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すごく面白かった。園子温バンザイ。『自殺サークル』の自殺が自殺をする役を演じたに過ぎないという驚愕の事実となぜそうするのかという哲学に圧倒されたのだが、この作品の面白さはその哲学にはなく、その哲学を謳う者と信仰する者、あるいはそのまわりの者の人生を事細かに見せてゆき、尚且つその莫大な量の物語を退屈させずに見せるところにある。紀子の物語に属する妹、妹の物語に属する紀子、クミコの物語に属する姉妹、、、と、とめどない物語が2時間半に凝縮される。ナレーションが実に効果的に物語を進行させると共に絶妙な効果音ともなっている。とくに妹=吉高由里子の声がいい。さらにその「心の声」と行動のギャップが、現実世界とネットの世界、あるいは家族とレンタル家族、はたまた写真に映る不満顔と母の絵に改変される笑顔という作品内に存在する二対という構図との相乗効果で重要度を上げている。この二つの世界の戦いともいえる本物と偽物がごちゃまぜの家族の団欒が壮絶!!結末も素晴らしいと思った。登場人物のそれぞれのドラマの展開のさせ方やナレーションの挿入は以後、園子温の印となる。いや、ナレーションは初期作品でもあったが。これって元が詩人ゆえの大胆さだろうか。映画にとってナレーション多用はけして褒められるものじゃないだろうに園子温映画の場合はなくてはならないアイテムとなっている。
【R&A】さん [DVD(字幕)] 7点(2009-06-16 14:07:01)
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