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黒人・白人という単純な図式ではない点が最大のポイント。黒人たちの愚かさ、ずるさが執拗に描かれており、むしろ黒人たちを戒めるかのような内容に思えた。ただ、彼らが望んでいるのは「平等」などという立派な理念ではなく、雇用や社会保障、教育など、より現実的な支えなのだろう。あの事件の後、ムーキーはあれだけ楽をして給料を得るところがなくなったことを後悔するであろうし、住民たちも美味いピザを食べられなくなって寂しく思うに違いない。あのやるせないラストに最も当てはまるのは明らかにキング牧師の言葉である。マルコムXの言葉もその後に続き、「どちらが正しいのかは分からない」とする解釈が見受けられるが、この映画を観る限り、スパイクリーがキング牧師の言葉の意味を表現したことは明白だ。そもそも彼らは自衛のための暴力などふるっていない。フラストレーションを発散させる暴力に過ぎず、その結果もキングの述べている通りである。メイヤーの像もキングに重なる部分があり、その意味でDo the right thingの「right」をあまりに相対化しすぎることはこの映画の真価を見誤ることになる。この映画におけるthe right thingは少なくともムーキーの選択したようなようなことではない。スパイク・リーの主張が鮮やかに表現されている傑作である。
【Balrog】さん [DVD(字幕)] 8点(2011-11-14 00:18:42)
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