1. アメリカン・グラフィティ
『スタンド・バイ・ミー』のオリジナルここにあり、って感じです。未熟でカッコつかなくて、将来への期待と不安が入り交じり、そしてなんだか物悲しい卒業パーティーの一夜。昨日まで同じ高校で学び遊んだ4人の仲間が、夜明けとともまったく違う人生を歩み始める。等身大の青春を描ききった傑作と言えるでしょう。 10点(2001-11-15 12:06:07) |
2. タクシードライバー(1976)
私的カルト映画。デ・ニーロが放つオーラにただただ圧倒される。この映画でのデ・ニーロを超えるデ・ニーロ、いや、役者にはまだスクリーンで出会ったことがない。 10点(2001-11-15 09:56:18) |
3. 裏窓(1954)
ヒッチコックの映像魔術がいかんなく発揮された傑作。ただ一つの場所にシチュエーションを固定するという点で『救命艇』に通ずるものがあるが、この作品においてはさらにジェームズ・スチュアートの視点と観客の視点が同調するように計算されているいで、ジェームズ・スチュアートの感じる不安や焦燥感がダイレクトに観客へと伝わってきて、いやがおうにもスリルを盛り上げてくれる。これだけ物理的距離感をサスペンスに有効利用できた映画はなかなかないだろう。 9点(2002-01-28 03:50:03)(良:1票) |
4. ライトスタッフ
マーキュリー計画を描くこの映画が成功した最大の要因は、やはりサム・シェパード扮するテストパイロット、チャック・イェーガーの存在にあるでしょう。宇宙飛行士に選ばれた7人が次々に世間の注目を浴びるのと対比させて、イェーガーの孤独の戦いを描いている。イェーガーが、パーティーが開かれている夜に、カウチ(?)に深々と腰を落として、夜空の遠くに小さく浮かぶ満月を親指で隠してみせる…このシーンがとても印象深く心に残っている。 9点(2001-11-18 07:23:22) |
5. 華氏451
トリュフォーって、ヌーヴェル・ヴァーグの作家の中でも苦手な方なんです。あの、感情の激しさと甘ったるさがどうも…。ゴダール作品の方が好きなの多いです。でも、『大人は判ってくれない』とこの映画だけは別。トリュフォーテイストのSF映画って、なんだか不思議な感触。色彩の鮮やかさが強烈に印象に残ります。 9点(2001-11-18 03:11:31) |
6. アンタッチャブル
オープニングが文句ナシにカッコいい。そして、エンニオ・モリコーネの音楽が素晴らしい。上質の娯楽作品ってだけではない、+αな部分を感じるが、それはやはり優秀な俳優陣で固めたところか。デ・パルマのマニアックな演出もこの作品ではびしびしキマっている。 9点(2001-11-15 12:22:29) |
7. アフリカの女王
ハンフリー・ボガートとキャサリン・ヘップバーンは私の大好きな役者さんで、二人の共演ってだけでもう高得点。なんとなく『地獄の黙示録』を彷佛とさせる、未開の地を川を下って旅をするというシチュエーションは、川下り版ロード(?)ムービーとも言えそう。 9点(2001-11-15 11:41:33) |
8. 月の輝く夜に
イタリア人気質の激しさと繊細さとおおらかさが溶け込んだ素晴らしい作品。情緒の描写を追求するあまり退屈することも少なくないヨーロッパ映画ほど緩慢とせず、かといって昨今のアメリカ映画のような単調なまでのサービス過剰もなく、“適度に”楽しめました。数々のささやかなすったもんだがラストへ向けて幸せに収斂していく過程がほほえましく、なんとも可愛らしい映画でした。 8点(2003-07-10 07:40:56) |
9. マスク(1984)
障害者を“かわいそう”という、ある種、差別的視点から描いていないところが、よくある感動の押し売り映画とは決定的に違う。しかし、障害者の負った宿命はきっちり描き切っていて、冷たい視線や心ない言葉を投げかけられるなどの差別を受けるシーンは、観ていて痛々しくなってしまう。主人公がハンディキャップを軽々と乗り越えて周囲の環境と違和感なく溶け込んでいく過程をスクリーンを通して観ていると、観客も、まったくキレイごとではなく、彼がなんら一般の人々と変わりない存在であるばかりか、彼の回りに集う人々に明るさと励ましを与えてくれる素晴らしい存在であることに気づかされ、そのときには、そのおぞましい容貌もあばた程度の欠点にしか感じられない好青年に見えてくるのだから不思議だ。スクリーンに存在する彼らの親友と同じように、私たちも、2時間の映画鑑賞という体験を通して、肉体という障壁を破壊して主人公の純真な人格を発見するに至るのだ。障害者を描いた映画の中でもぬきんでた作品と言えるだろう。最後に、遊園地の迷路(?)で、主人公が湾曲した鑑に映った自分の顔に戸惑いを見せるシーンがとても衝撃的であった。 8点(2002-12-29 06:24:21)(良:1票) |
10. マーズ・アタック!
B級SF超大作『インデペンデンス・デイ』への痛烈な皮肉を満載したA級コメディ超(?)大作。『インデ~』が本物の大馬鹿映画なら、『マーズ~』はお馬鹿を装った知的な秀作映画。かつて権威主義的パーソナリティによってナチスの台頭を招いてしまった民族の末裔だからなのか、アメリカという大国への賛美が結局は権威への迎合体質を暴露してしまったにすぎないドイツ人監督に対して、アメリカ国民として(そこまでの意識があるかは定かではないが)権威主義に異義を唱えたティム・バートン。アメリカって、お馬鹿が山ほどいるけど、賢い奴もたくさんいるんだゾってことね。心優しくも気弱そうな青年ルーカス・ハースが、瓦礫の山の中で、これまた権威志向がてんでなさそうな大統領の娘ナタリー・ポートマンから勲章(?)を授けられる授章式のシーン…やはり庶民こそヒーローなのだ。『インデ~』にはつけれなかった点数をまるごと本作に。 8点(2002-11-04 05:26:35) |
11. イレイザーヘッド
生理的に感じるものがある映画はいい映画だ。それが、たとえいい意味でも悪い意味でも…。ジョン・フォードやハワード・ホークスなどは、ハリウッド黄金時代の代表的名監督であり、素晴らしいエンターテイナーであると同時に素晴らしいアーティストでもあった。彼らが、楽しい娯楽作品を創造しただけでなく、そこに芸術的要素をふんだんにちりばめたからだ。芸術的要素とは、理屈を超えて生理的に伝わってくるものである。いわば、映画のスパイスだ。スパイスは隠し味であり、対象全体を引き立てつつ、それ自体は目立たないものである。スパイスの効いた映画に接すると、作品の素晴らしさを実感しつつも何が良かったのか曖昧なままだったりすることも多い。本作は生理的感触が満載の映画である。そして、それは生理的嫌悪感と言い切っていいものだ。もはや隠し味とは言えない、スパイスそのものを描いた映画である。食べ物に例えるなら、パン生地にほんの少しハムとチーズが乗っただけで、あとは真っ赤に染まるタバスコが大量にかけられた、鼻孔にツーンと刺激が駆け抜ける激辛ピザとでも言おうか。ふだんは引き立て役のスパイスを主役に、メインであるはずの娯楽性を排し、芸術性のみを追究した作品である。 8点(2002-10-25 05:43:33) |
12. 小さな巨人
『アウトロー』のチーフ・ダン・ジョージが、ほとんど同じキャラで酋長をやってて、笑ってしまった。ワイルド・ビル・ヒコックやカスター将軍、それにほんのちょっとバッファロー・ビル・コディが出てきたりして、西部開拓史版フォレスト・ガンプのようだ。そういえば、どっちも、主人公が自らの生い立ちを第三者に語って聞かせるという構成になっているし。カッコのつかない生きざまをそのまま描き出してみせるアメリカン・ニュー・シネマの土壌の中から生まれた本作なので、当然、サスペンスもスペクタクルも薄いわけだが、淡々と進行していく物語のラストにあるべくして名シーンがあった。“息子”ダスティン・ホフマンを従え、山の頂上へ死地を求めて登ってきた酋長、チーフ・ダン・ジョージ。霊力を借りて神々しく散ろうとするがあえなく失敗。仰向けに寝そべる酋長の顔に、無情にも大粒の雨。顔をヒクヒクさせる酋長に、ホフマンが一言「どうです?」酋長「まだこの世か?」「テントに戻って何か食べよう、息子よ…」そして、二人は登ってきたのと同じ足取りで山道を下りていくのだった。 8点(2002-08-18 06:42:36)(良:1票) |
13. トレインスポッティング
面白い映画には独特のリズムがある。下で多くの方たちが指摘されている、サウンドトラックに乗せたミュージッククリップのような映像という意味だけではなく、監督の個性に裏付けられた映像としてのリズムで、前作『シャロウ・グレイブ』でも確認できる。絶望的なまでにどん底の生活環境を背景に、これだけ明るく、文字通り突っ走って描かれた映画に素直に賛辞を送りたい。 8点(2002-02-18 07:26:54) |
14. 暗くなるまで待って
キャラクター設定と密室劇という状況設定を最大限に活かしたサスペンス映画の秀作。ラスト、部屋が本格的に暗くなってからのヘップバーンとアラン・アーキンのやりとりは、まさにSMプレイそのもので、しかも途中でSとMが交代し、さらに再逆転…暗くなればなるほどサスペンスが盛り上がってゆく。個人的には、ヘップバーンとリチャード・クレンナのロマンスの一歩手前みたいな関係が好きでした。 8点(2002-02-10 08:15:46) |
15. グリフターズ/詐欺師たち
これは面白いね。インディペンデント系の上質な作品を観てる気がした。『スティング』のようなコミカルな映画を想像してたのに、いい方向に裏切られた。うまいねぇ、スティーブン・フリアーズ。点数も、8点台の後半ということで。 8点(2002-02-10 07:51:40) |
16. プラトーン
観てる側まで戦場にいるかのように錯覚させる臨場感はスゴい。適度に戦争映画としてのリアリティを表現しつつ、登場人物どうしの確執に焦点を当ててドラマを描ききっている点で非常に優れた娯楽映画でした。ただ、純粋に戦争映画の視点から見て素直に評価することは難しい。 8点(2001-11-20 16:55:30) |
17. つめたく冷えた月
モノクロって、カラー特有のいらないイメージまで映像の中に取り込んでしまう無駄を削ぎ落とすのに、現代においてますます有効な表現手法となってきている。モノクロフィルムを好んで使用するジム・ジャームッシュの映画もそう。本作にとてもシャープで鮮烈(!)な印象を受けた。点数も、限りなく9点に近い8点台といういことで…。 8点(2001-11-20 12:39:17) |
18. ニキータ
よく同じベッソンのアクション映画として『レオン』と比較されるが、『レオン』が観客の感傷に迎合しすぎていたのと対照的に、この作品はどこか乾いた感じで、深い絶望感が全体を貫いている。ハッピーエンドを予感させない奇妙な三角関係もうまく描かれていて、ラスト、ニキータが去ったあとに残された二人の男の会話のやりとりがクールで印象深い。 8点(2001-11-20 07:16:10) |
19. シャレード(1963)
ケイリー・グラント主演のサスペンスなので、どうしてもヒッチコック映画を連想してしまう。で、これが意外に面白い。演出面ではどうしてもヒッチコック映画に見劣りしてしまうが、それでも全体的に非常によくできた映画だと思う。感心。 8点(2001-11-18 06:01:49) |
20. アルカトラズからの脱出
脱獄映画の基本中の基本。そして、イーストウッドにドン・シーゲルとくれば面白くないわけがない。秀作です。 8点(2001-11-16 12:05:26) |