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1.  ベイビー・ドライバー 《ネタバレ》 
"Baby Driver"邦題まま。サイモン&ガーファンクルの同名曲からの命名だそう。 こういうシンプルな映画も好きです。登場する車か、劇中掛かるロックがビビッと来たら楽しめます。私は最初の車がインプレッサだった為に、アッサリ楽しんでしまいました。かっこえぇ~。 選曲も結構ツボで、フォーカスのホーカス・ポーカスが流れてきた時は「あ!昔フェイセズと間違って買ったアルバムの曲だ!」って驚いてしまいました。よくこんなドマイナーな曲を…※後から調べたら秘かに流行ってたんですね。  銀行強盗を逃がす天才ドライバーと言えば、ザ・ドライバーからドライヴまで、けっこう種類豊富ですが、主人公がボーっとした少年で、日本車を乗り回す姿から、『これはハリウッド版イニシャルDだ!』って思いました。“85号線の亡霊”なんて二つ名を出してくるあたり、絶対“秋名のハチロク”意識してるよ。ダウンヒルでもヒルクライムでもなくクライムサスペンスにしてる辺りがハリウッド。トランスポーターでもワイルドスピードでもない、この味付けは新鮮だったわ。  映画はベイビーの最後から1つ前の犯罪から始まります。最初の犯行からとか、長々クドクド描かないのがイイ感じ。デボラ可愛いし、バディ&ダーリンのコンビは魅力的だし、バッツは良い塩梅で憎たらしい。このいちいち説明しないでも観てりゃ解る感がナイス。展開早いしご都合主義だし。詰め込み過ぎてないから分かり易くて、結末も真っ当。とても後味の悪くない映画でした。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2025-03-26 22:26:22)《新規》
2.  17歳のカルテ 《ネタバレ》 
“GIRL, INTERRUPTED”『(成長を)中断された(状態)。少女。』のような意味のようです。 映画ではスザンナ達が17歳かどうかは解りませんから、邦題は独自の意訳です。でも17歳と18歳で、少女から女性に扱いが変わる時期でもあるため『17歳の少女の時に精神病院に入り、人生が止まった状態』みたいに解釈できますね。良い邦題だと思います。 作中、性的だったり人種差別的だったりと、かなり過激な言葉を使っていますが、字幕は相当表現が柔らかめです。  アンジーってこんなに可愛い女の子だったんですね。彼女の事はトゥームレイダー辺りから認識したので、峰不二子みたいな誰から観ても大人の女性…って印象を持っていました。それがこんなギャルを演じていたってのが、とっても新鮮でした。まだ少女なんだけど、大人びていて、それでいて繊細で壊れやすい。序盤の活発な姿と、後半の廃人状態の姿。とても良く表現できていたと思います。  一方スザンナは境界性人格障害という病名だけど、彼女は“精神病院に入れられた普通の人”の視点で描かれます。患者の行動に振り回される人という立ち位置でしょうか。彼女自身の障害で苦しむ姿は入院前の回想に集中しているように思えます。 患者の症状を丁寧に描きつつ、地下の遊戯施設やアイスクリーム店で心地よい一体感を感じさせる展開が巧いですね。恋のダウンタウン弾き語りのルール違反も心地よかったです。 そして持ち上げて落とす。デイジーの死と、それを見たリサの反応。本当の死と、信じた友達の受け入れられない部分。ここが彼女の社会復帰のトリガーになったんですね。 「1年を無駄にした」スザンナにこの入院生活が本当に必要だったかは疑問です。
[DVD(字幕)] 6点(2025-03-24 07:29:43)《新規》
3.  ミツバチのささやき 《ネタバレ》 
“El espíritu de la colmena”『蜂の巣の精神』えぇ~?本当? “la colmena”には群れるとか『群衆』って意味もあるそうで、当時のフランコ政権下の『群衆の精霊』のような意味合いがあったのかもしれません。フランケンシュタイン、毒キノコ、脱走兵。幼いアナの目を通じて、多くの大人が決めたことが、いまのスペインの現状が、本当に正しいかどうかを、もう一度考え直そう。と、そういう意図があったのかもしれませんね。  独裁政権下、検閲を逃れる精一杯の表現方法を用いているためか、かなり難解な作品です。 母が手紙を燃やすところも、敢えてフランコの切手を見えるように燃やしたり。色んなところに隠された意図がある映画のようです。 まだ幼いアナがピアスしているのも不思議。スペインでは常識なのかな。カラスの飼育ではピアス無かったと思ったなぁ。ピアスにはいろんな意味があると聞くから、意図的なものかもしれません。 イサベルが血の口紅を差すシーン。偶然か意図的か、肩紐がハラリと落ちるところなんて、幼女なのに見事に妖艶に撮れてます。イサベルの死んだふりも、最初観たとき、子どもだから呼吸で体が動いてるけど、本当に死んだ演技なのか、振りなのか解りませんでした。そもそもイサベル、何でそんなこと(猫の首絞め→血化粧→死んだふり→手袋で脅かし)したんだろ?  当時のスペインの情景の中に登場人物が動き回るという構図です。ほぼ固定カメラですが、アナがタイプライターで遊んでいるところとか、脱走兵の死体のシーンで、一部カメラがスクロールしたり引いたりしてました。…何でここで?とは思いますが、意図は不明です。 朝食の時に懐中時計を出して、父はアナが持ち出したことを察するところ。アナは脱走兵が死んだことを察するところ。この時のアナの表情もとても良いですね。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2025-03-23 19:02:22)《新規》
4.  パプリカ(2006) 《ネタバレ》 
学生の頃に原作を読みました。うろ覚えだけど夢探偵パプリカの活躍が面白かったです。でも後半の壮大な戦いが、何が起きてるのか頭の中の理解を超えてしまい、意味が解らなくなった記憶があります。 しばらく経ってあのパプリカが映画化されるとあって、あの壮大な戦いがどのように映像化されるか?映像だと理解できるものか?が気になっていました。 最初観たときは原作のボリュームに比べて物足りなさを感じましたが、今回は単純に映像表現の素晴らしさに感心してしまいました。  粉川の夢表現から素晴らしい。これぞ夢っていう夢。たくさんの自分と同じ顔が迫ってくる。崩れ落ち続ける被害者。進みたくても進めない廊下。そしてオープニング。摩訶不思議なテーマ曲と、常識を無視して自由自在に動き回るパプリカに、まさに掴みはオッケーでした。悪夢のパレードも不思議で不気味で見応え充分です。 「浮かれ浮世の憂さ晴らし~♪」うろ覚えだから原作の後半もこんなだったような気がする。もう少しデビルマンの最後みたいな派手な戦いだったような気もしたけど、よくアニメでここまで表現したなって、素直に感心しました。そうかぁ~、映像化すると、こうなるのかぁ~…気持ち悪。  映像化したら観たかったのが、夢表現ともう一つ、大人の敦子が少女のパプリカに変身する様子です。原作では鏡の前でソバカス付けてメイクしてパプリカに変身したって記憶がありますが、映画だともう一人の別人格として、敦子とパプリカはそれぞれ独立して出てきました。敢えてそうしたんでしょうけど、敦子の変身過程、観たかったなぁ。
[DVD(邦画)] 6点(2025-03-23 17:18:12)《新規》
5.  かがみの孤城 《ネタバレ》 
これは、大人の鑑賞にも耐える映画ですが、ぜひこころちゃんと同年代の子に観てほしい、とてもデリケートな映画ですね。 お城に入れる時間が9時から5時というのが良い設定です。基本的にこの時間は、学生でも社会人でも他人と関わらなくちゃいけない時間です。その時間を、人並みに他人と共有出来なかった子が、この7人って事になりますかね。 学校でいじめのターゲットになっていたこころが、お城ではみんなと一緒にウレシノを下に見るのも良い。少人数でも人が集まれば社会が形成されて、上下関係を作り、自分の立ち位置によって居心地の良さが決まる。 鍵を探すのが彼らの使命であり権利。鍵を見つけずに最後まで過ごすか、鍵を見つけて願いを叶えるかは、各々の自由。ここがまさに、社会に出ていくか、不登校を続けるかの、使命と権利に思えます。  こころの願いは真田さんを消すこと。…消してどうする?真田さんが居なくなれば、自分は社会(学校生活)に復帰することが出来る。って、こころは考えたようです。靴箱のところで萌ちゃんとバッタリ会ってしまった時のこころの気持ちがよく解るし、実は学校でも状況が変わっていて、萌ちゃんのこのときの心境も解るようになってます。 とっても芯が強い萌ちゃんですが、真田さんと遊ぶようになってから、教室でこころに対しバツの悪い表情を見せるところとか、とても人間臭く感じました。  ツッコミどころは多々あります。私はアキの制服姿で気が付きましたが、何か月も一緒に過ごしていたら、もっと早く気が付きそうです。お城の話を一か月とかの短期間にまとめた物語にしなかったのは、不登校や心の傷の解決には、1年とかそれくらいの長い時間が必要だから、敢えて延ばしたんだと思いました。 マサムネの携帯ゲームなんて危ない橋渡ってます。中学の頃って、一学年上だとスッゴイ大人に見えましたよね。スバルはきっと早いうちに秘密に気が付いていたかもしれませんが、アキはそんな男の子のオモチャに興味がない年頃でしょう。過敏に反応しそうな'99を空欄にしたのも、実は巧い演出。そして上映時期や原作のタイムリー世代が、こころじゃなかったところは、後から気が付きました。リオンは望んだから、それが叶った。でもアキはどうして?…でもこういうのが引っ掛かるのって、大人な証拠ですよね。同年代の子はもっとスーッと入り込めたんじゃないかなぁ? マサムネが考え付いたパラレル(異世界)をオオカミさまが全否定するのも良かった。『そんな都合の良い逃げ道なんてないんだよ』って感じで。  お城の話は大団円で幕を閉じますが、叶えた願いは現実世界には何の影響も与えないものです。そして現実のイジメ問題は解決した訳ではなく、鍵の力を借りたのでもなく、こころがお母さんや喜多嶋先生と地道に乗り越える道を選んで前に向かいました。この映画は何か不思議な力で他人や状況を変えるのではなく、周りの力を借りて、ゆっくりでも自分の意識を変えていく映画です。そこがとても繊細に描かれていました。 真田さんと和解に向かわないのも、とっても良いです。だってそんなの必要ないんだから。「(真田さんたちは)10年後も20年後もあのままだよ、きっとロクな人生送らないよ」「バカみたいだよね、たかが学校の事なのにね」その通り。 エンディングが“前向きに歩き出したこころのその後”ではなく、何故かオオカミさまが全部持って行ってしまいます。でも実はこの映画、オオカミさまに始まり、オオカミさまで終わっていました。オープニングの“行きたかったけど行けなかった”子の代わりに、今の私には何ができるのか、考えてしまいます。 で、エンディング。機会があれば4枚の絵の、リオンのお母さんに注目してください。とってもデリケートな作品なのが滲み出ています。
[DVD(邦画)] 8点(2025-03-23 14:52:26)《新規》
6.  ブルーサンダー 《ネタバレ》 
“Blue Thunder”邦題まま。架空の攻撃ヘリの名前で『青い雷鳴』の意味。 子供の頃「ブルーサンダーかエアウルフか?」論争が起きてました。ヘリ、テーマソングの格好良さは甲乙付け難く、渋いロイ・シャイダーと寡黙なJ・M・ビンセントもどちらもアリ。でもリアル路線でアメリカのセブンイレブンが映るブルーサンダーの勝利だったかと。 さて、テレビで大きなボカシの入っていたセクシーお姉さんのストレッチが、DVD版は完全ノーカットで入っていて驚きました。あぁ、こんなにアップで映ってたんだ。長生きはするものですね。  暗視カメラと収音マイク、ウィスパーモードの組み合わせは、都市型犯罪にヘリがどれだけ有用かを見せ付けてくれました。カッコイイ。そして怖い。映画公開から一年後に控えるロス・オリンピック。その警戒用に開発されたこの機体。頭の向きと機関砲が連動する装置など、一部は当時でも実用化(AH-64アパッチ攻撃ヘリ)されていた技術のようです。 恐らく当時のアメリカは、世界最高峰の攻撃ヘリの技術を持っていて、東西冷戦下、その技術の全容はベールに包んでいたと思われます。本作のような映画で、実際の技術と架空の技術を織り交ぜ、仮想敵国に対し、とにかくアメリカは敵に回したら怖いんだぞって、そんな印象を植え付けていったのかもしれません。  映画は単純なヘリ・アクションではなく、サスペンス要素が高く、結構見応えがあります。敵に捕まったライマングッドが可哀想で… そして後半は怒涛の空戦シーンの連続。警察ヘリにF-16、軍用の重武装ヘリと、いろんな敵と戦ってちょっと長すぎるくらいのエア・アクションを観せてくれます。F-16との空戦はモロ“当時の特撮”ですが、それにしても結構がんばっている方です。都市部でジェット戦闘機が暴れる映画って、他にあまり無かったと思います。 CG全盛期の時代ですが、本物はやっぱり迫力がありますね。ヘリの実機と模型、特撮を駆使した撮影技術に、当時の撮影クルーの知恵と技術と適度な妥協が感じられます。警官に捕まったケイトを助けるブルーサンダーの画。この機体案外小さいのに、この迫力。どんなに時間とお金を掛けたCGでも創り出せない、本物の力強さと美しさがありますね。
[地上波(邦画)] 7点(2025-03-11 22:28:24)
7.  太陽の季節 《ネタバレ》 
『太陽の季節』と言えば“障子破り”です。これそのまんまテストに出ます。検索をすれば、この場面がどれだけ生々しいか伝わります。 その映画化なんですが、きっと多くの昭和の文学女学生が、この場面観たさに劇場に足を運んだことじゃないでしょうか? ボーイフレンドとなんか行けないってか、居ない。友達とも恥ずかしくて行けない。ましてお父さんや弟なんかとは行けない。一人でコッソリ、同じ学校の子が居ない隣町まで、あの場面観たさに、映画館に行ったんじゃ…ないでしょうか??  …まぁ氷の微笑のあの場面以上にガッカリ再現だったと思います。私なんて、原作を読まずに、この映画を観たものですから、あの場面は何が起きたか解らない状態でした。 もちろん当時も今も長門裕之の“長門裕之”を観せる事は出来ないにせよ、他に方法が無かったのかと試行錯誤した結果『意味深な“間”を作って本を投げさせる』って手段に出たんでしょう。原作を熟読していた人には、ある意味アリですが…ドキドキを返せ!って気持ちにもなります。例えばですが「バリバリ」と乾いた音を入れるとか、南田洋子が視線を少し下げるとか…いや、この時代なのに流石にエロいか。  コマ送りで観ると、障子は破けていなくて、本がぶつかって破れます。あと長門裕之はずっとタオル巻いてます。文学なので障子を処女膜に見立てて、破ったり破られたりしてたんでしょうね。映画だと“竜彦の誘惑に負けた英子”って事になるんでしょうか。確かに、竜彦は金持ちで、女を抱いて面倒になったら捨てる最低男。ほぼほぼ共感できない設定ですから、英子の自滅の物語でしたね。
[CS・衛星(邦画)] 5点(2025-03-11 21:30:19)
8.  ビフォア・サンセット 《ネタバレ》 
“Before Sunset”『日没まえ』。おやおや、半年後でなく9年後ですか。って事は、あの半年後は… 思うに、半年後に会っていたら、ジェシーとセリーヌの恋物語は劇的な最終回を迎えていたんでしょう。そこで映画は終わり。 そうでなく、9年後の再会としたところに、本作の妙があります。お互い当時の面影を残しつつ、実際に9年間の歳を重ねた姿を映す。それぞれ違う道を歩みつつも、お互いの事を思い続けていた。  今回の再会は時間が短い。上映時間も短い。2人が再会してから、9年前の続きのようにず~~~~~っと喋ってる。ジェシーは家庭を持ち、セリーヌはいろんな男と付き合ってきた。けど思い出すのは9年前の一晩の思い出。まるであの時からやり直したいが如く、会話を重ねるけど、微妙な距離感が感じられる。 距離を縮めたいけど、グイっといけないジェシーと、ちょっとした事で熱が入って距離を取ろうとするセリーヌ…って感じに観えたのよ。 恐らく、会えなかった期間、ジェシーは現実が理想と違い過ぎて、セリーヌとの再会を求めていて、セリーヌは再会が望めないジェシーに代わる相手を求めていたんでしょう。この違いが、夢見がちな男と、現実路線の女の違いに思えたわ。  ストレートに一緒に居る時間を稼ぎたいジェシーと、言葉を一言間違えると消えてしまいそうなセリーヌの…駆け引き?散々喋ってきた2人の、部屋の中の沈黙。歌と音楽が素晴らしい。 「ベイビー!飛行機が~行っちゃうわよ~」その後どうなったんでしょうね?想像するに、前作は別れで終わったので、本作もこれで別れた。いやいや、前作は『日の出まえ』にセックスしてたんで、本作では『日没まえ』にセックスした。続編で答えは出てるでしょうが、この2人にはいつまでも、お互いを求め合っていてほしいですね。…ん?それって、いつまでも一緒になれないって事?
[CS・衛星(字幕)] 7点(2025-03-05 23:16:07)
9.  シャイニング(1980) 《ネタバレ》 
“The Shining”『輝き』。未来予知やテレパシーと言った能力で、その能力の事を、料理長はハロランが『シャイニング』と名付けていました。 本作を観たのは高校生の頃かな?当時ビビりだった私は、ホラーはあまり得意ではなかったです。特に当時主流だった“急に画面に出てきて驚かせる”ような、心臓に悪いタイプのホラーは大嫌いでした。血は割と大丈夫でも、内臓グチャグチャとかのグロいホラーも苦手でしたね。  でも本作のホラー表現…“深層心理で怖いものと認識している物を観せるホラー”には感心させられました。『滑らかにホテル内を走る三輪車。角を曲がった先に同じ服を着た双子が立ってる。』これだけで怖いんです。だって家族以外居ないホテルで、双子の子供が立ってるんだから、怨念渦巻く心霊写真を見たときのように身の毛がゾワゾワしました。そして一瞬映る双子の惨殺死体。また立ってる双子。今では割と使われる手法だけど、二人がこの世の者ではないことが映像から伝わってきて怖さ倍増。こういうホラーを待っていました。  人が居ないホテルも怖いものですね。家族旅行で言ったホテルや旅館を夜中に探検するときの、ちょっと怖い気持ちがよみがえります。楽しいはずのホテルの、昼とは違う夜の顔。人が多い時間と居ない時間の別な顔。そんなホテルでこんなモノ見たら怖いだろうな…って思っていたのが“着ぐるみ男と紳士”でした。「え?何?私いま、何を観た??」着ぐるみの犬(熊?)と紳士がベッドで何かしてる。何やら観てはいけない行為を観てしまった気持ちと、それがとても気持ちの悪い事と察知して、気になるんだけど、巻き戻してまた観たいとは思えませんでした。このシーンの意味を理解したくて、原作本を読みました。 Sキングは原作とは違う展開の本作を相当嫌っていたようで、原作はもっと怖いのかな?と思ったけど、なんか、つまんなかったです。内容ほとんど覚えていませんが、動物の植木が動いたりしたような…なんか私の考えるホラーとはズレてました。で、犬男も役割が違ってて、あの行為は何だったのか、解らず。あの2人はホモ行為に及んでた…というのは後から知ったこと。映画版は素晴らしいセンスです。  また本作では意図的に“左右対称”や、“同じ2つのモノ”を入れてきます。でも、パッと観は左右対称や同じ2つだけど、実は微妙に違うんです。ホテルの廊下の景色。血まみれになるエレベーター。ハロランの部屋。双子。上空から見た生垣の迷路。グレイディという管理人と給仕係。ダニーとトニー。現在のジャックと1921年のジャック。 同じのが2つあったり、左右で同じだったりが、人間の深層心理で怖い・不気味だと思うってことを、この映画が明確に掘り起こしたんだと思います。
[ビデオ(字幕)] 9点(2025-03-05 22:09:52)
10.  ファーストキス 1ST KISS(2025) 《ネタバレ》 
序盤が少々漫画チックだったので、後半にかけて少しはホロリとさせられるのかな?程度に思ったら、思いっきり号泣してしまいました。結婚されている方、長い付き合いのパートナーがいる方、家族でも友達でも、好きな人、かつて好きだった人が、今でも近くにいる事って、どれだけ幸せな事なんだろうって、もっと大事に思わないとって、再確認させてくれました。 号泣って書いちゃったけど、あんまハードル上げずに、松たか子の四段変化を楽しんでほしい映画です。45歳の脂の抜けた松たか子。29歳の若々しい松たか子。45歳にもなって29歳・初対面の男に好かれようとキラキラ・メイクの松たか子。そしてキラキラした45歳の松たか子。    離婚届を出す前に死んでしまった夫。最初、タイムスリップしたカンナの目的って、夫の事故を回避させ、無事離婚届を出すことだと思ってました。あれだけ冷え切っていた夫婦関係。でも、過去の駈に会うたび、どんどん駈を好きになってしまうカンナ。 トウモロコシを皮ごと茹でると美味いって学ぶと、恐らく次回のタイムスリップでも、皮ごと茹でる方が美味いって上書きされて変わっていく。あそこのコロッケは買わない方がいいと学ぶと、ドーナツに鞍替えしてしまう。現在と過去と未来は同時に起きている…とかって“時空のミルフィーユ”理論が面白かったです。 つまり毎回、8月1日の正午から20時まで、同じ過去に到達するのでなく、少しずつ上書きされた過去に行くんでしょうね。…ただし緊急停止ボタンのように、上書きされた記憶(イザって時は押せ!)の上書き(やっぱり押すな!!)も出来る。この8月1日を繰り返す事によって、初対面の駈は、どんどんカンナが好きになっていったんでしょう。 かき氷の列の、後ろの女の子たちがイイ仕事してくれるのも、夏休み新聞の子たちがじわじわ2人を後追いするのも、きっとミルフィーユなんでしょう。  「好きなところを発見しあうのが恋愛。嫌いなところを見つけ合うのが結婚」未来を変えるってことは、相手を変えることではなく、自分を変える事。でもそれは例えば、朝食に2人とも同じものを食べることではなく、自分はご飯を食べて、相手にはパンを美味しく食べてもらうこと。 タイムスリップを知っている者のバトンタッチ。たった一日のチャンスを生かし、15年先の未来を変えようとコミカルに奮闘する姿にワクワクしながら観ていたら、たった一日のために、未来の15年間を変えていった姿に泣いてました。
[映画館(邦画)] 8点(2025-03-02 00:07:31)
11.  デス・レース2000年 《ネタバレ》 
“Death Race 2000”『デス・レース』という架空のカー・レースの2000年版、邦題ままですね。 出てくるマシンが…格好イイというより、どこかユーモラスで、チキチキマシン猛レースの実写版のようです。初見時は中学生くらいかな?当時はハリウッドのゴージャスな映画に目が肥えていたため、ユーモラスなマシンだけでなく、作品全体から漂うチープさに、何故かホッとしてしまいました。  それでいて“未来の殺人レース”って題材がぶっ飛んでます。人を轢き殺したらポイントが入るという背徳感。競争相手のレーサーたちだけでなく、主人公(フランケンシュタイン)までも人を轢き殺す。娯楽映画らしい、悪事に手を染めない主人公が出てこないのが、ショッキングでした。フランケンのファンクラブの、生贄みたいな子がアッサリ殺されるのが衝撃的。何やかや殺さないと思っていたのに。こんな辺りが時代の先を行っていたような気がしないでもないです。  スタローンが出ているのも話題だったし、一周回ってライバルのマシンガン・ジョーが、何か胸のすく活躍をするかと言えば、終始小悪党らしい活躍と最期を迎えましたね。出場者が横並びで全裸マッサージを受けるサービスシーン、何とも意味不明だけど、バイオレンスとカーアクションだけでなく、エロ要素も入れてきたと考えると、暇つぶしB級映画のチェックポイントは残さず通過って所でしょうか?手慣れていますね。  プロットはとても素晴らしい。けど、じっくりお金と時間を掛けてこの題材の映画を創っても、きっとここまで面白くは出来ないと思います。私が観た’80年代後半、既にカルト的な人気の映画でしたが、この映画はそんな評価を期待して創られた作品でも無かった事でしょう。きっととんでもない低予算と、恐らくカツカツの制作期限と、製作者たちのその場の勢いで創られた、公開時にお客さんにウケればそれでOK!な快作だったと思われます。
[地上波(字幕)] 6点(2025-02-28 23:07:13)
12.  ビバリーヒルズ・コップ 《ネタバレ》 
“Beverly Hills Cop”原題まま。ロサンゼルス郡にあるセレブの多く住む独特な都市で、郡警察に属さない、ビバリーヒルズ独自の警察組織を持っているんだって。セレブが多い事もあって治安が良いため、アクセルの居たデトロイトなんかと比べると、重犯罪率も低いんでしょう。 ビカビカの最新ファッションに身を包んだセレブ達…なんだけど、'80sなのが近未来チックでもあり、懐かしくもありますね。一方でジーンズにトレーナーの普段着ルックなアクセル。当時のアメリカン・カジュアルで、普遍的だけに流行り廃りも無かった、とても楽なファッションです。現在50~60代のお父さんで、普段着がアクセルっぽい人ってまだまだ居ますよね。  さてエディ・マーフィに注目です。彼は“単独でお客を集められる、グローバルな黒人映画俳優”の第一人者です。このポジションの前任者は恐らくシドニー・ポアチエでしょう。でもポアチエ観たさにお客が呼べたかというと、どうでしょう?俳優より映画の内容だったかと思います。 やはりエディ・マーフィからなんですよ。エディは実力派俳優というより、コメディ俳優として世間に広く認知されたのが、彼のスターダムの原動力だったんでしょうね。当時の人種に対する壁を超えることが出来たのは、マシンガントークと笑顔という、彼の最大の持ち味が活かされたからでしょう。  エディ以降、'90年代に入り、デンゼル・ワシントンやウィル・スミスといった、世界的に売れた黒人スターが出てきますが、黒人が主役の映画の歴史って、案外浅いことを、ここにきて再認識しました。 そして映画では人種差別について、ほとんど触れられていません。当時はまだ黒人スターでお客が入るか手探りだった時代なのに、安易に黒人差別ネタを入れることなく、単にデトロイトとビバリーヒルズの生活レベルの差として、登場人物がみんな自然に接しているのが、本作がとても成熟した作品に感じさせます。やはりエディ・マーフィには、それだけ人を引き付ける魅力があったんです。当時まだ22歳ですよ。 この時代の、エディの脂の乗り具合は素晴らしいです。本作はそんなエディの格好良さと面白さ、彼の魅力の全部が詰まった一作でした。 …全然ネタバレ・レビューになってないですね。
[ビデオ(字幕)] 7点(2025-02-17 22:57:11)
13.  人間の証明 《ネタバレ》 
映画界の新参者・角川春樹が、鳴り物入りで映画界に突撃し、余りある札束で豪華俳優をビンタしながら造り上げた珍作。 当時の角川映画の事情は知らなかったけど、日本映画史上最大の予算を掛けて、最大の興行収入を稼ぐ。そういう意味では角川春樹は目的を達成しました。 映画と小説のコラボ販売。テレビや雑誌、ラジオやポスターと言った大規模な宣伝。異業種へキャッチフレーズを活用したメディアミックス。公開キャンペーンに披露パーティ。いわゆる“角川商法”が確立していて、日本映画界のカンフル剤の役割は果たしたんじゃないでしょうか?何より、多感で移ろいやすい当時の若者の関心を、ハリウッド映画やテレビ番組から、日本映画に目を向けさせる原動力にもなったかと思います。  驚くほどの豪華俳優陣。居酒屋のちょっとしたシーンで、大滝秀治に佐藤蛾次郎、坂口良子を惜しみなく使い捨てる。キャストにとって角川映画は、良いお小遣い稼ぎになったことでしょう。一方で、日本映画で長く飯を食ってきたスタッフや評論家、いわゆる“古株”からは、目の敵にされたように思います。作品の内容から酷評も解りますが、最初から角川商法にケチを付ける前提の酷評にも思えました。(※あくまでWikiを読んで思ったことです。) 本作の角川氏の動きを見ていると、堀江貴文の近鉄バファローズ買収に近いものを感じました。「母さん、彼のあの買収、成功してたらどうなってたでしょうね?」  映画は、殺人事件の解決まで、特にひねりもなく、行き詰まることもなく、一本道で犯人に辿り着きました。後半少し眠くなって、あまりにスーッと終わったので、寝落ちして見落とした所でもあったかな?と思いましたが、おおかた観たまんまでした。特に恭子が身を投げたらしき所が、どのタイミングか解らず、DVDが壊れてるのかと思い、数回観返しましたよ。 棟居の幼少期の記憶。その場に居た人々が、この事件に奇妙な縁で関わってきます。これ、撮り様によっては『マグノリア』や『クラッシュ』のような、人の繋がりをテーマにした名作に出来たかもしれませんね。 だけどこの映画の目的が、そんな見応えのある内容ではなく、単に“ハリウッド映画のような日本映画”…だったんでしょうか?ニューヨークのカーチェイス、ファッションショー、豪華すぎる俳優陣と、見た目には豪勢だけど、肝心のシナリオが、あまり面白くありません。豪華食材を使っているのに、素材の味を生かせてない素人料理のようでした。これでもか!と“足し算”はしてるけど、ここ余計だね?って“引き算”をしてないんでしょうね。
[DVD(邦画)] 4点(2025-02-13 23:24:00)
14.  ロッキー・ザ・ファイナル 《ネタバレ》 
“Rocky Balboa”ご存じロッキーのフルネームです。タイトルにローマ数字が入らないのは、1作目と本作のみ。邦題は『ザ・ファイナル』なので、シリーズの最後を意味していますが、私には2~5のシリーズ作品をすっ飛ばした、ロッキーの後日談に思えました。 舞台はフィラデルフィア。シリーズで“ロッキー豪邸”とか紆余曲折あって、結局モトの家に戻ってきた流れだけど、1からずーっとココに住んでいたようにも見えます。エイドリアンと結婚し、一人息子を授かったまではシリーズと一緒ですが、どちらにも採れるように、敢えてエイドリアンを故人とし、アポロとの友情も描かずに、時間軸がぼやけるように創られてます。  そして登場人物は1に出てきた人たちだけで固められています。過去の試合のダイジェストでラングやドラゴも出てきますが、本筋には一切絡みません。スパイダー・リコは未だに“まぐれで勝った”って言ってますね。確かにあの試合でスパイダーが勝っていたら、歴史は変わっていたかもしれません。リトル・マリー、有名人に言われた言葉は本人以上に覚えているものです。そしてカフとリンク。まだ生きてたんだなぁ。エイドリアンの気を引くために買った亀。一匹じゃ可哀想だからもう一匹買ってきたってところが、ロッキーらしい。スタローン曰く、本当に当時の二匹だそうで、今でも大事に飼っているそう。  本作はロッキーのその後の人生を語る作品であり、またスタローン自身の“今”を語る作品になっています。ロッキーとランボーの成功で、アメリカを背負うスーパースターになり、'90年代からコレといったヒット作に恵まれず、ライバルのアクション俳優に2歩も3歩も置いて行かれ、マンネリを打破できず、新境地も見つからず、もがき苦しんだあげく“過去の人”となったスタローン自身の映画になっています。 自身の栄光の過去に囲まれたレストラン“エイドリアンズ”で、お客に過去の試合の秘話を話し、一緒に写真を撮る。当時のスタローンって、本当にそんな生活してそうでした。'97年のコップランド以降、主演作と言えば、'01年のドリヴンくらいしか記憶にありません。そんな彼が、再びリングに上がる映画を創るなんて、無茶というもの。それも現役の世界チャンピオンと対戦するシナリオなんて…  張りのある若いディクソンの身体と、鍛えられているけど年齢を隠せないロッキーの身体。1作目を彷彿とさせるドキュメンタリー風のカメラ。あのロッキーが、また戦っている。まだ戦っている。ロッキー・バルボアの決して消えない闘志に、観ていてこちらまで熱いものが込み上げてきます。 判定を聞かずにリングを後にするロッキーの勇姿。チャンピオンに勝つことではなく、最後まで立って戦い続けることが、ロッキーの戦い方であり、ロッキーの、シルベスター・スタローンの人生なんですね。 「エイドリアン、俺たちは勝ったんだ、俺たちで」エイドリアンの墓にバラを置き、過去に生きるのではなく、これからを生きる決意をした姿にホロリ。スタローンはその後、ランボーの続編に成功し、エクスペンダブルズという、彼にしか創れないヒット作で素晴らしい返り咲きを観せてくれました。 エンディングのロッキー・ステップを駆けてガッツポーズするファンと子供たちの姿に、また涙。みんなロッキーが大好きなんだなぁ。私もロッキー大好きだよ。
[DVD(字幕)] 8点(2025-02-11 23:17:43)
15.  ドント・ブリーズ 《ネタバレ》 
“Don't Breathe”『息をするな』。“Don't breathe a word”で『一言も漏らすな』になります。 どうぞ私に構わず、お互い好き勝手にやってください。で片付けたくなってしまう人物設定ですね。 アレックスはそこそこ裕福な家庭なのに、片思いしてる女のために空き巣に手を染める。でもロッキーにとってアレックスは、自分に気のある単なる飯のタネでしかない。ロッキーの恋人マネーは空き巣に入った家で、花瓶割ったり放尿したりと好き放題。金のために盗むだけなら解るけど、なんか許せん。  ヒロインのロッキー。幼い妹の幸せと、デトロイトの泥沼生活から抜け出すために、空き巣を重ねる?許されんでしょう。今はまだ可愛い容姿だけど、10年もしたら全身タトゥーだらけの“そっち系の人”になってるだろう。 この3人が、金持ち専門の義賊的な空き巣集団なら百歩譲ってって所だけど、今回は大金に目がくらみ、盲目の老人から金を奪い取ろうと行動した時点で、同情の余地が無い。更にその金が娘を失った示談金だと知っていて奪うんだから、私らどの立場でこの映画を楽しめばいいんだろう?ってなるよね。 『1万ドル以上で重窃盗罪』って法律が実際にあるのか解らなかったけど、現行法で950ドル(14万円くらい)以下の窃盗は軽犯罪扱いみたいです。多くの人が銃を持ってるし、アメリカから犯罪が無くならないわけだ。  囚われの身のシンディ。本来コッチがヒロイン枠だろうけど、女の子を轢き殺して、親の金で示談に持ち込み自由を得ようとした、なんか本来は許すのが難しい立場。彼女が「あの事故はもう示談成立したのよ~、私は自由よ~」なんて、報道のVTR入れておけば、彼女のクズっぷりも増しただろうに。掘り下げ不足で事件中一番の善人枠です。 そして盲目の老人。だ。戦争で目を失い、愛娘を事故で失い、近所に誰も住んでないゴーストタウンで孤独に生きる老人。…イラク戦争で“老人”って、少し未来の話なのかな? で、この老人。サイコパスです。だけど両目と娘を失ったら、おかしくなっても不思議は無い気がします。 スポイト精子がもう、キモ過ぎ!なんか毛があ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙…  でも、あれで妊娠するんだろうか?適当に冷凍した精子を適当に解凍して…素人考えだけど、きっと無理です。シンディは何か月経っても妊娠はおろか出産もしません。だから彼女は、(不可能な)妊娠をするまで、延々とスポイトレイプをされ続けたんでしょう。 『2人組の強盗を撃退し、何も奪われず』どういう意味でしょう?警察を使わず、自ら追い掛けるぞ!って意味でしょうか?盲目で彼女に繋がるヒントもなく、さして嗅覚が優れているとも思えない老人が、彼女を追えるでしょうか?靴を置いて行っているので、犬を使って追う?う~ん…恐らくは、作中出てきた“警察か金か”“金で沈黙を買う”話。老人からの『一言も漏らすな』ってメッセージの方でしょう。 これだけ不快なキャラを揃えておきながら“鬼ごっこホラー”として、きちんと観られる作品に仕上げています。ハリウッド映画がマンネリ化して斜陽に突入した時代に、純粋なホラーとしてオリジナリティを出してきた点は評価したいです。
[DVD(字幕)] 6点(2025-02-11 12:35:48)
16.  ジョジョ・ラビット 《ネタバレ》 
“Jojo Rabbit”『兎のジョジョ』。ものの受け取り方次第で『臆病者の~』にも『勇敢な~』にもなる。 吊るされたドイツ人は「何をしたの」か?母親は「出来ることを」と答えた。ぶらりとした足と、もう地面を歩くことのない靴。 靴を履いて、靴紐を正しくしっかり結んだら、どこにでも自由に行くことが出来る。平和にダンスのステップを踏むことも出来るし、臆病者を踏みつけて脅すことも出来る。  ナチスを崇拝する当時のドイツの普通の少年が、手榴弾で半身フランケンシュタインになり、インゲの幽霊=ユダヤ人の普通の少女エルサと交流する。隠し部屋の中のエルサは最初裸足だった。ジョジョと親交を深めていく過程で、エルサは靴下を履いてる。彼女が歩けるのは安全な家の中だけ。エルサが靴を履いたのは家にゲシュタポが来たとき。アーリア人を演じ「ハイル・ヒトラー」と挨拶する。自由とは真逆、嘘をつくために履いた靴。  宙に浮いた母の靴。もう二度と地面を歩く事も、自由にダンスを踊ることも出来ない靴。ガツンと叩かれたようなショックと、母の靴紐を結ぼうとするジョジョに涙が溢れました。ここから先、涙が溢れっぱなし。 ジョジョの、綺麗なままの右半身(ナチ崇拝)と、傷だらけの左半身(母とエルサが好き)の葛藤。家族を守るためのナイフを右手に持ち、力無くエルサを刺すジョジョ。自分に向けられたナイフを払うでなく、止めるだけのエルサ。恐らくロージーがゲシュタポに連れ去られたのを聞いていたんだろう。「あなた(エルサ)か息子かを選ぶとしたら…」どちらも守りきったロージー。  戦争が終わり、自由を得たエルサ。彼女が自由になると独りぼっちになるジョジョの葛藤。白紙の手紙。心のアドルフ。『ウサギの耳をシッポに巻いて、しっかり縛って穴に戻す』母の教えを思い出し、エルサの靴ひもを結んであげるジョジョ。 「外は危険?」「とってもね」頼れる男を演じ、危険な場所からの脱出を試みる二人…路上のエルサと、玄関の2段あるステップの、一番上にいるジョジョとの身長差。ステップを一歩だけ降りて「脱出成功」の時の2人の身長差。そして… 観終わって、続けざまにもう一度最初から観ました。
[DVD(字幕)] 10点(2025-02-11 10:57:44)
17.  ロッキー5/最後のドラマ 《ネタバレ》 
頂点を極めたアクションスター・スタローンが、ライバルのシュワルツェネッガー人気にどんどん後れを取っていき、一番迷走していた時の作品です。マンネリ、不人気、低迷…何を撮ってもダメな時期に、恐らく起死回生の意味で、自身をスターダムに押し上げた『ロッキー』の続編を投じてきました。 自身が活躍するスーパーヒーロー路線は頭打ちなので、原点回帰を図るヒューマンドラマ路線にしました。監督もアビルドセンを起用し、年齢から、自身が戦うのではなく、トレーナーとして若手を育てるドラマに方向転換してきました。 あの時期にこの映画を、ロッキーⅣの続編を、スタローンの新作を、誰が観たいと思ったんでしょうか?  ロッキー・シリーズと言えば、掴んだものを失って、また這い上がってくるのがパターンです。掴んだ大金、父親代わりのミッキー、ライバルにして親友のアポロ。そして今度は…。財産という意味ではⅡと被りますが、Ⅴでロッキーが失ったのは“アメリカンドリーム”でした。 ロッキー=アメリカンドリームと言っても過言ではない存在なのに、ロッキーこそみんなが憧れる成功者のモデルなのに、あんな一瞬で、あんなアッサリと掴んだ成功の全てを失ってしまったことに、このシリーズ全体さえ、虚しさに近いものを感じてしまいました。ロッキーが這い上がるための障害と言えば聞こえは良いけど、今回の破産は、映画の制作側の御都合主義にしか思えません。またペットショップで働きだすエイドリアンなんて、もうコントです。こんなロッキーの最後を、誰が観たいと思ったんでしょうか?  ロッキー達は昔の安アパートに住み、ミッキーの残したジムで、才能ある若者トミーを育てます。だけどどうにも彼に魅力を感じません。スパーリングでガンガン行くファイトスタイルも、デュークに丸め込まれてロッキーを捨てるのも、マスコミに認められないからってロッキーに対決を求めるのも、トミーのやってる事の全部が嫌いです。生まれた環境の悪さがチラッと出てきましたが、それ以上の掘り下げが無く、彼に魅力を感じる要素がゼロでした。 そして、着々と勝利を重ねて、遂にケインに勝ってチャンピオンになったトミー。彼を全否定するマスコミは、ある意味私たちの留飲を下げてはくれますが、一方でトミーの掴んだアメリカンドリームを批判しています。ロッキーで言えば、Ⅲでミッキーが仕組んだ好カードで連戦連勝し、強敵クラバーにも勝った状態が、今のトミーです。それを認めないマスコミって、何なんでしょうかね?こんなアメリカンドリームの終焉なんて、誰が観たいんでしょうね?  最後は八つ当たりで喰って掛かるトミーと、ポーリーを殴られて怒ったロッキーのストリートファイトです。殴る、蹴る(!?)、投げ飛ばす(!!)。ボクサー同士の戦いとは思えません。死闘の末トミーを倒すロッキー…。…だから何だってんだ!? ここが映画の中盤で、またトミーと組んで頂点を目指すとかなら良いさ。でもジュニアとの信頼を取り戻しておしまい。って、そもそもトミーが居なきゃ、ロッキーが変にトミーに肩入れしてなきゃ、もともと家族仲は悪くなかったじゃない。この場に及んでトミーに勝ったからって、どうだってんだ?? この後もスタローンは、スター街道を転げ落ちていきます。虎の子の『ロッキー』をこんな作品にしてしまい、どんどん迷走していきます。こんなスタローン、いったい誰が観たかったんでしょう?
[ビデオ(字幕)] 3点(2025-02-04 22:48:07)
18.  そして父になる 《ネタバレ》 
愛情を注いで育ててきた子供が、実は血が繋がってなかった。本当の子は別な親が育てていて、子供たちを本来の親が育てるべく交換することを考える。6年も経ってから。 重たい。観る前が辛いですね。どう考えても、2人の子供、父と母の4人。それぞれの考えや思いがあるから、ドロドロの修羅場になることが目に見えています。映画は自由な趣味の時間に、明日からをより良く過ごすために、観たいものです。なので、観る前から重たいのが想像できる作品は、気分が耐えられそうなタイミングで「ヨイショ!!」って気合い入れてから、観ます。  でも本作は福山演じる“野々宮良多が抱えた問題”に主題を絞ることで、作品自体に嫌悪感を抱くことなく、関心を持って観る事が出来ました。そう、良多を除く残り3人が大人なんですよ。4人の中で、一番社会的地位のある良多が、一番大人らしい対応が出来てないんです。もちろん他の3人も、それぞれ苦悩があり、妻であるみどりの苦悩は垣間見ることが出来ますが、基本、良多の成長の物語なため、観ててシンドイって気持ちを抑えることが出来ています。 家族に対し自分の意見を一番に通そうとする良多に対し、雄大は常にゆかりの意見を尊重して、夫婦で意見が食い違うと、ゆかりの意見を立てる姿勢がとっても大人でした。  なかなか埋まらない子供たちとの溝。特効薬のように上手い方法なんてなくて、時間をかけて築いていかなきゃいけない新しい親子の関係。この二組の家族のその後の選択は、結果的に観る者に委ねられましたが、タイトルが回収しています。「そして父になる」。 琉晴に言った「あっちのパパ」と「本当のお父さん」。子供は父親の事を“父”とは言わない。良多は“自分のための子供”という考えを捨てて、“子供のための父親”になろうと、ようやく決心が出来たんでしょうね。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2025-02-04 21:42:37)
19.  ファイヤーフォックス 《ネタバレ》 
“Firefox”レッサーパンダの別名だそうだ。劇中の架空の戦闘機Mig-31のコードネーム。ソ連の戦闘機(Fighter)は頭文字が“F”から始まります。フロッガーとかファルクラムとか。その法則から劇中のファイヤーフォックスは正解なんだけど、頭文字Fで始まるコードネームはNATO軍が勝手に付けた呼称で、ソ連側では呼びません。ガンダムで言うと『スカート付き』みたいな名称です。 ステルス機が世に出る以前の作品だけど、XB-70バルキリーを溶かして小さくしたようなフォルムは中々カッコイイです。ボタンを押さなくても、考えただけでミサイルを撃てるなんて、謎の超大国ソ連らしいです。当時ソ連には、超能力を使うエスパー部隊がいる!なんて、何かで読んだ気がします。ホント、何やってるのか解らない国でした。  子供の頃、テレビで何度か放送されてましたね。結構みんな観ていましたよ。もしかしたら、ダーティハリーより先に観たイーストウッド作品かもしれません。今思うと、イーストウッド主演で特撮の戦闘機ものってのが、一種独特です。前半はスパイもので、後半は空戦アクション。割合は5:5くらいですが、当時の印象だと3:7くらいに思えてて、同型機の空戦の記憶ばっかり残ってます。で、今の目で観ると、8:2くらいで、飛行機は最後にチョットだけで良いんじゃないかなぁ?なんて、作品の本質をぶち壊してしまう感想を持ってしまいます。だって後半の逃走劇が単調なんだもの… 特撮は当時の標準レベルですが、誤魔化しの利く宇宙空間ではなく、観慣れた青空と特撮飛行機は、相性があまり良くないですね。背景との相性が悪く飛行機が浮いちゃってます。  スパイものの部分は、まぁ悪くないかなって思います。ガントが演技がまるでダメなのが、ハラハラはしなかったけど、味わいがありました。任務のために無関係の密売人を殺すところとこか、命より任務を重んじる協力者たちに、冷戦状態は決して平和な状態じゃないことを暗示させます。 ガントのトラウマ、ナパームで焼け死ぬ少女。印象的でしたが、この映画の中で克服するでもなく、きっと一生背負っていくんだなって思いました。 最後は思った以上にあっさりした終わり方でした。どうしてこの映画が、同年代の多くの人の印象に残っているのか、解るようで解りません。。。
[地上波(吹替)] 5点(2025-02-03 22:28:57)
20.  麻雀放浪記 《ネタバレ》 
麻雀は、学生の時にスーパーヅガンのアニメと、ぎゅわん自己のゲームで多少知っていますが、特に詳しくはないです。でもこの映画は面白いですね。世界観がきちんと出来上がっています。 モノクロにしたことで、特撮なんだけど、映像に安っぽさが無いんですね。戦後焼け野原の東京が見事に再現されています。オープニングのチンチロリン小屋前の、地面のぬかるみ具合。雨粒の大きさ。小屋の中の汚さ。ゴザのくたびれ具合に、しっかりカメラに映る雨漏り。セットだろうけどリアリティが凄い。本物っぽいというのではなく、凄く精密な、人の造った精密なジオラマを観ているような世界観なんですね。  そんな中で繰り広げられる博打打ちの世界。チンチロリンで、おりんがイカサマをしてるのを、みんな解ってるけど黙ってる。おりんはいいカモを連れてくるから。なんて、面白いじゃないですか!私は博打打って、その日暮らしで一晩の勝ち負けに全てを賭けてる連中だと思っていましたが、確かに、明日も明後日も博打で食っていかなきゃいけないんだよね。こんな描写に、美学じゃない生活感・リアリティを感じました。  そんな博打打ちの日常に、女の家を勝手に売り、女さえ売り飛ばし、ここ一番・一瞬の大勝負に掛ける癖の強い男たち。負けたら払う。負け際の潔さがとても美しく、爽やかでもありました。…自分で書いてて『爽やか?どこがだよ』って思いましたが、麻雀に掛ける男の生き様が清々しかったんです。  九蓮宝燈であがったら死ぬ。聞いたことあります。この映画で有名になったんでしょうね。出目徳の死体を身ぐるみ剥がして、土手から自宅前に転げ落とす…一度見たら忘れられないシーンです。このシーン、キルビルで使ったな?タランティーノ。一見異常だけど、博打打ちの世界に生きる、ドサ健、ゼゲンの達、坊や哲までが、阿吽の呼吸で出目徳を突き落とす様子が、一見シュールで、それでいて大勝負のあとの美学を感じさせます。この美しさは色褪せないですね。 3人の霊柩車に、よたよた付いていく上州虎。非日常の大勝負の美しさから、日常のクズ人間に戻っていく感じ。和田監督、デビュー作でこれ撮れちゃうって、ホント凄いですよ。
[CS・衛星(邦画)] 9点(2025-02-02 14:36:47)
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