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マトリックスの持つ独特な世界観を、日本アニメのクリエイターに依頼し、創られたもう一つのマトリックスの世界。…とは言え、元は「攻殻機動隊」からのオマージュで創られた世界観なので、こちらから観れば“鮭は生まれた川に帰る”…と言う様な感じでしょうか。オムニバスにして、個性的な作品はそれぞれ実に興味深い。やはり、一番良かったのは“ビヨンド”ですね。元からある“虚構と現実”の世界観を“レトリック”と言う名のオブラートに包んだ印象。空間の表現がとても素晴らしく、不思議な感覚に陥ります。乗り物酔いならぬアニメ酔い。インタビューで、森本晃司監督は物事を斜めに見ている…と外国のスタッフが言っていましたが、まさにその通りで、人の見る視点を真っ向から崩して創る独特な世界観がとても心地よい。彼の作品が唯一このマトリックスの世界を拒絶しているような印象があります。…ただ、非常に残念なのは、こうした日本アニメと外国アニメのギャップが、より一層浮き彫りとなってしまった事。いかに日本のアニメが優れているか。これに気付かされた一方で、世界でも認知されている“ジャパニメーション”を大切に扱って来なかった日本文化との対比。故に、ウォシャウスキー兄弟が日本アニメに報謝の念をもって製作した作品だ…なんてTVで聞きましたが、クリエーターに活躍する場所を創りたかった…と言う試みは決して悪くなく、日本のアニメーターが全く育たない…と言った日本の現状では、こうした活動の場所が得られる…と言うだけで貢献度は大きいのでしょうが、日本の技術を得て成長する外国作品に脅威を感じれば、個人的な評価は非常に難しい。個人的には、日本のアニメーターの悲鳴のようなものをこの作品から感じてしまいました。
【_】さん 5点(2004-06-01 18:25:58)
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