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未解決の連続暴行殺人事件がことごとく韓国の歴史の闇とリンクする。ことごとくである。そして物語構成に一切の無駄が無く全てが全てにからんでゆく。北朝鮮の侵攻に対する灯火規制と共に起こる事件。当たり前のように行われる警察の拷問と軍事政権下の国家権力に対する国民の怒り。怒りは容疑者から証人へと変わった男を警察から遠ざけ、またある時はデモ行進によって機動隊の出動を邪魔する。どちらが犯人か判別できないある事件の容疑者と被害者の兄の写真。あるいは都会刑事を犯人と間違うエピソード。刑事の自信と確信をことごとく失墜させてゆく展開はまさに何を信用すればいいのかわからない時代を写し取っている。強引なやり口を批判する都会刑事もまた闇に翻弄され自らを失ってゆく。そしてトンネルの闇に同化するように消えてゆく容疑者は時代の闇そのものだったのか。排水溝を覗くことの繰り返しは十数年という月日の流れの中で闇の時代が過ぎ去ったことを提示する。このあまりの完璧さに感心しながらも完璧であることに少々の不満も感じる。そしてこの完璧な構成を分りやすくする大袈裟で過剰な語り口がどうも苦手だ。まあでもボン・ジュノは社会派をエンターテインメントに紛れ込ませて見せるのがうまい。
【R&A】さん [DVD(字幕)] 6点(2009-04-20 16:55:31)(良:1票)
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