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《ネタバレ》 「前篇」で見せた松の廊下シーンと切腹へと向かうシーンを合わせた様な、横へ上へと自在に移動するカメラワークに圧倒されるという最適なオープニングがまず目に飛び込んでくる。衣装から建築物まで本物に拘ったリアリズムはそのままに、史実に忠実であっただろう「前篇」に対し、この「後篇」では大きく3つのエピソードを差し込むことでドラマチックさを出している。はやる義士の一人を将軍自ら涙ながらに嗜めるというちょいと説明調な人情劇、亡き浅野の妻、瑶泉院にけして本心を告げない大石の細心さを見て取れるエピソード、そして義士の一人の許婚との死を目前とした恋愛劇の3つ。「忠臣蔵」という溝口には不似合いな題材において、この3つのエピソードが溝口らしさを出したとは思わないが、誰もが知る「忠臣蔵」を新鮮な気持ちで楽しむには面白いエピソードだと思いました。公の場の会話が多かった「前篇」に比べ「後篇」は感情のこもった会話が多く、物語に入り込みやすくて好きです。
【R&A】さん [映画館(邦画)] 7点(2007-04-19 12:04:49)
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