男はつらいよ 望郷篇 の 鉄腕麗人 さんのクチコミ・感想

Menu
 > 作品
 > オ行
 > 男はつらいよ 望郷篇
 > 鉄腕麗人さんのレビュー
男はつらいよ 望郷篇 の 鉄腕麗人 さんのクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 男はつらいよ 望郷篇
製作国
上映時間88分
劇場公開日 1970-08-26
ジャンルドラマ,コメディ,シリーズもの,TVの映画化
レビュー情報
2024年も映画初めは“寅さん”でスタート。今年も50年以上前の人情喜劇に心が安らぐ。

「望郷篇」とういタイトルに相応しく、寅次郎の故郷東京柴又をはじめ、この国のかつての風景や風俗描写が何気なく映しとられている。
撮影当時とすれば、それは至極当たり前のロケーションだったのだろうけれど、それから50年あまりの月日が流れた現在では、一つ一つのありふれていたのであろう描写がことさらに印象的だった。
江戸川の河川敷、発展途上の札幌や小樽の街並み、小沢駅前の旅館、北海道の広い大地を縦横する蒸気機関車、浦安の豆腐屋、河口を行き交う船……。無論私自身はその光景を実際に目にしていたわけではないけれど、郷愁を覚えるのはなぜだろう。

前2作では監督から離れていた山田洋次が監督に戻り、作品としての安定感が増しているように感じた。
キャラクター設定やストーリー展開等やっていることはほぼほぼ同じなのに、何とも言語化しづらい絶妙な間合いによる可笑しみや人間ドラマ、それに伴う情感が、山田監督の演出力と、彼に絶対的な信頼を置くキャスト陣の安心感によって増幅されているのだと思えた。
前2作では今ひとつ出番が少なかった妹さくらの登場シーンが多いことも嬉しかった。映画内の季節が真夏なこともあり、さくら役の倍賞千恵子のミニスカート姿も眩しい。

随所で、脚本通りなのか、アドリブなのか、NGスレスレなのか、その境界がアバウトなシーンも見受けられ、それらも含めて「作品」として成立させてしまう“ライブ感”みたいなものが、本シリーズの核心である人間模様の豊潤さを生み出しているのだとも思う。
前述の各地のシーンにおいても、当たり前の光景を当たり前のように映し出しているように見えて、そのロケーションの素晴らしさや、画作り、カメラワークの巧みさが、印象的なシーンとして仕上がっている要因なのだろう。
流石は山田洋次である。この日本映画史に残る巨匠監督が、2024年現在においてもバリバリの“現役”であることの価値と意義を改めて認識すべきだと痛感した。

さて5年に渡って毎年正月に「男はつらいよ」を観ることを恒例にしているが、全50作を観終わるにはあまりにも年数がかかりすぎてしまうことに今更気づいた。
よくよく考えれば、撮影当時の製作ペース自体が当初は2〜3作ペースなので、今年からはこちらも2〜3作ペースで鑑賞していこうと思う。
鉄腕麗人さん [インターネット(邦画)] 8点(2024-01-06 00:04:37)
鉄腕麗人 さんの 最近のクチコミ・感想
投稿日付邦題コメント平均点
2024-04-14映画『からかい上手の高木さん』6レビュー6.00点
名探偵コナン 紺青の拳2レビュー4.45点
2024-04-09デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション[前章]8レビュー7.00点
2024-03-31オッペンハイマー9レビュー6.43点
2024-03-24DUNE デューン/砂の惑星 PART27レビュー6.50点
2024-03-10アルキメデスの大戦8レビュー6.60点
2024-03-02アラジン(2019)7レビュー7.24点
2024-02-24マーベルズ6レビュー4.87点
2024-02-23別れる決心9レビュー8.66点
2024-02-12かがみの孤城6レビュー7.53点
男はつらいよ 望郷篇のレビュー一覧を見る


© 1997 JTNEWS