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《ネタバレ》 人間の共感力や感染力が中心に置かれる映画。その化身としての「のぼう」。姫や武将たち、農民たちも皆、すでに「のぼう」に感染している。なわけだが、「のぼう」はこの映画を通じてただ「のぼう」であるだけで、始めから終わりまで何も変化していない。完成している(野村萬斎)。そうした「のぼう」に敵将・三成までもが感染し成長する姿を描けるか、というところにこの映画の賭があるわけで、上地雄輔という配役はそこに意味がある。秀吉にあこがれていた三成はある意味秀吉に裏切られるのだけど、「のぼう」を媒介に、秀吉からの精神的自立を果たす。のちに(家康にはかなわないものの)関ヶ原という大戦を率いるまでの「器」への成長の予感させるラスト。一方、人々の共感力にとって重要な、倫理性や高潔さの象徴である姫をなぐさみものとして奪われてしまい、彼らはやはり敗北したとしかいえない。合戦の死者たちと同じかそれ以上の大きな損失。観客に渡される「痛み」でもある。田楽のシーンは『七人の侍』、金打は『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶアッパレ戦国大合戦』を思い出しました。
【みげる】さん [DVD(邦画)] 7点(2013-11-21 07:44:33)
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