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レビュー情報
乱歩の作品は大きく2種類に分けられる。元々自身が書きたかった本格推理小説と、なぜだか世間に高評価で受け入れられた変格推理小説に。「陰獣」は性的倒錯や猟奇的犯罪という「変格」的なものを取り入れた本格推理小説である。つまりトリックとトリックが解かれる過程に面白さが詰まっているということ。それがどういうことかというと、映画化に不向きな作品ってこと。それでもこれは面白い。両者共がおそらくは乱歩の分身であろう本格推理小説家と変格推理小説家の対決という構図そのものの面白さをうまく見せている。「変格」的世界観にありがちな薄っぺらさ、安っぽさといったものも、ローアングルと、被写体の手前にモノを置く加藤泰印によって深みを得ている。ムリにインビなる雰囲気を作ろうとしてないのがいい。本格推理小説家をいかにも優等生顔のあおい輝彦としたのは適格だったと思うが、もう少しハードボイルド系にしてみても面白かったかも。
【R&A】さん [ビデオ(邦画)] 6点(2009-07-29 14:17:32)
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