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わいえすさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 107
性別 男性
ホームページ http://blognoakuma.at.webry.info/

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61.  ロード・オブ・ウォー
意外と地味でシリアスな作品であった。シニカルな脚本、計算されたカメラワーク、抑制された演出はさすが「ガタカ」の監督といったところであろう。乾いたユーモアのセンスが秀逸である。少々薄味な印象もこの人ならではか。現実のエピソードに基づいたストーリーもたいへん面白いが、本作の魅力は何と言ってもニコラス・ケージであろう。黒いスーツにアタッシュケースを携え、世界の戦場を駆け回るケージの姿は最高にクールだ。私も仕事帰りにスーツ姿で観たので、映画館を出る時は「気分はもう戦争」ならぬ「気分はもうケージ」という感じであった。倫理観や政治に左右されずビジネスに徹する冷徹な姿は、黒ずくめの衣装と相俟ってまさに悪魔の化身である。最高にチャーミングな笑顔で、現地の住民たちに銃をばら撒くユーリの最低ぶりが、身につまされる人も多いのではないだろうか?カタギの商売でも結構ヤバイことをやっているものである。ホテルはヤクザが、印刷会社はエロ本が、自動車修理工場は暴走族が、武器商人はリベリア大統領のチンピラ親子がお得意先というわけだ。本作はあくまでAK47に焦点を絞っており、世界のハイテク兵器大集合という感じではない。戦車も戦闘機もエグゾセも登場しない。幸か不幸か世界情勢の裏側よりも、ユーリの不気味かつ魅力的なキャラの方が印象に残る。そのことが、問題の根の深さをより一層浮かび上がらせている。戦争オタクには多少物足りないかもしれないが、普通のビジネスマンが、ビジネスの極意を学び、少々反省し、世界情勢についての基本を学ぶために最高のテキストとなるであろう。まあ落合信彦みたいなものか。
[映画館(字幕)] 8点(2005-12-25 15:13:45)(良:1票)
62.  イントゥ・ザ・サン 《ネタバレ》 
「ブラック・レイン」と「キル・ビル」を足して3で割ってさらに劣化させたような作品である。ストーリーに精彩がない上、編集がグダグダで、中盤のダレッぷりは目も当てられない。日本語と英語と中国語が無秩序に飛び交い、日本人女優には恐らくネイティブのアフレコが被さり、しかもズレズレ。国に応じてアフレコで対応するつもりだったとは思うが、英語で話して日本語で普通に返してくるのはどういうわけか。登場人物の背景や行動も意味不明で、普通の頭では理解不能。そもそもわざわざ都知事を暗殺する必要があるのか?新米のFBIはアホなのか?と、偽造設計のマンションのごとく崩壊寸前の作品である(これまずいかな?)。しかしそんな中、セガールが一言怪しい日本語を発すれば大爆笑すること間違いなし。結婚まで誓った自分の女を殺され、殴りこみの決意を豊原に話すという悲壮なシーンで「~やねん」とか言われても、感動するのはほぼ不可能。日本刀振り回しても、全くいつもの調子でチャキチャキチャキーンという感じで、しかも無意味に残酷なのはさすがである。アクションが少な目なのが残念だが、不明確な編集のせいか、いつもの平凡なヒーロー主義とナルシシズムは影を潜め、ジャパンテイストと日本人俳優の怪演により、作品全体に漂う濃密なカオス感は最高にトリッピーである。というかもうわっけわからない。ジャパンテイストにそれほど違和感がないのは凄い。しかも歌が意外と上手い。役者に徹すればいいものを、なにせプロデューサーだからもう誰も止められない。ファン以外は観ない方がいいだろう。プログラムがまた爆笑である。
[映画館(字幕)] 8点(2005-11-30 23:17:49)(笑:1票) (良:1票)
63.  エニイ・ギブン・サンデー
オリバー・ストーンの偏ったキャラクター造形がスポ根によくはまるというのは盲点であった。こういういかれた男たちのギラギラした熱い世界を描かせたら右に出るものはいない。マイケル・マンのナルシシズムと生真面目さは観ていて疲れることも多いが、ストーン監督のある種投げやりな明るさと単純さは実に爽快である。「ウォール街」のアメフト版がつまらないわけがない。感傷を徹底的に排したスポーツビジネスの裏側と若者の成長物語は、感動というより痛快という言葉が似合う。「ニクソン」や「アレキサンダー」など(未見だが)のシリアスな大作が失敗するのを見ると、本作のような作品をもっと撮ればいいのにと思うのだが。本来品のない人間が、重厚な人間ドラマに挑むのが間違いの元だ。しかし結局本作で一番評価すべきなのは、試合シーンの編集と音楽かもしれない。トリッピーでトリッキーな編集には昔から定評がある。「JFK」「ナチュラル・ボーン・キラーズ」「ウォール街」しかり。ジェイミー・フォックスが出演していたとは知らなかった。
[ビデオ(字幕)] 9点(2005-11-19 03:11:54)
64.  銀河ヒッチハイク・ガイド(2005)
鬱病のロボット、無限不可能性ドライブなどなど、全編に散りばめられたユーモアは実に秀逸で、最後までにやにやしていた。しかしあまりにもベタなギャグとキャストのオーバーアクトには「ここは笑うべきシーンなんだろうな」と思いつつも苦笑していた。こういうのは国民性の違いなのか?それとも意識してやっているのかわからない。冒頭で地球が吹き飛ぶシーンが一番笑えた。マジなのかギャグなのかよくわからない意外と深遠な哲学的テーマ、着ぐるみやセットからほとばしるチープなうさんくささ、そしていかにもイギリスらしいハイセンスさとどんくささが共存するヴィジュアルセンス、それらのブレンドとギャップが、ぐだぐだかつめまぐるしいストーリーに対して鮮やかなコントラストとなり、SF特有の固有名詞と情報量の多さに多少ついていけなくなるが、ともかく細かいことは気にしなくとも最高な感じである。パンフが60ページもあるが気が付くとパラパラめくりながら、1人にやけている日々が続き、少々ハマリ気味である。マービンを見て「スターウォーズ」のフィギアを集める人々の気持ちが初めてわかった。冒頭のテーマ曲はイーグルスの75年のアルバム「One of these nights」に収録の「Journey of the sorcerer」である。BBCテレビのドラマでもこの曲がオープニングテーマだったらしい。パンフでもスルーされていたのでこの場を借りて明記する。
[映画館(字幕)] 10点(2005-10-22 00:56:36)(良:2票)
65.  リング(1998)
公開からもう何年も経っており、貞子の登場シーンもテレビなどで何回か観ているので、それほどの衝撃はなかった。公開当時相当ブームになったらしいが、わかるようなわからないような、でもやっぱりよくわからない。ハリウッド映画に比べると多少安っぽいし演出もつたないが、この安っぽいつたなさが逆に観る者の不安感を煽っているような気がする。日本人独特のじとじとべたべたした雰囲気もなかなか心地よい。呪いのビデオという荒唐無稽なテーマがそれほど違和感がなかったのもこの湿度の高さと空気の重さゆえかと思う。本作では過去と現在の親子の絆、母の子を思う気持ちというのが重要な要素だと思うのだが、その部分であまりグッとこない。主人公が息子と電話するシーンで全く泣けないのは少し問題だ。これもひとえに奈○子様の演技力が為せる技であろう。っていうか大根役者?○谷嬢とのほぼ一瞬の競演シーンには愕然とさせられる。演技というものは人によってここまで違うものなのであろうか?2人が醸し出す空気感は全く別次元で、何だかその裂け目に吸い込まれそうな感じが映画そのものよりよほど怖かった。
[ビデオ(字幕)] 7点(2005-10-11 00:34:12)
66.  グラディエーター
敢えて難点を挙げるとすれば、ダークで茶黄色っぽい映像がいまいち観づらい。CGの多用のせいかいまいち深みに欠ける。まあリドリー・スコットはいつもこういう映像なのだろうが、どうしても同じく古代ローマ時代を描いた名作「ベン・ハー」の発色の良さを思い出してしまう。親子の断絶、残酷な剣闘士ショー、倒錯と退廃、ポピュリズムとこれ全て現代の我々にも通じるテーマといえよう。独特の映像美の裏に真摯ではあるが決して押し付けではないメッセージとヒューマニズムを密かに織り込みつつ、アウトサイダーの孤独な戦いを壮大なスケールで描かせたらこの人の右に出る者はいない。ワンパターンもここまでのスケールでやると偉大である。とはいうものの歴史スペクタクルとしては「コロンブス」が、映像美では「ブレードランナー」が、戦闘リアリズムは「ブラックホークダウン」が勝るのも事実。おまけにハンス・ジマーの音楽はもろヴァンゲリスだ。まあ映像に合わせるとああいう音楽にならざるを得ないのかもしれない。というわけで9点。
[ビデオ(字幕)] 9点(2005-09-13 00:55:47)(良:1票)
67.  アルマゲドン(1998)
感動大作というには脚本、演出両面で少々粗すぎる。そのわりにカットが細かい。スピード感があって飽きないがその分重みに欠ける。単純なアクションならともかく、スケール感が必要なSF大作でこの演出は如何なものか。まあこのプロデューサーコンビでは仕方ないか。先日野口さんが宇宙に行った時に断熱タイル1枚で大騒ぎしていたが、その後で観ると「あんなシャトルで大気圏突入できるのか?」とか「ミールの宇宙飛行士杜撰すぎ」とか思ってしまったりもする。しかしNASA、ミール、シャトル、小惑星とプチ宇宙マニアにはたまらない要素がてんこ盛りである。私はシャトルの打ち上げシーンの美しさだけで結構イケた。エンドクレジットでミニチュア製作と出ていたがミールも模型なのだろうか。ゴジラも出てきたし。スターウォーズのオールCGも考えものだ。いくらアメリカ万歳と言ったところで、実際宇宙に行けるのはNASAだけだし、結局我々はハリウッド映画を見るしかない。未知のフロンティアで世紀のミッションに挑むのがNASAのエリートでは興醒めであろう。陽気でタフな荒くれ者どもでなければ意味がない。決死のミッションにパーティ気分で挑み、何人死んでも超ハッピーエンド。これぞハリウッド映画の伝統と真髄である。それが嫌ならジャパニメーションの名作「プラネテス」でも観ているべきであろう。何やかやと言っても、最後は泣ける。うぅっ。何気にインドロケが凄い。ビリー・ボブ・ソーントンが渋い。ボブ・シーガーの曲もいい。
[ビデオ(字幕)] 8点(2005-08-28 18:53:17)
68.  いとこのビニー
アメリカ版「ヤンキー弁護士になる」と、ど田舎でカルチャーギャップに悪戦苦闘する都会人といったコンセプトの作品。しかし都会人といってもジョー・ペシは「グッド・フェローズ」のようなチンピラヤクザ。マリサ・トーメイはその情婦。2人のいかにもニューヨークのイタリア系ちんぴらと情婦といったいでたちには笑える。このジャンルで引用すべき定番の作品があるような気がするのだが思い出せない。「ドク・ハリウッド」は定番ではないし・・・。さて、突っ込むべきところはいろいろある。まず「ベスト・キッド」以来のラルフ・マッチオの出番の少なさ。ショーン・ペンがどうして弁護士になったのか背景がわからないし、マリサ・トーメイの車マニアぶりはいかにも強引だ。最後の「なんとか判事」というのも唐突な印象。お世話になった人物ということは、恐らく自分の裁判でのことだと推測されるが少しわかりにくいのでは?しかし最後はしみじみする。「これからもいろんな人に助けられるのよ」。さびれたダイナース、果てしなく続く田舎道、オープンカー、米国産B級映画の魅力は十分に堪能できるか。しかしマリサ・トーメイはよくこれでアカデミー取ったな。
[地上波(字幕)] 6点(2005-08-28 18:46:54)
69.  白痴(1951)
原作の「白痴」自体は未読。「カラマーゾフの兄弟」「罪と罰」「悪霊」その他の小品は読んだ。その前提でレヴューを書かせていただきます。まずドストエフスキー作品の雰囲気はかなり忠実に再現されていると思う。荒涼とした雪景色の中、人間の欲望と狂気が交錯する様が異常なまでの緊張感で描かれている。悪魔的なまでに幻想的なスケートのシーンがいかにも黒澤らしい。ストーリーのショートカットも原作を知らないとそれほど気にならない。しかし途中で説明を入れないと、さすがにこの長い話を描ききることはできないのであろう。キャストは皆上手い。原節子の迫力には圧倒される。那須妙子という名前が笑える。そしてクライマックスの三船敏郎はもう圧巻の一言である。目が完全にイッてしまっており、赤間の狂気を余すところ無く演じきっている。その演技だけでも作品を観る価値があると思う。単なるアクション俳優ではないという事実に初めて気付かされる。しかし本作を観て思うのは、作品よりも黒澤自身の映画に対する執念自体が、一番ドストエフスキー的ではないか、ということである。
[映画館(字幕)] 9点(2005-08-16 23:52:11)
70.  ぼくの神さま
本作を観賞しながら私が思い出していたのは、20世紀初頭に活躍した?ロリコンシリアルキラーのアルバート・フィッシュという男のことであった。伝記によると彼は夜中に丘の上で「俺はキリストだあ」と叫んだり、鋲を打ちつけた板で子供たちに裸の尻を殴らせてよがっていたそうだ。そういうイメージと映像が妙にシンクロして混ざり合い、下手なホラーよりよっぽど怖かった。そういうわけでまともな見方はできません。何より怖かったがトロ君の顔。確かに主役を食っているが、同情できないほど怖い。言っちゃ悪いが可愛くない。マジで怖い。本作は子供視点の反戦友情物語というより、ナチスとカトリックという2大カルトに翻弄される子供たちのサヴァイバル・ストーリーと定義すべき。イエスにかぶれるトロ君や早熟な恋愛ごっこに、子供らしい無邪気さや微笑ましさがあまり感じられないのは致命的。問題は演出か、キャストか?あるいはカルトを通過した我々がトロ君の行為に涙することは最早不可能なのか。牧歌的な風景に、戦争+東欧の農村+宗教+子供たちの暗黒面を凝縮してブチ撒けたような不気味さが何とも気色悪くもあり、また快感でもある。でも型どおりの感動はない。ゆがんでいるのはテーマか、手法か、あるいは私自身か最早判別不可能。原作があるのか定かではないが、事実を元にしているということであればとても切なく感じるのだが。ウィレム・デフォーの心遣いが憎い。
[映画館(字幕)] 6点(2005-08-15 14:10:29)(良:1票)
71.  ヒトラー 最期の12日間 《ネタバレ》 
最初お客さんは、年配の方々か軍事オタクの男性ばかりと思っていたが、意外にも女性の方が多かった。あいにくと立ち見ではあったが、最後にはそんなことも忘れるほど熱中していた。物語は主に官邸の地下壕とベルリンの市街戦を交互に描きながら進む。ヒトラーはじわじわと正気を失い、ゲーリングやヒムラーはいつの間にか姿を消し、ヒトラーの隣の部屋で将官たちは酔いつぶれ、ある将軍は手榴弾で一家心中し、市内ではヒトラーユーゲントの少年たちが徹底抗戦を叫び、SSが処刑と称して市民を虐殺し、最前線は死体の山で、手術ができないためのこぎりで手足をぎこぎこし・・・ともう滅茶苦茶である。ヒトラーの妄言と彼をどうにもできない将軍たちの姿はほとんど喜劇に近い。ヒトラーの姿はあわれな老人という印象である。しかしその一方でベルリンの市街戦は凄惨を極め、誰も止めることができない。ヒトラーやゲッペルスは、市民の犠牲に対して「しょうがない」「死ぬのは若者の義務だ」と切り捨てる。考えさせられることが山ほどあると同時に、終末のカタストロフに快感を感じないでもない(私だけか?)。しかもナチの制服がかっこよい(不謹慎か?)。結局ヒトラーは自殺する。ヒトラーが死んだ途端、将兵たちがみな煙草を吸い出すシーンには笑った。そしてゲッペルスは一家心中。これがまた悲惨の一言だ。主役の女性秘書はユダヤ人虐殺について「ニュルンベルクで初めて聞いた」と証言している。「人間ヒトラー」とともにこの点も本作に対する非難の一因であろう。作家のデヴィッド・アービングを始めとする極右の人々の一部は、ヒトラーはユダヤ人虐殺を知らなかったと主張している。真偽はともかくとして、感情論を越えた、冷静かつ客観的な分析はやはり必要であろう。非難があることもふまえて、現代人は観た方がいい作品だと思う。
[映画館(字幕)] 10点(2005-08-12 00:54:28)
72.  シベリア超特急
常人の想像力を遥かに凌駕した、壮絶な超脚本。通常の撮影技術のセオリーを根底から覆す超演出。そしてこれまでの演技の概念に新たな可能性を切り開くスーパー天然ナチュラルな超演技。トリックは超複雑で超アメージングだ。手に汗握るスリリングな展開は全く予測不能で、ほんの一瞬たりとも目が離せない。メッセージはあくまで力強く、戦争の惨禍に翻弄される人々の悲劇を余すところなく描ききり、観る者の心をぐらぐらと揺さぶる。「だましたのではない。心に呼びかけたのだ」これほど心を動かされ、そして考えさせられる映画が今までにあったであろうか。まさに映画の枠をはみ出した超映画。存在そのものがセンセーション。我々のちっぽけな常識など、天才ハリーの前では粉々に打ち砕かれてしまう。「シベリア超特急」により、水野晴郎の名は世界の映画史上に永遠に刻み付けられることであろう。ある意味。・・・・・。冗談はさておき、1時間半結構飽きずに見てしまった。30分で観る気が失せるような、本当に真面目なダメ映画もたくさんあるのだが、本作は違う。しかし私が観たのは深夜テレビであった。映画館に足を運んだ人は本当に尊敬する。映画館で映画を観るという行為自体がこれほどスリリングで、ある種の勇気を必要とするということはとても凄いことだ。従来の映画の概念を変えてしまったといえるかもしれない。もしかして水野は本当に天才なのだろうか。というわけで点数は1点。
[地上波(字幕)] 1点(2005-08-09 00:49:48)(良:3票)
73.  ザ・コンテンダー
クリントン後の民主党政権という設定が哀愁を誘う。硬派でリベラルな政治ドラマとしてはなかなか面白い。政界でのセックス・スキャンダルというエグいテーマを、実にスマートかつクールに見せる抑制の利いた演出と演技は好感が持てる。しかしこの脚本であれば、もっと観る者の胸にぐりぐりと迫ってくるような演出にすることもできたはずである。政治の世界のよりダーティでどろどろな面を見たかった気もするし、これくらいの方が実はリアルな気もする。この辺りで好みが別れそうである。あるいはこの抑制にこそメッセージを見出すべきなのかもしれない。いずれにしても永田町にはないこの華麗さとカッコよさはさすがと言うべきか。映画も政治も見た目は重要である。アップの多用は臨場感がありなかなかの迫力であったが、その割にゲイリー・オールドマンに気付くのに1時間くらいかかってしまった。あの髪の毛は抜いているのだろうか?テレビ出演でだまし討ちに会うシーンの演出がスリリングでよかった。
[地上波(字幕)] 8点(2005-08-09 00:32:39)
74.  ワンス・アンド・フォーエバー
感動大作というにはいささか物足りない。それなりにうるうるとはするのだが、音楽とスローの多用が妙に重苦しいだけでいまいち迫力に欠ける。メル様は老けたのか、目が優しすぎるのか、ジョン・ウェインなどの往年の戦争映画スターたちに比べると存在感がない。まあベトナムだとこの程度がちょうどいいのかもしれないが。マデリーン・ストウも老けていて驚いた。最後に勝利できた理由もわかりにくい。とはいえ原作がノンフィクションなら納得するしかない。飛行機の大量投入が本作の一番の見せ場ではなかろうか。人間ドラマとリアルな戦闘シーン、現場と会議室、敵と味方と構図はわかりやすいのだが、いささかステロタイプに過ぎる。スピルバーグやリドリー・スコットを観た後だとその戦闘シーンも甘い。もっとぐっちょんぐっちょんにしつつ、銃後のシーンは抑制気味にした方がベターだったか。北ベトナム軍は誠実に描いていたと思う。しかし結局その監督の真面目さが仇になったような気がする。「ブラックホークダウン」と「8月のメモワール」を足して2.5で割ったような作品。しかし知識の習得としては有意義な作品といえよう。邦題はいいのだが。  
[ビデオ(字幕)] 7点(2005-05-17 02:29:27)
75.  RONIN 《ネタバレ》 
路地裏でカーチェイス、ハイウェイを逆走、屋台をブチ撒け、オープンカフェに客ごと突っ込み、トラック転がすわ、車何台も吹き飛ばすわ、銃撃戦で民間人を巻き添えにするわ、もうやりたい放題。さすがフランケンハイマー。最近の若い監督には、恐らくできません。CG全盛のこの時代に、ここまでガチンコでやるのは、今時石原プロと彼くらいのものでしょう。いしかわじゅんの言葉を借りれば「レッツゴーバカおやじ」といったところでしょうか?スケールはだいぶ違いますが。しかし伝説のカーチェイス「フレンチ・コネクション」はウィリアム・フリードキン監督で、フランケンハイマー監督は2作目の方ですね。ライバル意識でもあるのでしょうか?スパイものによくありがちな過剰なハイテクもほとんど登場せず。ラストシーンで、ジャン・レノにズームするあのブレブレ感がもうたまりません。全く実に惜しい人を亡くしました。結局デ・ニーロは、CIAの人間だったということでいいのかな?しかしCIAがIRAのことに、そこまで首を突っ込むのかな?英国情報部ならまだ話はわかるが。あるいはIRAに雇われたということだろうか?いまいちよくわかりません。タイトルはクロサワに対するリスペクトらしいです。アクションというより、活劇という言葉が似合いますね。
[映画館(字幕)] 8点(2005-04-17 23:06:20)
76.  プレッジ
クライマックスで、主人公が恋人に対して何も言えなかったことが、彼の行動の動機を証明している。多少の葛藤すらなく、愛情より犯人逮捕の執念の方が完全に勝っていたということであろう。責められて一言の弁解もなく、うろたえることすらしないのが恐ろしい。普通のミステリーの体裁を取っておきながら、最後の最後で完全にひっくり返すやり方は、見事というべきか、あざといというべきか。しかしこれではあまりに後味が悪い。個人的にはハリウッド的ハッピーエンドの方が好みだが、原作があるのでは仕方がない。その存在について直接は知らないが、「殺人百科」という文字通り古今東西の殺人事件を集めた本の中で、著者の一人であるコリン・ウィルソンがその原作のことを賞賛している。間接的ではあるにせよ、「ハリウッドお得意の映画のプロットの一つ」を否定してみせた原作の意図は、そのまま監督の意図でもあったのだろう。犯人が運命の裁きを受けたのがせめてもの救いか。しかし恐らく運命というべきではないのだろう。原作はこれよりさらに陰気な結末らしい。  
[地上波(字幕)] 7点(2005-03-31 01:34:56)
77.  ゴルゴ13(1973)
原作のファンには不評な実写版、健さん主演の「ゴルゴ13」である。確かに企画には無理があり、脚本もいささか破綻気味だ。健さんは日本語でそのまま演技し、外国人キャストには吹き替えを被せる(山田康夫氏も登場)という手法もかなりキワイ。ゴルゴのキャラクターや精神性の表現もイマイチ。それでも佐藤監督の演出は手堅く、黄金時代のにっかつ作品ということもあり、そこそこ観れてしまうのが凄い。本作の凄いところはもう一つ。ロケを敢行しているのは何と革命前のイラン。ヨーロッパの都市のような近代的なテヘラン市内、砂漠でのカーチェイス、巨大遺跡での銃撃戦などなど、外国映画の撮影に対する当局の一大バックアップは、現在では考えられないだろう。ナイトクラブやら、西洋風のファッションに身を包んだ女性たちの姿などは映像資料としても貴重である。ルーティンでもこれだけのスケールでの撮影が可能だった、当時の日本映画界の勢いが偲ばれる。何度も言うけど原作のファンの方は割り切って観ましょう。
[地上波(吹替)] 7点(2005-03-31 01:33:28)
78.  シルヴィア
シルヴィア・プラスは20世紀を代表する女流詩人である。作風は椎名林檎や鬼塚ちひろに似ており(かなり語弊があるか?)、また人生は金子みすゞや高村光太郎と千恵子の関係を髣髴とさせる。本作では彼女の主な詩を適度にちりばめつつも、あくまで主眼は彼女自身の人生に向けられ、テッド・ヒューズとの出会いから結婚、出産、破綻、死までをどちらかといえば淡々と客観的に描いている。演出は細部まで気が利いている。新婚時に彼女が山のように焼くパイは、彼女が自殺に使用したガスオーブンを連想させる。ボートで遭難しかけるシーンの海のうねりは印象的だ。その後の波乱の人生を象徴するように観る者の不安感を煽る。テッドの強力な才能によって彼女は、詩人と女性との間で引き裂かれた。人並みの幸福と創作は両立しないのだろうか。しかしそのおかげで我々は現在彼女の素晴らしい作品群に触れることができる。結局幼い頃に父親を亡くして父性愛に餓えていただけなのだ。それが死後にフェミニズムのイコンとして祀り上げられたのは皮肉な話ではある。同じくイギリス映画の「アイリス」と見比べるのも一興かもしれない。興味のある方はどうぞ。
9点(2005-02-25 13:24:47)
79.  プレタポルテ
全編爆笑の連続であった。しかし公開当時からの不評は現在でも相変わらずのようだ。確かにストーリーはあってないようなものでよくわからない。豪華俳優陣も演技というよりキャメオ気取りでふざけているようにしか見えない。しかしパリコレを舞台にレポーター、カメラマン、デザイナー、その他もろもろもろもろもろもろの関係者が入り乱れて殺人事件まで絡んだ、アルトマンお得意の群像劇である。ストーリーよりも小ネタ、演技よりもセレブ観賞である。そもそもファッション業界はストーリーの舞台背景ではなくあくまで主役であり、その点で最も重要なのは気分と雰囲気である。監督のシニカルな視線とユーモアのセンスは最高に冴えている。新旧セレブ総動員で魅せる、目くるめく華やかなショーとそれ以上に熱い舞台裏は、臨場感たっぷりで超ハイテンション。まるでシャンパンの洪水を一気に飲み干すかのごとく、ゴージャスで愉快な気分に浸れることは間違いない。最優秀演技賞はやはり「キティ・ポター」ベイシンガーや、最近滅多に見られない楽しそうな笑顔を見せてくれるジュリア・ロバーツを押さえて、ところかまわず糞しまくるプードルちゃんに決定。
10点(2005-02-18 22:48:06)
80.  スーパーサイズ・ミー
意外とシリアスな内容だった、というのが素直な感想である。おバカなのは最初だけで、インタヴューと取材、多数のデータ、そしてもちろん陽気なスパーロック氏の体を張った実験によって、ファストフードの害と現代アメリカの食文化の問題点に非常にわかりやすく迫っている。正月の映画館は満員で、比較的カップルが多く、スパーロック氏のガールフレンドが彼との「セックスライフの変化」について語るシーン(「前の方が凄かったわ」)で、私は少しウケていたのだが、客席は全体的に妙にシーンとしているような気がしないでもなかった。恋人の前ではテレていたのか、あるいはもしかしてシャレになってなかったりして。あらゆる面で我が国はアメリカを追随していることではあるし、数年後にはアメリカンデブならぬ、ジャパニーズデブが世界中を震撼させることになるかもしれない。牛丼、ラーメン、コンビニ系ジャンクフードと我が国の食文化も崩壊の一途を辿っている。有名なラーメン評論家などはもうすぐ死ぬかもしれない。ビジネス優先の社会構造はアメリカ以上。こういう作品は予算の点で日本の映画会社にとっても有利かもしれない。でももう遅いか。
10点(2005-01-06 23:54:51)(良:1票)
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