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テレビの報道番組の舞台裏をテレビが取材するという、その発想が面白い。そういえば見てみたかったと興味をそそられます。
しかし、想像以上に劣化していることがよくわかりました。働き方改革と人材不足と視聴率競争のトリレンマで、こりゃ沈みゆく一方だろうなという感じ。 しかしもっと俯瞰的に見れば、テレビの衰退は構造問題のような気もします。もうテレビ局自体が不要なんじゃないかと。別にニュースはわざわざテレビで見なくても、ネット上でよほど正確・迅速に見られます。あるいは「ジャーナリズム」なら、時間その他の制約が圧倒的に少ない活字メヂィアやネットメディアのほうがよほど有利でしょう。ではテレビの役割は何?という気がします。 だいたい「権力の監視」としきりに強調していましたが、むしろテレビ局のほうが電波利権という権力を無条件に行使している存在です。しかも政治家には一応、選挙というみそぎの装置がありますが、テレビ局にはそれもなし。自分たちが電波帯域を寡占的に制覇している以上、新規参入のおそれもないので、どんな不祥事を起こしても、社会的に不要と見なされても、とりあえず潰れることはない。「さよならテレビ」というショッキングなタイトルをテレビ局の人間がつけること自体、「さよならなんてあり得ない」という余裕の裏返しなんじゃないかと勘繰りたくなります。 本来は国家の貴重な財産である電波について、一部のテレビ局に貸しっぱなしにするのではなく、もっと有効利用の方法を考えたほうがいいんじゃないかとあらためて思いました。最後の中途半端なオチも含めて、ドキュメンタリーとしては十分に面白かったんですけどね。 【眉山】さん [映画館(邦画)] 8点(2020-02-03 02:30:28)(良:1票)
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