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黒澤は「私はタルコフスキーを難解だとは思わない。ただ彼の感覚が鋭すぎるだけだ。」というようなことを言ったそうだが、黒澤の見る眼は確かであった。この映画は鋭敏過ぎるほどの彼の感覚が爆発した心象風景であって、ストーリーは存在しない。というのも、この映画は彼の記憶をそのまま再生したものだからだ。記憶にストーリーが存在する人は居ないであろう。だから過去と現在、歴史と創作が入り混じる。妻と母が同一人物なのもそういうことで、彼の頭の中で両者の人物像は一致するわけだ。観客はタルコフスキーの頭の中を体験することができるが、個々の出来事が何を意味するか、正確なことはなにか、を知ることはできない。それはタルコフスキーにも分かっていないからだ。流れる水と印象的な炎、セピア色、モノクロ、カラー、タルコフスキーはどの場面を切り取っても文字通り絵になる映画監督である。
【Balrog】さん [映画館(字幕)] 7点(2011-10-30 22:26:02)
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