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《ネタバレ》 ロメロのゾンビトリロジー等「極限状態でこそ見える人間の本質」というのは別に珍しくは無いし、短編「エレベイテッド」と共通する部分である。が、そこの一歩上をついたのが本作の評価したい所。作中でもセリフがあるように舞台となっているキューブ=システム=社会or世界というメタファーなわけだ。世の中を体力にまかせて強引に乗り切るような人もいれば(警官ね)きちんと物事を理解して困難を克服する人も居る(数学少女)。なにより、社会というシステムに最も反している存在だからこそ一番最初に殺されるのが脱獄犯という犯罪者なのがその象徴だろう。その辺りの隠喩が非常に面白い。最後に生き延びた痴呆の彼は、純粋だから生き残れた、等という事ではなく、そもそも彼にとっては元々不条理な世界に生きているので閉じ込められようが外に出ようが同じ事なのだろう。いやあるいはシステム=世の中の一番外側に居る、という事なのだとも読める。やはりキューブとは、世の中の縮図なのだろう。架空の物語に現実のメタファーを籠めて真理を描くというのはSF等の手段として定番なのだし。アイディア先行であるのは確かだが、それをきちんとテーマとして盛り込んである手腕は凄いと思う。その辺を読めるかどうかによって評価に差が出るかな?絵的には退屈ですし(笑)
【ぽーち”GMN”ありしあ】さん 10点(2003-08-24 01:34:02)
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