太陽はひとりぼっち の にじばぶ さんのクチコミ・感想

Menu
 > 作品
 > タ行
 > 太陽はひとりぼっち
 > にじばぶさんのレビュー
太陽はひとりぼっち の にじばぶ さんのクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 太陽はひとりぼっち
製作国,
上映時間124分
劇場公開日 1962-12-19
ジャンルドラマ,モノクロ映画,ロマンス
レビュー情報
《ネタバレ》 まずは主演女優のモニカ・ヴィッティが美しすぎた・・・
ただただ、美しいのだ。
とにかく美しいのだ。
ため息が出るほどに。
モニカ・ヴィッティが出演している作品の中でも、この作品の彼女が最も魅力的だ。

そして音楽もまた素晴らしい。
これはフスコという人の影響らしい。

アントニオーニの演出する「乾いた都会の風景」。
この作品でも魅力全開だ。
奇妙な建造物、殺伐とした道路、主人公の女性が住むマンションのエントランス・・・などなど、とにかく徹底してその無味乾燥さが描かれているのだが、これがまた病みつきになるかっこよさ。

寂しい風景なのに、何故か自分もそこに身を置いてみたくなるような気持ちになる。
とにかく映像がシャープで、容赦なく無機質で、かっこいい。

あと、アントニオーニの作品を観ていていつも思うけど、背後に雑然と流れ続ける「騒音」がなんとも印象的だ。
もしくは風の吹く音とかが。

どれも心地の良い類いの音じゃないのに、何故か聞き入ってしまう。
私は病気なのか?!
そんな風に自分のことを思ってしまうくらい、惹きつけられてしまうのだ。

都会に流れる何気ない「音」を、アントニオーニは誇張して流している。
だけど何気ないその音が、何かを訴えているような気もする。

しかし、それが何を意味するのか、私には分からない。
が、何故だか異常なくらいに魅力を感じ、惹きつけられるのである。


それにしても、ラストの辺りで繰り返し出てくる横断歩道の風景だが、つくづく印象的だ。

アラン・ドロンがモニカ・ヴィッティに、「向こう側に着いたらキスをする」って言ったシーンとか。
横断歩道を渡って二人は別れて、モニカ・ヴィッティが振り返ると、もうそこにはアラン・ドロンの姿がない・・・っていうシーンとか。
横断歩道辺りの荒涼たるアスファルトとか。
あまりに印象的で、かっこよすぎて、寂寥感があって・・・

この映画を観た私(観客)が、観た後にこんなになるのをアントニオーニは計算してこの映画を撮ったのだろうか?

そこまで計算してアントニオーニがこの映画を撮っていたとしたら・・・
もしそうだとしたら、ミケランジェロ・アントニオーニという監督は、恐るべき監督だと思う。
にじばぶさん [DVD(字幕)] 10点(2007-09-01 20:31:16)
にじばぶ さんの 最近のクチコミ・感想
投稿日付邦題コメント平均点
2024-11-23ハッピーアワー8レビュー8.00点
2024-11-22PASSION(2008)6レビュー6.00点
2024-11-22逆光の頃2レビュー2.00点
2024-11-20ジャン・ルノワールのトニ6レビュー7.33点
2024-11-19グランド・ブダペスト・ホテル5レビュー6.45点
2024-11-17放課後ソーダ日和 -特別版-10レビュー10.00点
2024-11-16偶然と想像7レビュー8.00点
2024-11-15ルックバック7レビュー8.00点
2024-11-14さかな3レビュー3.00点
2024-11-14アデル、ブルーは熱い色5レビュー6.76点
太陽はひとりぼっちのレビュー一覧を見る


© 1997 JTNEWS