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《ネタバレ》 行き過ぎたリアリズム作家ロベール・ブレッソンの魅力がここぞとばかりに詰まった良作。淡々とした静の演技と画作りで瞬間的な緊迫感や抑揚を連続させる演出力には驚くばかり。斧とピアノとグラスと犬の鳴き声だけで、ありのまま映し出す以上のものを生み出す。ほんと無駄がない。 一枚の偽札が引き起こす悪の連鎖といったそそられる展開。連鎖に巻き込まれた青年は出所後に優しい老婦人の世話になるが、結局殺して、金を奪う。優しさや無償の愛も、金という絶対的物質にはかなわない。――と、ここで一つの結論に達する(青年の心の中でも)わけだが、その後青年は自首をする。これって矛盾しているのではないだろうか?すぐに自首してしまうぐらいなら、彼の行動は『結論』から導き出されたものではなく、ただの『衝動』であったと言わざるを得ない。だが、わざわざこんなラストカットを入れたからには何かしらの意図があったに違いない。自首したほうが画的にも分かりやすいでしょ、ってな安易な考え方ではないと信じたい。意図があるとするならば、これは、先ほどの結論に疑問を投げかけていることに違いないだろう。つまりブレッソンの出した結論はこうであるはず → 優しさや無償の愛も、金という絶対的物質にはかなわない・・・のかなぁ?
【stroheim】さん [ビデオ(字幕)] 8点(2006-05-12 16:18:11)
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