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人気アニメシリーズやゲームの“3Dアニメ化”という企画がしばしば実現し公開されるが、「その需要は一体どこにあるのだろう?」と、非常に懐疑的に思う。
多くの場合、慣れ親しんだアニメのビジュアルに対して、3D化されたキャラクターの造形にまず違和感を覚え、それはすぐに嫌悪感や気味悪さにまで発展することが多い。まともに鑑賞していないが、「STAND BY ME ドラえもん」などはその最たる例だろう。 そんなわけで、「クレヨンしんちゃん」の3Dアニメ化である本作も、まったく観るつもりは無かったのだけれど、ある休日の午後、暇を持て余した小4の息子がリビングで観始めたので、仕方なく遠目で鑑賞した。 結果的に、懸念していた3Dアニメに対する違和感や嫌悪感を覚えるには至らなかった。なぜなら、3Dアニメの造形に、オリジナルのアニメのキャラクター造形と比較して、それほど大きな差異が無かったからだろう。 無論、声優陣も同一なので、3Dアニメを観ているという感覚自体が薄かったように思う。 が、それならば、ということである。 それならば、何も3Dアニメにする意味があったのか?ということであり、詰まるところ「誰得?」という印象に着地する。 “超能力”を題材にして、ファンタジックでスペクタクルなストーリー展開は用意されていたけれど、元々「クレヨンしんちゃん」映画といえば、映画ならではのエキサイティングな世界観を展開させることが売りでもあるので、特に今作のみが特筆してエンターテイメント性が高まっているというわけでも無かった。 確かにクライマックスにおける、“特撮的対決”シーンには、3Dによる立体感やダイナミックなカメラアングルが効果を発していたのかもしれない。 でも、その点においても、クレしん映画においては、縦横無尽なアニメーション表現によりエキサイティングなアクションやアドベンチャーを創出し続けているので、特別さを感じるには至らなかった。 むしろ、3Dアニメ化による“労力”が通常よりも嵩んでいるのか、他作よりもストーリーテリングにおいては平坦で類型的だったと感じざるを得なかった。 監督は、Netflixドラマ「地面師たち」の記憶も新しい大根仁。 ラブコメからシリアス、アニメまで守備範囲の広さは、堤幸彦や秋元康のもとでキャリアを積んだこの監督ならではの特性であろう。 ただその一方で、ある種の節操の無さや、各作品における拭い去れない軽薄さみたいなものも、しっかりと受け継いでいるなあと感じる。 【鉄腕麗人】さん [インターネット(邦画)] 4点(2025-02-15 08:15:57)《新規》
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