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気取った言い方をすれば、演技をする演技をするという困難さを全く感じさせない演技力の凄みを感じた。 この映画は対称性に彩られており、冒頭から首吊りに失敗した堺正人。頭から落ちて仰向けになるが、これは銭湯での香川照之の転び方と同じ体勢であることを指摘しておかねばなるまい。既にここに類似性が現れている。また、殺しを終えた香川照之が道路で渋滞に巻き込まれるシーン、ここでは映画の撮影が原因となっており、演技に出会うことが既に示唆されている。堺正人が銭湯に出かけるために階段を下るシーンではちょうど電車が左から右へ通り抜ける。これはラストに彼がアパートに帰るために階段を登るシーンでは逆に右から左へ電車が通り抜けている。また、キュイーンの装置を発動させてきたのはずっと堺正人の方で、銭湯で入れ替わった直後、スーパーで愛人を待ち合わせて工藤から逃れるシーン、殺すフリに広末涼子が登場してしまい、そこから逃げ出すシーン、と計三度出てくるが、全て引き起こしているのは堺正人である。演技をし続けている堺正人と、素に戻った香川照之の対照性は興味深い。
【Balrog】さん [映画館(邦画)] 8点(2012-09-20 14:20:31)
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