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《ネタバレ》 音楽での成功を夢見た青年が、例によって例のごとく大人の事情に道を阻まれ、例によって例のごとく破滅の道を歩んでいく。終盤は警官隊だか軍隊だかとの銃撃戦が展開されたりもするけれど、「隊」と呼べるほどの人数でもなく、えらくスケールが小さい。
そんな映画のどこが面白いんだよ、と言われると、確かに通常であれば、これと言って語られることもないまま埋もれていく無数の低予算映画の一本に終わっていたかも知れません。もし主人公が志したのが、「音楽」で無ければ。これがジャマイカの映画で無ければ。その「音楽」が、レゲエで無ければ。 とか言っても、私、レゲエという音楽については何も知らないもんで、映画を見て「ああ、なるほどこんな感じか」と思い、正直、映画を見終われば特に聴こうとも思わない(失礼!)んですけど、見てる間は、なんだか、その気になってくる。その気にさせられる。それだけのパワーは、備わった作品になっています。 映画自体はかなり、粗削り。やっぱりカメラを手にして、さあ映画を作るぞ、となったら、撮ったり切ったり繋いだり、いろいろとイジリたくなるのが人間のサガなのでしょうか。こういう粗削りな映画の作りは、エネルギッシュな魅力がある反面、雑然とした感じもします。この映画の場合は、南国ジャマイカが舞台ということで、その雑然とした感じが、映画の雰囲気にマッチしていたりもして。主人公がやってくる首都キングストンは、都会と言っても「近代化されている」というより、とにかく人が多く、雑然とした街。多くの人たちの生き様が渦巻く街。主人公は到着早々、生き馬の目を抜く都市生活のキビしさの洗礼を受けたり。 その雑然とした雰囲気の映画を、レゲエ音楽という軸が一本、貫いているのだけど、それだけではなく、教会の場面なんかに見られる「ジャマイカあるある」(なのかどうか知らんけど、たぶん)みたいな描写が、もう一つの重要な軸になっています。興奮しまくった牧師さんの暴走気味の説教に、信者さんたちもノリノリ大興奮。こういうシーンが、長々と取り入れられたりしていて。 終盤、カメラの前で銃を手にポーズをとる主人公の姿が、やたらとサマになってる。 作品の中で描かれる世界には、社会の矛盾や皮肉も織り込まれるとは言え、それを声高に批判するのではなく、その世界の中を太く短くカッコよく生きようぜ、ってなノリで、どこまでも突っ走っていきます。 【鱗歌】さん [インターネット(字幕)] 7点(2024-09-29 09:15:56)
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