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この映画の原作はヴィクトル・ユーゴーではなく、ユーゴーの小説を元にしたミュージカルを映画化したものです。原作が舞台劇なので、ストーリーテリングはかなり荒っぽいものでした。時系列を順に追っていくのではなく、舞台は象徴的ないくつかの場面にのみ絞られ、「そして○○年後」といった具合に話がピョンピョンと飛んでいきます。大事なところがかなり端折られているので物語については脳内補正をかけて観る必要があり、えらく不親切な作りだなぁとガッカリしました。また、歌詞によってすべての感情がはっきりと表現されてしまうという点にも、かなりの違和感を覚えました。映画には、あえて口に出す必要のないセリフというものがあります。その場の状況と、俳優の表情さえ映していれば充分に理解可能であり、それを口にすると、途端に陳腐になってしまう類のものです。そんなものまでがご丁寧に大声で歌い上げられてしまうので、あまりの押し付けがましさにうんざりしてしまいました。これは映画という舞台とは別の媒体なのだから、バカ正直に舞台と同じことをやるのではなく、映画なりの見せ方をしてもよかったのではないかと思います。ここで申し上げておきたいのは、私はミュージカル映画というジャンルの面白さは認めているということです。某司会者のように、俳優が突然歌い出すこと自体を拒絶はしないのですが、本作については、映画という媒体の特性が無視され過ぎているのではないかと思います。
【ザ・チャンバラ】さん [ブルーレイ(字幕)] 4点(2013-06-23 02:13:23)
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