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《ネタバレ》 天知茂と三原葉子、この新東宝を代表する二大スター(?)を奇才石井輝男のイマジネーションの世界に投げ込んでトロットロッになるまで煮込んだという感じ、でもちゃんとハードボイルドしてます。前半の100円札を使った伝言ゲームの様なストーリー・テリングもなかなか面白く、テンポの良さもあって楽しめました。 そして何故か神戸にカスバがある!でもそこは本当のカスバを超越した異次元ワールドみたいなところだと思って間違いはない。路地を歩くまさに無国籍としか言いようのない怪しげな連中、雨に打たれて彷徨う吟遊詩人、なぜか着物を着ている墨を塗った様に黒い顔の白人女、うーんこんな日本なんて観たことがない、まるで『ブレードランナー』のLAみたいです。あの若杉嘉津子までもがダサい格好した怪しげなマダムになっちゃうんだから、恐ろしい。 天知茂の殺し屋も、蛇のようにクールなのかと思えば、卵の値段から己の不運な半生を嘆いたりする妙な屈折があるキャラです。対する三原葉子は、ライン・シリーズとしては唯一のカラー作品と言うこともあり、靴やドレスの鮮やかな赤が印象に残ります。彼女のちょっとずれたリアクション演技やひょうきんな表情がまた良くて、この役こそが彼女のフィルモグラフィ中のベストキャラだと思います。
【S&S】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2013-06-05 01:06:51)
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