのも良い。少人数でも人が集まれば社会が形成されて、上下関係を作り、自分の立ち位置によって居心地の良さが決まる。 鍵を探すのが彼らの使命であり権利。鍵を見つけずに最後まで過ごすか、鍵を見つけて願いを叶えるかは、各々の自由。ここがまさに、社会に出ていくか、不登校を続けるかの、使命と権利に思えます。  こころの願いは真田さんを消すこと。…消してどうする?真田さんが居なくなれば、自分は社会(学校生活)に復帰することが出来る。って、こころは考えたようです。靴箱のところで萌ちゃんとバッタリ会ってしまった時のこころの気持ちがよく解るし、実は学校でも状況が変わっていて、萌ちゃんのこのときの心境も解るようになってます。 とっても芯が強い萌ちゃんですが、真田さんと遊ぶようになってから、教室でこころに対しバツの悪い表情を見せるところとか、とても人間臭く感じました。  ツッコミどころは多々あります。私はアキの制服姿で気が付きましたが、何か月も一緒に過ごしていたら、もっと早く気が付きそうです。お城の話を一か月とかの短期間にまとめた物語にしなかったのは、不登校や心の傷の解決には、1年とかそれくらいの長い時間が必要だから、敢えて延ばしたんだと思いました。 マサムネの携帯ゲームなんて危ない橋渡ってます。中学の頃って、一学年上だとスッゴイ大人に見えましたよね。スバルはきっと早いうちに秘密に気が付いていたかもしれませんが、アキはそんな男の子のオモチャに興味がない年頃でしょう。過敏に反応しそうな'99を空欄にしたのも、実は巧い演出。そして上映時期や原作のタイムリー世代が、こころじゃなかったところは、後から気が付きました。リオンは望んだから、それが叶った。でもアキはどうして?…でもこういうのが引っ掛かるのって、大人な証拠ですよね。同年代の子はもっとスーッと入り込めたんじゃないかなぁ? マサムネが考え付いたパラレル(異世界)をオオカミさまが全否定するのも良かった。『そんな都合の良い逃げ道なんてないんだよ』って感じで。  お城の話は大団円で幕を閉じますが、叶えた願いは現実世界には何の影響も与えないものです。そして現実のイジメ問題は解決した訳ではなく、鍵の力を借りたのでもなく、こころがお母さんや喜多嶋先生と地道に乗り越える道を選んで前に向かいました。この映画は何か不思議な力で他人や状況を変えるのではなく、周りの力を借りて、ゆっくりでも自分の意識を変えていく映画です。そこがとても繊細に描かれていました。 真田さんと和解に向かわないのも、とっても良いです。だってそんなの必要ないんだから。「(真田さんたちは)10年後も20年後もあのままだよ、きっとロクな人生送らないよ」「バカみたいだよね、たかが学校の事なのにね」その通り。 エンディングが“前向きに歩き出したこころのその後”ではなく、何故かオオカミさまが全部持って行ってしまいます。でも実はこの映画、オオカミさまに始まり、オオカミさまで終わっていました。オープニングの“行きたかったけど行けなかった”子の代わりに、今の私には何ができるのか、考えてしまいます。 で、エンディング。機会があれば4枚の絵の、リオンのお母さんに注目してください。とってもデリケートな作品なのが滲み出ています。
[DVD(邦画)] 8点(2025-03-23 14:52:26)
12.  ブルーサンダー ネタバレ 
“Blue Thunder”邦題まま。架空の攻撃ヘリの名前で『青い雷鳴』の意味。 子供の頃「ブルーサンダーかエアウルフか?」論争が起きてました。ヘリ、テーマソングの格好良さは甲乙付け難く、渋いロイ・シャイダーと寡黙なJ・M・ビンセントもどちらもアリ。でもリアル路線でアメリカのセブンイレブンが映るブルーサンダーの勝利だったかと。 さて、テレビで大きなボカシの入っていたセクシーお姉さんのストレッチが、DVD版は完全ノーカットで入っていて驚きました。あぁ、こんなにアップで映ってたんだ。長生きはするものですね。  暗視カメラと収音マイク、ウィスパーモードの組み合わせは、都市型犯罪にヘリがどれだけ有用かを見せ付けてくれました。カッコイイ。そして怖い。映画公開から一年後に控えるロス・オリンピック。その警戒用に開発されたこの機体。頭の向きと機関砲が連動する装置など、一部は当時でも実用化(AH-64アパッチ攻撃ヘリ)されていた技術のようです。 恐らく当時のアメリカは、世界最高峰の攻撃ヘリの技術を持っていて、東西冷戦下、その技術の全容はベールに包んでいたと思われます。本作のような映画で、実際の技術と架空の技術を織り交ぜ、仮想敵国に対し、とにかくアメリカは敵に回したら怖いんだぞって、そんな印象を植え付けていったのかもしれません。  映画は単純なヘリ・アクションではなく、サスペンス要素が高く、結構見応えがあります。敵に捕まったライマングッドが可哀想で… そして後半は怒涛の空戦シーンの連続。警察ヘリにF-16、軍用の重武装ヘリと、いろんな敵と戦ってちょっと長すぎるくらいのエア・アクションを観せてくれます。F-16との空戦はモロ“当時の特撮”ですが、それにしても結構がんばっている方です。都市部でジェット戦闘機が暴れる映画って、他にあまり無かったと思います。 CG全盛期の時代ですが、本物はやっぱり迫力がありますね。ヘリの実機と模型、特撮を駆使した撮影技術に、当時の撮影クルーの知恵と技術と適度な妥協が感じられます。警官に捕まったケイトを助けるブルーサンダーの画。この機体案外小さいのに、この迫力。どんなに時間とお金を掛けたCGでも創り出せない、本物の力強さと美しさがありますね。
[地上波(邦画)] 7点(2025-03-11 22:28:24)
13.  太陽の季節 ネタバレ 
『太陽の季節』と言えば“障子破り”です。これそのまんまテストに出ます。検索をすれば、この場面がどれだけ生々しいか伝わります。 その映画化なんですが、きっと多くの昭和の文学女学生が、この場面観たさに劇場に足を運んだことじゃないでしょうか? ボーイフレンドとなんか行けないってか、居ない。友達とも恥ずかしくて行けない。ましてお父さんや弟なんかとは行けない。一人でコッソリ、同じ学校の子が居ない隣町まで、あの場面観たさに、映画館に行ったんじゃ…ないでしょうか??  …まぁ氷の微笑のあの場面以上にガッカリ再現だったと思います。私なんて、原作を読まずに、この映画を観たものですから、あの場面は何が起きたか解らない状態でした。 もちろん当時も今も長門裕之の“長門裕之”を観せる事は出来ないにせよ、他に方法が無かったのかと試行錯誤した結果『意味深な“間”を作って本を投げさせる』って手段に出たんでしょう。原作を熟読していた人には、ある意味アリですが…ドキドキを返せ!って気持ちにもなります。例えばですが「バリバリ」と乾いた音を入れるとか、南田洋子が視線を少し下げるとか…いや、この時代なのに流石にエロいか。  コマ送りで観ると、障子は破けていなくて、本がぶつかって破れます。あと長門裕之はずっとタオル巻いてます。文学なので障子を処女膜に見立てて、破ったり破られたりしてたんでしょうね。映画だと“竜彦の誘惑に負けた英子”って事になるんでしょうか。確かに、竜彦は金持ちで、女を抱いて面倒になったら捨てる最低男。ほぼほぼ共感できない設定ですから、英子の自滅の物語でしたね。
[CS・衛星(邦画)] 5点(2025-03-11 21:30:19)
14.  ビフォア・サンセット ネタバレ 
“Before Sunset”『日没まえ』。おやおや、半年後でなく9年後ですか。って事は、あの半年後は… 思うに、半年後に会っていたら、ジェシーとセリーヌの恋物語は劇的な最終回を迎えていたんでしょう。そこで映画は終わり。 そうでなく、9年後の再会としたところに、本作の妙があります。お互い当時の面影を残しつつ、実際に9年間の歳を重ねた姿を映す。それぞれ違う道を歩みつつも、お互いの事を思い続けていた。  今回の再会は時間が短い。上映時間も短い。2人が再会してから、9年前の続きのようにず~~~~~っと喋ってる。ジェシーは家庭を持ち、セリーヌはいろんな男と付き合ってきた。けど思い出すのは9年前の一晩の思い出。まるであの時からやり直したいが如く、会話を重ねるけど、微妙な距離感が感じられる。 距離を縮めたいけど、グイっといけないジェシーと、ちょっとした事で熱が入って距離を取ろうとするセリーヌ…って感じに観えたのよ。 恐らく、会えなかった期間、ジェシーは現実が理想と違い過ぎて、セリーヌとの再会を求めていて、セリーヌは再会が望めないジェシーに代わる相手を求めていたんでしょう。この違いが、夢見がちな男と、現実路線の女の違いに思えたわ。  ストレートに一緒に居る時間を稼ぎたいジェシーと、言葉を一言間違えると消えてしまいそうなセリーヌの…駆け引き?散々喋ってきた2人の、部屋の中の沈黙。歌と音楽が素晴らしい。 「ベイビー!飛行機が~行っちゃうわよ~」その後どうなったんでしょうね?想像するに、前作は別れで終わったので、本作もこれで別れた。いやいや、前作は『日の出まえ』にセックスしてたんで、本作では『日没まえ』にセックスした。続編で答えは出てるでしょうが、この2人にはいつまでも、お互いを求め合っていてほしいですね。…ん?それって、いつまでも一緒になれないって事?
[CS・衛星(字幕)] 7点(2025-03-05 23:16:07)
15.  シャイニング(1980) ネタバレ 
“The Shining”『輝き』。未来予知やテレパシーと言った能力で、その能力の事を、料理長はハロランが『シャイニング』と名付けていました。 本作を観たのは高校生の頃かな?当時ビビりだった私は、ホラーはあまり得意ではなかったです。特に当時主流だった“急に画面に出てきて驚かせる”ような、心臓に悪いタイプのホラーは大嫌いでした。血は割と大丈夫でも、内臓グチャグチャとかのグロいホラーも苦手でしたね。  でも本作のホラー表現…“深層心理で怖いものと認識している物を観せるホラー”には感心させられました。『滑らかにホテル内を走る三輪車。角を曲がった先に同じ服を着た双子が立ってる。』これだけで怖いんです。だって家族以外居ないホテルで、双子の子供が立ってるんだから、怨念渦巻く心霊写真を見たときのように身の毛がゾワゾワしました。そして一瞬映る双子の惨殺死体。また立ってる双子。今では割と使われる手法だけど、二人がこの世の者ではないことが映像から伝わってきて怖さ倍増。こういうホラーを待っていました。  人が居ないホテルも怖いものですね。家族旅行で言ったホテルや旅館を夜中に探検するときの、ちょっと怖い気持ちがよみがえります。楽しいはずのホテルの、昼とは違う夜の顔。人が多い時間と居ない時間の別な顔。そんなホテルでこんなモノ見たら怖いだろうな…って思っていたのが“着ぐるみ男と紳士”でした。「え?何?私いま、何を観た??」着ぐるみの犬(熊?)と紳士がベッドで何かしてる。何やら観てはいけない行為を観てしまった気持ちと、それがとても気持ちの悪い事と察知して、気になるんだけど、巻き戻してまた観たいとは思えませんでした。このシーンの意味を理解したくて、原作本を読みました。 Sキングは原作とは違う展開の本作を相当嫌っていたようで、原作はもっと怖いのかな?と思ったけど、なんか、つまんなかったです。内容ほとんど覚えていませんが、動物の植木が動いたりしたような…なんか私の考えるホラーとはズレてました。で、犬男も役割が違ってて、あの行為は何だったのか、解らず。あの2人はホモ行為に及んでた…というのは後から知ったこと。映画版は素晴らしいセンスです。  また本作では意図的に“左右対称”や、“同じ2つのモノ”を入れてきます。でも、パッと観は左右対称や同じ2つだけど、実は微妙に違うんです。ホテルの廊下の景色。血まみれになるエレベーター。ハロランの部屋。双子。上空から見た生垣の迷路。グレイディという管理人と給仕係。ダニーとトニー。現在のジャックと1921年のジャック。 同じのが2つあったり、左右で同じだったりが、人間の深層心理で怖い・不気味だと思うってことを、この映画が明確に掘り起こしたんだと思います。
[ビデオ(字幕)] 9点(2025-03-05 22:09:52)
16.  ファーストキス 1ST KISS(2025) ネタバレ 
序盤が少々漫画チックだったので、後半にかけて少しはホロリとさせられるのかな?程度に思ったら、思いっきり号泣してしまいました。結婚されている方、長い付き合いのパートナーがいる方、家族でも友達でも、好きな人、かつて好きだった人が、今でも近くにいる事って、どれだけ幸せな事なんだろうって、もっと大事に思わないとって、再確認させてくれました。 号泣って書いちゃったけど、あんまハードル上げずに、松たか子の四段変化を楽しんでほしい映画です。45歳の脂の抜けた松たか子。29歳の若々しい松たか子。45歳にもなって29歳・初対面の男に好かれようとキラキラ・メイクの松たか子。そしてキラキラした45歳の松たか子。    離婚届を出す前に死んでしまった夫。最初、タイムスリップしたカンナの目的って、夫の事故を回避させ、無事離婚届を出すことだと思ってました。あれだけ冷え切っていた夫婦関係。でも、過去の駈に会うたび、どんどん駈を好きになってしまうカンナ。 トウモロコシを皮ごと茹でると美味いって学ぶと、恐らく次回のタイムスリップでも、皮ごと茹でる方が美味いって上書きされて変わっていく。あそこのコロッケは買わない方がいいと学ぶと、ドーナツに鞍替えしてしまう。現在と過去と未来は同時に起きている…とかって“時空のミルフィーユ”理論が面白かったです。 つまり毎回、8月1日の正午から20時まで、同じ過去に到達するのでなく、少しずつ上書きされた過去に行くんでしょうね。…ただし緊急停止ボタンのように、上書きされた記憶(イザって時は押せ!)の上書き(やっぱり押すな!!)も出来る。この8月1日を繰り返す事によって、初対面の駈は、どんどんカンナが好きになっていったんでしょう。 かき氷の列の、後ろの女の子たちがイイ仕事してくれるのも、夏休み新聞の子たちがじわじわ2人を後追いするのも、きっとミルフィーユなんでしょう。  「好きなところを発見しあうのが恋愛。嫌いなところを見つけ合うのが結婚」未来を変えるってことは、相手を変えることではなく、自分を変える事。でもそれは例えば、朝食に2人とも同じものを食べることではなく、自分はご飯を食べて、相手にはパンを美味しく食べてもらうこと。 タイムスリップを知っている者のバトンタッチ。たった一日のチャンスを生かし、15年先の未来を変えようとコミカルに奮闘する姿にワクワクしながら観ていたら、たった一日のために、未来の15年間を変えていった姿に泣いてました。
[映画館(邦画)] 8点(2025-03-02 00:07:31)
17.  デス・レース2000年 ネタバレ 
“Death Race 2000”『デス・レース』という架空のカー・レースの2000年版、邦題ままですね。 出てくるマシンが…格好イイというより、どこかユーモラスで、チキチキマシン猛レースの実写版のようです。初見時は中学生くらいかな?当時はハリウッドのゴージャスな映画に目が肥えていたため、ユーモラスなマシンだけでなく、作品全体から漂うチープさに、何故かホッとしてしまいました。  それでいて“未来の殺人レース”って題材がぶっ飛んでます。人を轢き殺したらポイントが入るという背徳感。競争相手のレーサーたちだけでなく、主人公(フランケンシュタイン)までも人を轢き殺す。娯楽映画らしい、悪事に手を染めない主人公が出てこないのが、ショッキングでした。フランケンのファンクラブの、生贄みたいな子がアッサリ殺されるのが衝撃的。何やかや殺さないと思っていたのに。こんな辺りが時代の先を行っていたような気がしないでもないです。  スタローンが出ているのも話題だったし、一周回ってライバルのマシンガン・ジョーが、何か胸のすく活躍をするかと言えば、終始小悪党らしい活躍と最期を迎えましたね。出場者が横並びで全裸マッサージを受けるサービスシーン、何とも意味不明だけど、バイオレンスとカーアクションだけでなく、エロ要素も入れてきたと考えると、暇つぶしB級映画のチェックポイントは残さず通過って所でしょうか?手慣れていますね。  プロットはとても素晴らしい。けど、じっくりお金と時間を掛けてこの題材の映画を創っても、きっとここまで面白くは出来ないと思います。私が観た’80年代後半、既にカルト的な人気の映画でしたが、この映画はそんな評価を期待して創られた作品でも無かった事でしょう。きっととんでもない低予算と、恐らくカツカツの制作期限と、製作者たちのその場の勢いで創られた、公開時にお客さんにウケればそれでOK!な快作だったと思われます。
[地上波(字幕)] 6点(2025-02-28 23:07:13)
18.  ビバリーヒルズ・コップ ネタバレ 
“Beverly Hills Cop”原題まま。ロサンゼルス郡にあるセレブの多く住む独特な都市で、郡警察に属さない、ビバリーヒルズ独自の警察組織を持っているんだって。セレブが多い事もあって治安が良いため、アクセルの居たデトロイトなんかと比べると、重犯罪率も低いんでしょう。 ビカビカの最新ファッションに身を包んだセレブ達…なんだけど、'80sなのが近未来チックでもあり、懐かしくもありますね。一方でジーンズにトレーナーの普段着ルックなアクセル。当時のアメリカン・カジュアルで、普遍的だけに流行り廃りも無かった、とても楽なファッションです。現在50~60代のお父さんで、普段着がアクセルっぽい人ってまだまだ居ますよね。  さてエディ・マーフィに注目です。彼は“単独でお客を集められる、グローバルな黒人映画俳優”の第一人者です。このポジションの前任者は恐らくシドニー・ポアチエでしょう。でもポアチエ観たさにお客が呼べたかというと、どうでしょう?俳優より映画の内容だったかと思います。 やはりエディ・マーフィからなんですよ。エディは実力派俳優というより、コメディ俳優として世間に広く認知されたのが、彼のスターダムの原動力だったんでしょうね。当時の人種に対する壁を超えることが出来たのは、マシンガントークと笑顔という、彼の最大の持ち味が活かされたからでしょう。  エディ以降、'90年代に入り、デンゼル・ワシントンやウィル・スミスといった、世界的に売れた黒人スターが出てきますが、黒人が主役の映画の歴史って、案外浅いことを、ここにきて再認識しました。 そして映画では人種差別について、ほとんど触れられていません。当時はまだ黒人スターでお客が入るか手探りだった時代なのに、安易に黒人差別ネタを入れることなく、単にデトロイトとビバリーヒルズの生活レベルの差として、登場人物がみんな自然に接しているのが、本作がとても成熟した作品に感じさせます。やはりエディ・マーフィには、それだけ人を引き付ける魅力があったんです。当時まだ22歳ですよ。 この時代の、エディの脂の乗り具合は素晴らしいです。本作はそんなエディの格好良さと面白さ、彼の魅力の全部が詰まった一作でした。 …全然ネタバレ・レビューになってないですね。
[ビデオ(字幕)] 7点(2025-02-17 22:57:11)
19.  人間の証明 ネタバレ 
映画界の新参者・角川春樹が、鳴り物入りで映画界に突撃し、余りある札束で豪華俳優をビンタしながら造り上げた珍作。 当時の角川映画の事情は知らなかったけど、日本映画史上最大の予算を掛けて、最大の興行収入を稼ぐ。そういう意味では角川春樹は目的を達成しました。 映画と小説のコラボ販売。テレビや雑誌、ラジオやポスターと言った大規模な宣伝。異業種へキャッチフレーズを活用したメディアミックス。公開キャンペーンに披露パーティ。いわゆる“角川商法”が確立していて、日本映画界のカンフル剤の役割は果たしたんじゃないでしょうか?何より、多感で移ろいやすい当時の若者の関心を、ハリウッド映画やテレビ番組から、日本映画に目を向けさせる原動力にもなったかと思います。  驚くほどの豪華俳優陣。居酒屋のちょっとしたシーンで、大滝秀治に佐藤蛾次郎、坂口良子を惜しみなく使い捨てる。キャストにとって角川映画は、良いお小遣い稼ぎになったことでしょう。一方で、日本映画で長く飯を食ってきたスタッフや評論家、いわゆる“古株”からは、目の敵にされたように思います。作品の内容から酷評も解りますが、最初から角川商法にケチを付ける前提の酷評にも思えました。(※あくまでWikiを読んで思ったことです。) 本作の角川氏の動きを見ていると、堀江貴文の近鉄バファローズ買収に近いものを感じました。「母さん、彼のあの買収、成功してたらどうなってたでしょうね?」  映画は、殺人事件の解決まで、特にひねりもなく、行き詰まることもなく、一本道で犯人に辿り着きました。後半少し眠くなって、あまりにスーッと終わったので、寝落ちして見落とした所でもあったかな?と思いましたが、おおかた観たまんまでした。特に恭子が身を投げたらしき所が、どのタイミングか解らず、DVDが壊れてるのかと思い、数回観返しましたよ。 棟居の幼少期の記憶。その場に居た人々が、この事件に奇妙な縁で関わってきます。これ、撮り様によっては『マグノリア』や『クラッシュ』のような、人の繋がりをテーマにした名作に出来たかもしれませんね。 だけどこの映画の目的が、そんな見応えのある内容ではなく、単に“ハリウッド映画のような日本映画”…だったんでしょうか?ニューヨークのカーチェイス、ファッションショー、豪華すぎる俳優陣と、見た目には豪勢だけど、肝心のシナリオが、あまり面白くありません。豪華食材を使っているのに、素材の味を生かせてない素人料理のようでした。これでもか!と“足し算”はしてるけど、ここ余計だね?って“引き算”をしてないんでしょうね。
[DVD(邦画)] 4点(2025-02-13 23:24:00)
20.  ロッキー・ザ・ファイナル ネタバレ 
“Rocky Balboa”ご存じロッキーのフルネームです。タイトルにローマ数字が入らないのは、1作目と本作のみ。邦題は『ザ・ファイナル』なので、シリーズの最後を意味していますが、私には2~5のシリーズ作品をすっ飛ばした、ロッキーの後日談に思えました。 舞台はフィラデルフィア。シリーズで“ロッキー豪邸”とか紆余曲折あって、結局モトの家に戻ってきた流れだけど、1からずーっとココに住んでいたようにも見えます。エイドリアンと結婚し、一人息子を授かったまではシリーズと一緒ですが、どちらにも採れるように、敢えてエイドリアンを故人とし、アポロとの友情も描かずに、時間軸がぼやけるように創られてます。  そして登場人物は1に出てきた人たちだけで固められています。過去の試合のダイジェストでラングやドラゴも出てきますが、本筋には一切絡みません。スパイダー・リコは未だに“まぐれで勝った”って言ってますね。確かにあの試合でスパイダーが勝っていたら、歴史は変わっていたかもしれません。リトル・マリー、有名人に言われた言葉は本人以上に覚えているものです。そしてカフとリンク。まだ生きてたんだなぁ。エイドリアンの気を引くために買った亀。一匹じゃ可哀想だからもう一匹買ってきたってところが、ロッキーらしい。スタローン曰く、本当に当時の二匹だそうで、今でも大事に飼っているそう。  本作はロッキーのその後の人生を語る作品であり、またスタローン自身の“今”を語る作品になっています。ロッキーとランボーの成功で、アメリカを背負うスーパースターになり、'90年代からコレといったヒット作に恵まれず、ライバルのアクション俳優に2歩も3歩も置いて行かれ、マンネリを打破できず、新境地も見つからず、もがき苦しんだあげく“過去の人”となったスタローン自身の映画になっています。 自身の栄光の過去に囲まれたレストラン“エイドリアンズ”で、お客に過去の試合の秘話を話し、一緒に写真を撮る。当時のスタローンって、本当にそんな生活してそうでした。'97年のコップランド以降、主演作と言えば、'01年のドリヴンくらいしか記憶にありません。そんな彼が、再びリングに上がる映画を創るなんて、無茶というもの。それも現役の世界チャンピオンと対戦するシナリオなんて…  張りのある若いディクソンの身体と、鍛えられているけど年齢を隠せないロッキーの身体。1作目を彷彿とさせるドキュメンタリー風のカメラ。あのロッキーが、また戦っている。まだ戦っている。ロッキー・バルボアの決して消えない闘志に、観ていてこちらまで熱いものが込み上げてきます。 判定を聞かずにリングを後にするロッキーの勇姿。チャンピオンに勝つことではなく、最後まで立って戦い続けることが、ロッキーの戦い方であり、ロッキーの、シルベスター・スタローンの人生なんですね。 「エイドリアン、俺たちは勝ったんだ、俺たちで」エイドリアンの墓にバラを置き、過去に生きるのではなく、これからを生きる決意をした姿にホロリ。スタローンはその後、ランボーの続編に成功し、エクスペンダブルズという、彼にしか創れないヒット作で素晴らしい返り咲きを観せてくれました。 エンディングのロッキー・ステップを駆けてガッツポーズするファンと子供たちの姿に、また涙。みんなロッキーが大好きなんだなぁ。私もロッキー大好きだよ。
[DVD(字幕)] 8点(2025-02-11 23:17:43)
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