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《ネタバレ》 たけしの監督としての初の時代劇。勝新の座頭市シリーズのリメイクということになっているが、主人公が盲目の居合の達人という以外はオリジナル脚本となっていて、そのたけし演じる主人公の市も金髪にジーンズといういで立ちからして、勝新の座頭市とはまったく違うのだが、同時にそれはたけし自身が勝新座頭市を意識しつつも別物と割り切っているような感じがして、だからかこちらも別物として割り切って見ることが出来たのは、初めて見た時と違って勝新の座頭市をけっこう見た状態での再見で、そこをいちばん心配していただけに素直に受け入れられたのは良かった。それにこの頃のたけし映画にしては非常にシンプルな娯楽作品になっているし、全体的にもリズム感があって、テンポも良い。冒頭から殺陣もスピーディーで迫力があり、とくに市が賭場でヤクザを次々と倒すシーンは初めて見たときも印象に残ったが、銃が刀に変わってもちゃんとたけし映画らしさのあるバイオレンスシーンとなっていてやはり強烈。祭りでタップダンスを踊るラストシーンが今見ても斬新。(冒頭のタップのリズムで鎌を動かす百姓たちも意味は分からないが、シュールで笑える。)ただ、仇討ち姉弟の回想シーンが少し中だるみを感じさせているのが残念で、ここだけテンポが落ちてしまったような気がするし、今見ると敵方の用心棒の浪人(浅野忠信)にももう少しスポットが当たっていても良かったような気がする。でも、不満と言えばそこくらいかな。勝新のシリーズにも出演経験のある大楠道代が出演しているのは偶然ではなく、それを意識してのことだろうし、勝新のシリーズに対する配慮のようなものも感じられる。最後に市の目が実は見えるのかという主人公のアイデンティーを自ら否定する展開も、やっぱりたけしのこの座頭市は別物というメッセージに受け取れるし、盲目なのかそうでないのかを曖昧にするエンドロール直前のモノローグもあって、結局この按摩は何者だったのかを明かさぬまま終わっているのも良い。そしてたけし映画最大のヒット作でありながら、続編を出さなかったのも好感が持てる。やっぱりこの映画、個人的にはけっこう好きだ。(2024年11月17日更新)
【イニシャルK】さん [DVD(邦画)] 7点(2005-04-01 23:52:46)《更新》
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