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《ネタバレ》 期待どおりの傑作でした。公私混同パワハラ上司という、今の日本なら確実に訴訟問題に発展しそうな人物が登場しますが、全体的に暗くないところがいい。
おそらく、それには理由があります。ストーリーの軽さもさることながら、「辞める自由」が確保されているから。採用もずいぶん軽い感じでしたが、主人公は辞めようと思えばいつでも辞められる状態でした。代わりはいくらでもいるし、もともと望んだ職種でもない。あくまでもキャリアの1つであり、失職してもとりあえず食うに困ることもない。がんばろうが逃げようが自分次第。結局、1年も持たずに退職し、なおかつその〝キャリア〟を活かして転職に成功したわけで。その自由さが、明るさの源泉でしょう。 翻って日本の場合、労働市場には悲壮感が漂います。ひとたび新卒で就職のタイミングを逃せばロクなキャリアを築けない、あるいはひとたび退職すれば二度と正規の出世ルートには戻れない、という思い込みがあります。きわめてギャンブル性が高いわけで、だからパワハラ上司でもセクハラ上司でも耐えるしかない。これはストレスが溜まります。 いっそ「正規」だの「非正規」だのという枠組みを廃止し、採用の門戸を思いっきり広げ、その代わり片っ端からクビを切れる社会にしたほうが、よほど雇用が流動化して個々人の選択肢が増え、悲壮感も消えるのでは?…。などと活き活きと働くアン・ハサウェイを見ながら思った次第です。 【眉山】さん [インターネット(字幕)] 9点(2016-11-26 13:11:24)
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