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《ネタバレ》 日米映画界のヤバい奴二人、園子温とニコラス・ケイジがタッグを組むという異色の映画。話題になりそうな要素は十分だったのに、園子温が例の騒動を起こしてしまって世間から無視されてしまった感はあります。まあ映画自体の出来からいってもしょうがなかったかもしれませんけどね。 ストーリーの基本はファンタジー。いつの時代かどの国なのかは不明な世界にサムライ・タウンという町があり、そこはテキサスのおっさん風のガバナーと呼ばれる権力者が牛耳っています。まずこの町がまるで田舎の吉原みたいな江戸時代の宿場町風なのがぶっ飛んでいます。住民は江戸時代ぐらいの着物姿で皆キツネやひょっとこ風の能面をつけています、そして住民の半分は遊女です。そんな町にも銀行があって、そこに強盗に押し入って逮捕されるのがニコラス・ケイジ、“バンザイ”と叫びながら突入してくるのが可笑しい。収監されていたニコジーは、ガバナーから失踪した(逃げた)孫娘のバーニス(実は愛人)を自爆装置が付いたスーツを着せられ五日間のうちに連れ帰ることを命令されます。この町の外部はゴーストランドと呼ばれて下層民の一団(プリズナー)が廃墟みたいなところで生活していてバーニスもこの場所にいるわけですが、お話しはここから『マッドマックス』チックな展開となるわけです。 ニコジーの登場シーンからして褌一丁姿、なぜかママチャリを漕いで街から出てゆく、もうこの辺りから訳が判らん世界線です。実はこの映画はサムライ・タウンなどのセットには凝っているというかカネがかかっており、プリズナーの居住区なんかもかなり大掛かりな造りです。実はこの映画は園子温のフィルモグラフィ中でいちばんカネをかけてるんじゃないかと思います。この映画の設定というか世界観はシュールの極みで、好みが分かれるところでしょうが自分は好きです。というわけで好意的に観ていた自分でしたが、後半になってくるとストーリーが破綻というか訳わからなくなってきて、「やはりいつもの園子温映画だな」というのが感想です。この人の映画って、掴みはイイんだけどたいてい途中からグリップが効かなくなって暴走しちゃうんだよな。そういう意味では、やはり本作は典型的な彼の映画だと言えるでしょう。 とは言え園子温に思い通りにやらせるなら、ハリウッド映画の規模の方が彼の異能を活かせるんじゃないかとも思えてきました。ここしばらくは日本映画界での活動は厳しそうだから、いっそのことハリウッドに拠点を移しちゃえばとも思います。
【S&S】さん [CS・衛星(字幕)] 4点(2022-09-30 20:58:02)
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