どん底(1936) の 元みかん さんのクチコミ・感想

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どん底(1936) の 元みかん さんのクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 どん底(1936)
製作国
上映時間95分
劇場公開日 1937-11-23
ジャンルドラマ,モノクロ映画,犯罪もの,ロマンス,戯曲(舞台劇)の映画化
レビュー情報
《ネタバレ》 ジャン・ギャバンは愛嬌があり、それでいてかっこいい。「泥棒の子は泥棒としかみてくれない、だからこうなっちまったんだ」と悪びれもせずに言う彼は、おバカかもしれないけれど、どこかにつきぬけた明るさ、たくましさが感じられました。そんな彼は恋しいナターシャという娘と一緒になれば、泥棒から足を洗うことができると、これまた根拠のない思い込みをしています。意志さえ強ければいつだってやめられるのに、ナターシャが側にいてくれるなら……って条件があるところ、やけにリアルです。ジャン・ギャバンにとって彼女はとても神々しい存在であり、大切にしたいんだろうなぁということが、ヒシヒシと伝わってきます。そしてギャンブルで身を持ち崩した男爵との奇妙な友情。男爵も変わり者だけれど(金に執着しないからギャンブルで負けるんだろう)、ジャン・ギャバンのほうも相当な変わり者。この二人の間には不思議な空気が流れています。この飄々とした浮き世離れしたような雰囲気と、人間の弱いところをリアルに描いている……そんな二面性がすべて、ジャン・ギャバンの魅力へとつながっているのです。ナターシャのほうは、シンデレラもびっくり!ってくらい姉夫婦にこきつかわれているわけですが、彼女の動きがマンガちっく。細くてRの小さな大仏のような眉とあいまって、ちょっと違和感を覚えましたが、基本的に働き者のいい娘さんなので、好きな人といっしょになれて良かった、良かった……といったラストを迎えるわけです。しかし、順風満帆、愛さえあればいいのさ!って雰囲気を出しながらも、その実、お金をほとんともっていない。周りから「それだけでやっていけるのか」と言われるくらいなので、主人公たちの心境に反して、観ているこっちが心配になってしまいます。「めでたし、めでたし」だけで終わらないのがルノワールか。そこのところのリアルさが、ちょいと寂しいのです。
元みかんさん 6点(2004-07-29 23:44:54)(良:1票)
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投稿日付邦題コメント平均点
2007-12-13砂塵8レビュー6.40点
2007-11-28バイオハザードIII8レビュー4.74点
2007-09-02レミーのおいしいレストラン3レビュー6.63点
2007-09-01TAXi47レビュー4.92点
2007-08-29カルメン(1948)5レビュー5.16点
2007-08-24渚にて4レビュー6.25点
2007-08-15少佐と少女7レビュー7.75点
2007-08-11九月になれば5レビュー5.75点
2007-01-27イルマーレ(2006)5レビュー5.92点
2007-01-27鴛鴦歌合戦7レビュー8.13点
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