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《ネタバレ》 田坂具隆監督が山本周五郎の小説を錦之助の主演で映画化した人情時代劇。火事により無一文となり、独力での再興を決意した大工の若棟梁がやがて情に目覚め、焼け出された孤児たちを引き取るという物語。田坂監督の映画を見るのは「乳母車」以来、かなり久しぶりだったのだが、実に人間味あふれるドラマになっていてやや冗長に感じる部分もなくはないがとても感動的ないい映画だった。どことなく山田洋次監督が手がけていてもおかしくないような感じもして以前、山田監督が田坂監督のファンであると聞いたことがあるけど、やはり、受けた影響が大きいのかなとちょっと思う。出演者に関しては個人的には剣豪を描いた「宮本武蔵」シリーズや「瞼の母」、「沓掛時次郎 遊侠一匹」のような股旅映画の印象が強い錦之助にこの若棟梁の役はちょっと最初はイメージ的にどうかなあと思っていたが、独力で家業の再興をすることに躍起になっていた前半から、孤児たちを引き取る決意をする中盤以降の主人公の心の変化をとてもうまく表現していて、こういう殺陣シーンの一切ないような人情ドラマでもさすがにうまさを感じさせており、刀を持った役とは違う一面を見せている。主人公の幼馴染を演じる江利チエミは出演作をあまり見ていなかったのだが、子供たちに見せる母性愛や、健気な中にある儚さといったものを見事に表現していてこちらも素晴らしく、今までどちらかといえばアイドルのようなイメージが強かったが、(ちなみに「三人娘」シリーズはすべて未見。)初めて良い女優だと思った。 8点でもいいと思う映画なのだけど、やはりちょっと長すぎるので7点。
【イニシャルK】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2010-03-20 21:23:38)
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