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娯楽映画にある軽薄さを隠すことなく、むしろその軽薄さこそが映画に必要なものとでも考えているかのようなヴァーホーヴェンの映画観が吉と出た。隠され装飾され歪められた史実から真実を暴くという大真面目な題材であるにもかかわらず、この手の題材に不可欠だと思っていた「深さ」が無い。隠れ家が爆撃された際の異常な早さの警察および消防車両の到着に代表される物語優先のご都合主義が全編で貫かれる。下手すりゃしらけてしまいかねない。それでもしらけないのはご都合主義の目的がはっきりしているから。重要なのは「戦争」ではなく戦争下で繰り広げられる恋愛サスペンスである。ナチスとレジスタンスの攻防ではなくその攻防に巻き込まれた女の性と情の攻防である。ハリウッド時代とさしてやってることは変わらない。ただ商業至上主義ゆえに見せてきた刺激物に対し、この作品はひたすら物語の面白さを見せようとする。この映画は単純である。6点くらいかなと思いつつ、その単純さの魅力に7点。
【R&A】さん [映画館(字幕)] 7点(2007-07-27 13:46:23)(良:1票)
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