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最早20年。最近,特典映像付きのDVDを改めて見て,この作品の素晴らしさ,俳優の演技の素晴らしさは尽きないのだと思う。
日本人にとっては微妙にトンチンカンな描写も散見されながら何故,この作品が魅力的に見えるのかと考えてみた。リドリー・スコットならではの映画的誇張によって、我々日本人にも、「日本」の違った角度での魅力と「日本」とは違う異国の風情を醸し出しているということも考えられるし、監督のオーディオコメンタリーを聞いてみると、当時どれほど、スタッフが「日本」を理解しようとしていたのかが感じられる。 日本人の自分がこの作品を魅力に感じるのは,健さん,優作の魅力も言うまでもないが,当時の製作者がいかに日本人を理解しようという気持ちと努力があったからであると20年経った今は思う。 そういう気持ちというのは国境を越えて伝わるものであるし、日本人が不快に感じる作品は、やはり製作者が人種的な偏見を持って作っているのだろうと思う。 作品のテーマが「異国同士の理解」であるからなおさら、製作過程の現場の度重なる危機があっても、そのテーマを反映して乗り越えて完成したと、今は想像できる。 かつて黒澤監督が「トラ!トラ!トラ!」で「異国同士のすれ違いによる悲劇」を描こうとして、同じように異国同士の現場のすれ違いで失敗したのと対照的な感じがする。 そして映画の中で優作を殺さなかったのが、この映画をB級に貶めずに傑作にしている正しい判断であったと思う。 最後の決闘の直後に警察署のドアをバーンと開ける瞬間。これが「映画的瞬間」であり、「ブラックレイン」を傑作足らしめている監督とプロデューサーの判断,編集のうまさだと思う。 当時の松田優作がいかにこのこの作品に賭けていたかはもちろんだが、この編集の判断があったから「ブラックレイン」は傑作となったと今は強烈に思う。 【どっぐす】さん [DVD(字幕)] 9点(2003-09-04 03:38:47)
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