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《ネタバレ》 手持ちカメラで追いかけるだけじゃここまでの不安感は出せない。この映画は音が凄い。物をテーブルに置く音や足音や息遣いが気分が悪くなるくらい響いてくる。音が襲ってくる。不安感と書いたが、それだけじゃなくて、焦りや憤り、怒り、孤独感も。主人公はルームメイトにも恋人にも、違法である堕胎手術をするかわりに見返りを強要する男にも、そして自分自身にも憤りを感じている。延いては社会全体に憤りを感じている。その社会は孤独な者をさらに孤独にせしめ、弱者をさらに追い詰める。堕胎手術を頼んだ女と頼まれた男は、男の計画通りに進まなくても、2対1という数的有利となっても、お金が支払われても、堕胎が行われてもけして変わることはない。社会の構図として男よりも女が弱い立場にあることは、恋人の家での会話からもうかがい知れる。しかし生きていかねばならない。不満を漏らしたところで何も変わらないことを女たちは知っている。女二人が食事を摂る。それは何も出来ない女の弱さの象徴でもあり、それでも生きてゆく女の強さの象徴でもあるのだと思った。
【R&A】さん [映画館(字幕)] 7点(2008-07-30 14:07:03)
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