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墨石亜乱さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 159
性別 男性
年齢 60歳
自己紹介 メインストリームでは無いが映像プランナー/ディレクターを生業としています。
映画を観たのは小・中学時代がテレビの吹替えで。高校・大学時代は映画館で年間300本ほど…好きな作品はリピート鑑賞。ニューシネマより王道の娯楽作品を好みます。
吹替えの演技で好きになった映画も多数。広川太一郎、羽佐間道夫、大塚周夫、中村正、若山弦蔵、石丸博也は個人的に人間国宝に認定したい。

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21.  エクスカリバー(1981) 《ネタバレ》 
非常にシンプルかつ、誠実に作られたイングランドのアーサー王伝説の映画化。 公開は1981年。おそらく1977年の「スター・ウォーズ」の大ヒットの影響で、この有名な《剣と魔法の壮大な物語》の企画が通ったものと考えられます。 しかし、渋い歴史ファンタジーに仕上がったこの映画は、娯楽ファンタジーを期待した多くの観客の失望をかったでしょうね。でも、目の肥えた評論家や映画ファンには高く評価されて、本作に影響を受けたクリエイターは少なからず存在している。ザック・スナイダーの「バットマンvsスーパーマン」、スピルバーグの「レディ・プレイヤー1」では本作をリスペクトした描写がある。  この物語で描かれている《女性の裏切り》や《親の因果が息子の運命を狂わせる》悲劇性は、同時期に製作された「スター・ウォーズ/帝国の逆襲」と重なっていて(ある意味で必然か?)興味深い。  出演者では、ブレイク前のリーアム・ニーソン、パトリック・スチュワート、ガブリエル・バーンなどが話題になるが、個人的にはマーリンを演じたニコル・ウィリアムソンの硬軟自在な演技が素晴らしいと思う。(「シャーロック・ホームスの素敵な挑戦」のホームズ役もユニークだった) VFXは今見ると決してレベルが高いとは言えない。反面、光り輝く甲冑など独特の衣装、戦場となる実物大の城などは映画のスケールアップに貢献いていると思う。 映画全体としてはオペラに近い大人向けの演出で、観客を選ぶ作品だと思う。私は大学生になって再見して以来、好きな映画の上位に入れました。 いま一番、4Kリマスター化して欲しい映画です。
[DVD(字幕)] 8点(2021-04-17 16:10:29)(良:1票)
22.  シン・エヴァンゲリオン劇場版:||
『シン・エヴァンゲリオン劇場版 :ll』 公開2日目/TOHOなんば/13時10分の回   豪快にポップコーンを食う兄ちゃんの隣で鑑賞(←まあ、気にしないけど) アスカ。やたらとパンツ見せる(←ネタバレかな?) でも、豪快にパンツ脱をいで見せてるのは庵野秀明監督でしたね(←比喩です) 過去のエヴァで問題だった部分を捨てるのは簡単だけど、それはしなかった。 伝わらなかったもの、不完全だったものを「あるべき姿に」して今回見せてくれた。 それは全てのエヴァから「逃げなかった」から出来た、全てのエヴァの補完編でした。   観客の期待を超える「サービス過剰アニメシリーズ」の完全なる終劇でした。  個人的レビューと感想と贈る言葉を兼ねてひと言・・・「責任とったね!」(CV:平野 文) ネタバレだな、どこが? わかる人にはわかるはず。   P.S 皆さんのレビューを読むとエヴァに求めているものが現れていて面白い。
[映画館(邦画)] 8点(2021-03-15 17:39:00)
23.  ブラック・クランズマン 《ネタバレ》 
米・コロラド州コロラドスプリングスで、初の黒人市警察巡査となった人物の自伝を映画化した作品。 未だに各国が脱却できない《他民族への偏見と攻撃性=ここでは黒人差別》を描いた社会派のポリスサスペンス映画。 監督は、もうこれ以上の適任者はないというスパイク・リー(「マルコムX」など)。  ☆ 白人至上主義団体 “KKK” に潜入捜査を試みる黒人刑事を『TENET』で主人公(“名もなき男”)を演じたジョン・デヴィッド・ワシントン。 彼が、白人・黒人のどちらにも傾倒しない刑事を時にユーモラスに演じていて、実話でありながら『ビバリーヒルズ・コップ』のエディ・マーフィー的スーパー刑事にも見えたりする(←個人的にだが)人物をうまく表現している。 彼と《二人で一人の囮捜査》を行う相棒刑事をアダム・ドライバー。いつもながらの大味で飄々とした演技が、ここでは活きていて、ひと味ちがう異色のバディ物として見ても面白い出来。 もちろん、ブラックムービーらしい演出もされている。  ☆ 物語の展開はエンタメとしても出来が良く、一見フィクションかと思えるほど。それで薄まった黒人差別テーマを本編後の挿入映像で担保したように感じた。 尚、カンヌ映画祭では10分間ものスタンディングオベーションを受け、審査員特別グランプリに輝いている。 同テーマの作品に『スリー・ビルボード』があるが、それほど重くない映画で、自滅するKKKメンバー以外の「死」は描かれない。 それはこの映画のスタンスで、『革命』は「受けた非道に対する報復では無い」というメッセージだろう。暴力(力)による報復の連鎖(マウントの取り合い)こそが『差別の根源』に他ならないと。  ☆ 観てよかったと思える映画だった。
[DVD(吹替)] 7点(2021-03-12 00:04:48)
24.  天気の子
『天気の子』私は好きです。   猫が妙に漫画チックに描写されてて  “これは青春の夢物語だよ” という寓話宣言だと思った。  だから、この映画には現実との不整合や歪曲  非常識やご都合主義、ゆらぎ、曖昧さ、雑味がある。  寓話的な映画で思い出すのは  『ストリート・オブ・ファイヤー』  『ブルース・ブラザーズ』  『ブレードランナー』  『ベイビー・ドライバー』  どれも、ロックンロールやR&B、アンドロイドの夢物語で  ボーイ・ミーツ・ガール と逃亡の映画。  強力な絵力 (えぢから) と音楽で、グイグイ持って行く。  主人公は、気恥ずかしいまでに子供っぽく一途で無鉄砲。   『天気の子』も思春期少年のデタラメな夢物語。  方程式に則った前作より、自由で人間らしく素敵だった。   ネット上のレビューは共感できる出来ないが極端に分かれている。  常識や構造にこだわる大人には聴こえない (響かない)  《モスキート音》みたいな映画だなぁと(笑)  今もどこか夢見て生きている人にだけ伝わる映画だと感じた。   宮崎駿監督も初期の頃は  「アニメーションは子供のものだ」と言っていた。  新海監督には、思春期の若者たちに向けて作り続けて欲しい。  あの光り輝く世界は、大人にはもったいないから...   明日も“雨ときどき晴れ”でよろしく。
[映画館(邦画)] 9点(2021-01-05 21:07:30)
25.  ディック・ロングはなぜ死んだのか?
これは、落語の滑稽話(こっけいばなし)みたいな映画でしたね。   滑稽話とは、他人の馬鹿馬鹿しい行いや、失敗の顛末を笑い話にする演目のこと。 落語と違うのは「落ちが無い」ことで、映画で言えば、感動のハッピーエンドでも、恐怖のバッドエンドでもない。 ましてや、どんでん返しなど有る訳もない「なるようになる」物語です。   じゃあ、何が笑えるのか? それは語られる出来事が、地上の英知を気取る我々人間の馬鹿っぽさ=霊長類の“馬鹿あるある”だからです。 劇中の出来事は「有りそうにないけれど、無いとは言い切れない話」であればあるほど妙に笑える訳です。 例えば、やらかして謹慎くらう芸能人とか、うっかり発言でSNS大炎上とか、盗撮趣味で逮捕される教師などなど・・・ 馬鹿な本人には悲劇だけれど、客観的に見れば喜劇。   「ディック・ロングはなぜ死んだのか?」で起きる失敗も「有りそうにないけれど、無いとは言い切れない話」。 ポイントは、滑稽話はあくまで、笑う為の「お話」と知って聴くから笑えるという点で、これを真剣に受け取ったら笑えない。 (コメディでは無いので、出来事はリアルに描写され笑わせる為の露骨な演出はされていない)   英語圏の人なら、原題“The Death of Dick Long”で、笑い話だと察しがつくはず。 スラングに疎(うと)い人でも、劇中で説明されて気がつき、わかってしまえば、アメリカ版ポスターなんて爆笑ものです。 日本人には、映画の事件がピンと来ないかも知れませんね。 でも、映画ファンなら「羊」の例を知ってるはず。映画のタイトルはあえて、沈黙(笑)   人間だから、馬鹿やって大失敗することもあるし、それを誤魔化したくなる弱さもある。 厳しく責める人もいるし、発覚の恐怖や、辛さから逃げたくもなる。 その結果、失うものも沢山ある・・・でも わかってくれる友だちもいて、自分がわかってやることも出来る。 自分なりに、自分らしく生きていく道もきっとある・・・   正しく完璧に生きることを強要され、些細なミスで吊るし上げられ脱落してしまう。 そんな社会で生きてると こういう映画を観て、何故か、ほっとするのだ。   評価は6点だけど、好きな映画でした。
[映画館(字幕)] 6点(2020-09-02 23:06:59)(良:2票)
26.  スガラムルディの魔女 《ネタバレ》 
スガラムルディとは、スペイン=バスク地方の土地の名前で、そこに伝わる「魔女伝説」が映画のベースになっている。  具体的なストーリーは、あえて書きませんが 似た映画を挙げるなら、タランティーノの「フロム・ダスク・ティル・ドーン」 序盤~中盤にかけての展開はほぼ似たようなもの。 ただし、タランティーノはヴァンパイアにバイオレンスをmixしてますが こちらは魔女伝説に (スペインらしく?) 恐妻家コメディという笑いをmixしていますね。  さらに、あの偉大なる変態監督アリ・アスター的(※1)カルト風味と 「ボヘ・ラプ」的(※2)フェス感を微妙にトッピングし《超B級的(珍)映画》に仕上げています。 ホラーコメディを許容できるかどうかで、この映画を楽しめるか冷めるかが別れそう。  私は正直、この映画大好きです。(ジョン・カーペンターの「ゴーストハンターズ」とか大好物) ある意味「ミッド・サマー」より、こちらを評価しています。(炎上発言かな?) スターは出ていない、話題の監督でもない・・・でも、ガキっぽい遊び心を忘れない大人の悪ふざけ ハチャメチャ感のある低予算映画で、とても好感が持てました。  それと〝毒をもって毒を制す〟という意味で、倦怠期夫婦のデートムービーにも最適! (かどうかは責任持ちません・・・) 焙茶!   **   [脚注※1] アリ・アスターのカルトは不快感を「美(bi)」で緩和しますが アレックス・デ・ラ・イグレシアのカルトは「汚(o)」で笑いをコーティングしています。(←ナニ言ってんだか稚内) [脚注※2] 「ボヘ・ラプ」= ボヘミアン・ラプソディの略   [補足] YouTubeにも「予告編」動画がアップされていますが、見ると展開がほぼ読めてしまうので 映画をこれから観るつもりなら、予告編は「見ない」ことをオススメします。
[インターネット(字幕)] 6点(2020-08-07 00:01:44)
27.  ガーディアンズ
ロシア製 スーパーヒーロー・アクション映画  あまり良い評価を聞かなかったので 劇場へは行かず、新作の乏しいこの時期に観た次第。 確かに、初心者マーク付きの映画でした(笑)  ヒーロー映画に、もし「心・技・体」が有るならば 技:(製作技術)は、VFX的にも米国と遜色ないと思う 体:(資本力)これは、映画を完成させるに足りている 足りないのは、心:(ヒーロー・スピリット)だろう  マーベルや DC、それにゲーム。ヒットコンテンツの デザインや設定を模範にして創作しているのは 一目瞭然。 模倣っぽく見えるのは、まあ、仕方がない。 (何事も、最初は真似ることから始まるからね) 致命的なのは、ヒーローが戦う理由が弱すぎること。 復讐や、漠然とした国防意識は スーパーヒーローが《力を行使する理由》にならない。 ロシアに生まれたスーパーヒーローとして、何と戦うのか? 何を犠牲にするのか? そして、何を守るのか?  どの国にも、その国独自の《問題》がある。 一般市民だけでは解決できず、政治もそれを払拭できない その問題を物語として提示し、一つの《答え》を示す。 市民と国が向うべき《道筋》を体現して見せるのがヒーロー だから、みんなが共感する。 スーパーヒーローとは、そういう存在だと私は思うが。  始まったばかりのロシアン・スーパーヒーロー映画には まだまだ「伸びしろ」が有る。頑張って欲しい。 民族問題を始め、山のように課題を抱えているロシア 現ロシア連邦の下で、どんな問題を提起するのか・・・  どんな理想を掲げるか・・・ それを期待して次を待ちたい。
[インターネット(字幕)] 5点(2020-08-06 07:38:12)
28.  トレマーズ 《ネタバレ》 
最初に劇場で字幕版を鑑賞したときは、普通のモンスター映画だねって感じで、あまり印象に残らなかった作品。ですが後年 レンタルビデオの日本語吹替版を見て、こんなに面白かったっけ!?とドハマリしました(笑)   VFXが凄い訳でも、スケールが大きい訳でもありませんが 地中にいる正体不明の巨大生物との対決を、モンスターの生物的特徴をしっかり説明した上で田舎町の隔離された状況を設定し、サスペンスを上手く盛り上げている。 それに加えて、田舎町パーフェクションの人々の生活感がよく出ている。その明るくて人間くさいキャラクター、テンポのいい会話が楽しくラストまでまったく飽きさせずコメディタッチで見せ切ってくれる。   吹替声優は、主人公の2人フレッド・ウォードを内海賢二。ケヴィン・ベーコンを安原義人が演じていて、この掛け合いがメチャ楽しい。さらに、続編以降はレギュラー(ほぼ主役)となる武器マニアのオヤジを小林清志が演じていて、もうドンピシャな危険人物で笑える。 他のキャラクターも達者な声優さんばかり。実に賑やかです。   洋画は何でも吹替えで観るべきとは決して思いません。でも、これに限ってはBlu-rayの日本語吹替えで見ることを強くおススメします! ※DVDには日本語吹替えが無いのでご注意ください。
[ブルーレイ(吹替)] 8点(2020-08-04 18:17:47)
29.  フライボーイズ
1916年。第一次世界大戦中のフランス航空機隊を描いた映画です。 パイロットは皆、事情を抱えフランス軍に所属するアメリカ人というのがポイント。 実在した《ラファイエット戦闘機中隊》の実話がベースで、登場人物やエピソードも生き残った兵士の記録が元になっているそうです。 そう聞くと「1917 命をかけた伝令」を連想しますが、同じ戦場映画でありながら、こちらは、戦争中でありながらも輝いて生きたパイロット達のドラマといった感じ。要は「戦争を描いた映画」ではなく、「青春を描いた映画」です。   だからでしょうか、どことなく宮崎アニメ「紅の豚」や「風立ちぬ」と同じ、大らかさを感じました。 カタルシスを得られる作品ではありませんが、飛行機に青春をかけた こんな若者達がいたんだな・・・と思える映画で私は好きです。   ライト兄弟によって飛行機が発明されて、たった13年後の話というのにも驚かされました。
[インターネット(字幕)] 7点(2020-07-30 17:49:03)
30.  プーと大人になった僕 《ネタバレ》 
プーさんのキャラクターを生かして、上手く人間性回復ファンタジーに仕上げている。 ただ、前半の「不思議の国のアリス」的な雰囲気から、後半の「マペットムービー」的な展開への移行がちょっと強引な気がした。 普通に観れるのでダメではないけれど、後半の《ファンタジーが現実に侵入した世界》で行われた問題解決は、見方によっては 主人公クリストファーの脳内ハッピーエンドとも取れる訳で、現実は・・・いやいや、そういう意地悪な解釈はやめときましょう(笑) 最初から、ロジャー・ラビットのような生命を持った人工物がいる世界。または、心の住人たちが実体化可能な世界。ということで ファイナルアンサー!!(←古い)
[DVD(吹替)] 7点(2020-03-21 19:50:31)
31.  ミッドサマー 《ネタバレ》 
原点は古いが、代々その時に更新されてきた聖典なるものに準じて生きる不思議な村(コミュニティ?)を訪れたアメリカ人大学生の運命を描いた映画。  だんだん怪しくなっていく《村の儀式》が主役とも言えるが、私見だがこれ、現代人を揶揄してるとも捉えられる。 二面性、高齢化批判、薬物常用、居心地よいコミュニティへの依存、人工授精、隠れエログロ、同属殺し、人体解体(猟奇)マニア etc... 極めつけは “くま○ン” 動物の毛皮(死体)を着る残忍性。  アリ・アスター監督の創作欲求の根源が正直わからなかったが、コレだろうと。 現代社会の“気持ち悪さ”に対する告発「この異常な集団がお前(オレ)たち人間だ!」じゃないかと。違う? まあ、それが観客に伝わるかと言えば、伝わらない。ほとんどはポカーンか、映画テクニックへの称賛なんだろうな。  【レビュー更新】  初見のレビューも書いたけれど、少々考え直したのでレビューを更新。 ただし公式サイトの完全解説や、他のレビューを見ずに書いています。 (正解探しではなく「私にはこう観た」という考察です)  このコミュニティ(村?)には色々と矛盾がありますね。 村人は外界と行き来があり、それなりに文化的生活をおくっている。にも関わらず、住人たちには自我が感じられない。 表面上は幸せそうだが、裏で強烈なルールに縛られ生活を制限されている。そこまでして、この環境に村人たちが依存する理由は何か? 古(いにしえ)からの経典を守って?近親相姦で生まれる奇形の王の存在?いずれもそこまでの強制力は無いように見える。 これが、文明社会と隔絶された未開の地の食人族ならそれもわかるが。 この村のレベルであれば、脱走や反抗、支配権を狙う革命が続発して、数年も保たずに体制が崩壊するでしょう。 そもそも過去にも同様の拉致殺害を行っているなら、外界の手で捜査され証拠がワンサカ見つかって、早々に強制解体という運命のはず(笑) どう考えても《現実には成立し得ない》コミュニティです。  そう考えると、この出来事自体が「家族の不幸で心を病んだダニーが作り出した妄想」じゃないかと思えます。 村に踏み込んでドラッグを使った時点からの幻覚じゃないかと。 関係ないが、この村に来る道中の描写は「シャイニング」的ですね。主人公の名はダニーだし(笑)  それから、多くの映画は体制(多数派の強制)から脱しようと闘う個人の話ですよね。自由主義世界の映画ですから当然「自由=正義」な訳で。 しかし、ミッドサマーは真逆。「自由=悪」の世界。だから居心地が悪く、理解不能でとっても怖い。 多様性がなく均一的で思考の停止した世界。無感情に生きたい者が逃げ込む「精神的秘境」とも呼べる楽園。 それはダニーの精神世界であり、アリ・アスター監督の趣味の箱庭だと思います。 私は、その箱庭を「アリ・地獄」と命名します!(笑)  余談ですが、私が観た劇場では“オーバー72ダイブ”のシーンで、御婦人が2人 途中退場されました。お気の毒です。 映画の中にも外にも、それと知らずに「天国のような地獄」に踏み込んでしまった犠牲者がいる訳です。 ディレクターズ・カット版も近く上映されるとのこと。(R15+→R18+で 外道さグレードアップ?)  《 2020.3.5にfacebookの映画グループに投稿したレビューを転載しました。》
[映画館(字幕)] 6点(2020-03-08 18:49:13)(良:3票)
32.  ホテル・ムンバイ 《ネタバレ》 
観たのは、たまたま時間が合ったからなのだが・・・重い。あまりにも重い。  現実にあったテロ事件を、犯人達の会話の傍受記録などを元に、かなり忠実に再現した映画だと言う。 基本的には、現場になったホテルの従業員のヒーロー的行為を描いている劇映画だが 犠牲者がつぎつぎと殺害される状況をストレートに描いているので、やられる側としての感情同期がハンパでなかった。  そして、観終わって考えさせられたのが「貧しき者」が「富める者」との差を《差別》と感じてしまうこと。 「持たざる者」が「持てる者」に対し復讐を正当化してしまう、人間の「愚かしくて悲しい性質」がそこにある。 貧しくても、他人と比較さえしなければ、貧しい中の幸せを追求して日々を生きていける。 しかしテレビやネットは、他人の幸せ、贅沢な姿、格差を見せつけてくる。世界が発展すればする程に・・・  これは、私たちが忘れかけている「世界の現実、人類の現実」を擬似体験させ、警告してくれる映画。だから重い。  ※怖がりな人、緊張に耐えられない人にはオススメしません。 これに比べると『ジョーカー』など、かわいいものだ。
[映画館(字幕)] 7点(2020-02-29 09:08:53)(良:3票)
33.  テリー・ギリアムのドン・キホーテ
米Screen Media版 Blu-rayで鑑賞 (2019年10月8日に書いたレビューです。)  ドン・キホーテに着想を得た夢とも現ともつかない物語。というと如何にもギリアムらしいのだが... ビジュアル面では (類似点の多い)『バロン (1988)』の豪華絢爛さとは対極。とてもストレートでシンプルな絵作り。 ギリアム作品の集客 (一般ウケ) のポイントは、奇想天外な物語。そして、凝りに凝ったビジュアル (だと思う) それ故に、今作の一般ウケは望めないかも知れない。  そもそも、初期の構想では世界を股にかけた壮大な物語になる筈だった...が 製作上の苦難・災難の数々が発生し、それ自体がドキュメンタリー映画『ロスト・イン・ラ・マンチャ』として公開されることに。  黒澤明 然り、年齢とともに監督が映画に注ぎ込める熱量は自然と落ちてくる。 今回ギリアムは、それとは別の問題で妥協してしまったように見え、完成を祝うと同時に彼の運の無さに同情してしまった。 とは言え、満足とまでは行かないが、ギリアムらしさが感じられるファンタジックな作品であることは確か。 “受け継がれる夢想家の魂”とで言うべきか、ギリアムらしいテーマにも共感できる。 アダム・ドライバー、ジョナサン・プライスの熱演も光っているし、良いタイミングでの日本公開を切に願う。  2020年1月30日《追記》 同じくアダム・ドライバー熱演の某銀河大戦完結編と公開を合わせた日本公開に、お見事!と言いたいが、本質を無視した予告編には納得できないのでチャラですね。
[ブルーレイ(字幕なし「原語」)] 7点(2020-02-01 21:21:46)
34.  ドクター・スリープ 《ネタバレ》 
作家性の違い。 スティーヴン・キングは辛い経験から、内なる恐怖と対峙し希望を見つけたい空想作家ですね。 キューブリックは恵まれた人で、恐怖に翻弄され罪を重ねる人間の業(性質)を客観的・批判的に描くタイプでしょう。   その意味で映画シャイニングは、原作を素材にした現実のメタファー。 現実だから、はっきりした答えのない永続性のある映画です。  ドクター・スリープは、映画シャイニングのキャクターとガジェットを借りたサイキックホラー。 キング流の、救いのあるダーク・ファンタジー作品。空想の世界です。 映画シャイニングの続編と謳(うた)いながら、テーマはまったく継続していない。  確かに、キングらしい後味のいい話で、希望を見せて終わる。 でも、キューブリックのイメージに依存し過ぎたため単品では成立しなくなり、もはや原作の続編とも言えない中途半端な作品になっている。 もっと悪く言えば、天才の作った「終わりなき映画」を、ファンの二次創作が強制終了させてしまった映画です。  ゲームをクリアするトリックとして、キューブリックのシャイニングを使った点で、レディ・プレイヤー1と同じレベルと言わざるを得ない。  まあ、キングとしては自分の作品を取り戻せて大満足なんでしょう。 この映画を絶賛する気持ちは分かる (笑)
[映画館(字幕)] 6点(2019-12-03 14:31:34)
35.  ゾンビランド:ダブルタップ 《ネタバレ》 
前作同様、もちろんゾンビ映画のおバカなパロディです。  ドッペルゲンガーとの対面など、色んな “死亡フラグ” を強引にすり抜けて行く痛快さ。 まさに、ネガティブなゾンビ映画の真逆。 超ポジティブな「裏ゾンビ映画!」10年たっても健在でした。 新種ゾンビの命名には大爆笑!  さらに今回は《アメリカン・カルチャー》への哀愁と憧憬 (=あこがれ) にあふれてました。 先住民、政治、音楽、ヒッピー、パリピ、銃、ギーク、マーレーまで。全て肯定!!(笑)  同じ日に観た3本、ゾンビランド、ドクター・スリープ、ブライトバーン その中で1番よかった!言い過ぎですか?いえいえ本当に(笑)
[映画館(吹替)] 8点(2019-12-03 14:01:01)
36.  ブライトバーン/恐怖の拡散者 《ネタバレ》 
ブラックで凶悪なオマージュ(パロディ)映画。 夜9時以降の1回のみの上映で、ハズレ確定と思って観ました。   映画スーパーマン(1978)や、マン・オブ・スティール(2013)を観て スーパーマンの誕生と成長の経緯を知っている事が大前提の映画です。 ディズニーに干され、DCに身を置いたジェームズ・ガンの怒りが爆発したのか 不謹慎なジョークの何が悪い!と言わんばかりの凶暴なパロディ。 (結局、MCUに復帰できて良かったけど。)  R18のエグいシーンばかり印象に残りますが、実はアメコミの小ネタが多い。 笑いどころも随所にある(笑えるかは個人のアメコミ度によりますが) 例えば、アメコミで「ヴィランは高い所から落ちて死ぬ」というセオリーがある。 ならば、この映画における真のヴィランは誰か?と考えさせる点とかね〜 そういう、逆転の発想から生まれた“愛”という激毒を描いたホラー映画です。 端的に言えば、アメコミを題材にした「ヘレディタリー 継承」です。  ただ一点。ラストのVFXがチープでシラける MCUに比べると超低予算なんでしょうが、そこはしっかり作って欲しかった。
[映画館(字幕)] 6点(2019-12-03 11:22:09)
37.  ドラゴンスレイヤー 《ネタバレ》 
ドラゴンを描いた映画としては重要な作品。  竜=ドラゴンが登場する映画は数多くある。「ドラゴンハート」や「サラマンダー」、最近では「ホビット」のドラゴンが印象的だった。 1981年公開のこの作品は、ドラゴンを描いた映画のターニングポイントとして評価したい。 それまで、映画に登場するドラゴンといえば、ハリボテ製で動かずに首を振りながら煙を吐くだけだったり、いかにも人形のコマ撮りだったり、動作のノロい機械じかけだったりと造型的リアルさにも、生物感にも欠けていた。  『ドラゴンスレイヤー』は、ILMがSTAR WARSで培ったモーションコントロール撮影技術をコマ撮りに応用し、被写体にブレを生じさせることで複雑かつスムーズなモデルアニメーションを可能にした映画で、ブルーバックで撮影したドラゴンが生き生きと羽ばたいて飛び、地下を這いずり回る巨大な翼竜(ワイバーン)の映像を実現している。 バーミスラックスという固有名で呼ばれるドラゴンのキャラクターも素晴らしい。残忍な性格。人間のように賢く、生贄を好む一種の神として(王よりも強い力で)領土を支配している。反面、子育てをする動物的な性質があり、ファンタジーとはかけ離れた生命感あふれるドラゴンだ。ディズニー映画なのに・・・である(笑)  ストーリー的には、竜退治を書いたいくつかの神話(「叙事詩ベオウルフ」の神器も敵わない竜との相討ち、「聖ゲオルク」の王女の生贄など)をベースに創作されているように思うが、《魔法使いとドラゴンの戦い》というファンタジックな設定にしては少々エグい。 救うべき王族の美女が、あろう事か幼体ドラゴンの餌にされ、精神的に病んでしまった王の姿が陰鬱(いんうつ)で暗く。竜がいなくなった王国も何だかハッピーではない。日本で劇場公開されてなかったのも、その為か。 主人公も、しょうがなく師匠の代わりに竜退治するハメになった魔法使いの弟子なので、彼の冒険物語ではなく《ドラゴンや魔法使いに象徴される神話的世界の終わり》を描いた映画といった方が正しいでしょう。  「ホビット」や「ロード・オブ・ザ・リング」も神話時代から人間の時代への転換を描いた映画で、ホビットの竜=スマウグの造形や描写は、ドラゴンスレイヤーのバーミスラックスに対するオマージュではないかと思える程。 もっとも、バーミスラックスの方がホビットの原作『ゆきてかえりし物語』にインスパイアされて造形された可能性もありますが・・・  「バンデッドQ」で《神》を演じていたラルフ・リチャードソンが、老魔法使いウルリク役。 「竜も魔法も時代遅れ」と自覚しながら来客には大げさに威厳を見せつけたり、老骨にムチ打って旅に出掛けようとしたりとチャーミング。「スター・ウォーズ」銀河帝国の皇帝(シス暗黒卿ダース・シディアス)イアン・マクダーミドも神父の役で出演して、ここでも壮絶な死に様を見せてくれる。  日本ではVHSとLDが既に廃盤。字幕入りDVDは未発売で、海外版DVDしか今のところ観る手段はない。 発掘系シネマとしてDVD化して欲しい一本です。
[ビデオ(字幕)] 6点(2019-11-23 17:01:15)(良:1票)
38.  スター・ウォーズ/帝国の逆襲 《ネタバレ》 
レジェンド過ぎて、今さら何を語る・・・ですが(笑)  脚本執筆直後に亡くなった リイ・ブラケット(夫は「キャプテン・フューチャー」 で有名なSF作家エドモンド・ハミルトン)は、どのように作品に貢献したのだろうか?  おそらく、空前の大ヒットで完全に製作の自由を勝ち取ったルーカスは、スター・ウォーズの世界を拡張するにあたり、SW銀河をより強固でリアリティあるものに補強したかったのでしょう。 そこでSF界の中から、SWの世界観に適した作家としてブラケットを選んだのではないでしょうか。 結果として、多彩な惑星が登場し、ガス鉱山と通商で成り立つベスピンや、地図にない辺境の原始惑星ダコバ、アステロイド帯や氷の惑星ホスにおける独特の生態系などが生まれ、SWの宇宙が奥深いものになったのではないかと想像できる。  一方、ローレンス・カスダンの加入は、クリフハンガー要素とスリリングな恋愛模様で物語を引っ張り、感情移入しやすいアクティブなキャラクター造形に大きく貢献していると思う。 さらに、ベテラン監督のアービン・カーシュナーが、ホスの白兵戦で見られる戦場のリアリズムやシリアスで悲劇的な要素の演出で、SFでありながら観客の心に訴えるドラマを作り上げたと。  そしてルーカスは、自身のトラウマとも言える親子の確執テーマを壮大なスペースアドベンチャーと融合させ、『帝国の逆襲』で (完結編でないにも関わらず) 全世界に衝撃を与え、永遠に続くインディーズな宇宙神話の基盤を創りあげた・・・  まぁ、実際どうだったかは別にしても、『帝国の逆襲』がその後に与えた影響は非常に大きい。 a long time ago in a galaxy far far away.... 作り手はメジャーに変わっても、スター・ウォーズの宇宙は広がり続けている。
[映画館(字幕)] 9点(2019-11-09 18:15:36)(良:1票)
39.  ターミネーター:ニュー・フェイト 《ネタバレ》 
ターミネーター2の続編として、ほぼ完璧な映画。 28年という時間の隔たりを一切感じなかった、そこがまず素晴らしい!  今回は、T2を現在のものとして再認識する為の、後日譚と追体験を兼ねた物語ですね。 相変わらず映像技術で見せるアクションの連続には驚かされるし 何よりも、来るべき未来の設定に大ナタを振るった事がいい。 (それを残念に思う方もおられるでしょうが、) 周知の未来という過去の縛りから解放された点こそ、大英断だったと思います。  矛盾と思える設定も、解釈次第で成立すると思います。例えば なぜ、審判の日が回避されたにも関わらず未だにT-800が○○されて来るのか? という疑問は、T2のラストより前のタイミング(T1とT2の間)で既に スカイネットが何体ものT-800を到着時間に差をつけて○○していたら解消されますから。  T2で、コナー親子とT-800の行動で《審判の日》が回避されましたが 人類は変わらず同じ事を繰り返す。 T2の様にテクノロジーが人類を破滅させると掲示する文学や映画が何度作られても 人類のテクノロジー依存は、加速する一方で人の能力低下には目を向けない。  今、シリーズの続編を作るなら、テーマ自体も本質的には繰り返しになる。 それが『ターミネーター』という物語のテーマだからです。 だから尚更、次作part.4におけるストーリー展開こそキャメロンの本領が問われるところ それはもう期待せずにはいられません!!
[映画館(吹替)] 8点(2019-11-09 18:07:47)
40.  スノー・ロワイヤル
いつものリーアム・ニーソン映画(最強パパの逆襲劇)でありながら、舞台となる土地の歴史に根ざしたアイディアと独特のユーモアがある。 北欧系監督独特の自然と人の共生感が根底にあり、食傷ぎみの派手なバイオレンスよりも(個人的には)楽しめた。  ただ、邦題:スノー・ロワイヤルは如何かと。 もちろん「スノー(雪上)」+「バトルロイヤル(大乱戦)」だろうが「スノー・ロイヤル」じゃインパクトに欠ける。 そこで「カジノ・ロワイヤル」風にアレンジした? 「雪上(英語)の王立(仏語)」って意味になってるけど・・もうワケワカメ(笑)  それはそれとして、この映画は同じ監督によるセルフ・リメイク作。 オリジナルの方も観てみたいと思ったら、amazon Primeで観れるじゃないですか! こちらの邦題は『ファイティング・ダディ 怒りの除雪車』って、わかりやす過ぎるぅー!! 映画の前に食ったパスタも美味かったし、良い一日だった。
[映画館(字幕)] 7点(2019-11-03 18:59:06)(笑:1票)
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