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外の光を入れた奥の部屋には不動産屋さんと不動産屋さんの説明を聞く女。手前の真っ暗な部屋には説明を全く聞こうとしない男。冒頭のこの一場面だけで「企み」を匂わせているのも凄いんだけど、なにより明るい部屋と暗い部屋を同じ画面に映そうとするその発想に唸らされる。その後も映画の大半を占めるその住居内映像は奥に映される隣室や窓の外の景色によってスリルを獲得し、様々な角度から様々な部屋が映されることで混乱を生みながら、一つの「世界」を構築してゆく。その世界で生まれる幻想はやがて外の世界から切り離され、その世界の現実となる。その世界とはまさに「映画」であり、ラスト、我々は映画が現実を凌駕する瞬間を目にすることになる。それは実に幸福な映画体験であった。劇中で女が「想像で人は救えない」と言う。対して男が「想像は現実的だよ」と。想像はいつでも現実になりうるのだ。
【R&A】さん [DVD(字幕)] 8点(2010-10-22 14:22:04)
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