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《ネタバレ》 この映画、理屈では駄目な作品なんです。特に、全編を通じて伏線が効果的に機能してない。例えば、父娘のエピソードが前半の目玉になりますが、それが後半で生きてない。「何としてでも生き延びる」というのがテーマのようでいて、セリーナ(ナオミ・ハリス)は物語が進むにつれ、どんどん退行していってしまう。主人公ジム(キリアン・マーフィ)は逞しくはなりますが、どっちかというと無表情で、内面の変化がわかりにくいタイプ。「前半はいいが……」という意見を散見しますが、その理由は、前半には目的(マンチェスターへ行く)が設定されるのに対し、後半それが消失してしまう点にあるでしょう。ジムの目的は「軍人たちを殺してでも女たちを守る」に切り替わるわけですが、観客が十分感情移入してないため、ついていきにくいのです……。等々、割と駄目なところばかり挙げましたが、私は6点つけました。本作には印象的な画がいくつかあります。屋上いっぱいのバケツ。炎上するマンチェスター。草原を走る馬。こういう瞬間的なイメージが秀逸で、物語の要所要所で全体を引き締めており、個人的に不快感が薄いのです。これは想像ですが、ダニー・ボイル監督もイメージ志向であり、最初から全体の構成は二の次だったのではないのかな……?
【円盤人】さん [DVD(字幕)] 6点(2006-10-12 23:05:24)
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