| 作品情報
レビュー情報
リアルで独特で抜群の間を持つ山下敦弘監督の映画ではあったが、この作品のソレはどこか違和感を感じる。壊滅的な違和感ではなく、これまでの山下監督の作品と比べての違和感。きっと女子高生たちが作り出す間に対する個人的な思い込みに寄るところが大きいのだろうと思うのですが、もしかしたらメジャーな映画たる題材と、けしてメジャーにはならない山下ワールドとの同居がもたらす違和感なのかもしれません。仲間内だけで映画を作る素人っぽさが画面から溢れるところもこの人の好きなところなんですが、新しいスタッフを抱えた今作でも、学園祭をあまりにもいいかげんにビデオ撮りする学生の描写に、いいかげんな中にも新鮮さと楽しさがある山下監督の映画作りの原点を見た気がします。だいたい作中でもバンドのメンバー選びからしていいかげんこのうえない(笑)。物語の構成もいい。青春って大人になってから省みると劇的なこともあっただろうけど、真っ最中にはひとつの出来事として通りすぎてゆくにすぎない。この作品ではバンドメンバーのいざこざはあっても感動的な仲直りは無い。芝ロックを成功させてもそれぞれの成長は見えない。プロ顔負けに演奏が上達しているわけでもない。ここぞという場面での告白も無かった。ただ時間だけが過ぎてゆく。でもとても貴重な、そして忘れ得ぬ時間が。それがいいんです。成長って目に見えるとうそ臭くなりますから。感動って演出されるとうそ臭くなりますから。
【R&A】さん [映画館(字幕)] 7点(2005-09-22 13:00:18)(良:2票)
R&A さんの 最近のクチコミ・感想
|