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サリンジャーの「ライ麦畑でつかまえて」がさして好かないのと同じような理由で、この映画にもさほど惹かれるわけではなく、孤独な少年の偽らざる心情や行動を表現していようと年令的・環境的な精神不安定からただ反抗しているだけでは。 青い未熟さをフィルムに定着させただけでは。 トリュフォーの子供時代を反映しているだけでは。 だが「ライ麦」の傍らにグラース家の連作があるように、これも単品としてよりも滑稽なドワネル・シリーズのプロローグとして見た場合違った趣がある。 トリュフォーはジャン=ピエール・レオの人生をこれで決定づけてしまったようなもの。 プチ・ドワネル、アントワーヌのやらかすことは青年になっても変わらず無軌道で痛く、監督自身がアンファンであったのだろうと思う。 この手の役柄はレオの定番となり、海岸に佇む少年は時を経てはからずもヌーヴェル・ヴァーグの申し子になるが、彼はまだそれを知らない。 エピローグは(彼の作品ではないが)レオが映画監督を演じる「イルマ・ヴェップ」がいいかもしれない、トリュフォーの分身であったレオはここへきて初めて彼と同化したかに錯覚する。
【レイン】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2010-07-30 00:25:56)
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