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理不尽な暴力を描いた『Helpless/ヘルプレス』に対し、理不尽な暴力がもたらすものが描かれたのが『EUREKA ユリイカ』。九州の田舎町で唐突にして理不尽極まりないバスジャック事件に遭遇した3人は、その後過酷な運命を強いられる。心に深い傷を負った3人に追い討ちをかけるように興味本位で見るまわりの人間たち、そしてどう接していいのか解らない家族たち。本人たちにしか解らない心の葛藤を長すぎるくらいの間をとって丁寧に描き出そうとする。喪失した何かを見つけるために旅に出るというわかりやすい展開へ進み、セピア色がラストでカラーになるというこれまたわかりやすいオチは、シリアスなテーマよりも映画としての構成や時間の表現に拘ったからでしょうか。PTSDや少年犯罪というディープな社会色を前面に出しながらも、やっぱりこの映画の最大の魅力は、こういった「見せ方」にあるような気がします。ラストでカメラは上昇し、主人公たちを支点にぐるぐると廻り出します。『Helpless/ヘルプレス』のオープニングであてもなく空から下の世界を映しながらさまよっていたカメラがようやく何かを発見したかのように感動的に廻ります。
【R&A】さん [DVD(字幕)] 7点(2005-09-15 14:22:49)(良:1票)
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