日本暗殺秘録 の S&S さんのクチコミ・感想

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日本暗殺秘録 の S&S さんのクチコミ・感想
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《ネタバレ》 これはもう血盟団事件と小沼正のことを描いた映画だとしか言いようがありませんね。聞くところによると、実際に小沼正のことをテーマにした映画を撮るために中島貞夫と笠原和夫が脚本を書いていたら、社長命令でオールスター方式の通史形式になったんだそうです。まあそこは140分の上映時間のうち100分が血盟団事件に尺をとっていることからもうかがえます。脚本は時代を反映しているというか全共闘世代に媚びているというかアジっているような過激さで、自民党筋から製作中止の圧力がかかったというのも頷けるアナーキーさです。ラストの226事件の首謀将校たちの処刑シーンなどは、ちょっとトラウマになりそうなぐらいです。でも小沼正を演じる千葉真一は彼のフィルモグラフィ中でも屈指の名演を見せてくれます。彼は同時代の黒沢年男みたいな激情的な演技が持ち味だったんですが、本作ではそれなりに抑えた演技を見せてくれて魅力的でした。彼と悲恋の関係になる藤純子も、博徒映画の姐御というイメージを払拭させてくれる好演です。脇を固める片岡千恵蔵の井上日昭もさすが千恵蔵という存在感で、多少セリフ回しに灘がありましたがその怪物的なカリスマは圧倒的な迫力があります。 桜田門外の変から始まって226事件までの暗殺事件を取り上げていますが、犯人が処刑もしくは自害で終わらなかったのは、血盟団事件とその影響を受けたこの映画では取り上げられていない515事件だけなんですね。小沼正にいたってはこの映画の製作時にはまだ存命で撮影を見学したっていうのだから驚きです。やはりこの事件が起きた昭和一桁のころは、日本の社会はテロに甘いというかまだまだ民度が低かったと結論付けるしかないでしょうね。
S&Sさん [CS・衛星(邦画)] 7点(2017-04-18 20:52:56)
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