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「事実は小説よりも奇なり」とはよく言ったもの。
歴史上におけるトピックスと成り得る出来事は、往々にして、「創作」における「遠慮」を容易に飛び越えていく。 もしこの映画のストーリー展開が、完全なる創作だったとしたならば、「なんて安直で都合のいいストーリーだ」と批判は避けられないだろう。でも、事実なのだから、ストーリー展開そのものに対しては、批判のしようがないというものだ。 この映画は、二人のリーダーの話である。 一人は、ラグビー南アフリカ代表チーム“スプリングボクス”のキャプテンであったフランソワ・ピナール。そしてもう一人は、南アフリカ共和国という国そのものを率いたネルソン・マンデラ大統領その人だ。 特に際立っていたのは、モーガン・フリーマンが演じるネルソン・マンデラという「指導者」の、使命感と人生観だった。 27年間に及ぶ獄中生活を経てからの大統領就任。その初日の描写からこの映画は始まる。 当然あるはずの怒りや憎しみを抑えこみ、融和と寛容によって国家の混乱を治めようとする指導者の姿には、南アフリカ共和国にかぎらず、世界中総ての人々が教訓とすべき“在り方”が示されていたと思う。 そして、その偉大な指導者の人間性に触れ、国内において微妙な立ち位置の代表チームの主将として、「勝利」することの価値の大きさに共鳴していくフランソワ・ピナールの振る舞いが印象的だった。 偉大なリーダーの信念によって、人が、チームが、国が変わっていくということの本質を、この映画は伝えるのだと思う。 劇中、マンデラ大統領がこう言う。 「変わるべき時に私自身が変わられないなら、人々に変化を求められません」 必ずしもリーダーという立場にあろうがなかろうが、変わるべきは常に自分自身ということなのだろう。 【鉄腕麗人】さん [ブルーレイ(字幕)] 7点(2016-09-04 18:49:16)(良:1票)
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