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ゆきさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 614
性別 男性
自己紹介  洋画は字幕版も吹き替え版も両方観た上で感想を書くようにしています。
 ネタバレが多い為、未見映画の情報集めには役立てないかも知れませんが……
 自分と好みが合う人がいたら、点数などを基準に映画選びの参考にしてもらえたら嬉しいです。

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1.  ザ・ワイルド 《ネタバレ》 
 サメ映画ならぬクマ映画の中では、本作が一番好きですね。   といっても「王道のクマ映画」「クマ映画といえばコレ」なんていうテンプレな品では決してなく、むしろ「個性的なクマ映画」と言えそうな内容。  億万長者な老人が主人公ってだけでも大分珍しいと思うし、主演がアンソニー・ホプキンスで、その相棒がアレック・ボールドウィンというのも、強烈な組み合わせですよね。  モンスターパニック映画というより、人間ドラマという趣が強い内容になってるのは、それだけ俳優陣に「濃い」のが揃ってるからだと思います。   メインの二人だけでなく、ドラマ「OZ/オズ」で馴染み深いハロルド・ペリノーが出演してるのも嬉しかったし、大好きな映画「レジェンド・オブ・フォール」(1994年)で主人公と相対したクマが、本作でも出演してるって事にも吃驚。  そのクマはバートという名前であり、他にも色々な作品に出演してるとの事で(人間の世界だけでなく、クマの世界にも名優は存在するんだな……)なんて、しみじみと感じ入りました。   それと、この手の映画では「平時は有能な金持ち」って「緊急事態では役に立たず足を引っ張る」のがお約束なのに、本作では持ち前の知識を活かして大活躍しちゃうっていうのも、意外性があって良かったです。  この辺りに関しては、モンスターパニック映画が好きで、色々観ていて「お約束」を知ってる人ほど、意表を突かれて楽しめるんじゃないかと。   親切に接してくれる人が、実は金目当てだと覚って拍子抜けしちゃう場面とか、主人公の孤独を描く上で「お金持ち設定」を、ちゃんと活かしてるのも良いですね。  遭難事故においては、金持ちである事なんて何の役にも立たず、主人公は持ち前の知恵と精神力とで生き抜いてみせたのに、平和な日常の世界では、誰も彼の内面を見てくれず、持ってる金を目当てに近寄る連中ばかり……という空しさが、丁寧に描かれていたと思います。   「腕時計が壊れてる」「熊を捕獲する為の落とし穴」などの伏線が、きちんと提示されていた辺りも良かったし、熊から逃げるのは不可能なので殺すって結論に至る場面も恰好良くって、お気に入り。  終幕の場面にて、主人公は相棒のボブが死んでしまった事を「友を失った」という形で悲しむ訳だけど、その感情の中には「これで、自分の生涯で最も輝いた姿を知る者がいなくなってしまった」という哀切もあったのではないか……と思えるくらい、野生の世界で生き抜く彼の姿は凛々しくて、美しかったです。   難点としては……終わり方が少々物足りないって事が挙げられそうかな?  結局、ボブと浮気してた妻を許すのかどうかって辺りも明確な結論を出してないし、何だかスッキリしないんです。  「潜在的な同性愛嗜好」なんて台詞もありましたし「実は主人公が愛してたのは妻ではなく、友人のボブの方」あるいは「亡き友の名誉を守る為、彼の醜聞を秘密のままにしておく為、仕方無く妻の不倫に気付かぬ振りをした」って事なのかとも思えるんですが、真相や如何に。   いずれにせよ「王道なクマ映画とは言えない」「これを観てクマ映画に興味持っても、他にこんな内容のクマ映画は滅多に無い」って点を加味した上でも、誰かにクマ映画を薦めるとしたら、迷いなく本作を選んじゃいますね。  サメ映画界よりも不遇なクマ映画界に颯爽と現れた、奇跡のような一本だと思います。 
[DVD(吹替)] 8点(2023-05-19 09:52:51)(良:1票)
2.  ザ・チェイス 《ネタバレ》 
 無駄な説明を省いて、映画が始まって直ぐに「ヒロインを誘拐してからの逃走」→「主人公と警官達のカーチェイス」という流れに突入するのが気持ち良い。  こういう構成の場合「面白さのピークを序盤に持ってきたせいで、途中からダレてしまう」って形になる品も多いのですが、本作に関しては最後までピークを維持出来ていたし、その一事だけでも傑作と呼べると思います。   基本はコメディでありながら、程好くシリアスな要素を織り交ぜているのも見事であり「安心して楽しめる娯楽映画なんだけど、結末は読めない」ってバランスに仕上げてあるのも良い。  本作の元ネタって、恐らく「パティ・ハースト事件」(お金持ちの令嬢が誘拐され、犯人と恋仲になってしまう)じゃないかと思うんですが、それがまた「悲劇的な結末」に辿り着くのを示唆しているんですよね。  あの事件を知っている観客であれば、単純なハッピーエンドにはならないだろうと考えるし、それゆえに主人公が追い詰められ、物悲しい音楽が流れる「ニュー・シネマ的な射殺オチ」を見せられても、納得出来ちゃう。   ところが、この映画はそこで終わらせずに、更に一歩踏み込んでみせたんです。  上述の射殺シーンは主人公の妄想(=目を瞑った間に考えていた未来予測)だったと判明し、底抜けに明るいハッピーエンドに着地する。  この「実際にあった事件をハッピーに変えてみせる」という手法は「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」(2019年)でも用いられているし、本作が先駆的な品であった事を証明してる気がします。   劇中にてThe Offspringの曲が使われているのも嬉しかったし、マスコミが事件を面白可笑しく報道する様を、皮肉たっぷりに描いてる点も良いですね。  そういったマスコミ連中や、ヒロインの父親が適度に憎たらしい存在であるからこそ、彼らを出し抜いて主人公カップルが逃亡成功するのに喝采を送れる訳であり、本当に上手い作り。  チョコバーを銃に思い込ませた事が伏線の「もうキミを人質には出来ない。銃を食っちゃったし」って台詞も洒落てるし、カーチェイスだけでなく、会話劇としての面白さもあったと思います。   難点を挙げるとしたら……主人公が無実の罪を着せられた「ピエロ強盗」の真犯人の顛末が不明なので、モヤモヤが残っちゃう事が挙げられそうですね。  あそこに関しては「実は交通事故で死んでいた」とか「他の事件で有罪になって服役中」とか、そんな情報を主人公の弁護士が伝えてくれていたら、よりスッキリとした結末になっていたかも。   チャーリー・シーンは好きな俳優さんだし、誰もが知ってる名作映画にも数多く出演されてる方ですが……  そんな彼の「隠れた傑作」を教えて欲しいと言われたら、本作を紹介したくなる。  オススメの一本です。
[地上波(吹替)] 8点(2022-11-15 02:54:26)(良:1票)
3.  サンダーフォース ~正義のスーパーヒロインズ~ 《ネタバレ》 
 スーパーヒロインだけでなく市長まで女性にしているし、とことん女性賛歌の映画って感じですね。   例えば、悪の美女であるレーザーとの決着が付いておらず、取り逃がした形になってるのも「続編に繋げる為」というより「たとえ悪役でも女は倒さないよ、倒すのは男だけ」っていうメッセージに思えちゃうんです。  主人公の一人であるエミリーがシングルマザーっていうのも象徴的であり、明らかに「正義の味方」側から男を排除してる。  一応、序盤には脇役として男キャラも何人かいたはずなのに、途中からどんどん出番が減っちゃいますからね。   そんな中、一番出番のある男性キャラが悪役のクラブであり「主人公リディアと恋に落ちて、土壇場で裏切る」というオイシイ役かと思われたのですが……  これまた全然活躍しないで、裏切った途端あっさりラスボスに蹴飛ばされて終わりっていうんだから、徹底しています。   世の中には男性賛歌の映画なんて溢れてる訳だし、こういう映画もあっても良いとは思うんだけど……  ここまで極端だと、流石に戸惑いが大きくて、素直に楽しめなかったのが残念です。   米国では妙に人気がある「嘔吐ギャグ」も、個人的には全然ピンと来なかったりするもので、最後の最後にそれが飛び出すっていうのも、何か印象的したね。  極端な女性賛美も、嘔吐で笑いを取るのも、別にそれが悪い訳じゃないんだけど、何となく肌に合わないっていう、居心地の悪い気分のままで映画が終わっちゃいました。   痩せた美女じゃなく、太ったオバさんがスーパーヒロインになるって発想は面白かったし、薬を飲んだ途端に超人に変わるのではなく、地道にトレーニングを重ねて強くなる描写も好みだしで、良かった部分も色々あるんですけどね。  エミリーの祖母に「実は私達、サンダーフォースなの」と正体を明かそうとしたら「レズビアンなの」って告白だと勘違いされちゃう件も可笑しくって、個人的には、ここが一番お気に入りかも。  爆弾と共に身を投げる直前、リディアが「友達でいてくれて、ありがとう」とエミリーに告げる場面もグッと来たし、映画のクオリティ自体は高かったと思います。   他にも、主演のメリッサ・マッカーシーはベン・ファルコーン監督の妻とか「ソー:ラブ&サンダー」(2022年)にも二人は本作を連想させる役柄で出演してるとか、色々と面白い小話に事欠かない映画ですね。  こういう形のスーパーヒロイン物もあるって事で、この手のジャンルが好きな人なら、チェックしておく価値はあると思います。
[インターネット(字幕)] 5点(2022-10-19 09:59:07)(良:1票)
4.  ザ・グリード 《ネタバレ》 
 「乗客の殆どが消えた豪華客船に、主人公達が遭遇する」という、マリー・セレスト号事件のような粗筋なのですが……  この映画には「怪談」「謎解き」的な要素なんか皆無で、ひたすら分かり易いモンスター映画として作ってあるのが痛快でしたね。   上述の「乗客が消えた理由」に関しても、普通なら途中まで謎にして不気味な雰囲気を漂わすもんなのに、本作に関しては「怪物が豪華客船を襲撃する場面」を、序盤で描いちゃってるんです。  これには本当、驚かされました。  低予算の映画であれば間違いなく省略してたはずの場面を、惜しみなく見せるというサービス精神。  「観客の想像に委ねる」という形で「逃げる」事も許されたはずなのに、それを良しとせず「観客の想像より、もっと凄いのを見せてやるぜ」とばかりに、迫力満点な襲撃シーンを描いてみせた作り手の心意気には、もう感服するばかりです。   映画オタクって、つい低予算な映画を評価したがるものなんですけど、本作に関しては(予算があるって、良いもんだな……)と思えたし「必要な場面の為に、必要な予算を確保してみせた」というのは、立派な長所の一つなんだなって、蒙を啓かせてもらった気分。    そんな怪物襲撃の場面だけでなく、怪物と対峙する人間側の描写も、魅力たっぷりで良かったですね。  特に、主人公であるフィネガンの描き方が良い。  金の為なら怪しい仕事も引き受ける船長という、アウトローな人物なんだけど、部下を救う為に危険を冒したりとか「良い人」としての面も、ちゃんと描いてる。  強さや頼もしさも程好いバランスであり、銃を持った強盗達に一歩も退かないタフガイっぷりを見せた後「寿命が縮んだぜ……」と、小声で弱音を吐いたりするんですよね。  何とも憎めなくて、この手の映画の主人公としては、理想形の一つとすら思えました。   脇を固める部下のパントゥッチに、ヒロインである女怪盗のトリリアンも良い味を出しており、この三人が生き残るハッピーエンドであった事は、本当嬉しかったです。  他人を犠牲にして助かろうとした結果、悲惨な末路を辿る強盗犯のボスも印象深いし、本作が「勧善懲悪」を重視した映画であった事が窺えますね。  主人公達が生き延びた事を素直に喜び、悪人達が死んだ事に関しては「自業自得」と思えるのって、本当に理想的。   他にも「敵の本体が姿を現す際の、怪獣映画みたいなBGMが素敵」とか「怪物の目玉をショットガンで撃ち抜く場面が最高」とか、褒め出したらキリが無い映画です。   ただ、終わり方に関しては……  出来れば「主人公達三人が生き残ったハッピーエンド」という、爽やかな形で終わらせて欲しかったですね。  「ようやく辿り着いた島には、更なる怪物が待っていた」って暗示させる終わり方も、まぁ悪くはないんだけど、せっかく「怪物を退治してみせた達成感」を上手く描けてた訳だから、そのまま終わっても良かったと思うんですよね。  「今度は何だ?」という主人公の決め台詞で終わるのに、その「今度」を描かず仕舞いっていうのが、何とも意地悪に思えて仕方無かったです。   総評としては「終わり方に難有りだけど、中々の傑作と呼べる一品」って感じに落ち着くでしょうか。  この作品の一年後、ソマーズ監督は「ハムナプトラ/失われた砂漠の都」(1999年)をヒットさせ、その続編も手掛けた訳だけど……  自分としては「ザ・グリード」の続編も、是非観たかったです。
[DVD(吹替)] 8点(2022-07-21 21:15:24)(良:2票)
5.  最凶赤ちゃん計画 《ネタバレ》 
 これは……面白いんだけど、最後で台無しってタイプの映画ですね。   途中まで、というかラストのオチ以外は良い感じなんです。  「最凶女装計画」では女装ネタの王道を描いたウェイアンズ監督が、今度は赤ちゃんに成り済ますネタの王道を描いており、どこか既視感を覚える展開ながらも、面白可笑しく纏めてる。  無邪気な赤ん坊の振りして美女に授乳をせがんだり、子供達に悪い遊びを教えたりと、こういうネタなら外して欲しくないって部分を、ちゃんと押さえた作りになってると思います。   脇役にも良いキャラが揃っており「幼稚園への送り迎えを仕事にしてるママさん」なんて、特に良かったですね。  彼女が車を暴走させる場面が、本作のピークだったんじゃないかと思えたくらいです。  赤ん坊に成り済ましたキャルを疑うのが年老いた父親という事で、本当の事を言ってるのに「とうとう呆けてしまった」と思われ信じてもらえない流れなんかも、上手かったですね。  主人公のキャルもダリルも、子供時代に問題があったようなのですが、それをクドクド語る真似はせず「生まれて初めての誕生日会で、感激して泣いちゃうキャル」という描写や「俺、父親業が好きだ。凄く楽しい」「自分の父親とやれなかった事がやれるんだから」と語るダリルの場面などで、サラッと描いている辺りも良かったです。   でも、やっぱり最後が……  「ダリルの妻が産んだのは、実はキャルの子」としか思えないオチであり、流石にブラック過ぎるんですよね。  今回の事件を通し、ダリルとキャルの二人には友情が芽生えていただけに、余計にやり切れない結末。  ここの部分をカットしておいてくれたら……と思わずにはいられないです。   ちなみに本作はラジー賞を幾つか受賞しており、バックス・バニーのエピソードを盗作したとの声もあるようですが、個人的にはこのくらいなら「パロディ」の範疇じゃないかと思えましたね。  盗作と言うなら「最終絶叫計画」の方がよっぽど「スクリーム」そのまんまな訳だし「最凶女装計画」も「バッドボーイズ」(1995年)の盗作って事になっちゃいますし。  本作だけ殊更に騒ぐのは不自然というか、不適切なんじゃないかと。   冒頭にて述べた通り、最後のオチだけは褒める気になれないけど……  それ以外は、かなり良く出来てる。  「ラジー賞を取った映画は、意外と面白い」法則に当てはまる一本として、カウントしたくなる映画です。
[DVD(吹替)] 6点(2021-11-18 18:22:35)
6.  最凶女装計画 《ネタバレ》 
 明らかに「バッドボーイズ」(1995年)が元ネタであり、途中までは「最終絶叫計画」のようなパロディ映画かと思っていたのですが……  終わってみれば、しっかりとオリジナルの魅力を備えた映画でしたね。   刑事物のバディムービーとして考えても、女装ネタのコメディ映画として考えても、充分に楽しめる出来栄えでした。   前者に関しては「主人公達が喧嘩して仲直りし、絆が深まる」というお約束の魅力を描いているし、銃撃戦の際には、意外とシリアスで恰好良い雰囲気になったりもするんですよね。  この辺の「切り替えの上手さ」って、コメディタッチの刑事物では凄く重要ですし。  そこがしっかりしているというだけでも、もう拍手を送りたくなっちゃいます。   後者に関しても、女装ネタならではの可笑しみを感じる部分が色々あって、大いに満足。  「女装した主人公が男に迫られ、窮地に追い込まれる」っていうお約束ネタも、しっかり描いてあるし……  本物のウィルソン姉妹の方を「女装した男」だと思って取り調べする場面なんか、特に可笑しかったですね。  ここ、普通ならウィルソン姉妹が可哀想で笑えなくなりそうなんだけど、序盤にて彼女達の「嫌な女」っぷりを描いてたから、素直に楽しめちゃうんです。  この辺りのバランス感覚は、本当に見事でした。   女装して女の子達と仲良くしている内に、何時しか性別を越えた友情が生まれていく流れも、凄く好み。  最後に正体を明かした後も、彼らの友情はずっと続いていくって示すハッピーエンドであり、後味爽やかなんですよね。  彼らには性別以外にも、年齢やら人種やら、色んな壁があるはずなのに……  そんなの関係無いとばかりに「仲間」として笑い合う姿が、とても眩しく思えました。   一応、欠点も挙げておくなら、女装したマーカスに迫るラトレルが色々頑張ってて、憎めないキャラだったのに「結局は嫌な奴だった」ってオチになるのが、微妙に思えた事。  女装した二人が周りから「美女」と認識されてるのに違和感を覚えた事。  後は……女子トイレでの一幕とか、下品で笑えないネタも幾つかあった事くらいかな?  でも、こうして色々振り返ってみても「ダンス対決が面白かった」とか「喧嘩ばかりしてた同僚と、土壇場では熱いやり取り交わすのが良い」とか、長所の方が数多く浮かんできちゃいますね。   ウェイアンズ監督の代表作といえば、世間的には「最終絶叫計画」となるんだろうけど……  個人的には、こちらをオススメしたいです。
[DVD(吹替)] 7点(2021-11-18 13:38:31)
7.  最終絶叫計画 《ネタバレ》 
 「スクリーム」の殺人鬼が「ラストサマー」の鉤爪を武器にしてるという、そんな絵面を拝めただけで得した気分になれますね。   基本的なストーリーも上記二作に準じている為、安心して楽しめる作りなのですが……  それだけに、最後の最後でオチが「ユージュアル・サスペクツ」になっちゃうのが、違和感あって仕方無かったです。  「スクリーム」でのデューイに相当するキャラが全ての黒幕ってネタ自体は悪くなかったし、出来れば徹底して「スクリーム」もしくは「ラストサマー」のテイストのまま終わって欲しかったですね。  途中で別の映画のネタ挟むくらいなら構わないんだけど、本作は文字通り「最後に別の映画になってしまう」って形な訳で、観た後モヤモヤが残っちゃいました。   「スクリーム」作中にも他の映画を馬鹿にする場面があるとはいえ、これだけ「スクリーム」と「ラストサマー」に乗っかった映画でありながら、その二作を作中で貶してるのも気になる部分。  オチが「ユージュアル・サスペクツ」になっちゃう点といい、作り手側に「スクリーム」と「ラストサマー」への愛情が感じられないのは、この手のパロディ映画としては致命的だと思います。   一応、良かった点も挙げておくなら「武器ではなくバナナを手にする女」とか「同性愛者かと思ったら、実はそうじゃなかった男」とか、笑える場面もキチンとあった事。  あと、音楽やカメラワークなどは意外と洗練されていたって事が挙げられそうですね。  予想以上にクオリティが高くて、面白いとか面白くないとか以前に、まず「出来の良さ」に驚かされましたし。   本作は同年公開の「スクリーム3」に匹敵するか、あるいはそれ以上のヒットを記録してるんですが、それも納得です。  この後、ウェイアンズ監督は「最凶女装計画」などの佳作も手掛けていますし、ちゃんと映画作りの才能はある人なんだと思います。
[DVD(吹替)] 5点(2021-11-05 02:18:01)
8.  13 ラブ 30 サーティン・ラブ・サーティ 《ネタバレ》 
 これは……判断に困る一本ですね。   まず、面白いか否かで言えば面白いです。  音楽の使い方やカメラワークなども洗練されているし「夜中に二人きりでブランコを漕ぐ場面」など、ロマンティックな要素もしっかり備えているしで、ラブコメ映画としてのクオリティは高かったと思います。   でも、脚本に納得がいかないというか……ハッピーエンドなんだけど(本当にハッピーエンドで終わって良いのか?)っていう疑問符が浮かんできちゃったんですよね。  ラストにて、主人公のジェナは「悲惨な三十歳」の世界から「可能性に満ちた十三歳」の世界に戻り、親友のマットと結婚して「幸せな三十歳」になる事に成功する。  けれど「悲惨な三十歳」の世界でも、ジェナとマットには恋人がいた訳で……彼ら二人が完全に放ったらかしなのが、どうも落ち着かない。  彼らが「嫌な奴」だったとか、彼らのせいでジェナ達は不幸になるとか、別にそういう訳でも無かったので(あの二人が可哀想だなぁ……)と思えちゃって、結婚した主人公達を素直に祝福出来なかったんです。   そもそも、本作において自分が一番好きなのは「過去に戻ってやり直したいと訴える主人公に対し、母親が優しく諭す」場面であっただけに、あのラストには本当にガッカリしちゃったんですよね。   「沢山の間違いを犯してきたけど、一つも後悔はしていない」  「間違いを犯さなきゃ、それを正す術も学べなかった」   という母の台詞は本当に良かったですし、主人公も「今の自分」を受け入れて、そこから前に進む話になるんじゃないかと予想していたんですが……  観賞後は(結局、元に戻ってやり直すのかよ!)とツッコむしか無かったです。  ストーリー上、元いた十三歳の世界に戻るのは止むを得ないにしても、そこはせめて三十歳の世界である程度の決着を付けてから戻るべきなんじゃないかと。   他にも「主人公が三十歳になりたがる動機が弱い」「同僚の旦那と不倫していたんだから、その事を謝罪する場面も欲しかった」とか、細かい不満点も多いんですよね。  マットに酷い態度を取るシーンなどが原因で、序盤から主人公に感情移入しきれなかったのも痛かったです。   十三歳のベッキーと友達になってパジャマパーティーを開いたり、十代の男の子にときめいて誘ってみせたりと「見た目は三十歳だが、中身は十三歳」という設定ならではの面白さを感じる場面が、ちゃんとあった事。  見た目が冴えなくて、ラブコメの彼氏役にしては華が無いマットを、ちゃんと魅力的に描いている事など、要点は押さえた作りになっているだけに、勿体無かったですね。   面白いし、楽しい映画ではあるんですが、それ以上に色んなモヤモヤが残ってしまう映画でありました。
[DVD(吹替)] 5点(2019-05-10 08:01:16)(良:2票)
9.  サバイバル・ソルジャー 《ネタバレ》 
 虎に襲われる場面にて(これはもしや、ヴァン・ダムは序盤で退場して出て来なくなるパターンなのでは?)と危惧しちゃいましたが、そんな事は無くて一安心。  鮮やかな蹴りを披露してボスキャラを倒してくれるサービスシーンもありましたし「ヴァン・ダムは主演じゃないけど、彼のファンも満足出来るように作ってあるよ」という制作側の配慮が感じられましたね。   でも、映画自体は色々と粗が目立つというか……正直、観ていて退屈する時間の方が長かったです。  大人版「蠅の王」といった趣のストーリーなのですが「登場人物を子供から大人に置き換えたからこその魅力」のような物が全く感じられず、本当に舞台設定やプロットを拝借しただけって形なのが、如何にも寂しい。  「地獄の黙示録」や「コマンドー」をパロった場面でも、どうもテンションが上がらなくて「独自の魅力を打ち出せないから、他の作品の真似をしてみただけ」とすら思えたくらいです。   敢えて言うなら「会社では冴えない主人公が、無人島で活躍して同僚を見返してみせる」というカタルシスが本作独自の魅力なのかも知れませんが、その辺りも上手くやれてなかった気がするんですよね。  「日頃はダメ人間扱いされている主人公だけど、実は凄い奴だった」とは思えなくて、敵役になる同僚のフィルが無能で酷い奴だから、相対的にマシに見えるだけって感じなんです。  こういう「ダメ人間にとって都合の良い妄想映画」的なストーリーは自分も好きなんだけど、それだけに上手くやって欲しいというか……  (ダメ人間の自分から見ても、これは都合が良過ぎて嘘っぽいよ)と思えてしまったんだから、かなり辛かったです。  これなら「実は凄い奴だった」パターンじゃなくて「不器用ながらも無人島で頑張って成長し、周りに認められるようになる主人公」ってパターンの方が、もっと感情移入出来た気がしますね。   あと、これは我ながら贔屓目が過ぎると思うんですが、道化役を演じるヴァン・ダムが「恰好良い」「頼もしい」ってオーラを隠し切れていなかった事も、映画としてはマイナスポイントかも。  そんなヴァン・ダムを差し置いて、スター性に乏しいルックスの主人公が「恰好良くて、頼もしい存在」として描かれているもんだから、余計に説得力が薄れるし、胡散臭いキャラクターに思えちゃったんですよね。  本作はヴァン・ダムの出演が売りの映画なんでしょうけど、どちらかというと彼がいない方が完成度は高まったんじゃないかな、って気がしました。   ラストにて、フィルの偶像に火を放って救援の狼煙を上げる件は中々良かったし、詐欺師として逮捕される間際「刑務所宛てに手紙を書いて、面会にも来て欲しい」と主人公に頼みつつ敬礼して別れるヴァン・ダムはやっぱり良い味出していたしで、好きな場面も色々あるんですけどね。  「ヴァン・ダム出演映画は、一通りチェックしておきたい」という熱心なヴァン・ダム好きなら、ある程度は満足出来るかも知れませんが……  自分としてはオススメし難い、物足りない映画でした。
[DVD(吹替)] 4点(2019-05-02 23:03:51)
10.  サンダーアーム/龍兄虎弟 《ネタバレ》 
 この頃のジャッキーは意外と皮肉屋な男を演じる事が多いのですが、その最たる例が本作における「アジアの鷹」でしょうね。   単なる「良い人」ではなく「俺が信じる神の名は『金』さ」と嘯き、時には卑怯な真似もやってみせる。  それでいてジャッキー特有の「愛嬌」「優しさ」は失っていないというバランスが絶妙であり、凄く魅力的。  後に本作がシリーズ化して三部作となるのは、映画の面白さだけが理由では無く、この「アジアの鷹」というキャラクターの魅力に依るところも大きかったんじゃないかな、と思えます。   それと、本作においては主人公ジャッキーと、親友のアラン、敵の人質になっているローレライ、金持ちお嬢様のメイによる恋の四角関係も描かれており「若者達による青春物語」といった趣があるのも良かったですね。  アランとローレライの絆を確かめる為、自身の失恋にケリを付ける為に、ジャッキーが悪役を演じてみせる終盤の件なんて、特に好き。   他にも、脱出機能付きの愛車コルト・スパイダーは恰好良いし、それを駆使したカーアクション有り、お馴染みのカンフーも有りで、とっても豪華な内容なんですよね。  ともすれば「ジャッキー版インディ・ジョーンズ」という一言だけで終わってしまいそうな映画なのに、単なる模倣で終わらず、ちゃんと独自の魅力を打ち出せているのが凄い。   撮影中、ジャッキーが命に関わる程の大怪我をした影響で、冒頭の短髪姿から一気に髪が伸びた形になるのが少し不自然とか、相棒役かと思われたアランが殆ど活躍しなかったのは寂しいとか、欠点と呼べそうな部分もあるんだけど、そんなの些細な問題。  当時のジャッキー映画お馴染みの「三菱マークが目立つ事」も「ちゃんと作中で宣伝しているからこそ、これだけ派手なカーアクションが出来たんだ」と思えるし「人気歌手のアラン・タムが準主役である事」も「彼ならではのミュージック・ビデオ風の演出が良いアクセントになっている」と思えるしで、なんていうか「大人の事情」が垣間見える部分も、きっちり「映画としての長所」に変えてみせたという、懐の深さが伝わってくるんですよね。  スポンサーを満足させるだけでなく、セクシーな巨乳女性軍団を登場させるファンサービスまでしてくれるし、そういった「清濁併せ呑む」スタイルが、本作の主人公の性格とも合致していて、実に良い味を出していたと思います。   コメディ面においても「アランからの手紙を読み、ホテルの二階からロビーに戻る」件はクスッとさせられたし、アクション面も「相手のドロップキックを、下から上に突き上げるドロップキックで撃退する」という場面があったりして、どちらも印象多い。  そして何といっても、主人公のガムを食べる仕草がやたら恰好良くて、自分としては、もうそれを観るだけでも満足しちゃうんですよね。  子供時代に、何度も練習して、その仕草を真似していた事を思い出します。   数あるジャッキー映画の中で「最も魅力的な主人公は?」と問われたら、本作の「アジアの鷹」を挙げたくなる。  粗削りだけど、若々しいパワーを感じる、良い映画です。
[DVD(吹替)] 8点(2018-09-25 12:55:33)
11.  サボテン・ブラザース 《ネタバレ》 
 「物語の中のヒーローが、本物のヒーローになる」映画の、元祖的存在ですね。   洋画では「ギャラクシー・クエスト」邦画では「ザ・マジックアワー」アニメにおいても「バグズ・ライフ」に「宇宙英雄記」と、様々な媒体で本作のプロットを拝借した作品が見つかる事に、その影響力の大きさが窺えます。  もしかしたら1986年以前にも似たような映画があったのかも知れませんが、自分は未だそんな映画に出会えていませんし(あえて言うなら「荒野の七人」?)やはり本作のオリジナリティはズバ抜けているんじゃないかと。   そんな訳で「映画史を語る上では外せない一本」「非常に斬新な、革命的作品」と、ひたすら絶賛したい気持ちもあるんですが……  正直、中弛みしている部分もあって、完成度が高いとは言い難い映画なんですよね。   象徴的なのが「唄う樹」と「透明な剣士」の存在であり、彼らだけ妙にファンタジー度が高い点も併せて、凄く浮いちゃっている。  作り手側としてもそれを気にしたのか、直前に「馬や亀も唄ったり喋ったりするシーン」を挟み、自然に感じられるようにと配慮しているのは窺えるのですが、それが成功しているとは言い難いかと。  結局、悪党のアジトは飛行機が原因で判明するので「アジトの場所を知る為には、唄う樹がある場所に辿り着き、透明な剣士に教えてもらう必要がある」って流れ自体が不要になっており、本当に(何だったんだアレは……)って思えちゃうんですよね。  そんな肩透かし感も、本作を彩るギャグの一種、愛嬌の一つではあるんですが「この映画の、そこが嫌」と言われたら、全く反論出来ない部分でもあります。  実際、上述の作品群も本作のプロットを拝借する一方で、この「唄う樹」と「透明な剣士」については、殆どスルーしちゃっていますからね。   それでも、やっぱりこの映画は好きというか……本当に魅力的な部分が幾らでもあって、語り出すと止まらなくなっちゃうくらいなんです。   まず、劇中劇となる白黒映画が意図的に稚拙に作られており(柵に切れ目があるのが破壊される前から見えてしまっている、など)それによって後の「映画ではない、本当の戦い」に迫力が生まれている点が素晴らしい。  主人公達が、一頭の馬に三人で乗ったり、一つのベッドに三人で寝たりする場面なんかも「仲良過ぎだろっ!」とツッコまされて、楽しかったですね。  荒野を彷徨い、他の二人が乾いている中で、ダスティだけが浴びるように水を飲む場面も可笑しくって、ギャグとしてはここが一番好きな場面かも。   「唄う樹」と「透明な剣士」とは反対に、後続の作品で頻繁に真似されている「相手が本物の悪党と分かって、怯える主人公達」の場面も、極めて面白く描かれており(こりゃあ真似したくなるわ)と、大いに納得させられました。   また「本当のヒーローじゃなかった」とヒロイン達がショックを受ける一方で、同じように「映画は嘘だった」とショックを受けて、かつての憧れが恨みに変わった男を敵役に配している辺りも凄い。  「映画の中のヒーロー」が、人々に希望を与えるだけでなく、絶望を与える事もあるという、非常に考えさせられる一幕。  このジャンルの映画が成熟して、数十年後にようやく生まれそうな展開を、元祖的存在の本作で既にやってのけているんだから、もう驚嘆するばかりです。   主役三人組の中で、一番頼りないかと思われたネッドが「男になるか、逃げだすか」と言い出して、三人が本物のヒーローになるキッカケを作ったり、銃による決闘に勝利したりと、作中で最も活躍しているという意外性も心地良い。  ラッキーによる終盤の演説「人は皆、心にそれぞれのエル・アポを抱えている」も胸を打つものがあり、本作に普遍的な物語性を与えているように思えましたね。    そして何といっても「正義。それが我らの報酬だ!」と劇中の映画同様に叫び、お金の入った袋を村の人々に投げ返してから別れるラストシーンが……もう、本当に名場面としか言いようが無い。  ここ、最初からお金を受け取らないつもりだった訳じゃなく、数秒の沈黙を挟んで、考えて、見つめ合って、それから「映画のように恰好付けて」袋を投げ返すっていうのが、たまらなく好きなんですよね。  決して完璧なヒーローではなく(このままお金を受け取っても良いかも?)と一瞬迷うという、人間的な弱さを備えている主人公達。  そんな彼らが、心の弱さに打ち勝って、女性や子供達に「ヒーローとは、斯くあるべし」という姿を見せ付け、颯爽と去っていく。   本当に素晴らしい、傑作という言葉が似合う一品でありました。
[DVD(吹替)] 9点(2018-05-30 14:03:26)(良:3票)
12.  THE 有頂天ホテル 《ネタバレ》 
 「グランド・ホテル」形式の作品である以上「出演者が有名人だらけのオールスターキャスト」である事が要求される訳ですが、その点は間違いなくクリアしていましたね。  (あっ、オダギリジョーだ)(唐沢寿明だ)といった感じに、脇役も見知った顔ばかりなのだから、実に贅沢。  大晦日を舞台としている事も併せ、お祭り映画としての楽しさが伝わってきました。   ……ただ、自分としては主人公であるはずの副支配人のエピソードが好みではなかったりして、そこは残念。  とにかくもう、見栄を張って元妻に嘘を吐く姿が痛々しくて、観ているこっちが恥ずかしくなっちゃうんです。  映画の最後を締める「おかえりなさいませ」の一言にしても、妙に滑舌が悪いもんだから(いや、これは撮り直せよ)とツッコんじゃったくらい。  この時点で「好きな映画」とは言えなくなってしまった気がします。   でも、そこは群像劇の強み。  複数の登場人物、複数のエピソードが用意されているもんだから、その中から自分好みのものを探す事が出来るようになっており、有難かったですね。  自分の場合、香取慎吾演じる「夢を諦め、故郷に帰ろうとしている青年」の憲二君がそれに該当し、このキャラクターのお蔭で、最後まで退屈せずに観賞出来た気がします。  歌手を目指していたという設定の為、終盤で絶対唄う事になるんだろうなと思っていたら、やっぱりそうなるという「お約束」「ベタさ加減」も心地良い。  ホテルの壁が薄い事が伏線になっており、彼の歌を聴いて、隣室の客が自殺を思い止まる展開になる辺りも良かったです。   演歌歌手を演じる西田敏行も魅力的だったし、そんな彼に「プロにはなるな」「君程度の歌手は五万といる」と諭され、意気消沈するも、やっぱり夢を諦め切れずに再びギターを手にする憲二君という流れも(そう来なくっちゃ!)という感じ。  かつて手放したはずのラッキーアイテムが、結局は手元に戻ってくる流れなんかも、非常に綺麗に決まっていたと思います。  そして何より、周りの人物、かつて夢を叶えられなかった人々が「夢を諦めないで」とエールを送る形になっているのも、実に素晴らしい。  ここの件だけでも(観て良かったな……)と、しみじみ感じ入りました。   そんな人々の想いと、叶わなかった夢の数々を背負って、憲二君がラストに熱唱する姿を、是非観たかったのですが……結果的には、YOU演じるチェリーさんに見せ場を奪われた形でしたね。  この辺りは「群像劇であるがゆえに、色んな人物に見せ場を用意する必要がある」という事が、マイナスに作用してしまった気がします。  最後をチェリーさんで〆るなら、もっと事前に「歌に対する彼女の想い」を描いておくべきだったと思いますし、そういった積み重ねが足りていないから、ラストに彼女が唄ってもカタルシスが無い。  逆に「歌に対する想い」が濃密に描かれていた憲二君に関しては「もう充分に見せ場を与えたから」とばかりにクライマックスで唄ってくれないので、結果的に両者ともに浮かばれない形になっているんです。  いっそ最初はチェリーさんが単独で唄い、途中から憲二君がギターを弾きつつ参加して合唱する流れにしても良かったんじゃないかと思うんですが、どうなんでしょう。   どちらかといえば、もっと長尺のテレビドラマ向きの題材じゃないか、とも思えたので、そちらのバージョンをアレコレ妄想してみるのも楽しそうです。
[DVD(邦画)] 6点(2017-11-01 09:21:43)
13.  サハラ 死の砂漠を脱出せよ 《ネタバレ》 
 観賞中  (何か、シリーズ物の中の一本って感じだなぁ……)  と感じていたのですが、原作小説は人気シリーズであり、これはその中の一作を映画化した代物だったのですね。大いに納得。   上記のように感じた理由としては「主人公と相棒のキャラクターが魅力的である」という良い点もあるのですが「観客が主人公達の事を知っているのは当然とばかりに説明が少なく、感情移入させる前に物語を進行している」という悪い点もあったりして、それが残念でしたね。  勿論、原作を読んでさえいれば解決する問題なのでしょうが、未読の身としてはキツかったです。   冒険映画として押さえるべき点は押さえてあり、夕暮れの砂漠をラクダで横断するシーンなんかは見惚れてしまう美しさがありましたし、ボートで河を移動するシーンなんかも楽し気で良かったのですが、どうも物足りない。  それは例えば「中盤の銃撃戦が妙にダレていて長い」とか「音楽の使い方もセンスは悪くないと思うんだけど、ちょっと派手過ぎる」とかいった、些細な違和感でしかないのですが、こういうタイプの映画って「観客に違和感を抱かせずに、気ままに楽しませてくれる」のが大事だと思うのですね。  その為、観ていて退屈したという訳では無いのですが「面白かった」とも言い難いのが、正直なところ。   もう一つ、大事な部分としては、砂漠を舞台にしているにも拘らず「主人公達が渇きに苦しみ、水を求めるような場面が存在しない」という点も気になります。  水質汚染というテーマを扱っている以上、手近な水をグビグビ飲んでいては不自然という配慮ゆえかも知れませんが、これは如何にも寂しい。   終盤にて遭難しかけた主人公達が、壊れた飛行機をヨットのように改造して移動手段とする場面などは痛快でしたし、良い所も色々と見つけられただけに、何だか勿体無いですね。  細かい部分を、もっと練り込んでくれたら傑作に化けたんじゃないかという、そんな可能性を感じさせる映画でありました。
[DVD(吹替)] 5点(2017-02-21 23:55:24)(良:2票)
14.  13ゴースト(2001) 《ネタバレ》 
 終わってみれば、主人公一家の四人は全員生存しているのだから「安心して観賞出来るファミリー映画」とも言えそうな本作。   ただ、自分としては冒頭から登場する霊能者のデニスに感情移入していた為、彼が死亡する展開だったのが残念でしたね。  その後に幽霊として助言してくれるし、主人公を庇っての自己犠牲である以上「オイシイ役どころ」とも言えそうなのですが、その辺りの流れも少々唐突。  「こうすれば、ずっと嫌いだった自分を好きになれる」との事なので、動機は理解出来るのですが (せっかく魅力的なキャラクターだったのに、こんな風に殺すのは勿体無いなぁ……)  と、感動するよりも惜しむ気持ちが強かったです。  主人公一家には幼い男の子もいるし、年頃の女の子もいるし、彼らと交流を持たせるなり何なりして、自己犠牲の動機に「この家族を好きになったので、守ってあげたい」という要素を濃くしてくれていたら、もっと好みだったかもしれません。   翻って、主人公一家はといえば、良くも悪くも王道、無難な造形ですね。  強烈に心惹かれるものはありませんでしたが、ちゃんと善人揃いなので「生き残って欲しい」と素直に応援出来る感じ。  物語としては子供達に「人質」以外の役どころが殆ど与えられていない事、黒人家政婦が場を和ませるアクセント止まりな事は不満に感じましたが、あくまでも主人公である父親中心のストーリーなのだから、致し方無いところでしょうか。  母親の霊が、残された家族に「愛してる」と告げてから消えるラストに関しても、綺麗に纏まっていて良かったと思います。   「前後」に両断される弁護士の殺され方など、この手の映画に必要な残酷なギミックが、きちんと描かれていた辺りも好感触でしたね。  何というか「残酷さ」のバランスが程好い感じで、うわぁ……とドン引きしてしまう程でもないし、全くドキドキしない訳でもないという、巧みなバランス。  掛けると幽霊が見えるようになる眼鏡など、魅惑的なアイテムが登場して、ワクワクさせてくれる辺りも良かったです。   「後半の展開が好みから外れている」という点を差し引いても、それなりの満足感を得る事が出来た、安定度の高い一品でした。
[DVD(吹替)] 5点(2017-02-14 16:41:08)(良:1票)
15.  最後の忠臣蔵 《ネタバレ》 
「忠臣蔵の話というよりは、父娘の絆を描いた話だったのか」 「父娘の絆を描いた話じゃなくて、曽根崎心中のような悲恋譚だったのか」  と二度に亘って驚かされた本作品。   期待していた内容とは違っていた、という失望もあってか、どうしても満足感が得られず終いだったのですが……  それを差し引いても、細かい部分が気になってしまう映画でしたね。  例えば中盤のシーンにて「昭和三十三年」なんて書かれている墓石が、思いっきり画面に映っていて、それも主人公の立ち位置より前に鎮座していたりするものだから、これはもう完全に興醒め。  この映画の作り手全員がそこに気付かなかったとも思えないし、ちゃんと慎重に撮れば回避出来る類のミスでしょうから、何というか「作り手に誠意が欠けているのではないか」なんて疑念が生じてしまい、映画そのものに対して不信感を抱く形となってしまったのです。   普通の忠臣蔵映画であればクライマックスとなる「吉良邸討ち入り」の場面を序盤に持ってくる構成は良かったのですが、結局あそこが一番面白かったのでは……と思えてしまう辺りも残念。  その代わりに用意されている山場が「可音の嫁入り」というのは、如何にも寂しかったです。   「死んだら、あきまへん」と言われたのに切腹するラストに関しても、忠義だの美学だのよりも主人公の身勝手さを感じてしまったのだから、自分とは相性の悪い映画だったのでしょうね。  主演である役所広司の貫録、ただ画面に映っているだけで漂ってくるような哀愁は、流石と思わせるものがあっただけに、共感出来なかった事が勿体無く感じられた一品でした。
[DVD(邦画)] 4点(2017-01-17 22:19:57)
16.  サイド・エフェクト 《ネタバレ》 
 「女は小さい頃から演技を学ぶの」「多分、男が嘘を学ぶのと同じ頃に」という台詞が心に残ります。  映画が終わった後も、女は精神病院から解放される為に演技し続けなければいけないし、対する男が勝利出来たのは、嘘を吐いた御蔭。  医療問題、薬物依存をテーマに扱った社会派映画かと思いきや、騙し騙されのサスペンス映画であったという、この作品を象徴するような台詞でしたね。   序盤は重苦しい雰囲気で、これは苦手なタイプの映画かと警戒していたのですが、中盤から俄然面白くなり、以降は画面に釘付け。  エミリーが夫を刺殺したシーンの衝撃は凄かったですし、彼女が真実を告白する件も良かったと思います。  これは少々アンフェアで、人によっては不愉快に感じてしまう部分かも知れませんが、最初から視点を主人公のジョナサンに定めず、さながらエミリーの方が主人公であるかのように描いていたのが、巧妙な目眩ましとなっていましたね。  これによって、観客は彼女に自然と感情移入する形となり、騙されやすくなってしまう効果があったと思います。  自分としては、序盤の彼女の描き方が俯瞰に徹していたというか、内面描写にまでは踏み込んでいなかった点を考慮して、ギリギリセーフかと判定する次第。   そんな具合に「気持ち良く騙された!」「これは傑作だ」と大いに褒め称えたくなる一品なのですが、終盤の展開には不満もあり、残念でしたね。  幾ら何でも黒幕の女性がペラペラと喋り過ぎというか「証券詐欺に、殺人の共謀容疑」なんて丁寧に罪状まで言わせちゃって、それを逮捕の決め手にしちゃうだなんて、本当にガッカリ。  自白させる展開自体が間違っているとは思いませんが、もう少し時間を掛けるか(安易だなぁ……)と思わせない工夫が欲しかったところです。  せめて警官に「殺人の共謀容疑と証券詐欺で起訴します」と復唱させるのを止めるだけでも、少しは印象が違っていたのではないでしょうか。   結局、エミリーも精神病院に収監されて元の状態に戻っただけなので(何らかの手段でそこから脱出してしまうかも?)(主人公が復讐されてしまうかも?)と思うと、今一つ落ち着かなくて、ハッピーエンド色が薄いように感じられた辺りも残念。  失いかけた家族を取り戻す主人公の姿についても、詳しい過程が語られず「無事に元に戻りましたよ」と結果だけが示される形だったので、どうにもカタルシスを得られず仕舞いでした。   ソダーバーグ監督らしく、展開がスピーディーなのは長所でしょうし、種明かしを済ませた後は、スパッと短く終わらせるのも正解だとは思います。  それでも、もっと丁寧に描いて欲しかったなぁ……と、ついつい感じてしまった映画でありました。
[DVD(吹替)] 6点(2016-12-15 07:35:04)(良:1票)
17.  サタンクロース 《ネタバレ》 
 クリスマスにサンタが人を殺しまくる映画といえば「悪魔のサンタクロース 惨殺の斧」などの前例があります。  けれど、あちらが「サンタの扮装をした殺人鬼」という扱いだったのに対し、こちらは本物のサンタという設定なのだから、よりインモラルですね。   煙突から家屋に侵入し、室内にいた人々を殺しまくる冒頭のシーンから、もう「掴みはOK」といった感じ。  こうして文字に起こしてみると、如何にも残酷な映画であるように思えますが、実際はといえば、軽快なBGMに乗せてスピーディーに、しかも様々な小道具を用いて楽しそうにサンタが殺していくものだから、どう見てもギャグにしかなっていないというバランスでしたね。  サンタクロースの恰好をスタイリッシュにアレンジして、さながらダークヒーローめいた趣きさえ漂わせている辺りも、実に効果的だったと思います。   ただ、それだけに終盤では上着を脱ぎ捨てて「サンタクロースの恰好」から外れてしまっているのが残念。  結末も「主人公達はサンタを倒す事が出来ず、北極に追い払うのが精一杯だった」という形であり、ちょっとスッキリしないものがあります。  まだまだ精神的に未熟な若者である主人公が、可愛らしいヒロインと共に「また現れるだろうけど、次も追い払ってみせる」と決意してみせた空気だったのは、成長を感じさせてくれるけれど、一応サンタを倒して決着をつけて「もし甦ってきたとしても、再び倒してみせる」という形にしても良かったじゃないか、と思えましたね。  続編を意識したのか、あるいはラストの空港でのやり取りを描きたかったのか、作り手の真意は不明ですが、もっと綺麗に完結させて欲しかったところです。   空飛ぶトナカイからプレゼント爆弾を投下するサンタの姿は、それだけでも「観て良かった」と思えるものがあるし「図書館では静かに」などのギャグも面白い。  ミニオーブン、胡桃割り人形などのアイテムの使い方も上手かったですね。  主人公とヒロインのコンビも「良い奴ら」であり、ともすればサンタ側に感情移入しそうになるのを引き止めて、素直に彼らを応援させてくれるのに成功していたかと思います。  ラストにて二人が結ばれる事も併せ、デートムービーとしての魅力を備えている辺りも素敵。   何もかも理想通りとはいかないけれど、全体的には楽しめた時間の方が、ずっと長かったという、それこそ現実のクリスマスのような映画でありました。
[DVD(吹替)] 6点(2016-12-13 20:00:18)(良:1票)
18.  3人のエンジェル 《ネタバレ》 
「男が遊びで女装するのは女装趣味」 「女性への変身願望が高じてチン切り手術をするのが性転換者」 「ファッションにこだわってハデに着飾るゲイがドラッグ・クイーン」 「人生を楽しめない女装坊やは、ドレスを着ただけのガキよ」  という作中の台詞が、とても興味深い。  第三者からすると、ついつい「ゲイ」と一括りにしてしまいそうな中にも、様々なタイプがいて、それぞれ拘りを持って生きている事が窺えましたね。   本作はキャスティングだけでも「この人達が女装するなんて、それだけで面白いに決まってるじゃん!」と予見させるものがあり、この辺りは元ネタであろう「プリシラ」よりも上手かったように思えます。  作中にて、ウェズリー・スナイプス演じるノグジーマを、か弱い女性と思って絡んでくる男共には(なんて命知らずなんだ……)と逆に心配になってしまうし、案の定あっさり撃退されちゃう姿には(当たり前だろ!)とツッコミつつも、笑いを抑え切れなかったです。  パトリック・スウェイジ演じるヴィーダが勢い良くドアを蹴り開けて、夫婦喧嘩に乱入し、妻を殴る暴力夫を殴り飛ばして家から追い出す展開なんかも、実に痛快。  この辺りは、彼らがアクション映画で活躍する姿を知っているからこその面白さなのでしょうけど、初見の人でも「えっ、こんなに強かったんだ!」という衝撃を味わえて、楽しめるのではないかなと思えます。   ちょっと気になったのが「メル・ギブソンのお尻はキュートだわ」という台詞。  「ハート・オブ・ウーマン」(2000年)でも彼は「可愛いお尻ちゃん」と評されていたのですが、あれはこの作品を踏まえてのネタだったのか、それとも米国ではメル・ギブソンのお尻がキュートというのは共通認識なのか? と、そんな疑問が浮かんできて、若干集中が乱れてしまいましたね。   また、作中のドラッグ・クィーンが三人とも「喉ボトケ」が無ければ女性と見紛うような美貌という扱いなのも、戸惑うものがありました。  女装コンテストで地区優勝しているのだから、作中世界の認識では美女と分かっていても(どう見ても男じゃん……)とノリ切れない感じ。  今となっては(それも一種のギャグなんだ)と納得出来ますが、初見では違和感の方が大きかったです。   キャットウーマンやワンダーウーマンといった、有名なアメコミヒロインの名前が出てくるのはテンションが上がりましたし、終盤にて描かれるボビー・レイとボビー・リーの恋模様なんかも、実に微笑ましくて良かったですね。   心を通わせ合った女性と別れる事になったヴィーダが「愛してるわ」と言われて「私もよ」と返すのではなく「あなたに愛されて、本当に幸せだわ」と応えるのも、何だか凄く切ない。  もしも、ヴィーダが同性愛者ではなく異性愛者に生まれていたら、二人は「親友」ではなく「恋人」という関係になれたのではないかなと、ついつい考えてしまいました。   仲間から「自分の性を隠すために女装してる」と指摘され、ショックを受けていたヴィーダ。  そんな彼女が、男でも女でもない「天使」だと言われ、嬉しそうな笑顔になる姿には、本当に爽やかな気分を味わえましたね。  ラストにて、ハリウッドの女装コンテストに優勝してジュリー・ニューマーに祝福されるのも、ヴィーダの方が良かったんじゃないかと思えたのですが、この辺りは「第三の天使」とも言うべきチチの成長を示す為、仕方ないところなのでしょうか。   涙を流すような感動とも一味違う、笑顔になれるタイプの感動を味わえる。  そんな、魅惑的な映画でありました。
[DVD(字幕)] 7点(2016-10-04 05:43:42)(良:1票)
19.  秋刀魚の味(1962) 《ネタバレ》 
 小津監督作品というと、どうも肌に合わない印象が強かったりしたのですが、これは良かったですね。   序盤の部分に関しては、正直退屈。  でも、主人公の親父さんだけでなく、長男夫婦の日常も並行して描かれる辺りから、段々と面白くなってくる。  「ゴルフクラブを買いたいのに、妻が許してくれない」という悩みを抱える会社員が、購入を認めてもらった時の嬉しそうな様子なんて、実に微笑ましかったです。   また、途中で戦争批判と思しき箇所もあったりするのですが、そのやり取りも重苦しくはならず「負けて良かった」「馬鹿な野郎が威張らなくなった」なんて具合に、酒の席で上司に対する愚痴を零す時みたいな、軽いノリで描いてみせた辺りも好印象。   「娘の結婚問題」で、初老の主人公がアレコレと苦労しつつも何とか縁談を纏めようとする後半部分も面白かったのですが、惜しむらくは、終盤の「娘が嫁入りしてしまった後の寂寥感」を描くパートが、ちょっと長過ぎたように思えた事でしょうか。  あそこは「育てがいの、ないもんだ」「結局、人生は一人ぼっち」という台詞の後に、スパッと短く終わらせておいた方が、余韻が残って良かったんじゃないかな、と。   ただ、そこで「主人公の死」を連想させる演出が挟まれるのですが、安易に「酒に酔って交通事故に遭う」などの展開にはせず、まだまだ人生が続く事を示して終わってくれたのは、嬉しかったですね。  娘の嫁入りという、めでたくも寂しい出来事の後に「身体、大事にしてくれよな」「まだ死んじゃ困るぜ」と言ってくれる息子の存在には、救われる思いがしました。   タイトルの意味についても、作中で明確に言及されていない為、色々と推測する楽しみがありますね。  単純に晩年の三作を「秋」というワードで繋げてみせただけという可能性もありますが、それはちょっと作品単体への思い入れが感じられず、寂しい。  やはり「人生の味は秋刀魚に似たり」という意味ではないか、と思えるのですが、真相や如何に。   これが監督の遺作となった事も併せて、非常に味わい深い映画でありました。
[DVD(邦画)] 6点(2016-08-09 19:09:48)
20.  ザ・インタープリター 《ネタバレ》 
 ニコール・キッドマンという人は、本当に美しい女優さんだなと、しみじみ実感。   主人公二人が共に悲劇的な過去を背負っている為、互いに慰め合っている内に恋愛感情が芽生えていく流れかな……と予想していたら、それを裏切ってくれたのが気持ち良かったですね。   冒頭のサッカー場での、少年達による銃殺シーンも衝撃的でしたし、中盤に起きるバス爆破シーンの迫力も見事。  実は一連の暗殺事件は、大統領側による狂言だったというオチも面白いと思います。   ただ、そういった要素の一つ一つは魅力的だと思うのですが、映画全体として考えた場合、少し贅沢過ぎたようにも感じました。  それというのも、立て続けにスケールの大きい事件が起こってしまうものだから、何やら置いてけぼり感覚があったのです。  なまじリアルな作風で、主人公達の能力も等身大であるがゆえに 「こんな事件、本当に彼女達で解決出来るの?」  という疑問符が浮かんでしまい、どうも画面に集中する事が出来ませんでした。  ニコール演じるシルヴィアが、大統領に銃を向けるクライマックスに関しても 「ここまで感情移入させて描いてきた主人公に、要人殺害の罪を背負わせたりはするまい」  と、何処か冷めた目で見つめてしまう事になったのが、非常に残念。   ラストにて読み上げられる死亡者リスト。  そして「誰も待っていない、思い出だけが残る故郷」に帰ると告げるシルヴィアの姿は、とても印象的で良かったですね。  自分にとっては、少し歯車が噛み合いませんでしたが、丁寧に作られた真面目な映画だと思います。
[DVD(吹替)] 5点(2016-05-26 19:17:40)
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