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《ネタバレ》 もっとシンプルな内容のものを想像していた。ところが結構複雑で、一筋縄ではいかない話なので正直面食らった。面食らいはしたけれどなかなかどうして、曲者脚本家のクドカンらしく受け止めるこちら側の裁量が試されるような仕上がりで、けっこうボディーブローが効いてきますw
単なる喜劇・悲劇ではなく、その本質は純文学のような繊細さを持ち合わせている。それを大衆活劇というオブラートで包み、誰でも気楽に楽しめるものへと転換している。たいしたものです。 作品自体は結局答えらしきものを提示することなく終わってしまうが、それが逆にこの映画の本質を剥き出しにする結果となっている。阿部サダヲはこの先も本音を隠しながら生きていくだろうし、空き巣事件で出来てしまったご近所との溝は決して埋まらないと思う。内面では。弟の祐介も今後の芸能活動は決して明るいものではないだろうし、心の中の闇はそうそう晴れはしないだろう。またなによりも自分勝手な父親は結局自分勝手なままだろう。これこそがこの映画の本質である。体験してしまった悲惨な出来事は決して消えないし変えられない。ならば阿部サダヲのようにそいつにフタをするか、弟のように肥やしにするか。とにかく変えられないものにどう向き合っていくか。それがこの作品から発せられるメッセージなんでしょう。 連れ子の子達も本当は陣内孝則の父親の方がランキング的には上のはず。でも山ちゃんを慕っていくことも処世術として自然と身につけていくんでしょう。 正直言ってこの映画、喜劇や悲劇というよりはホラーと言ったほうがいいかもです。だって誰も彼もが素顔を隠してなに食わぬ顔で飄々としながらも、いつ何時隠し持ったナイフを取り出すか分からないんですから。怖いです、マジで。 恐ろしい映画です。はい。 【Dream kerokero】さん [DVD(邦画)] 6点(2016-07-24 14:30:41)(良:1票)
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