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脚本にあるセリフをどういう口調でしゃべるのが適当か、またその役の人間はどんな感情を持つべきか、そしてその感情をどこまで表に出すべきか、、そんな役者の質問にカサヴェテスはこう答える。「あなたに任せる」と。役者を信頼しているのです。裏を返せば信頼できる役者でないと使えない。この作品で主人公の舞台女優が女優としての葛藤と戦う様が描かれる一方で、葛藤に負けたかもしれない女優に全てを託す演出家が描かれます。心中覚悟で初演に望みアドリブ演技に一度は見切りをつけて劇場を出ますが「女優への信頼」に腹をくくり戻ります。そして映し出される女優と相手役の男優の自由で自然で生々しくて活き活きとした演技合戦。信頼を得た俳優たちは単なる俳優の枠に納まらずアーチストへと昇華する。監督(演出家)はアーチスト(芸術家)と呼ばれることがある。しかしカサヴェテスにとっては俳優もまたアーチストであるべき存在なのです。そしてカサヴェテスの映画の俳優たちはまぎれもないアーチストたちである。
【R&A】さん 8点(2005-03-17 12:27:36)
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