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レビュー情報
《ネタバレ》 9・11(アメリカ同時多発テロ事件)の衝撃映像は誰もがまるで映画のようだと思い、同時に映画はしょせん作り物であることを思い知った。この作品は9・11のような「映画のような本物」を再現しようとする。ビルが倒壊し、その数秒後にあらゆる光をも飲みこむ粉塵が襲ってくる描写はまぎれもなく9・11を偶然にも収めた映像そのものであった。回し続けるカメラが全体像を掴めずに右往左往する中で偶発を装って予期せぬ映像が飛び込んでくる。恐怖と緊張の途切れることのないライブ感は凄まじいものがある。そして「映画のような本物」を目指す映画は、限られた空間しか映さないカメラが徐々に全容を映し出すようにカメラと同行する人間にドラマを与え、空にも飛ばせ、死まで与える。けっきょくのところ嘘の世界でしかない映画と折り合いをつけなければならないのだが、その折り合いのつけ方がうまい。ただし疲労感も相当のものであった。疑似体験アトラクションとしての(満足の後の)疲労感と考えても、残念ながら満足感を大幅に超えている。けして揺れる画面に酔ったというわけではないのだが、それでも全編ハンディカメラの画面というのは知らず知らずのうちに私に相当の打撃を与えていたのだろう。あと、この作品の場合、男女のドラマなんて些細なものでしかないのだろうが、その些細なものでしかないって感じの描き方になってる。
【R&A】さん [映画館(字幕)] 5点(2008-04-21 18:50:16)(良:1票)
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