1. 機動警察パトレイバー2 the Movie
日本で戦争を語らせたら押井監督の右に出る人はそうはいないだろう。この作品はその中でも最たるものでシナリオ、人物描写、構成どれをとっても傑物。アニメであってアニメでない、入念な入れ込みが物語に現実味を帯びさせている。現代に警鐘を鳴らす問題作。 10点(2003-05-24 23:12:49) |
2. レイジング・ブル
感情の複雑な難しい役を見事に演じ切ったデ・ニーロは見事という他ない。1度は頂点に上り詰めながらも家庭の崩壊からしだいに転落してゆき、実の弟からも見放されて、それでも生きようとどん底でもがく。一見すると全て自分のせいであるが、彼は本当は純粋で人並み以上に淋しがり屋で、にもかかわらず自分の言葉をうまく相手に伝えることが出来ずつい体が動いてしまう。そんな風に僕には映りました。タクシー・ドライバーとは種類こそ違えど、悲しい男の再出発を描いている点が共通していると考える。 10点(2003-05-21 00:35:32) |
3. タクシードライバー(1976)
不器用で純粋な男の物語。心を病み、社会に溶け込めずにもがき苦しむ男が、時には愛を求め、時には現実から逃避し、時には男の独占欲を剥き出しにしたり、時には狂気的な野望を抱く。彼は社会に居場所を求めて、それが出来ないために狂気を内に宿している。しかし、自分の意識如何に関わらず、社会に認められたことを実感した彼は以前のように仲間内で話し掛けられるのを待つのではなく、進んで輪の中にいられることが出来るようになるほどの変化を見せ、利己的で盲目的であった愛にもけじめをつけることが出来るようになった。生活にさして変わり映えは無いが、彼の中では大きな変化が訪れたのだと思う。おそらく彼はそれほど深いことを考えていなかったはずだ。しかし結果として彼は人間性を取り戻した。単純な善悪では判断できない現実観を感じる。映画全編を通して流れる音楽が、美しくも無機質な映像にとてもマッチしていて深みを与えている。演者も演出も素晴らしく、抑えた雰囲気が印象的。 10点(2003-05-21 00:13:25) |
4. ジャッカルの日
非常に素晴らしい作品。全編に渡り緊迫感が持続し、どんどん引き込まれてゆく。ルベル刑事がジャッカルの正体の調査に一進一退している姿は非常に人間味に溢れているし、ジャッカルの冷徹な姿には時には戦慄さえ感じる。正直言ってこの映画に携わった人の名前全然知らない。その分監督・俳優の有名無名にこだわることなく素直に見ることが出来た。最後までその正体を明かすことなく死んだジャッカルの棺桶をしばし見守り、去ってゆくルベル刑事が印象的。暗殺者を題材にした映画としては白眉。どう考えてもあの駄作は生まれないと思うが・・。 10点(2003-05-20 00:24:36)(良:1票) |
5. ゴッドファーザー PART Ⅱ
この作品は、僕がはじめて見た映画であり、その分思い入れも深い。若きビトーが裸一貫から任侠の志を武器に立身してゆく姿と、巨大になりすぎた組織をまとめるために苦悩するマイケルの姿の対比はあまりにも印象的。特にビトーが徐々にその力を伸ばしてゆき時には仲間と笑いあう姿を見せる後にマイケルの苦渋の表情を入れることでマイケルの苦悩をより知ることが出来る構成力の素晴らしさ。ラストのマイケルの苦しみの表情とビトーの希望に満ちた表情は非常に印象深い。 10点(2003-05-19 23:49:11) |
6. ゴッドファーザー
映画ってこんなに完璧に出来るんだなあ、というのが率直な感想。構成、演出、音楽どれをとっても素晴らしい。一番ファミリーと離れたがっていたマイケルが、ファミリーの為に人殺しをしたことをきっかけに、徐々に闇の世界の深みにはまってゆく過程が克明に映し出されており、ストーリーを支える人々一人一人も魅力的。マーロン・ブランドはいうまでも無く、ロバート・デュバル、ジョン・カザール等演者の演技も光っていて、見る人を引き込む。これほどの映画を見ることが出来るとは思わなかった。 10点(2003-05-19 23:27:36) |
7. 2001年宇宙の旅
3回ぐらい見てやっと意味が分かった。でもその解釈は好きではない。進化論に真っ向から挑んだこの作品。意見は割れるところでしょう。宇宙船が精子の形というのは良く考えてると思った。68年の作品とは思えない映像美。古さを感じさせませんね。同時公開の「猿の惑星」にメーキャップ賞を採られたのはご愛嬌。 10点(2003-05-18 12:20:31) |
8. 博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか
僕の周囲での認知度は低いけど、この映画はすごい。戦争の狂気がよくにじみでていました。ブラック過ぎるユーモアにあぜん。まさにキューブリックらしい素晴らしいカメラワーク、演出でした。 10点(2003-05-18 12:11:10) |
9. ミッドナイト・ラン
見終わってすがすがしい気持ちになる映画っていいなあ。ユーモアのなかに含まれる男の哀愁がたまらない。みんなに見せたい作品。 10点(2003-05-18 11:12:30) |
10. COWBOY BEBOP カウボーイビバップ 天国の扉
ビバップとして見ると確かに物足りないし、日本のアニメ映画としてみると地味。でもヴィンセント・ボラージュという1人の男の悲劇としてみると素晴らしい作品だと思う。地獄の中で目に映るこの世で一番美しい蝶というのがなんとも皮肉。 10点(2003-05-17 23:17:36) |
11. ユージュアル・サスペクツ
ええっ!何でこんな低いの!僕はこの作品を何の予備知識、それこそケビン・スペイシーの存在すら知らずに見たんでスッゴイハマった。ラストで一気に真実がわかる感じがすごいよかった。脚本の素晴らしさを感じさせる作品だね。 10点(2003-05-17 22:49:21) |
12. ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ
あんまり知られてないのかなこの映画。めくるめく白昼夢の世界とゆう言葉がぴったり。ローゼンクランツとギルデンスターンと一緒に迷宮に入れられた感じがした。間違いなく五本の指に入る作品。ただハムレットを知らないと十分楽しめないかも。 10点(2003-05-17 22:41:04) |
13. パルプ・フィクション
この映画の中で出てくる台詞って、一人一人の性格や生き方がすごく良く現れてる。主人公の性格も良く分からないまま終わってしまう映画は多いけど、脇役の一人一人まで理解できる映画はこれとゴッドファーザーぐらいしか見たことない。もう十年近く経つけど古さを感じさせない作品だなあ。 10点(2003-05-17 21:53:02) |
14. トレーニング デイ
回想シーンや説明シーンはいっさい交えないことで、テンポアップだけでなく第三者として二人と一日を共にしている感覚を持つことが出来る。見終わった後も背景を想像させる。この映画は勧善懲悪とは言い切れないと思う。正義のためには手段を選ばないか、あくまでもクリーンでいくか、手段こそ違え求めることは同じ。どちらが正しいとは言い切れない部分があり考えさせられる。削られたラストシーンはあれでいいと思う。あれだけの体験をさせられたジェイクにそこまで気をまわせる余裕は無いと思うし、彼の疲れをより印象的にしているから。 9点(2003-05-24 22:11:08) |
15. ドラゴンへの道/最後のブルース・リー
ローマの美とブルース・リーのジークンドーの美のミスマッチが素晴らしいし演者の人間臭い演技もいい。ジャッキー・チェン的な勧善懲悪映画だと想像していた分おっさんが裏切り者と分かった時の衝撃は凄まじかった。 9点(2003-05-24 21:50:44) |
16. ポストマン・ブルース
地方のテレビ局で何気にやってるのを見てはまった。バカバカしくも少し悲しい映画。最近見た日本映画では一番。世間に知られていないのが悔やまれる。 9点(2003-05-24 19:24:29) |
17. トラフィック(2000)
3つの物語が徐々に結びついてゆき、やがてそれが大きな波になるというなかなか良いストーリー展開に素晴らしい役者達。個人的にはグラディエーターより好き。 9点(2003-05-18 11:57:26) |
18. シン・レッド・ライン
戦争映画だと思っていたらとんでもない。戦争という極限状態の中で人間そのものを問う作品だったんだ。一人一人丁寧に描かれていてそのつど人間の弱さ、エゴ、傲慢さ、自分勝手な部分を思い知らされました。映像も美しく戦闘シーンも「格好良い」ではなく「酷い」と思わせられるもので監督、出演者の気迫が感じられました。間違いなく歴史に残る作品です。では何故10点でないか。日本兵の描き方があまりにも「典型的アメリカ人が見た誤った日本人」だったからです。監督は日本についても勉強しましょう。 9点(2003-05-17 23:56:14) |
19. AKIRA(1988)
人間の進化という哲学的テーマ。人間の意思ではどうにも出来ない、流れに身を委ねよって感じですね。なんといってもセル画が多い。滑らかというより生々しいね。漫画を凝縮した展開もいいし、音楽もいい。この作品って映画と漫画2つでひとつの作品だから両方見て初めてAKIRAという作品が分かるんだよね。漫画ばかりにこだわってたらAKIRAという作品そのものの意義を見失うんじゃないかな。 9点(2003-05-17 23:38:42) |
20. GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊
あまりに膨大な情報量に、当時中学生だった僕には理解できなかったけど、今ではAKIRAと双璧と言われているのも納得。幼い頃、人形に魂があると思って話し掛けていたことを思い出した。 9点(2003-05-17 23:09:38) |