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《ネタバレ》 『アマデウス』のゴヤ・バージョンを想像してたら全然違った。ゴヤはいなくてもいいくらいの役回り。単にゴヤの生きていた時代のお話ってだけ。でもゴヤの描いた絵がこの時代を切り取っているからこそ生まれた作品なのだろう。宮廷画家だからこそ異端審問を免れたといえるような、人を悪魔に見立てたような風刺版画はまさに「宮廷画家ゴヤは見た」である。今の視点で見るからこの世界のイビツさが際立つのではなく、その時代を生きるゴヤの目にもはっきりとそのイビツさが映されていたというところにそのイビツさに真実味が加わる。教会は神の名の下に天使を裸に剥き腕がちぎれんばかりの拷問を行う。ゴヤは見た。美しい顔が歪む様を。正義はその都度変貌することを。人間があまりに弱く愚かなことを。見応えがあった。ゴヤのモデルとなった二人の男女が時代に大きく翻弄される展開はちょっとわかりやす過ぎる気もするしドラマチックに過ぎる気もするが、まあ娯楽映画としてこの異常な世界を見せるにはこれくらいのドラマを見せないといけないのかもしれない。
【R&A】さん [映画館(字幕)] 6点(2009-04-07 16:44:03)(良:1票)
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