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《ネタバレ》 1984年「ゴジラ」公開当時にこういう「絵」が見たかった、どうしたらもっと本物に見えるのだろうか、と寝ても覚めても考えていた当時中学生の自分にとっては、庵野・樋口両監督が長い年月をかけて経験を積み、その願いを実践してくれたことにまずは感謝したい。
「シン」の意味は様々あろうが、これが真のゴジラかと言えば、良くも悪くも多くのゴジラの一つのバリエーションであろうと思う。 初代を超えるかどうかという問題は、初代が厳然と存在している以上そのインパクトは誰が作っても超えようがない。 しかし間違いなく3.11を逃げないで踏まえた現代の「ゴジラ」であろうと思う。 自分は最近の表現の過剰な自粛を悲しく思いますし、その中でこういうフィクション性が高いジャンルの映画を傘にして、多くの人が語りにくいことを表現していることがこの作品の最大の収穫だと思います。 非常事態に際して、誰が悪いのか、誰が責任を取るのかという短絡的な指摘ではなく、この国の構造的な問題を客観的に極めてわかりやすく指摘していると思います。(情報が多すぎてわかりにくいという点が逆に役所の本質をわかりやすく表現している) 例えば危機に際して首相が「都民を置いて避難はできない」と啖呵を切るが、その直後の側近の提言でいとも簡単に「わかった」と納得するシーンも実に含みを感じる。こういうやりとりがあったというアリバイがあって避難できるという政治家の腹も読めるのだ。これも避難するための役所の手順にすぎないと自分は感じた。(だからほとんどの政治家に感情移入できないような見せ方になっている) 自衛隊の攻撃はまさに膨大な「手順」の連続である。射撃の意思決定までの手順をこれほど正確に描いた邦画は初であろう。 重大な行動のためには膨大なハードルが用意されているという役所の本質がわかりやすく、非常に勉強になった。 若い人たちには風刺という概念すらないかもしれませんが、こういう切り口で風刺のきいた社会派映画を作る余地はあるのだと感心しました。 ヒロインのカヨコの役作りも自分はOKと思います。上手い下手という以前に、仕事で男性と対等に渡り合える女性はもっと邦画で描かれるべきだと思います。 ゴジラ映画としては多くの方と同じように細かいツッコミはいくらでもしたくなりますが、今回は明らかに怪獣映画という範疇には収まらない内容で、映画のセリフと同じように「日本のクリエーターはまだまだやれる」ことを少し誇りに思います。 【どっぐす】さん [映画館(邦画)] 9点(2016-08-02 02:15:10)(良:4票)
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