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プロフィール
コメント数 21
性別 男性
自己紹介 どんな作品でも何かをつかみ取れるように、真摯に楽しく見続けたいと思います。

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1.  この世界の片隅に(2016) 《ネタバレ》 
 2016年は本当に良い映画に出会えた年であった。「シン・ゴジラ」を見たときに、庵野秀明監督の素晴らしい実写作品に今年はこれで決まりと思ったのも束の間、今なお記録を塗り替えている新海誠監督の「君の名は。」が素晴らしい作品で思わず2回見ることになった。◆しかしこの2作品すら霞ませる作品が姿を見せた。「この世界の片隅に」という控えめなタイトルと水彩画のような淡く上品な絵柄をまとうこの作品、しかしその中身は見る人の心を揺さぶる傑作である。◆舞台は第二次世界大戦中の広島。この設定だけで身構える人がいるだろうが、その必要は全くない。主人公であるすずとその周りの人たちは、配給が少なくなろうと、空襲が来ようと、憲兵にいびられようと、日々の暮らしを淡々と過ごしていく。時に慌てながら、そして笑いも交えながら。たとえ戦中でも、人々の営みは何ら変わらないし、変えられないのだ。ある日不意に訪れる不幸。でも、すずはただ、前を向いて歩んでゆく。ただ、それだけのお話。◆見た後に残る思いは人それぞれだろう。自分の場合は、家族4人が毎日無事に一つ屋根のもと過ごせることの幸せを改めて実感させてくれた。そして、震災や災害の後、悲しみに耐えながらも歩み続ける人々の思いを代弁してくれているようにも思えた。◆大きな災害が起こる度に、海外の方から日本人が賞賛されるのだが、自分自身なぜそうなのか正直理由は分からなかった。しかし、この映画に、答えがあるような気がするのだ。守りたいのは、国のメンツでも、海外からのイメージでもない。日々の暮らしと、大切な家族、それだけなのだ。そして、このことは、この世に生を受けた者すべての想いのではないだろうか。◆国内のみならず、多くの国の方に見て欲しい、そして、世界の片隅で日々紡がれる生活が壊れないように考えるきっかけになれば良いなと思う。今まで見た映画の中で、ベストと言って良い作品。
[映画館(邦画)] 10点(2017-01-10 02:11:00)(良:3票)
2.  君の名は。(2016)
実はこの作品「シン・ゴジラ」上映前の予告を見るまでは完全ノーマークであった。前作「言の葉の庭」をテレビで見て、印象的な画だが話のテイストはちょっと合わないかな、という印象を持っていた。◆週末のチケットがほぼ完売だったため、代休の月曜朝に鑑賞した。それでも700人の箱に半分くらいは入っている。(中高生も運動会の代休が多かったのかもしないが)◆結論、翌週の連休のレイトショーに再び見に行くことになるとは・・・。画の美しさは言うまでもない。光の変化が短い周期で変わる黄昏時や時間を早送りするときの空と町の表現などは新海監督の持ち味全開だ。◆今回、画以上に素晴らしいのが「音」の使い方が圧倒的に上手いこと。音楽は邪魔にならず、良いタイミングで歌曲が入る。歌詞も所々にキーワードがちりばめられており耳から物語を補足する。サントラ盤を買ったのだが、CDを買うのがもう何年ぶり。それほどのインパクトだった。主題歌と劇中曲は別の作家が担当するのが通例のところ、今回はRADWIMPSがすべてを担ったことで、作品全体の音が実に心地よい。◆キャストの演技も見事で、主演2人のセリフのユニゾンは鳥肌が立つほど。最初と最後、セリフを重ねることで物語の始めと終わりを表現したのは特に印象的。◆ストーリーについては多くは語らないが、原作なしのオリジナルストーリーながら、破綻せず、わかりやすくまとめ上げたと感心した。劇中で描かれる災厄で多くを考えさせ、しかしメインの話を邪魔しない、むしろ主人公を突き動かす感情の原動力とした表現は、この監督の持つ物語作りの真摯さを現している気がする。◆テレビで見ても恐らくこの作品の持つ美しさは変わらないが、是非大きいスクリーンといい音の劇場で見て欲しい作品。
[映画館(邦画)] 9点(2016-10-10 14:48:39)(良:1票)
3.  劇場版 魔法少女まどか☆マギカ [新編] 叛逆の物語 《ネタバレ》 
◆上映直前まで試写評やレビュー記事も全く出てこない、情報統制がなされていた本作。実のところ、期限ぎりぎりまで手を入れていたと言うだけあって、インパクトは想像以上の仕上がりだった。◆「叛逆」というキーワードがタイトルにある以上、世界観をひっくり返す事は想定されていたが、謀反を起こしうる人物はある程度限定される。動機が予想と大きく異なり、最後まで見事に騙された。◆前半の至る所に不自然なカットを紛れ込ませてあり、見る度に発見のある芸の細かい作りに圧倒された。特に印象的なのは「不気味な飛行船」と「おかしな遠近感を含んだ描写」。空飛ぶモノはジブリの専売特許だが「夢と希望」から「絶望」を示す小道具として秀逸。遠近感も、ありえないモノがさりげなく描かれており、舞台空間の異常性を的確に表現している。◆前作までの観客を驚かせるエンタテイメント部分も忘れていない。主要人物5人そろい踏みやお菓子の魔女の活躍などの展開が楽しい。5人の変身シーンは影絵やコラージュに動きの多いデジタルアニメーションを足すという、20世紀から21世紀をまたぐアニメ技術史的表現が印象的。◆この作品の売りである「異空間」表現はさらに尖鋭さを増し、体感的には上映時間の7割以上を占めている感も。予算と時間が許すならこの空間のクリエイターである「劇団イヌカレー」を主にした3D作品をぜひ見てみたい。◆アクションシーンも異空間と言う事で物理制約にとらわれないアクロバティックな表現が見事。特に中盤の銃撃戦は「マトリックス」を思い出した。このシーンだけワーナーの洋画で実写として使ってくれないかな。◆後半のネタバラシが「キュゥベェ大いに語る」状態であることは減点。難解な用語の嵐になってしまった。ここで振り落とされた人も多いのでは。あと2~3分足してでも、絵で見せて欲しかった。◆既存作の評価と固定観念に対する作者たちの叛逆。そう読み取れば、本作は完結ではなく、「マギカ・サーガ」の始まりかもしれない。◆オスカーレースにもエントリーしたようだが、明らかな異色作。ファイナリストに残る可能性は厳しいだろうが、日本アニメーションの叛逆児として暴れて欲しい気もする。ジブリだけではないのだと。
[映画館(邦画)] 8点(2013-11-14 09:38:00)(良:1票)
4.  劇場版 魔法少女まどか☆マギカ [後編] 永遠の物語 《ネタバレ》 
◆いきなり数学の用語で申し訳ないが、空間図形で「ねじれの位置」という言葉がある。中学生で習うのだが、2つの直線が平行でもなく、交わる事もない位置関係の事を言う。◆この作品では「ほむらの願い」と「まどかの願い」が、まさに「ねじれている」のだと思えるのだ。取り柄もない自分が役に立ちたくて、魔法少女に傾くまどかと、取り柄もない自分を守ってくれたまどかを守りたいと願うほむら。この両者の思いは接しそうで接しない「ねじれた」位置関係。◆大人になると何でも無い事でも中学生や高校生の頃はとてつもなく大きく感じられる、ある種危うくて尊い純粋さ。それを魔法少女のひな形を借りて描いた事が、まさに同じ世代の中高生からかつて同じ思いを抱いた大人まで、胸に響いたのだろう。◆途中、何回も失敗してしまうほむらの時間軸は残酷そのもの。絶望から魔女化したさやかに自爆して添い遂げる杏子、死を悟り錯乱する巴マミを一撃で倒さなければならないまどか、魔女になりたくないという最後の願いに応えるために引き金を引かなくてはならないほむら…。今の子どもたちを見ているとありえない設定ばかりだが、ほんの数百年前、人生が40年近くで閉じていた時代の14,5歳は、きっとこんな厳しい判断を迫られていたのかもしれない、と考えれば、やはり胸が痛い。◆そして最後、まどかの決意でルールを書き換える一方で、自分は消えてしまうというまとめ方で物語を閉じた。日常のシーンや何気ない伏線が、このラストにつながりきちんと収束させたところは本当に見事な終わりだった。◆この作品の感動のポイントは人それぞれだろう。自分の場合はOPのまどかの成長過程が反則と思える感動ポイントだった。筆者の息子も執筆時点で3歳だが、どうしても重ねてしまい、親目線で見てしまうのだ。そうやって見ると、本当に悲しく切ない話に思えてしまうのだ。◆どうか、まどかやほむらの同世代の人たちには、こんな殺伐とした時代だからこそ、支えあえる良き友を見つけて欲しいと切に願う。
[ブルーレイ(邦画)] 8点(2013-11-14 09:33:04)(良:1票)
5.  劇場版 魔法少女まどか☆マギカ [前編] 始まりの物語 《ネタバレ》 
◆映画やドラマには「ジャンル」と言われる縛り、言ってしまえば「お約束」というものがある。これが中々曲者で、縛りすぎると「つまらない」となってしまうし、ゆるめすぎると「何だこれ?」となってしまう。つくづく観客という者は勝手な思い込みを押しつけてしまっている、やっかいな存在なのかもしれない。◆だが、そのジャンルの理を少し外れた作品にこそ、傑作が潜んでいるから侮れない。この作品を知ったのは実はテレビ版がオンエアされてから随分経った後の地下鉄の車内。中吊りが「まどか☆マギカ展」なるイベントの告知で占拠されていた。ぱっと見はほんわかした美少女たちの群像だが、タイトルの不思議な語感が気になり調べてみると、「深夜アニメ」でかなり評判どころか、文化庁のメディア芸術祭大賞までかっさらっていたのだ。それからレンタルDVDでテレビ版を鑑賞したのだが、予想不可能な世界が展開されていて、ずぶずぶと魔界に引き摺り込まれてしまった。◆「魔法少女」という4文字がすでにミスリードとなっており、見る者にある種の予断を与える。きっと魔法で何とかなる、というような、予定調和的予断を。最初は世界設定含めての説明なので、やや冗長に感じるが、ある「出来事」をきっかけに、舵は海図無き予想外の方向へ切られていく。監督が「魔法少女」の4文字にこだわったのも分かる気がする。◆物語内の世界が近代都市的な表現ならば、対比する異空間は現代美術の世界に放り込まれたような異空間。でも決してグロテスクなだけでなく、気味悪さの中にかわいらしさも含んだ不思議な空間だ。登場人物たちが予測できない一歩先を我々見る側にも与える、破壊力抜群の演出だ。もし可能なら、3Dで見てみたいくらいだ。◆本作はテレビ版の再編集だが、テレビ版編集者による編集と言う事で流れのつかみやすいまとめになっている。編集者の腕は作品の流れを大きく左右する。分かりやすく見やすい流れだ。◆物語は人間の持つ「愛憎」「明暗」など、相反する2つの思いを軸にドラマが紡がれていくが、登場人物は最小限に絞り込まれているので混乱する事はないだろう。14歳の少女が背負うにはあまりにも酷で重い選択。そこにつけ込むキュゥべえのロジックが現代社会へのある種の皮肉を含んだ暗喩として考えさせられる。◆物語全体の印象については後編に譲るが、見た目で避けるにはもったいない作品だ。
[映画館(邦画)] 8点(2013-11-14 09:28:18)
6.  地獄でなぜ悪い 《ネタバレ》 
★東映系シネコンでジャンル関係なく予告が流れていたので凄く気になっていた。予告だけで何回見た事か。かなり力入れてるみたい。★中身はぶっちゃけ「アウトレイジ」+「8時だよ全員集合」血糊付き、と言う感じ。映画に思い入れのない人もたぶん大笑いできるのでは。残虐に見えるシーンもあるが、映倫が『すべてパロディ』と言い切っているのできっと大丈夫。腕も頭も飛ぶし脳天に日本刀突き刺さってたりするが、わざと安っぽく作る事でマイルドに見えるのは監督の作戦勝ち。今時のB級ホラーでもやらない表現がかえって可笑しくて笑える。★キャストもみんなそれらしい味を出しながら、崩すところは大きく崩して笑わせる。國村隼に横っ飛びガンアクションやらせたかと思えば、堤真一を和装のアイドル好きヤクザにしていじってみたり。★一方で、話の端々に映画界への皮肉をちりばめつつ、夢や希望を持ち続ける事の苦しさや家族への思いを描いたりと、深くはないけどほんわか暖かいメッセージを混ぜてみたり。話の引き出しの段数が多い映画だと感じた。★監督が撮りたいように撮って、観客も楽しみながら、その奥底のメッセージも嫌みにならない程度に伝わる。そんなバランスの取れたおもしろい作品と言えるのでは。
[映画館(字幕なし「原語」)] 8点(2013-10-07 11:28:29)(良:1票)
7.  劇場版 あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。 《ネタバレ》 
◆泣けると評判なので、涙もろい自分が挑戦してみた。原作に関しての知識は皆無の状態。知っていたのは、タイトルが長いと言う事、幼なじみが不慮の死を遂げたが幽霊として帰ってきた、と言う事くらい。フライヤーに書いてある事レベルの知識で挑戦してみた。◆基本テレビ版の再編と言う事らしいが、初見の人間にはかなり想像力で補う点が多く、泣けそうなシーケンスであっても、中々入り込めなかった。とくに、ゆきあつの『女装ラン』は重要なエピソードだと想像できるが、一見の自分にはどん引き。ほかにも「あなる」と「つるこ」のケンカも経緯が分からずぽかーん。もっと上手い見せ方はなかったのだろうか。◆全体で11話、260分のエピソードに新規エピソードを加えて99分は尺として少し短かったのでは。もう少し上手く整理して欲しい気も。◆しかしながら、泣かせテクは中々のモノで、『secretbase』で攻めるのは反則技かと。自分はここで陥落。ハンカチ必須になってしまった。◆音楽の使い方や絵の書き込みの上手さは本当に見事。ちなみに音楽担当のREMEDIOSは80年代に松任谷夫妻のプロデュースでデビューした麗美の事。その名前を聞いて驚くとともに、音楽の良さに納得。絵の美しさも近年の作品の中でも写実的で良くできている。秩父の町並みの美しさも現地に行きたくなるような美しさで、秩父が賑わったのも分かる。現実の町も潤わせているようで、実に幸せなコラボと言える。◆ただ、現実の商品を作品に取り込む「プロダクトプレイスメント」の中途半端さは良くない。やるなら完全に許諾を得る、許諾のないものは出さないくらいの覚悟は欲しい。プロデューサーのインタビューで「信用ある商品が出てくることでこの作品に市民権を得させたい」と記されていたが、それなら許諾のない品物を一部もじって出すのは、許諾しなかった会社の名誉を逆に汚す事にはならないか。特に、テレビ放映時点から時間が経ち、劇場版を作るなら、調整を行い作品に手を入れる時間はあったのでは。数点のモノがニセモノと分かったが、現存するモノと混ざるのは強烈な違和感がある。ものすごい『惜しい感』が漂ってしまった。◆オリジナル作品と言う事で、その心意気は評価するが、細部の詰めの甘さが本当に惜しい。一度テレビ版を通して見ると評価が変わるかもしれないが、劇場版初見としてはこの点数にとどまる。決して悪い作品ではないのだが…。
[映画館(邦画)] 5点(2013-09-21 11:32:49)
8.  バトルランナー 《ネタバレ》 
一言で言えば、マスメディアへの皮肉たっぷりなアクション。◆アクション映画としては凡庸な作品だと思うし、今の目で見れば退屈に思えるかもしれない。しかし作られたのはもう四半世紀前。その時点から見ると、この状況はあながちウソではなく、むしろ空恐ろしいくらいだ。◆今の日本のメディアの状況を見れば一目瞭然。流行ってもいない事を無理矢理流行らせ、下手な役者や歌手をゴリ押しして人気者に仕立て上げ、恐るべき『集金装置』に仕立て上げる。それを利用する政府に政治屋。そして、踊らされる国民たち。ネットで情報が拡散しやすくなった今、古典的な情報操作は難しくなっているが、一方で仕掛けは巧妙になっていく。 ◆暗喩としてこの作品をみると、今こそ価値ある作品かもしれない。今風に設定を変えてリメイクする志のある作家はいないものだろうか。◆ちなみに、この映画の司会者、朝からズバッとやっているケンミンミリオネアに見えてくるのは気のせい?
[DVD(吹替)] 7点(2013-09-21 10:25:27)
9.  ホワイトハウス・ダウン 《ネタバレ》 
◆『エンド・オブ・ホワイトハウス』の記憶が薄まりつつある9月、この作品を鑑賞した。◆ぶっちゃけて言えば、作品としてはこちらの方が数段上だと思う。もちろん、ツッコミどころ満載なのは折り込み済としてだが。◆まず、各々のキャストが、みんな「それらしく見える」事。名前を言わなくても、にじみ出る「悪役臭」で、コイツ悪っ!と分かるのが何とも爽快。テロリストの切り込み隊長なんか、いかにも『悪いです』って顔に書いている感じだし。人物像も、洋画を見慣れている人なら、こんな悪役いるいる状態ではなかったかと。副大統領や下院議長や国防長官も、みんな何となく含みがあっておもしろい。黒幕臭もかなりなもんだ。◆でも、ストーリーの根底には、うっすらと家族愛や愛国心を隠し味程度に入れてみたりして、見た後のめでたしめでたし感は決して悪いモノではなかった。◆ただ、テロ行為の目的が復讐なのか、利権なのかが少し交錯してしまったところが惜しい。見せ方次第ではサスペンス色も加えられたかもしれないが、下手にいじって壊すよりはずっとまとまりよく出来上がったので、これはこれでアリかな。◆最後に、娘役の存在がストーリーを引っ張る力になっていたのが良かった。このような映画の場合、悪役とヒーローだけではどうも濃すぎるので、その調整として機能するヒロインは不可欠。そのような視点でも、他人の息子より実の娘のストーリーにした本作の方が良かった。◆エメリッヒ監督の意外な一面を見せられたような佳作。次回作は、できるかな?
[映画館(吹替)] 7点(2013-09-18 10:58:54)
10.  エンド・オブ・ホワイトハウス 《ネタバレ》 
◆今年はなぜだか『ホワイトハウス陥落モノ』が2本立て続けに公開されるというアメリカのアクション映画界。◆そのうちの1本目が『エンド・オブ・ホワイトハウス』。今回はもう1作の『ホワイトハウスダウン』を見た上で比べてみる事にした。◆劇場で見たのは6月。予告野時間に『ホワイトハウスダウン』の予告がかかり、思わずもう始まったの、と焦ってしまった。そのくらい表面は似ている。◆内容は北朝鮮の工作員が韓国大統領を**してアメリカにケンカ売る、というかんじ。北朝鮮がおおっぴらに出てくるところが今のアメリカの政治的立ち位置を感じさせる。◆主人公はある事情から前線を退いたSP。それが何故だか事件解決に1人で奮闘、と言うもろ「ダイハードのテンプレート」を使った作品。◆だからといって、つまらないわけではなく、アクションとしては見せ場連続という感じで、結構楽しめる。ただ、緊張感を煽るために人を生々しく殺しすぎなのが芸が無い。もう少し描き方に工夫をすれば良かったのに、と思う。アジア情勢を描きながら、日本蚊帳の外、と言う脚本も、ホワイトハウスのリアルさに注力している事と比べるとかなりお粗末。もっとも、すべてセリフで済ませているので、あってもなくても良いのかもしれないが…。◆娯楽作としては良い出来だが、それ以上でもそれ以下でもないので、平均点、と言ったところ。劇場のサラウンド音声で楽しむにはいい映画かも。
[映画館(吹替)] 6点(2013-09-18 10:05:47)
11.  風立ちぬ(2013) 《ネタバレ》 
◆自分がはじめて飛行機に乗ったのは大学2年の帰省の時。羽田から徳島まで、今はもう無くなった日本エアシステム。離陸と着陸の時の独特の感覚は今も覚えている。あの感覚のせいで飛行機嫌いの方も多いと聞くが、自分の場合は、何かわくわくするモノを感じた。◆この物語はそんな飛行機に魅せられた天才青年の半生記。映画内の『現実』と二郎青年の『夢(妄想?)』を行ったり来たりしながら、かけがえない伴侶との出会いと別れを絡めていく作品。◆見る前は評価が分かれていたので不安だったが、見て納得した。評価が分かれるのも致し方ないかな、と。鑑賞者の人生観や経験した事によって、大きく感動のポイントが変わってくるのだろう。自分も独身だと仮定したら、そんなに深く感銘しなかったと思う。が、嫁や幼い息子の事を思い浮かべながら見ていると、本当に感慨深い作品だと思う。◆主人公の二郎にとって、設計の仕事は大空へ飛ぶ事につながる夢。でも、決して平坦な道ではなく、目の前で無残な現実を突きつけられていく。でも、彼は計算尺と鉛筆を離さない。一方、菜穂子との時間も決して平坦なものでなく、現実は厳しい。でも、二人の互いに慈しむ気持ちはスクリーンからダダ漏れしていて、思わず泣けてきた。たとえ、結末が辛く悲しいものであったとしても。◆話の中で特に印象的だったのは、刈り上げ頭がなんだかかわいらしい黒川さん。一見意地悪そうなこの人が実に良い人で、もし叶うなら黒川さんに焦点を当てたスピンアウトを見てみたいくらい。◆仕事の後に楽しそうに議論する光景、特高にねらわれて姿を消すときのやりとり、今の日本の会社からは無くなりつつある光景かもしれない。何でも『数値目標』に置き換え、目標設定と達成に汲汲とし、不要となったらゴミを捨てるかのように仕事仲間を捨ててしまう今の日本。宮崎監督なりの強烈な提言なのかもしれない。◆主人公の声は最初は一瞬驚いたが、後になるにつれ、二郎の『誠実さ』がよく分かるものに思えた。そういう意味では、中々絶妙な人選だったような気がする。◆生きていれば、山もあれば谷もある。でも、その火が自然に消えるまで、前を見て生きる事、それが監督の最後の『遺言』なのだと最後のシーンで思えた。心に残り続ける言葉を全力で投げかけて舞台を降りた宮崎駿監督に、心からの感謝を。
[映画館(邦画)] 10点(2013-09-11 09:47:55)(良:1票)
12.  20世紀少年 -最終章- ぼくらの旗 《ネタバレ》 
 第1作から最終章まであわせてなんと436分、7時間超という超大作。ここでは、まとめてレビュー。中身を端的に言えば、小学生の道徳の時間に見せられたNHK教育の道徳ドラマ番組を劇場版に、という感じ。まさに「明るいなかま・ザ・ムービー」といったところか。もっと若い世代なら「虹色定期便・ザ・ムービー」でも良いか…。  話の中身も、大人が楽しむと言うより、是非、小学生や中学生に見せたいという感じかも。しょうもない事件が、一人、あるいは大勢の進路を狂わせることもあり得るのだ、ということを描いたのだと見れば、それなりに納得できる出来だと思う。もっとも、現実世界はここまでヤワでなく、しかしながら複雑ではあるが。  役者的には他のレビュワーさんの指摘どおり、本当に「新春かくし芸」のドラマのノリ。よくここまで漫画通りに出来たものと感心。細かいところを見ると、突っ込みどころもあるが、愛すべき点の方が多い作品と言うことで、3作まとめて6点献上。  ちなみに、今はかの道徳ドラマもドキュメンタリーになり、新春かくし芸も打ち切りとか。やっぱり、この映画の中身も、枠組みも、20世紀へ残したものかもしれないと思うと、少し寂しい気もする。
[映画館(邦画)] 6点(2009-12-03 10:05:06)
13.  北の零年 《ネタバレ》 
 若者向けにはデビルマン、そしてジジババ向けには北の零年。どちらも観たあとにガックリ_| ̄|○くる。ツッこむ気力すら失せてしまう。低制作費の深夜ドラマの方が、まだ面白くて感動するシナリオがある。いくら邦画が好調とはいえ、このような志の低いものを見せつけられると、今年の邦画のヒットもきっとバブルだろうと思えてくる。東映もテレビ朝日資本が大きく流入することで、より大作指向を強めるのだろうが、少なくとも現状はかなり拙い方向に向かっていることは認識すべきだろう。得点は北の零点といいたいところだが、寒空のした頑張ったスタッフに免じて1点を献上したい。
[地上波(邦画)] 1点(2006-12-26 00:44:15)(良:1票)
14.  スケバン刑事 コードネーム=麻宮サキ 《ネタバレ》 
 この作品がまさか今の時代に映画化されるとは思っても見なかった。今や完全な死語となったスケバン(テレビ版の時ですら化石だったのだが)をこの世に蘇らせるとは、さすがデビルマン東映だ。しかも、監督が前回BR2でアラをさらけ出した深作健太だけに、第一種警戒警報を発令しつつ、劇場に行ってみた。  全体を通してみると、ツッコミどころは満載だが、意外と見られるデキだ。特に敵役石川梨華の存在感は大したもの。タランティーノならきっと気に入るだろう。  ただ、ストーリーの酷さはテレビシリーズにも劣る。事件の動機も希薄だし、テレビシリーズにはあった水戸黄門的なカタルシスも感じられない。ベテランの脚本なのに何故・・・。更に、ネット犯罪がベースとはいえ、2ちゃん用語の羅列はいただけない。「電車男」の劣化コピーだ。敵役の頭を演じた窪塚弟も薄味過ぎる。前2作が伊武雅刀・京本政樹を使い、濃い味を出していたのに・・・。長門裕之・竹内力はさすがに画面から出てくるオーラが違っていた。一方斉藤由貴の低いトーンの声には時の流れを感じてしまった。  次回作を匂わせる終わり方だが、この興収では正直つらいだろう。  テレビ東京の木曜洋画でどのような番宣がなされるのか楽しみではあるが。
[映画館(邦画)] 4点(2006-10-27 01:30:31)
15.  ワイルド・スピードX3/TOKYO DRIFT 《ネタバレ》 
 とある新聞で日本そっくりのセットを作ってロケをしている映画があるという記事が載っておりそこで紹介されていたこの作品。ひょっとしたら「KILL=BILL vol1」並みのバカムービーになっているかもという、よからぬ期待を抱いて見に行ったところ、これがビンゴ。日本に来た主人公がいきなり詰め襟の制服で大ウケ。ありえねーの波状攻撃でニヤニヤしながら見てしまったし。  ストーリーはスカスカでも、日本人限定で楽しめるシーン多数なので音の良い劇場で見ると結構楽しめる。  注目は「ウワバキ」を全世界に広めた柴田理恵か?(笑)
[映画館(字幕)] 5点(2006-10-06 16:54:41)
16.  ゲド戦記 《ネタバレ》 
 酷評されていたので、デビルマンとガンドレスを前日に観て、耐性を付けて見に出かけた。ワクチンがよく効いたのか、すんなりと観ることは出来た。  が、これで1800円?とも思う。まず、世界観が広そうに見えて狭い。出てくる舞台は主に城-街-隠れ家-クモの城の4カ所。殆どが後半2カ所周辺でのご近所ムービーになっている。デビルマン並みだ・・・。  そして、なぜアレンが父を殺めたのか、説明が皆無。冒頭で侍女が王にアレンの様子がおかしい、と進言するシーンがあったが、あれだけでは不親切。何故影を恐れるのか、伏線として引いておけば、後半のメッセージも活きてくるのに。これでは理由無く凶行に走る少年犯罪ムービーじゃないか!  さらに、テルーの生い立ちやゲドのこともほとんど説明なし。そもそも、ゲド戦記って言う割にゲドが単なる語り部になっているのは何故?  台詞の扱い方や音楽のタイミングも微妙。声優についてはゲド役の菅原文太はさすが。ただ、他のキャストが微妙。キャストも再考する時期では。  この作品、どんな層にどのような話を伝えたいのか。原作を読め、なんて言うのは映画として失格。しかもファミリー層が多く来るのが予想されながら、血生臭かったりグロテスクだったりして、子供たちには正直つらい作品でもある。  製作委員会の面子は大企業。電通と博報堂って日本の広告の大半を仕切るに等しいではないか。ただ大規模に広告したところで、言いたいことが伝わってこない作品を観客が喜ぶはずがない。最近のジブリ、特に鈴木PDがヒット仕掛け人として表に出る頻度が高くなるにつれ、作品の質がどんどん落ちている。裏方が表に出すぎることこそ、この映画が言い続けた「均衡の破壊」なのではないのか。そういう見方をすれば、この作品、今のジブリのカオスを隠喩した作品といえるかもしれない。  奇しくも、「ハウルの動く城」の監督を務めるはずだった細田守監督の作品が現在全国13館という規模でありながら高評価を受けている。映画はもちろん監督だけのものではない。集まるスタッフの総合力で左右される。細田監督の作品には、前回の降板騒動にもかかわらず、最高のスタッフが集結している。今回のゲド戦記で宮崎吾朗監督がどのような評価がなされるかはむしろ次回作にかかっているかと。でも、この調子だと次回はもう無いかも。原作者マジ怒りだし。0点もやりたくない。
[映画館(邦画)] 0点(2006-08-03 03:43:13)(良:3票)
17.  時をかける少女(2006) 《ネタバレ》 
 23年前の大林版を見たときはまだ中学生だった。郡内でたった一つの映画館(今はもう無くなってしまった)の夏休み作品だ。確か、薬師丸ひろ子の作品と併映だった気がするが、記憶に残っているのは時をかける少女の方だった。感動とときめきを覚えながら鑑賞した記憶がある。  そして、大人と言うよりおじさんになりつつある今、アニメ化されると言うことで、期待しつつも冷めた目で見てしまうのかな、と心配しながら劇場に向かった。  心配は杞憂だった。目の前に現れたフィルムは自分を23年前のような純粋な気持ちに「タイムリープ」させてくれたと思う。  前半大笑いしつつ、フィルムの中の世界が動くにつれて切なさがあふれてくる。主人公である真琴の揺れる気持ちや劇中の世界から帰りたくなくなったという千昭の想いが大きく伝わるにつれ、観ている自分まで泣きそうになってきた。大林版は未来から来た「彼」(ケン・ソゴル、本作では千昭)が未来に去るとき、ヒロインたちの記憶を消し去っていくのだが、本作はそのまま。だからこそ、よけいに切なく感じるのかもしれない。  見終わった後に、生きている今の時間を愛おしむ感情を抱かせてくれた、希有な作品だ。40年前に書かれた原作の良さを活かしつつ、今の時代にうまくアレンジしたスタッフの力量はすばらしいの一言に尽きる。   残念なのは、大作の陰に隠れて観賞できる場所が極端に少ないこと。時間がかかっても良いから、日本中で見て欲しい作品だ。映画館からの帰り、最近増刷された原作を手に入れた。田舎の本棚には残っているはずだが、そのころを思い出しながら、読み返してみよう。 追記・・・レイトショーでかかっているところを偶然見かけて衝動見をしてしまいました。そこで意外な発見。背景に使われている品物や企業名って、普通「偽名」を使うケースが多い中、この作品では大部分が実名。きっと1件1件許可とって回ったんだろーなー。そんな中、俺の会社も実名で・・・。美術スタッフのこだわりと仕事ぶりに敬意を表して加点させてください。
[映画館(邦画)] 10点(2006-07-30 22:24:17)(良:3票)
18.  GUNDRESS 《ネタバレ》 
 私事で恐縮だが、前の部署で印刷物の編集と制作進行の仕事に携わっていた。年に14回ある校了日を目指して時には厳しく時には水面下で(印刷屋さんまでグルにして)戦い続けていた。しかし、たまにやむにやまれぬ事情で校了を遅らせると、毎週金曜日の朝礼で事情を説明しなければならなくなる。勿論、部長の冷たく怒気を含んだ視線と部員の哀れみの視線を浴びながらだ。  この作品、実は新聞で記事になったのを見て、明日は我が身、と肝に銘じたものだ。  そして幾年月、幻のDVDを偶然入手した。しかも、映像特典が「未完成版」とは・・・。我々の世界で校了前のゲラは門外不出というのに、なんて太っ腹なのだろう。おまけに完成版もトレーラーも入っている。  はやる気持ちを抑えながら鑑賞した。ネットの記事によれば、脚本をハリウッドに送っているとか。ウォシャウスキーならどう撮るのだろう、そんなことを思いながら見てみる。  数時間後・・・。デビルマンにやられたのと大差ない自分の燃え尽きた躰が、そこにはあった・・・。さすが、サイバーパンクギガムービーである。国宝の「鳥獣戯画」の方がよっぽどアニメ心を理解しているぞ。  デビルマンとセットで、新社会人に見せることを強く勧めたい。こんな大人に、なってはいけないと・・・。  どう冷静に考えても、この作品に0点付けなきゃ、付けるモノねーわな、と言うことで、0点に。
[DVD(邦画)] 0点(2006-07-15 21:44:37)(良:1票)
19.  M:i:III 《ネタバレ》 
 先行上映なのに1000円で良いのだろうかと思いながらもたっぷり堪能させていただきました。  トムクルーズも1作目の時は強いて言うなら「係長」クラスだったのが今作では「教官」と言うことで、ずいぶん落ち着いているなぁという感じ。しかしミッション復帰となるとまだまだイケルぜぇと暴れるトム君がやっぱりカッコ良い。  元々ミッションインポシブルってテレビシリーズではドンパチよりも頭脳戦で敵を無力化させる、という感じなのが、映画ではずいぶん積極的な策が多いようで。もっともただの銃撃戦でなく変装あり心理戦ありで2時間飽きさせずよくまとまってます。上映中に時計を気にさせない表現力は新人監督と思えない力量で今後が楽しみ。  ただ、ストーリーは相変わらずIMFの内部犯罪と言うことで、少しは学べよ、という感じも。個人的には007のようにシリーズ化して欲しいんですが、そのためには悪役のキャラがもっと立たないとつらいかも。もちろんヒロインと敵側にツンデレ女子は必須で。  娯楽大作としては文句はないので、この点数で。
[映画館(字幕)] 8点(2006-07-02 01:32:38)(良:1票)
20.  デビルマン
 ほんとうは0点の気分だが、DVDのテレビサイズの画面で何度も見直して評価できる部分に「部分点」を加えてこのレベル。  シーン単位の個々の役者の演技では、評価して良い部分は少なくない。大根以下と酷評されている主役の双子でさえ、台詞のない佇まいなら、絵になっているところはある。  問題は、映画全体として見たときに、それらの素材が不協和音どころか、爆音を立てて崩れていくのが我々観客にもはっきりと分かってしまったことだ。個々の社員はそこそこなのに、組織として動くと暴走してしまう駄目企業への皮肉に見えるような作品。 あっ、それってこの作品の配給元では・・・。
[DVD(字幕)] 1点(2006-01-14 13:12:23)(笑:2票) (良:1票)
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