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《ネタバレ》 最近、サムライを辞める侍の映画が増えてきた。時代は幕末とはいえ、欲深な家老VS下級武士という構図は、日本の経済発展を支えてきた企業の構図とほとんど同じ。企業に縛られて生きていくのに疑問を感じる人にとっては他人事ではない。だから、『ラストサムライ』のサムライ礼賛とは違って、そもそもサムライという肩書きを背負うことへの疑問の視点をもったことでこの映画はひとつ深いところにある気がする。『たそがれ…』が老成した大人の映画だったのに対し、『隠し剣…』は青春映画である。『たそがれ…』にあったぎらぎらした緊張感や、理想的に洗練された立ち振る舞いはこの映画にはない。でも、サムライという肩書きに徹しきれない所(友人の狭間も、最後は鉄砲に殺されて、サムライとして死ねなかった)や、友人討ちを拝命する時の逡巡する態度、たまにがさつで不器用な立ち振る舞いに若者らしさがでてる。この味わいも悪くない。「もう2度と人を殺したくない」というのは、間違いなく若者の台詞である。大人なら「そういう運命も仕方がない」になりそうだから。がんばれ若者。僕も含めて。
【wunderlich】さん 8点(2004-11-05 09:08:26)
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